From Northern Home '09
祝津のセオリー
最終更新:
hokkaidosp
石狩・後志地方では、南東の風をやませと呼ぶ。
安定する場合は、100°~140°付近が風軸となる。
周期の短い波が立ち、クローズでは正面からの波になることが多い。
南東のレースでは、南側(右)の手稲連山と風向との関係が重要になる。
140°以上右に振れた角度(この山の端よりも右に風が回った角度)では、
レース海面全体が手稲連山のブランケットに入ってしまい、風向は安定せず、風力も弱くなる。
そのため、気象予報で、石狩・後志地方に強風の予報が出ていても祝津は全く風が吹いていないことがある。
逆に、ずっと無風で待機していたのにいきなり10m/s近い風が吹いて来た時は、
風が左に回ってブランケットの形が変わったと考えれば良い。
風向が140°~130°付近の場合
コースを引く上でブランケットの影響を意識しなければならない。
沖へ出れば出るほどブランケットを逃れ、風力は強いので左へ伸ばした方が有利である。
仮に、風が右に振れた場合は、海面全体が無風になり、風向も振れ回るためノーレースになるか、
右にいたからといって勝てるレースではなくなる可能性が高い。
右図のようにポートレイラインの上側にブローが見える事があるが、
通常のパフではなく、スタートエリアの風がブランケットにより弱いだけなので、ブローは降りてこない。
20°~30°レベルの大きな左振れにより、レースエリアにブローが回ってくることがあり、
その際には、左奥から順番に伸びていく。
左奥の伸びを見て、全艇が左に寄せてくるレース展開が多いが、
上記のブローの性質上、ブローが入るときは海面全体にブローは伸びるので(左から順に入るので左の方がゲインは大きい)、
オーバーセールの危険を犯してまで後追いする必要はない。
フレッシュでブローをつかめるのは、上位の1,2艇で、他の艇は影響を走るかオーバーセールすることになるので、
ブローに乗り遅れた場合には、左には寄せながらも落ち着いてポートで下先行しておけば良い。
ブローが海面を支配してからは、左有利ということはないので、その位置からでも十分に上位を狙える。
ブローの性質上、ランニングでも左海面が有利となることが多い。
早めにジャイブを返した艇がスターボードタックで伸ばせるだけ伸ばした艇に抜かれることは多い。
リーチングでは、左に風が振れる可能性が高いので、上サイドはベアコースは避け、
サイド下はラフコースを避けた方が良い。
風向105°付近の場合
105°付近まで風が左に回ると、左が有利とは限らなくなる。
風向が南東で安定し、風力が十分にある場合は、基本どおりのコースを引けば良い。
夏の晴れた日の朝方、昼夜の温度差によって南東の風が吹くが、昼前には無風になる。
そのように、風力が弱く、風向が安定しなくなった場合には、ぐるりと風が左に回り、北方向からブローが降りてくる。
90°~30°付近の東風は増毛山地のブランケなので安定しない。
風向20°~30°まで回り、340°~10°付近の北風までかたぶれは続く。
南東で安定せず、風が回っている途中と判断できる場合はオーバーセールしない程度で左につけたほうが良い。
北西は海風で、日本海からの波が何にも遮られずに到達する。
そのため、波は周期・振幅ともに大きく、うねりが生じる。
「北西の左」という合い言葉が存在するくらい、北西では陸の影響が存在する。
2000年ごろからは風向が北西の場合にはレース海面を沖に出してレースを行う事が多く、
この陸の影響が決定的にコースの良し悪しを決めることは少なくなってきたが、
レース海面の位置や風向によっては、左海面から上マーク付近のみ局地的に曲げられた風が存在し、
左奥の艇が考えられない程の伸びを見せることがある。
局地的な風向変化のメカニズムと、風向とレース海面の位置関係毎のセオリーをまとめる。
局地的な風の振れが起こるメカニズム
祝津の裏側、高島岬・トド岩を超えた北側の海岸は、赤岩海岸・オタモイ海岸とよばれ、切り立った岸壁が続いている。
高さ200mを超える岸壁が約10kmも続いている。
安全のため、ディンギーの練習ではこの赤岩海岸、オタモイ海岸を近くから見ることは少ないが、
オタモイ号やクルーザーなどで近寄ってみると見事なまでに「壁」である。
この壁によって風は曲げられ、局地的な風向・風力の変化が起こる。
レース海面に直接影響を及ぼす赤岩海岸は、ほぼ真西から真東(270°)へ伸びている。
そのため、風向290°~340°では、左奥のみ270°に近い風向に風が曲げられて吹いてくる。
しかし、風向0°付近や270°付近の風は曲げられない。
風向290°~340°付近の場合
レース海面の位置が非常に重要となる。
陸のブランケを避けながら、左奥の振れをいかに効率よく利用するか?
左奥が有利な条件ではなくなったときにいかに素早く気づくか?
それが北西のコースの勝負どころである。
南西
夏の風