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名前の付け方
最終更新:
howtofantasy
地名や人名の付け方について、数多くの方法が存在します。
しかし、ここでは詳しい方法論には触れず、二つほど注意点を書いていきたいと思います。
シンプルでもいい
ファンタジー作品において"ファンタジー感"を出すために無駄にややこしい名前を付ける作品が近年増えてきました。しかし、得てしてそういった難解な名前は読者にとって覚えにくく、混乱させてしまうことも多いです。外国語を組み合わせて作った難解な名前を使って得られる"ファンタジー感"と、覚えにくい・発音しにくい・意味がわからないというような問題を天秤にかけてみる必要があります。現実世界におけるネーミングというのは意外と安直です。当時名前を考えた人たちにとって大事だったのは響きのかっこよさよりもわかりやすさの方が大事だったからです。落語の「寿限無」がまさにそういった教訓をテーマにしています。名前が持つ役割も大きいですが、わかりやすさとの兼ね合わせも考える必要があります。
意味のない改名
「実質現実世界のXXだがこの世界ではYYと呼ばれている」というような無駄な改名は、物語の大事な部分から読者の注意を逸らしてしまいます。あるものの説明を読んで「あぁこれは現実世界で言うところXXだな」と考えるプロセスは、フィクションの世界に没入している読者に現実世界を意識させることになり、その没入体験を妨げることになるので基本的には避けなければなりません。「どうして架空の世界に地球上のものが地球上の名前で存在するのか」というところまで考えたのは良いことですが、ならばそもそも「なぜ架空の世界のストーリーが日本語(私たちの言語)で書かれているのか」という大きな問題に当たるはずです。この答えは「ストーリーが本にされる際に、その世界の言語から私たちの言語に自動で翻訳されている」になります。便宜上、実際は別言語で繰り広げられているストーリーが、何らかの大いなる力によって私たちのわかる言語や概念に翻訳されているのです。もちろん二つの言語間で全く同じ意味の言葉であったり、全く同じ概念を示す言葉があるわけではありません。空想世界の"りんご"(日本語訳)が現実世界の"りんご"と必ずしも完全一致するわけではないかもしれません。しかし、そういった多少の誤差はストーリー進行上取るに足らないものであり、私たちの言葉に自動翻訳される際には一番近い"りんご"になるということです。実質"りんご"なら"りんご"と書きましょう。