プライドーーーーー誇り。自尊心。
Oxford Languagesより引用。

「……」
魂が抜けたのかのように闘技場内に留まる男……ルビカンテ。
ダルボス達3人に逃げられた後、彼は追いかけることもせず、ただ佇んでいる。

「……」
屈辱という感情を身に纏いながら彼は自分の人生を想起していた。

―――私の父は生前、世界の5指に数えられる程の闇魔法の……特に氷系の魔法の達人だった。

―――父は私を後継者にしたいと願っていたのだろう……毎日、昼夜を問わず厳しい修行を私に対して行った。

―――とても辛く苦しい修行の日々に私は、父に対する激しい憎しみを抱くようになった。

―――そんな父への反発心なのか、私の興味は氷系魔法ではなく対極をなす炎系魔法に移った。

―――そしてついに私は、父と同じ空間で過ごすのが耐えられず、家を飛び出し、ミシディアを目指しつつ私はケツイした。

―――父を越える魔導士になると。

―――ミシディアに辿り着いた私は長老ミンウのもと、闇魔法の修行を始め……わずか5年で全てを極めた。

―――特に炎系魔法に関しては独自の攻撃方法”かえんりゅう”を開発して、仲間の魔導士たちからは『火のルビカンテ』と呼ばれるまでになった。

―――私は父を越えた

―――そう自認した私の次なる目標は『パラディン』になることだった。

―――長老は反対をしていたが、黒魔導士として最高の地位についた私はパラディンになる力があると信じていた。

―――ついに私は長老の言葉に耳をかさず、試練の山へ向かった。

―――結果は惨めだった。

―――私は試練を克服することができず、重傷を負った。

―――私は痛感した。

―――自分の愚かさ、そして人間の弱さを。

―――死を待つだけの私を救った男がいた。

―――その男の名前はゴルベーザ。

―――ゴルベーザは瀕死の私を救うようにルゲイエに命令すると奴は私の体を改造した。

―――瀕死の状態から一命を救われた私の体はモンスターのような強靭となった。

―――こののち、私はゴルベーザ四天王筆頭の地位に就任した。

☆彡 ☆彡 ☆彡

「……」
(強者との戦いは私の心を満たす。セシル達に敗れはしたが、悔いはなかった)

だが―――

オルゴ・デミーラなるモンスターによる殺し合いの場に召喚されてからは屈辱の連続だった。

首輪をつけられたことには奴らに怒りを感じたが、強者との戦いのみが自身の心を燃やし満たす。
故に殺し合いに乗った。
最初に出会ったのはセシル。

「ルビカンテ!!君だけは逃げろ!!そして、僕の仲間と共に……。」

かつて、自らを打ち破った相手との心躍る戦いは邪魔が入り、水を差された。
自分の十八番が通用しない圧倒的な力の差の敗北。
さらに、セシルによってその場から逃がされるという施しの屈辱。
飛ばされた先は闘技場。
邪魔をした赤い服を纏う男、マリオへの憎しみが止まらない中、次に出会ったのは3人組。
この苦い、鬱憤した思いを晴らすべく新たな戦いに臨んだ。

―――が。

「次は胸に当てるよ!!」

戦いの最中、取るに足らない弱者と判断していた少年に足を掬われた。
もし、少年の言う通り、胸を撃たれていたら死んでいた。
そして、逃げられるという屈辱。
実質、敗北といってもいい。

「私は何をしているのだ……」
敗北に次ぐ敗北。
屈辱に次ぐ屈辱。
武人としての誇りや自尊心はズタズタに砕かれた。
ルビカンテは自分の立ち位置に惑う。

―――当初の予定通り、殺し合いに乗るかそれとも……

「私には戦う以外のことはできない」
武人―――――それが自分、『火のルビカンテ』

だが―――

「ルビカンテ!!君だけは逃げろ!!そして、僕の仲間と共に……。」
それは、自身を縛り付ける呪い。

「……」
―――フゥ。

「いいだろう。セシル、この殺し合い……私が粉砕する。それで貴様から受けた施しは無しだ」
ルビカンテは迷っていた方針を定めた。
殺し合いを打破するという道を。

「だが、それでも私は弱者となれ合うつもりはない。あくまでも、私のやり方でいかせてもらう」
己の―――人の弱さを痛感して生まれ変わった。
その主義は変えられない。
故に殺し合いに乗った者を殺す”マーダーキラー”として動く。

「それに殺し合いが終わった時、生き残っているのは強者のみであろう……」

「ならば、その生き残り達との戦いは私を満たすはずだ」
そう、殺し合いが終われば、後は自分の勝手だ。
邪魔も入らず心行くまでの死闘を味わうことが出来るはず。

―――二ィ
それを思い描くと笑みが浮かぶ。

「もうすぐ、太陽が出る。まずは……一度、休息を取るとしよう」
失った血・体力を補充するためにルビガンテはザックからパンを喰らい水を飲む。

プライドを砕かれたルビカンテ―――

しかし―――

瞳に宿る炎は消えていない。

【A-8 早朝 闘技場】

【ルビカンテ@Final Fantasy IV】
[状態]:HP 2/8 魔力消費(中) 屈辱感 休憩中
[装備]:炎の爪@ドラゴンクエストVII フラワーセツヤク@ペーパーマリオRPG
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1 
[思考・状況]
基本行動方針:この殺し合いを終わらせて受けた屈辱を晴らし、生き延びた者と闘う
1.あの帽子の男(マリオ)は絶対に許さない
2.弱者とは協力はしないが、殺し合いに乗っている者と闘う
3.ひとまず、休息を取り、体力を回復させる
※少なくとも1度はセシルたちに敗れた後です。

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最終更新:2021年09月11日 21:23