RHYTHM EMOTION

登録日:2025/08/05 Tue 00:08:16
更新日:2025/08/19 Tue 15:43:12
所要時間:約 4 分で読めます




RHYTHM EMOTION(リズム・エモーション)」とは、TWO-MIXの楽曲のひとつで2ndシングル。

作詞:永野(ながの)椎菜(しいな)
作曲:高山みなみ
編曲:永野椎菜、高山みなみ
C/W:ENDLESS LOVE
リリース日:1995年11月22日


【概要】

1995年に放映されたTVアニメ『新機動戦記ガンダムW』の後期OPとしてリリースされた。
この頃は今のようにアニソンやその歌い手となるアニソン歌手の世間一般への露出はさほど多くなく、認知度が高いとはいえなかった。
そうした時代背景に加え、TWO-MIX自体もテレビ出演をしない「音だけで勝負をする」ユニットとして売り出され*1、メンバーの名前や外見といったパーソナリティが隠されていたこともあってか、この曲は「正体不明の謎のアーティストによる楽曲」として取り上げられることもあった。
しかしながら『ガンダムW』の作品人気も相まって注目を集めることとなり、J-POPの人気楽曲がひしめくオリコンランキングにおいて週間8位を記録した。
さらに年間ランキングでも89位という好位置にランクイン。このように高い知名度を得たこともあり、TWO-MIXの中でも代表曲の1つとして数えられるようになった。

歌詞においては、語り手である「私」が、遠く離れた場所にいるが強く惹かれ、自らを支える存在である「あなた」へ、心の鼓動を通じ感情のリズムを共鳴させることで想いを届けようとする......という様子が描かれている。
「困難を乗り越え、感情を通じて人と繋がることの尊さ」がテーマといえる。


【『ガンダムW』の楽曲として】

上述の通り、『ガンダムW』の後期OPとして採用された曲である。
歌詞には「感情を通じた人とのつながり」「過去の痛みや間違いを受け入れ光に変えていこうとする前向きな姿勢」といった直接的ではないが『ガンダムW』の世界観とリンクするような力強くも繊細な希望や勇気が込められている。
前期OPで同ユニットのデビューシングルである「JUST COMMUNICATION」と同様、5人のガンダムパイロットと5機のガンダムの活躍を描いている。
そしてこのOPを語っておきたいこととして、前楽曲同様、歌詞を上書きするかのような印象的なSEと華麗なMSのアクション、5人のガンダムパイロットの描写にあるだろう。これらの描写はとてもクオリティが高いものになっている。

  • 歌い出しに合わせPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPの起動音を響かせ起動するウイングガンダムゼロ
  • 機動とともに駆け抜けて音ハメで連続カットインする(通称「1カメ→1カメ→1カメ」)ウイングゼロ、その横顔をバックにタイトルロゴ
  • 熱い思いを胸に何かへ立ち向かう意思を見せる5人のガンダムパイロット
  • その中でやたら迫真のトロワ
  • 信じ合うように背中合わせに佇むヒイロリリーナ
  • 5機のガンダムの活躍
  • 前期OPと同様に「ブッピガン」というガンダムお馴染みのSEと共にヒートショーテルで一刀両断するガンダムサンドロック
  • ゼクスのエピオンとヒイロのウイングゼロの死闘とにらみ合う両者からの謎爆発

等々
とても見ごたえのある場面が豊富である。
ちなみにこうした描写は動画界隈でもネタに話題にされ、「ニコニコ動画」などではこのOP動画において字幕の弾幕などが展開されることが多い。

そんな本楽曲とOP映像であるが、後期OP曲でありながら使用されたのは全49話中第41話からと10話弱のみ、全話数の半分どころか4分の1以下である。
更に完成版OPのリリースに至っては最終話前2話とかなりギリギリのタイミングである。
背景を知っている方ならお察しであろうが、実は元々自転車操業に近いギリギリな状況だった上に監督である池田成氏が途中で降板したことによる混乱に伴い本作の制作環境はかなり逼迫しており、OPアニメーションを新たに作るところまで手を回す余裕がほぼなかったのがこの事態の原因である。映像の完成版が出来るまでは前期OPや本編の映像を使いまわして体裁を整えることで何とか凌いでいた。
ちなみに作詞の永野椎菜曰くOPがなかなか変わらなかった事について「今でこそ笑えるが、当時は胃が痛んだ」とのこと。
この辺りの制作事情は番組の項目を参照されたい。

【ガンダムW30周年記念動画にて】

そんなガンダムWが放送をスタートしてから30周年にあたる2025年7月25日、ガンダムW30周年を記念して30周年記念映像「新機動戦記ガンダムW‐Operation30th‐」がYouTube等で公開された。
このPVには本楽曲のリミックスが採用され、事実上「令和の最新技術でリテイクされたガンダムWのOP」に仕立てられており、この嬉しいサプライズに多くのWファンが歓喜することになった。

今回のPVは令和の作画技術で当時の作画の質感を再現している他、MSや登場人物などについては脚本である隅沢克之氏による続編小説「Frozen Teardrop」を意識した描写も存在しており、Wファン必見の充実した内容になっている。
なお、当時のOPにもあった歌詞を打ち消すほどのSEも継続*2。何ならオリジナル版より強化されている節もある。
メカニカルデザインはEW版でお馴染みカトキハジメ。
キャラクターデザインはFTのあさぎ桜。
製作については当時のアニメスタッフではない新規スタッフが手掛けていることがTWO-MIXの永野氏のXにて明らかになっている*3

  • お馴染みのPPPPPPPPPPPPPPPPと共に起動するウイングゼロ
  • 1カメ→1カメ→1カメの部分でウイングガンダム・ウイングゼロ(EW版)・クロークドカスタムと切り替わっていく
  • タイトルバックはウイング以外の4機がシルエットで戦うアニメーション
  • 5人のガンダムパイロットと主要人物
    • OPではリリーナ、ゼクス、トレーズだけだったが、加えてドロシー、レディ・アン、ノインも登場。そのせいでリリーナが割を食っている
    • 五飛に代わってポーズ(前期OPの再現)を取る初映像化の竜妹蘭 石野竜三氏「誰!?」
    • 立ち上がり、廃墟から立ち去るデュオ
    • 顔を上げて振り向くカトル
    • 妹蘭の墓と花畑から立ち去る五飛
    • ピエロ服で磔にされた迫真のトロワ(しかも一枚絵からアニメーションになって無駄に勢いがある)
  • 月をバックに地上に着地し、アクティブクロークを展開しながらビームシザースを振るうデスサイズヘル(EW版)→着地後に映る頭部のカット
  • 棒立ちだったOPと違い宇宙を駆けながらこれでもかというほどのフルバースト全開のヘビーアームズ改(EW版)
  • 殺人的な加速で駆け抜けるトールギス
  • 爆煙からツインビームトライデントを振るいながら浮上するアルトロン(EW版)
  • オリジナルに限りなく忠実なサンドロック改(EW版)のブッピガン
  • ビームソードを持ちながら佇むエピオン(EW版)
  • 仲間達の前に颯爽とパラシュート着地するヒイロ、ただし相変わらず*4パラシュートが役に立ってない
  • 最後に描かれるFTの主要メンバーとローブを纏った主要機体たち*5
  • ヒイロが左手で顔を覆う例のポーズから流れるように右手で自爆スイッチを押して〆

等々、非常に見所が多い豪華なPVとなっている。

ちなみにこのPVを完成させるまでに1年かかったということだから、スタッフのWへの愛情を感じさせるこだわりのある映像に仕上がっていることは言うまでもない。


【余談】

  • 本楽曲は声優の榊原ゆい氏やシンガーソングライターのやなぎなぎ氏によってカバーされている。
  • PPPPPPPPPPPを始めとする字幕の弾幕を作り盛り上げやすいことからニコニコ動画を中心に、この楽曲をベースに他作品のMAD動画が多数存在している。
  • ガンダムを主題とするゲーム作品だとTVシリーズ前期OP『JUST COMMUNICATION』と両方収録されていたり、非常に稀だが『W(TVシリーズ)』楽曲でボーカルありの収録曲は本楽曲のみであることも見られる。
    本項目読者でも世代やガンダムコンテンツの経験によっては、TVシリーズ本編よりも「ガンダムvsガンダムNEXTで『W』の歌として流れてた♪アイジャストリーズームエモーションの楽曲*6」や「スパロボD第2次Z再世篇で『W(TV)』枠として収録されてた曲*7」のイメージが強いのではなかろうか。
    • 『ガンダムvsガンダムNEXT』ではTV版ウイングゼロが屈指の強機体であるため対戦時に選出されやすく、『第2次Z再世篇』ではガンダム殲滅指令によって序盤から散り散りになっていたガンダムW組が後継機に乗り換えて反撃に転じる宇宙ルート第24話「ゼロと呼ばれたG」後半で初めて流れるので特に印象に残る。
  • 上記のようにTWO-MIXの代表的楽曲のひとつになっているためか、セルフカバー・リミックス系のアルバムではほぼ必ず採用されているため、同グループの楽曲では随一のバリエーションを誇る。


追記・修正はRHYTHM EMOTIONを感じて過ちや痛みを導いてからお願いします。

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最終更新:2025年08月19日 15:43

*1 元々正体の秘匿やバーチャル・アーティストとする方針はなかったものの、メンバーの高山みなみ氏が声優としてのスタンスを貫くためにあえて素性を隠すことを決めたため、このようなプロモーション方法が採られたのという経緯がある。

*2 ちなみにリミックス版のデモテープをサンライズに送った際、TWO-MIX側がSE付で送ったらしく、サンライズ側のMVスタッフやレコード会社からも「あ、やっぱ観てた世代には欲しい音だ」と全肯定されたらしい。

*3 ただし、ガンダムW放送当時メカデザインや版権絵を担当していた石垣純哉氏が一部カットを描いている事を明言しているので当時のアニメーターが関わっていないだけでスタッフが全く関わっていないわけではない。

*4 これは本編でも同様のシーンが見られる

*5 FTの機体に似たデザインだが「クロークドカスタム」という新機体として設定されている

*6 RHYTHM~のみ収録。

*7 前者ではRHYTHM~のみの収録だが、後者ではJUST~と両方のほか、「思春期を殺した少年の翼」も加えた3曲を収録している。