現在の法律では義務就学を免除される子どもがいる。
学校教育法
第十八条 前条第一項又は第二項の規定によつて、保護者が就学させなければならない子(以下それぞれ「学齢児童」又は「学齢生徒」という。)で、病弱、発育不完全その他やむを得ない事由のため、就学困難と認められる者の保護者に対しては、市町村の
教育委員会は、文部科学大臣の定めるところにより、同条第一項又は第二項の義務を猶予又は免除することができる。
肉体的な条件によって就学が困難な場合には、
就学義務が免除される。次の表によって就学が免除・猶予されている子どもが示されているが、平成16年で免除が役2200名である。これらの免除は決して国家が個人に対して行う免除ではなく、子どもとその保護者が主体的に結論を出すものとしての免除であって、国家や自治体はいかに重い障害であっても、その子どもの必要性に応じた教育を受けられるように学校を整備する義務を負っている。
Q 「その他」とはどんな場合がありうるか、あるいはないのか、考えてみよう。
学校教育法23条の文部科学大臣の定める規程とは学校教育法施行規則である。
第三十四条 学齢児童又は学齢生徒で、学校教育法第十八条 に掲げる事由があるときは、その保護者は、就学義務の猶予又は免除を市町村の教育委員会に願い出なければならない。この場合においては、当該市町村の教育委員会の指定する医師その他の者の証明書等その事由を証するに足る書類を添えなければならない。
この規程でわかるように保護者の願いによって市町村教育委員会が認めるものである。教育委員会が就学時検診の結果によって、就学することが困難と判断して提示するものではない。
従って免除に関わっては検討すべき課題はあまりない。むしろ障害をもった子どもがどのような形態で就学するのかの決定に関わることが問題となる。障害をもった子どもたちの共同教育への要求と、障害にあった教育の提供を調和させることが課題となる。かつては「特殊教育」という言葉が使われていたが、近年「特別支援教育」というように名前を変えたのは、こうした配慮からである。しかし、単なる言葉の変更であったら意味がなく、あくまでも「必要に応じた教育」という観点が実行されることが大切である。
義務教育段階において、普通学級で学ぶのか、あるいは、障害に応じた教育を準備している学校において学ぶのか、その決定権が誰にあるのかが常に問題になるところであるが、とりあえず
文部科学省は、学校教育法施行令において、次のような基準を設定している。
学校教育法施行令
第二十二条の三 法第七十五条 の政令で定める視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者の障害の程度は、次の表に掲げるとおりとする。
区分 障害の程度
視覚障害者 両眼の視力がおおむね〇・三未満のもの又は視力以外の視機能障害が高度のもののうち、拡大鏡等の使用によつても通常の文字、図形等の視覚による認識が不可能又は著しく困難な程度のもの
聴覚障害者 両耳の聴力レベルがおおむね六〇デシベル以上のもののうち、補聴器等の使用によつても通常の話声を解することが不可能又は著しく困難な程度のもの
知的障害者 一 知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通が困難で日常生活を営むのに頻繁に援助を必要とする程度のもの
二 知的発達の遅滞の程度が前号に掲げる程度に達しないもののうち、社会生活への適応が著しく困難なもの
肢体不自由者 一 肢体不自由の状態が補装具の使用によつても歩行、筆記等日常生活における基本的な動作が不可能又は困難な程度のもの
二 肢体不自由の状態が前号に掲げる程度に達しないもののうち、常時の医学的観察指導を必要とする程度のもの
病弱者 一 慢性の呼吸器疾患、腎臓疾患及び神経疾患、悪性新生物その他の疾患の状態が継続して医療又は生活規制を必要とする程度のもの
二 身体虚弱の状態が継続して生活規制を必要とする程度のもの
備考
一 視力の測定は、万国式試視力表によるものとし、屈折異常があるものについては、矯正視力によつて測定する。
二 聴力の測定は、日本工業規格によるオージオメータによる。
(図表 免除者数)
これはあくまでも基準であるから、これによって機械的に処理するものではない。保護者や子ども自身が普通学級で学ぶことを希望することもあるし、また、その逆もある。その希望と学校側や教育委員会の判断が異なった場合どうなるのだろうか。
おそらく多くの場合、関係の専門家(教師、医師、特別支援教育者、ソーシャルワーカー)がじっくりと保護者や本人と具体的に話し合えば、意見の相違は生まれないに違いない。これらの専門的な知見に基づいたアドバイスが欠けていることによって意見の相違が生まれることが多いと考えられる。従って重要なことはそうした専門家を交えた話し合いが十分にもたれることが大切であろう。
認定就学者という制度もあるが、基本的には上記原則が同じように当てはまると考えられる。
認定就学者
学校教育法施行令
第六条の三 特別支援学校に在学する学齢児童又は学齢生徒でその障害の状態の変化により認定就学者として
小学校又は中学校に就学することが適当であると思料するものがあるときは、当該学齢児童又は学齢生徒の在学する特別支援学校の校長は、速やかに、当該学齢児童又は学齢生徒の住所の存する都道府県の教育委員会に対し、その旨を通知しなければならない。
2 都道府県の教育委員会は、前項の通知を受けた学齢児童又は学齢生徒について、当該学齢児童又は学齢生徒の住所の存する市町村の教育委員会に対し、速やかに、その氏名及び同項の通知があつた旨を通知しなければならない。
3 市町村の教育委員会は、前項の通知を受けた学齢児童又は学齢生徒について、認定就学者として小学校又は中学校に就学させることが適当でないと認めたときは、都道府県の教育委員会に対し、速やかに、その旨を通知しなければならない。
4 都道府県の教育委員会は、前項の通知を受けたときは、第一項の校長に対し、速やかに、その旨を通知しなければならない。
なお「
現代学校教育論」で扱った旭川での特殊学級訴訟においては、校長に決定権があるとの地裁判決が出ているが、判例の蓄積はまだあまりなく、この事例の判断としても必ずしも納得できない点もある。
さて次の問題として、就学免除を受けた者は、高校に行くことができるのだろうか。制度的には免除者のための中学校卒業程度認定試験があり、そこで合格することで高校進学への道が開かれている。
平成3年度の文部科学省によって示された受験安定を掲載しておく。
平成13年度就学義務猶予免除者等の
中学校卒業程度認定試験 受験案内
文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課
〒100-8959 東京都千代田区霞が関3-2-2
電話03(3581)4211 内線2345
1 趣 旨
この認定試験は、病気などやむを得ない事由により保護者が義務教育諸学校に就学させる義務を猶予又は免除された者、やむを得ない事由により登校することができない者で保護者が就学させる義務の猶予又は免除を受けることができる事由に相当する事由があると文部科学大臣が認めたもの、年度末までに満16歳以上になる者及び日本の国籍を有しない者で年度末までに満15歳以上になるものに対し、中学校卒業程度の学力があるかどうかを認定するために国が行う試験であり、合格した者には高等学校の入学資格が与えられるものです。
2 受 験 資 格
次の(1)から(4)までのいずれかに該当する者が受験できます。
(1) 就学義務猶予免除者である者又は就学義務猶予免除者であった者で、平成14年3月31日までに満15歳以上になるもの
(2) 保護者が就学させる義務の猶予又は免除を受けず、かつ、義務教育諸学校に在学し、平成14年3月31日までに満15歳に達する児童又は生徒で、就学させる義務の猶予又は免除を受けることができる事由に相当する事由があると文部科学大臣が認めたもの
(3) 平成14年3月31日までに満16歳以上になる者((1)及び(4)に掲げる者を除く。
(4) 日本の国籍を有しない者で、平成14年3月31日までに満15歳以上になるもの
3 試験科目と程度
中学校の国語・社会・数学・理科・外国語(英語)の各教科について、これらを履修した程度です。
教科書などを参考に準備してください。
なお、外国語は、願い出によりドイツ語又はフランス語とすることもできます。
最終更新:2008年10月12日 22:33