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食用ほむほむ

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作者:ddOxOWJmo

488 名前:食用ほむほむ[sage] 投稿日:2012/08/15(水) 00:38:10.30 ID:ddOxOWJmo


夕方。俺は夕食の材料を調達するため、仕事帰りに近所のスーパーに来ていた。

「えーと、今日は何にしようかなぁ…」


≪新鮮でおいしい!ほむほむ、大量入荷しました!≫

「ほむほむかぁ、最近人気らしいな」


ホムーホムー ホムムー ホムー

 ホムッフゥ マドカァーマドカァー

ホムホム  ホムッ


「うへぇ。ほむほむコーナーに人だかりができてやがる。
 何でそんなにこいつらを食いたがるのかねぇ」


ホムー

「うーん…  よし、試しに買ってみるか」

『ありがとうございましたー』

「ご丁寧に、ちっちゃいビニール袋に入れてくれちゃってまぁ…」

ホムムー ニコニコ

「何だぁ? お前、飼われるとでも思ってるのか? 幸せなやつだよ、まったく」

ガサガサと揺れるスーパーの袋。
様々な食材やジュースがひしめき合う中で、違うビニール袋に入れられたほむほむが今にもはしゃぎ出しそうな笑顔を浮かべていた。



ガチャッ

「はー、やっと帰ってきたー…もうクタクタだよ。早くメシ食って風呂入ろ」

「えーと、メシメシ……」ゴソゴソ

机の上に、いつもの惣菜を置く。
コロッケ、鴨南蛮…そして今日はこいつがオマケだ。

ホムー♪ クルンッ

机の上に置かれたほむほむは、得意気に一回転してみせ、フィニッシュにスカートの裾をつまんでお辞儀をした。
何だこいつは。食用ほむほむの癖に。

ホムーホムー

「あ?何だって?」

ホムムー ホムー

「……腹が減った? 笑えないジョークだな。食用に飯食わせてどうするよ。
 後で食ってやるからそこいらへんで遊んでろ」

ホムン? クビカシゲ

「ああ、ああ、もう。そういうのいいから」モグモグ


――――……


「ふぅ、食った食った」ポンポン

ホムゥ… グー…

「………………」

ホムムゥ… ポロポロ…

「うぜぇ…。さっさと食ってやりたいが、もう結構腹一杯になっちまったしな…」

ホムーホムー

「ご主人様? はっはっは、何だ何だ。
 完全に飼いほむ気分だなぁ? こういう傲慢なやつを見てると腹が立つぜ!」ダンッ!

ホビャア!! ビクンッ!


ホミュゥ…ホミュミュゥ… プルプル

「…………」

「……わかった。わかったよ。わかったから泣くな」

昔からこういうのに弱い。


スッ

ホム!? ホムムー♪ トテテテ

子供の時、ネズミ取りからネズミを逃がしてよく親父に殴られたもんだ。

ホムッホムッ ガジガジガジ…

何かほっとけないんだよなぁ。
こういう小動物みたいなの。

ホムムー♪ ニコッ

今日の晩飯になるはずだった食用ほむほむは、俺の右の掌の上で一生懸命ポテチの欠片をかじっていた。



――1週間後。

ホムーホムー テフリフリ

「ん?…ああ、おはようさん」

奇妙なことに、あの食用ほむほむはまだ生きている。
しかも餌や風呂、寝床まで完備ときた。
これじゃまるで飼いほむだ。

ホムー…

ケージの中の、牛乳パックで作った簡素な小屋で一休みするほむほむ。
呑気なもんだぜ。

「じゃあ、仕事行ってくるからな。おとなしくしてるんだぞ」

ホムー


――――……


ガチャッ

「ただいまー」

ホムムー!ホムー! バンバンバン!

「そんなにケージ叩いたってまだ餌やらねーよバーカ。
 ちゃんと時間決まってるだろうが。もうちょっと待ちな」

ホムムー!ホムー! バンバンバン!

「うるせぇな、何だよ」

ホムゥ… ショボーン

「…………?」

まさかとは思うが…

ヒョイッ

ホムッ!ホムムムゥ/// スリスリスリ…

ほむほむを掌に乗せると頬擦りしてきた。
どうやら、俺と触れ合いたかったらしい。

「ったく…お前は食材なんだぞ。そこいらへんわかってんのか?」

ホミャア?

「…………」


――――さらに1週間後。


俺はほむほむを連れて散歩に出掛けた。
たまには外の空気を吸わせてやらないとな。

ホムムッホムー♪ トテトテ

「お前には天敵が多いから、あまり遠くには行くなよ」

ホムッ!

「はしゃいじゃって、まぁ…」

アンアン!クーカイ!
サヤヤヤー! ブンブン

ホ、ホビャーーーー!?

「早速お出ましか」

ゲシッ! アンギャー!

ブチュッ! 

適当にほ食種を蹴散らした。
人の飼いほむに手を出そうとするとはふてぇ野郎だ。

ホム…

「何だ?どうした?」

ホムムー… フルフル

「……わかった、もうしねぇよ」

こいつはほ食種の驚異を知らないのか?
いや、さっき怯えたよな…。

『ひどいことしないで』か…。
お前、自分に一体どれだけの天敵がいると思ってんだ?
天敵のほ食種が潰されて喜びこそすれ、潰さないでとか…甘いぞほむほむ。
野生はそんなに甘くない。やはりお前は食用だ。現実を知らなさすぎる。

アンー!サヤカー! ダダダダ

番のさやさやを潰されたあんあん、怒りの特攻か。
いい気迫だ。だが…

俺が右足を浮かせた瞬間、右の掌にキュッと締め付けるような感覚があった。
ほむほむが掌の肉をつまんでいたのだ。
そして俺と目が合うと、鳴き声も出さずに潤んだ目で首を横にふった。

「………わかったよ。無駄な殺生はしない」

浮かせた右足を地面に戻す。その右足の脛に、あんあんの全力タックルが当たった。

あんあんは鼻を押さえ、ゴロゴロと転がりながら悶絶している。

「……そうだよな。こいつらも、生きるためにほむほむを食ってる。
 ………ごめんな、さやさや…」

俺は潰したさやさやの死骸を埋め、墓を作ってやった。
気絶したあんあんが目を覚ました時、これを見て何を思うか。さやさやの行方を探すだろうか。
さすがにそこまで観察する気にはならなかった。


――――――……


ふと、ネットをしていた時のこと。
ある記述が目に留まった。

   
  『食用ほむほむ』

ホムー…ホムー… スピー…

俺はそのページを隅から隅まで読んだ。

「………………」

そして、絶望した。

ホミュー…ムニャムニャ///

………ほむほむ

ホミュミュゥ…/// スピー…

俺とお前が過ごした期間は…

…………………



――――食用ほむほむを飼ってからちょうど1ヶ月。


俺は、鍋に入れた鰹節と煮干しで、出汁をとっていた。

グツグツグツ…

グツグツグツ…

ホミュー…?

例のほむほむは机の上でうつ伏せになり、僅かに体を起こしてキッチンに立つ俺を見つめていた。

「……そういや、お前が初めて家に来た時もその机の上で我が物顔だったな」

ホムー…

たった1ヶ月前だ。昨日のことのようにも感じる。

俺は机の上でグッタリしているほむほむの体を摘まみ上げ、右の掌に乗せる。
以前ならイゴイゴしてくすぐったかったが、今はもう何も感じない。動かない。

「……………」

ホムー…ホムー…

ほむほむの頭をそっと指で摘まむ。

「……じゃあな。
 次は普通のほむほむに産まれろよ」

ホミュー…?

コリッ 

もはや完全に動かなくなったほむほむを煮立った出汁の中に入れ、味が染み込むまでじっと待つ。
雑に食うわけにはいかない。
こいつだけは。

『食用に品種改良されたほむほむの寿命は1ヶ月しか持ちません。
 みなさん、消費期限に注意して美味しくほむほむを食べましょう。』

もっと早くこのことを知っていれば、食用ほむほむを飼うことなんて無かったのにな…。


――――――………


コトッ

出汁がよく染み込んだ、ほむほむの煮付けが目の前にある。
我ながら美味そうにできたと思う。

「………いただきます」

ブチュッ

「……………」

美味い。
何でこいつ、こんなに美味いんだろう。
ああ、あれだな。腐りかけが一番美味いってやつか。

こいつ、もう寿命が近かったんだな。
ちょっと前からあんまり動かなくなったし…。


「……………」


「………なぁんで食用ほむほむなんか飼っちゃったのかなぁ………」


最後の出汁を一気に流し込み、空の器を机の上にそっと置いた。


終わり




感想

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  • 腹立つなぁ
  • つまらん
    もうほ虐ぶったほ愛やほ食はやめろよ
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