その2
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homuhomu_tabetai
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翌日朝
「ホ…ビャ…」ブラーン
「驚いたな、まさかまだ息があるとは」
血走った眼には生気がなく、私が入って来ても胡乱な瞳を向けてくるだけである。
だらしなく開いた口はカラカラに乾いており、もはや唾液すら分泌されていないようだ。
「よしよし痛みに耐えてよく頑張った、感動した」ヒョイ
私は釣り糸をハサミで切ってほむほむを降ろし、鼻に刺さっている釣り針をできる限りそっと抜いてやった。
抜く瞬間には身を震わせたが、すぐに無気力に手足を伸ばして水槽へ横たわる。
傷口付近は鬱血しているのか化膿しているのか、なんとも気味の悪い色合いに変色していた。
血走った眼や舌を垂らした口も相まって、もはやほむほむというよりただのゾンビである。
「ビャ…マ、ド…」ピクピク
「わかってるよ、すぐにパートナーと再会させてあげるからちょっと待ってなさい」スタスタ…
「ビャ…バ…マド…カ…ホ、ビャ…」ピクピク
「ウェヒヒヒヒャヒャヒャヘヘヘ…!!」ニタニタ バシャ!
「うわぁ…こっちも生きてたよ」
まず目の焦点が合っていない。
体液なのか水滴なのかも判別できないほどに、顔中がぐしょぐしょでふやけてしまっている。
「嘘だろ…正気でいられるかなとかかっこつけたこと言ったけど、正直生きてるとは思わなかったぞ…」
一晩中顔に水滴を浴び続ければ、気が狂うより先に身体が音を上げると予想していたのに。
強いストレスや精神的苦痛だけでも、ペット用のほむ種にとっては十分死を招きうるはずなのだが、天の悪戯なのか現にこうして生きている。
今なお顔面に水滴を受けているにもかかわらず、ただただ渇いた笑い声をあげ続けていた。
やはりこいつもゾンビと呼ぶに相応しい。
「ホムラヂャンホムラヂャンホムホムラヂャラヂャホムラヂャンン…!」アウアウ バシャ!
「お、おう…わかった、すぐ合わせてやるから…」シュルシュル ビリビリビリ…
「ティヒャティヒャティヒャティヒャティヒャティヒャ…!」ケタケタケタケタ…
物置部屋に戻った途端、水槽内で力なく横たわるほむほむにまどまどが跳びついた。
「ウェヒウェヒウェヒイィヒャアヒャホムラヂャホムラヂャンホムラヂャンッッッ!!!」ダッ
「ホ、ビャッ…!?」ビクン!
駆け寄ってくる番を見て身震いするほむほむ。
どうやらこんな状態でも、目の前に迫るゾンビのような何かに恐怖を感じ取ったらしい。
「ホビャ…ビャ、マド…!」ヨタヨタ
何とか起き上がって逃げようとするが、手足がもつれるのか思うように走れない。
そもそも狭い水槽内で逃げ場などなかった。
あっという間にまどまどが追い付く。
「ホォォォォムゥゥゥラァァァァヂャアァァアァァァアァーーーーーンンンッッッ!!!!!」ダキィッ!
「ホ、ビャアァ…ッ!!」ギョッ!
後ろからほむほむを抱きしめると、そのまま床に押し倒し激しく腰を振り始める
「ウェヒヒヒヒヒヒヒヒャヒャヒャヒャヒャ ホムラヂャンホムラヂャンホムラヂャンッッッ!!!」カクカクパンパングイグイユサユサ!!
「ホ、ビャ、ビャ、ビャ、ビャ、ア、ァ、ァ、ァ、ァ……!!」ボロボロ イヤイヤ!
「うわぁ……」
ほむほむは涙を零しながら逃れようとするが、身体が衰弱しているほむほむと違いまどまどの身体は元気である。
しかも一晩中巻かれていたせいかガムテの粘着がまだ残っているようで、ほむほむの長い髪や衣服の裾がまどまどの身体や顔に貼りついてしまっている。
「マドッ…カァ…! ホ…ホビャアッ…!!」ボロボロ ガクガク
「ティヒャアァハヒャヒャヒャウェヒィィヒヒィヒヒャ ホォムゥラァヂャァァァンッッ!!!」ゲラゲラゲラゲラ カクカクパンパン!!
もはや性交とも呼べない、ただの暴力である。
精神のタガが外れたことで本能的な欲求が全開になったのかもしれない。
あまりにもおぞましい光景に、二匹を水槽に残したまま物置部屋の戸を閉じてしまった。
しばらくしてからもう一度様子を見に行くことにしよう…。
「マ、ド、カァ…マ、ド、カァ…!!」ボロボロ ゲホゲホ
「マドマドマドマドウェヒヒャアヒャハティヒェアャヒャヒャ…!!!」ケタケタケタケタ カクカクパンパン!!
昼飯を食べる前と後どちらにするか悩んだ結果、食後に一度様子を見ることにしたのだが…
「ウェヒヒ…アヒャアヒャアヒャヒャ…ウェヒャヒャヒャ…!!」ゼェ…ハァ… カクカクパンパン!
「」ダラーン ユサユサ
「なん…だと…?」
ほむほむの方は既に事切れていた。
それに気づいているのかいないのか、まどまどは息を切らしながらなお腰を振り続けている。
さっさと処分してもいいのだが、放っておいてもこの分なら長くは保たないだろうし、ここまで狂ったほむ種を見るのは初めてだったのでなんとなく殺すのが惜しい。
どうしたものか考えながら何とは無しに庭へ出てみると、親子と思しきほむほむたちがネットの隙間をこじ開けようと奮闘していた。
見張りらしきまどまどがこちらに気付き、慌てて番と仔に知らせようとするが、ちょうど頭をネットの内側に突っ込んでいた親ほむと仔ほむは身動きが取れない。
「マド!ホムラチャン!!」ハッ!
「ホム!?ホ、ホムホムゥ…!!」オタオタ
「ホミャア~?」キョロキョロ
「はいお前たちアウトー」ヒョイヒョイヒョイ
あわあわと右往左往する一家をあっさり捕まえた私は、全員を洗面所においたままの最初の水槽に放り込む。
「さて、お前たちは勝手に人の家のものを食べようとしたわけだが、相応の罰を受ける覚悟はあるね?」
「ホムッ!ホム、ホムホムホム!! マドカァ、ホムホム!!」バンバン!
「マドォ!! ホムラチャンマドマド!!」バタバタ
「ホミュー! ホミュウゥン!」ピョンピョン
しかし水槽の中の一家はギャーギャーと喚いたり走り回るばかりで、全く反省の色など見えない。
こいつらは昨日の番よりも野良での生活が長いらしく、生き汚いというかふてぶてしい感じがする。
「仕方ない、こっちで勝手に決めさせてもらうぞ。まどまどが痛い罰、ほむほむが痛くない罰、で仔ほむは――」
そこでふと思いついた。
一家を水槽ごと抱え上げる。
「仔ほむには怖い罰を受けてもらおう」
物置部屋の水槽の真横に、一家の水槽を置く。
「ウェヒャヒャヒャヒャ…ホムラヂャンンン…!!」ヒィ…ヒィ… カクカクパンパン
「ホビャッ…!?」「マドッ!?」「ホミュウ~?」
一家はすぐ目の前で行われている行為に激しいショックを受けているようだが気にしない。
すぐにこれ以上のショックに襲われるのだから――
「まず仔ほむから罰を受けてもらうよ」ヒョイ!
「ホミャア…?」フアンゲ
「ホム!? ホム!ホムゥ!ホムホムゥゥゥ!!」ギョッ! バンバン!!
「ホムラチャン!? マドマドォッ!!」ギョッ! バンバン!!
何かを察したのかほむまどが一層騒ぎ出した。
構わず仔ほむを隣の水槽に移す。
「ホ、ホミャア…ミャロカァ…?」ビクビク ヨチヨチ
「ヒャヒャヒャヒャヒャ……………ウェヒイィ~?」ジロッ…!
「ホミュッ!!」ビクゥ!
狂ったまどまどが仔ほむの方を振り返った。
焦点の合っていなかった視線がじーっと仔ほむに注がれ……
「……ホォムゥラァヂャアァァァンンッ!!!」ニタァ… ダッ!
「ホ、ホミャアァッ!!」ボロボロ ガクブル
そこから先は正に地獄絵図であった。
脳か身体のリミッターがどこかおかしくなっているとしか思えないような動きで、仔ほむに跳びかかるまどまど。
脅えきった仔ほむの脚は震えるばかりで役に立たず、あっという間にまどまどに押し倒され身動きを封じられてしまった。
「ホミャアァァアァァアアアァァァーーーーッッッ!!!??」ボロボロ ガクガクガクガク
「ホムラヂャンホムラヂャンホムラヂャン…!!!」カクカクパンパングイグイユサユサ!!
「ホビャアァァァッ!! ホムホムゥ!!ホムホムゥゥゥッ!!!」ボロボロ バンバンバン!!
「ホムラチャァアァァァンン!!! マドォ!マドォォッ!!」ボロボロ バンバンバン!!
顔中をグシャグシャにして泣き叫ぶ仔ほむに、ようしゃなくむしゃぶりつく狂まど。
親ほむまどは手が真っ赤になるほど激しく水槽の壁を叩き、これまた半狂乱で叫び続ける。
「それじゃ、お前たちの罰の準備をしておく間、親として子供が反省する様子を見守っていてあげなさい」
そう言い置いてから、私は一家を尻目に物入れの中を漁り始める。
確か釣り針とガムテがこの辺に――
(終)