虜囚
最終更新:
homuhomu_tabetai
-
view
作者:khwWrOZi0
489 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage] 投稿日:2012/03/28(水) 22:22:02.35 ID:khwWrOZi0
ケージの中に一匹の白まどがいる。
髪の毛はぼさぼさで、本来なら純白のまど服も汚れボロボロになっている。
自慢の羽はむしり取られ、外骨格たる弓矢も壊されてしまった。
目の前にはりぼほむの生首が液体で満たされた瓶の中に入れられていた。
自分をこんな状態にした憎き張本人だが、かつて自分が最も愛した番でもある。
せめて取り出すだけはしてあげようと頑張ったのだが、きつく閉められた蓋をあけるには白まどは非力すぎた。
りぼほむの表情は死の恐怖に目が開かれ、かつての凛々しさは面影もない。
そしてりぼほむの象徴たるリボンはその頭には存在していなかった。
白まど「マド…」コドモ…ミンナ…
りぼほむとの愛の結晶たる仔りぼほむと仔白まどをはじめとした群れの仲間たちも別の場所に連れ去られてしまった。
引き離される時に言われた言葉が耳から離れない。
「おとなしくいうことを聞かなければ、こいつらもそのりぼほむと同じ…いや、もっと悲惨な目にあうぞ」
その言葉に白まどは暴れることもできず、食べたくもない、考えるだけでおぞましい食事も平らげなければならなかった。
白まど「マドマド…」ミンナ ゴメンネ
自分の食べているものは仲間の身体の一部だ。
見た目はそうとわからないようにしているが、食事の様子をニヤニヤと見ている人間の考えることなどみんな同じだ。
白まど「マドォ…」ドウシテ…
なぜ自分たちはこんな目に合わなければならないのだろうか。
自分たちが何か悪いことをしたというのだろうか。
ただひっそりと仲間たちと暮らしていただけなのに…
白まどは思い返す。
自分たちに降りかかった不幸の始まりを。
白まどはある野良の群れに属していた。
決して大きな群れではないが、町はずれの人間が滅多にこない場所で巣を作り
仲間のほむほむやまどまどと平和に暮らしていた。
ほ虐好きの人間の元から逃げ出し野良となった白まどは、ほ食種のみならず最大の天敵である人間の脅威を知っていた。
そのため、希少種としての誇りに殉じて町のすべてのほむほむとまどまどを守るのではなく、
自分たちの群れを守ることに徹し、人間と接触しないように心掛けてきた。
そのおかげで白まど達の群れは豊かとはいえないもののキュウベェを主食に戻すことを本能的に思い出し、
巣の中からあまりでなくて済む環境を作り上げた。
陽の光の元で満足に遊ぶこともできず、居場所がばれないようにするため大きな声で鳴くこともできない。
それでも群れの仲間との生活は楽しかった。
人間にいつ虐待されるか脅えて暮らす日々と違い、仲間との触れ合いがとても暖かかった。
だから白まどは己の力をこの仲間を守るためのみに使った。
しかし、りぼほむは違った。
りぼほむもまた人間の元から逃げ出したのだが、白まどとは違い可愛がられてきた飼いりぼほむだった。
飼い主も優しい人物で何不自由なく暮らしていたが、町中に響くほむほむの悲鳴に心を痛め、
ついに我慢できずほむほむとまどまどを救うために飛び出し、いつしか群れに合流し白まどと番となったのだ。
りぼほむは自分たちだけではなく、同じような境遇のほむほむとまどまどを救うべきだと理想を持っていた。
そのことで自分や群れの仲間と何度も喧嘩した。
自分は見てきた。
りぼほむのように理想を掲げたものの挫折し、守ろうとした仲間からすら罵声をあびて惨めに殺された希少種たちを。
毒を持つ。瀕死のほむほむとまどまどに力を分け与えれる。
希少種のもつ奇跡の力。
でも人間はその毒を克服し、束になったほむほむとまどまどをゴミのように踏み潰す。
そんな光景を見てきたからこそ、まだ見ぬ仲間を見捨てることになったとしても、
白まどは自分の群れを大切にしたかったのだ。
だが、りぼほむを説得することはできなかった。
群れの巣からそう遠くない場所から、ほむほむたちの悲鳴が聞こえてきたあの日、
必死にりぼほむを止めようとする自分を振り切り、りぼほむは飛び立っていった。
日も暮れ始めた頃、りぼほむは羽と手足を引きちぎられ、縛られた状態で巣に戻ってきた。
ほ食種の中でも最もほむほむとまどまどを探すことに長けたあんあんに引きずられ、
ほむほむとまどまどにとって最悪の敵である人間と共に。
りぼほむもまた理想に敗れ、群れを滅ぼす災厄となったのだ。
群れは阿鼻叫喚につつまれた。
人間はあんあんに巣の中を蹂躙させ、自らは逃げ出そうとする仲間を片っ端から捕えていった。
もちろん自分も応戦した。
「大人しくしないと番のりぼほむを殺すぞ?」
そう脅されたが、自らの理想を追い求めて返り討ちにあい、挙句の果てには人間を呼び寄せてしまった。
そんな自分の愛する番よりも、力を持たない周りの仲間の方が大切だった。
りぼほむが「まどまど、私を見捨てるの!?」と泣き喚いていたが、
偉そうに理想を語っていたりぼほむと同一とは思えない程惨めで情けない姿だった。
りぼほむなど、自分にはもはやどうでも良いことだった。
ただ仲間を助ける。それだけしか頭になかった。
そして、自分も敗北した。
仔どもはみな生きたまま捕えられ、親たちも足だけををちぎられた状態で捕えられた。
自分も羽をもがれたが、自分だけは手足をちぎられることはなかった。
人間の意図はわかる。仲間のために何もできないうえ、自分だけ手足が無事なことで
自分に仲間に対する罪悪感と無力感を与え絶望させようとしているのだ。
実際弓矢を壊され透明な何かに閉じ込められた自分の力では仲間を助けることもできず、
仲間が悲鳴をあげながら捕えられていく姿を見る事しかできなかった。
捕えられた仲間は皆りぼほむを罵った。
お前が余計なことをするからこうなったんだと。
りぼほむは涙目で必死に叫んでいる。
自分はほむほむとまどまどを守るために頑張ってきたんだ、みんなのために生きてきたんだ。
自分は何も悪くない、悪いのはこの人間だ。
しかし、群れの反対を顧みることなく飛び立っていったりぼほむの言葉など誰も聞く耳をもたない。
りぼほむ「ホムゥ…マドカァ…」ナミダメ
白まどはわかってくれるよね?
涙と鼻水で汚れた哀れな顔でりぼほむが話しかけてくる。
白まど「マド」
りぼほむ「マドカァァァァァァアアアアアアアアア!!!!!」
それに対する自分の答えは簡単だった。
りぼほむが悪い。
それを聞いたりぼほむは信じられないものを聞いたという表情をした後、
すがるように何度も自分の名前を叫んでくる。
昔はあんなに好きだった相手に対して、嫌悪を通り越して呆れしか出てこない。
耳障りな雑音から逃れたくて、仲間の方を見ていた。
人間とあんあんはそんな私たちの様子をおぞましい笑顔で見ていた。
自分たちの絆など、偽りのものだといわんばかりの表情だ。
悔しかった。
自分と仲間の絆を嘲り笑われたことが。
そして、自分の番をついに説得できなかった自分の不甲斐なさが。
こうして群れは壊滅し、自分たちは囚われの身となった。
まずりぼほむが見せしめのために最後の時を迎えた。
失われた手足を目の前で食べられ、刃物で下半身から薄い輪切りにされていく。
そしてりぼほむの力の根源であるリボンをゆっくりとほどかれていき、
自分が自分で無くなる恐怖の中でその命を終わらせた。
その後、自分と仲間たちは別々にされ、今自分はこうしてりぼほむの首と共に捕えられている。
仲間がどのような虐待を受けているのか、自分にはわからなかった。
自分の聞いてきた悲鳴など、悲鳴と言えないのではないかというくらい凄惨な叫びだった。
息絶えている仲間も少なくないだろう。
自分の食事になっていることからも想像に難くない。
自らの命を絶つことも考えた。
だが、仲間の叫びを仲間を守れなかった自分への罰だと思い、最後の悲鳴が途絶えるまで生きる。
それが自分にできる唯一のことであり、人間への抵抗だ。
いつ自分に人間の手がのびてきても構わない。
それが人間を喜ばせることになったとしても、助けは請わず死んでいこう。
決意を固める自分の耳に自分の仔の悲鳴が聞こえる。
今夜の食事は間違いなくあの仔だ。
せめて早く命を失って楽になるように祈った。
終
- ならお前も殺されるとき何も文句言えんわな、殺す方が強いんだから。
- かっこ良くねーよ。なぜ自分達がこんな目に?なんて馬鹿な疑問を抱く糞虫だしな
答えは簡単、人より弱いからだよ。ほむまど共も自分達より弱いキュゥべえを捕食してる、つまり人間より弱いんだから何されても文句は言えないわな - 白まどがカッコいいwww
白まどもリボほむもあんあんも糞だね
そしてリボほむをとっととヤったこの作者も糞 - ほむほむ共は虐殺される為に生まれて来たからね
そんなことより気に食わないのはあんたんテメーだよ - ほ虐されて当然
自分達だってキュゥべえ食ってんだろ - こうしたコメを書いてくれる人がいると
今まで知らなかった傑作に出会える - 無能な味方(りぼほむ)は有能な敵(人間)より厄介とはこういうことか、白まどのカッコ良さが引き立つ良作