三文庫

三文庫(さんぶんこ)は、大学寮の附属研究機関、宮内官吏の育成機関として中核的な役割を発揮した近衛府管轄機関の1つである。

概要・歴史

三文庫は、1834年に大学寮の補完的機能を持つ存在として設置された。大学寮では、急速に接近する諸外国に対する外交政策と国内近代化政策を推進するための研究機関設置が求められた。近衛府の図書資料を保管していた国内三か所に、京都文庫大阪文庫東京文庫を開設した。1850年には、宮内官吏を育成させるための中心拠点として、基礎科を開設。

歴史

1830年、林常倫(大学寮総裁)が「文庫開設の建議」を近衛府に提出。文庫には、翻訳、国際研究、対外交渉の諮問機能が求められた。1834年には、大学寮の補完機能を持つ、京都文庫大阪文庫東京文庫をそれぞれ開設した。1850年、宮内官吏藩校教授の育成を目的として「基礎科」、1855年に「附属学校」を設置。

廃止

1860年、前年の東京遷都に際して大学寮湯島大学校に再編。東京文庫は、湯島大学校の附属機関に編入される。大阪文庫京都文庫も、それぞれ附属機関に編入された。1888年に東京大学が開学すると、湯島大学校東京文庫が再編廃止される。京都文庫京都大学(1896年設置)、大阪文庫大阪大学(1896年設置)に編入され、消滅することになる。

各文庫

京都文庫 平安京宇治奥之院に立地する
大阪文庫 国際的商取引により、輸入された大陸系書物を管理運営する
東京文庫 東京府保有の国際的な書物や文書を管理運営する

教育機構

基礎科(3年制) 1850年ー1855年 藩校教授の育成を目的とする
基礎科(5年制) 1850年ー1855年 宮内官吏の育成を目的とする
基礎科 1855年ー 附属学校への接続を目的とする
法科学校 1855年ー 大学寮律令方における教育を目的とする
数科学校 1855年ー 大学寮算用方における教育を目的とする
文科学校 1855年ー 国学や漢学を専門とする
英科学校 1860年ー 文科学校から独立し、国際学教育を目的とする
最終更新:2025年09月25日 13:20