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インスピレーション
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howtofantasy
「オリジナル」とは
トム・ソーヤーの冒険の著者マーク・トウェインの言葉に「新しいアイデアというものは存在せず、既存のアイデアを新しい組み合わせで語り直しているだけに過ぎない」(意訳)というものがあります。その言葉の通り、ほとんどの作品が既存のアイデア同士を掛け合わせたり、別の視点で語り直しているだけに過ぎません。しかし、同じアイデアであってもそれをどのように組み合わせるか、どのように描き出すかという部分において作者のクリエイティビティが問われることになります。ここではどのような場所からインスピレーションを引き出せるかという例をいくつか挙げていきます。
インスピレーション
歴史
実際の歴史上のイベントからアイデアを引き出している作家は多く、ゲーム・オブ・スローンズのジョージ・R・R・マーティンもその一人です。薔薇戦争や関ヶ原の戦いなどの史実を参考にすることで、どういう対立関係がどういう結果につながったのかという因果関係であったり、どういった理由があってそこに至ったのかというモチベーションなどを参考にすることができます。
文化
ワールドビルディングの中でも文化は特に複雑な要素の一つです。一口に文化といっても食事やファッションから始まりマナーや価値観まで、特定のコミュニティを定義づける要素全てを総じて文化と呼んでいます。実存する文化からインスピレーションを得ることで、いろいろな要素が互いに影響を与えながら上手く絡み合って一つの文化を形成している様子を描き出すことができるでしょう。[Wikipedia](https://ja.wikipedia.org/wiki/Category:%E6%96%87%E5%8C%96)の『文化』カテゴリーから様々な地域や民族の文化について学ぶことができます。
人々
自分の周りにいる人々であったり実在する過去の人々は、「実際に生きてきた」という厚みがあります。自分が聞いた他人の経験談であったり、Yahoo!知恵袋で見かけた赤の他人の人生相談であったり、街中で見かけた人の変な仕草であったり、アイデアの種はいろいろなところに落ちているでしょう。
ニュース
ドラマや映画で「実話を基にしています」と書いてある作品を見かけたことがあると思います。追い詰められた人がどんなことを感じてどの程度のことまでしようと思うかというのは、実際に追い詰められたことがある人にしかわかりません。どういったコンテクストの中で、どういった原因がどういったアクションを引き起こしたかというアイデアを引き出すことができます。
創作
一番オーソドックスなインスピレーションです。映画、ドラマ、アニメ、マンガ、本、音楽、アート、ゲームなど、他人のクリエイティビティに触れることが、手っ取り早くインスパイアされる方法と言えます。アートならばPixiv、Pinterest、ArtStation、Instagram、Twitterなどのサイトがあります。一つのジャンルに縛られず、様々な世界の創作物に触れるようにしましょう。
コミュニティ
創作と被る部分がありますが、アートや執筆、映画好きやアニメ好きのコミュニティなどに参加することで、他人の創作活動からインスパイアされるだけでなく、アドバイスをもらったり一緒に進捗報告をしあうパートナーを見つけたりすることができます。主にReddit(英語)が盛んです。
ストーリー
フィクションの世界において"Trope"という言葉があり、これはストーリーや設定上のいわゆる「型」や「テンプレート」とも言えるものです。例えば「選ばれしもの( "The Chosen One")」のトロープは神や予言によって選ばれた者だけが世界を救えるというようなストーリーの型であり、ハリー・ポッターやハンガー・ゲームなどがこれに当てはまると言えます。貧しい(人気のない)主人公のもとに救世主がやってきてお金持ちになる(人気になる)というような「シンデレラ」トロープも主流なものの一つです。他の作品からこういったストーリーや設定上のテンプレを拝借し組み合わせることで、既存の型に新しい解釈や描き方を加えることができます。しかしトロープはあくまでテンプレートであり、必ずしもその型に沿う必要はありません。むしろ、その「型」を使ってどれだけ型にはまらない作品を作れるかというのが大事になってきます。
つまり何が言いたかったかというと、インターネット上から現実世界まで、身の回りには無限にインスピレーションが溢れているということです。。どんなに些細なものからでもアイデアを引き出すぞというアンテナを常時立てておくことが一番大切なのではないでしょうか。
注意点
理解・敬意・配慮
宗教や神話などからインスピレーションを得るときに気をつけなければならないのは「部外者にとっては単なるフィクションかもしれないが、信仰者にとっては絶対的かつ神聖なものである」ということです。特定の神話から「かっこいいから」という理由で神を借用してしまうと、場合によっては意図せず侮辱してしまう可能性があります。そうならないためにも、できるだけ現在も信仰されている宗教や神話を避けること、参考にする場合はそのままの流用は避ける、必ずリサーチを行う、敬意と配慮を持ちながら侮辱的な描写に取られない描き方をすることを心がけましょう。また、黒人など特定の人種を想定したようなフィクションの種族を用いて人種差別等のセンシティブなテーマを描こうとする場合も同じです。あまりにも露骨な比喩は安っぽく映りますし、トピックに対する深い理解もなく使用してしまうと危険です。現実的に考えて、誰も傷つけず、全員に対して配慮をすることは不可能です。創作者側にも任意のものからインスパイアされる自由があります。センシティブなトピックを扱う際は「理解・敬意・配慮」の3つを忘れないようにしましょう。
盗用・剽窃
「インスパイアされた」のと「盗用した」のでは天と地ほどの差がありながら、その境界はグレーな部分が多いのも事実です。【A】という作品を見てインスパイアされた結果【B】という作品を作った場合は盗用ではないでしょう。しかし作った作品が【エー】であったり【A】(違うフォント)であったりした場合は盗用です。同じ(似たような)テーマ、コンセプト、トロープなど使う場合は、必ず自らのユニークなアクセントを加えるようにしましょう。また「この作品は〇〇からインスパイアされています」と言えば盗用が免罪されるわけではないことにも注意しましょう。著者と読者の両方がはっきりと二つの違いを説明できないならば盗用である可能性が高いです。