【詳細】
エドモントンの戦闘で戦死したアイン・ダルトンの脳をサルベージし、ヴィダールの操縦システムに移植。
ガエリオの首筋にケーブルを接続して人機一体となり、コクピットシートの上部左右にある黒いボックスのパーツが展開、かつてのグレイズ・アインの単眼を思わせる赤黒いセンサーのようなものが出現し起動する(このシステムに必要なヘッドギアはグレイズアインに搭載されたアインに装着されたそれと非常に酷似している)。
阿頼耶識システムはナノマシンによって機械と人間の脳を接続し脳内の空間認識能力を疑似的に拡大、
モビルスーツの情報を脳内処理することによる戦闘力の向上を行うものだが、
これをTYPE‐Eはグレイズ・アインに搭載されていた阿頼耶識とアインの脳を使うことで、パイロットへの負担を無くした阿頼耶識とは微妙に異なる操縦補助システムとして作成されている。
本来MSの操縦においては、機体に搭載されたメインカメラを始めとする各種センサーが取得した情報をコクピットにあるディスプレイなどに表示し、それをパイロットが読み取ることで情報の受け渡しを行っている。
そのため機体センサーが感知してもパイロットが読み逃してしまったり、全容を理解するのにそれなりの教養と練度を必要としてしまうのが操縦における基本であった。
阿頼耶識システムはそういった迂遠な情報伝達ではなく、人体に投与したナノマシンを介してMSそのものを人間に外付けされた感覚器官と捉え、各種センサーが感知した情報を人間の五感に網膜投影などの形で投影し、機体操作そのものも補正することでMSを主体とした直観的な認識と、それによる生身の人間が動いているかのような柔軟な操作を両立させている。
これにより直感的な操縦が成り立つため文字が読めないヒューマンデブリのような子供たちでもMSの操縦を短期間でこなせるようになるのである。
それ故に阿頼耶識はMSから流入する情報量が増大するとそれに対処すべく、システムが強引に人間の脳のリソースをMSに振り分けてしまう問題が発生する。
その為、ガンダムフレームの性能を引き出そうとすればするほど、その脳の機能はMS側へと奪われていくが、疑似阿頼耶識は予め阿頼耶識にリソースを占有された脳を使い、MSを人体&パイロットを大脳、疑似阿頼耶識を延髄、搭載脳を小脳に見立てたシステムを構築することでそれを大幅に緩和。
自機周辺情報は感覚としてパイロットへと通常の阿頼耶識と同じように伝達され、操作された行動などはそこから疑似阿頼耶識に搭載された脳が最適化処理を行いMSが実行するという形を取るため、脳にかかる膨大な情報量による負担は全て搭載された脳が請け負う為、阿頼耶識の欠点を克服したシステムに昇華されている。
また、そのシステム構造上アインの動作の癖のようなものが反映されるため、機体の挙動(モーション)はグレイズアインのそれに近いものとなる。
ガエリオが自身では勝てない相手のために用意したものであり、理論上MAを相手にリミッターを外したバルバトスに匹敵する戦闘力を獲得できる。
ただし、パイロットに負担がないだけで、性能を引き出せば引き出すほど搭載された脳への負担は上がっていき、作中のアインの脳のように終いには焼き切れてしまうといったことになる
機体システムが人間の及ばない感覚を補うため、死角からの不意打ちにも瞬時に対応することが可能というメリットもある。
裏を返せばパイロットの意識しない挙動を取る(振り回される)ため身体的な負荷が大きくなるデメリットも発生する。
TYPE-EのEの意味はExtra、Ein、はたまたEmulateなどが考えられるが不明。
鉄血世界に於いて、ヒューマンデブリという人身売買が恒常化している背景から考えても、人体の脳をMSのパーツとして扱うこの技術が拡散してしまえば無数の悲劇と混乱が生まれるのは自明であり、戦闘能力以外の側面からも非常に危険で非人道的な技術と言える。
例えば、鉄血一期時点でこの技術が拡散していたと仮定した場合、昭弘・アルトランドの弟である昌弘・アルトランドが疑似阿頼耶識の素体にされていたという展開があり得ると想像すればわかりやすいだろう。
視聴者の間ではこのシステムの存在が明かされた際、アリアンロッドとの決戦で戦死したアミダ・アルカ、もしくは名瀬・タービンの亡骸がMSやハンマーヘッドごと改修されていたことから、レギンレイズ・ジュリアに擬似阿頼耶識として組み込まれるのではないか?という説も上がったことがあったが、ギャラルホルンがMSや装甲強襲館艦を回収したのは
ダインスレイヴの弾頭を回収するためであるらしいことがグレートメカニックの対談で判明した。
なお1期最終話にてガエリオは顔面に大きな傷が入るほどの重傷を負ったにも関わらず五体満足で普通に生活しているように見えたが、実際は歩行すら困難な状態であり、阿頼耶識typeEと接続する為とは別に、歩行補助システムを兼ねた有機デバイスを体に埋め込んでいたため行動できたということがメカニカルワークスで明かされている。マクギリスと決着をつけたあとは二度と戦わないという意味も込めてを有機デバイスを除去したとのこと。
これによって彼は車椅子生活を余儀なくされたが、柵から開放されたガエリオは然程苦に思っていないようだ。
【余談】
生物の脳を生体ユニットとする発想はかなり昔から存在し、聖戦士ダンバインのオーラバトラー(獣の脳を活用)やグレンダイザーの円盤獣など類似する技術はあまた存在する。
人機一体を再現するためのデバイスとして生物の脳を使っているというコンセプトでは、勇者王ガオガイガーと世界観を同じくするベターマンに搭乗するニューロノイドが最も近しい存在だと言えるだろう。(なおベターマン中では何らかの理由で死亡した人間の脳を試用したニューロノイドも製作された。が暴走の危険から、イルカなどの高等哺乳類の脳を使われた機体が一般化していた。それゆえに搭載された脳によって機体の性質が異なるという現象が発生していた。)
ちなみに機体がパイロットを操るという発想もいくらかは存在し、ウィングガンダムゼロのゼロシステムやスーパロボット大戦OGのゲイムシステムなどが該当する。
ゲイムシステムでは手術こそしないが、各種情報を脳に転送するという仕組みや、それによる精神崩壊と言いグレイズアインのモノにかなり近い。(ただ、此方は負荷に耐えれる人間を作り出すという人造人間の方向にシフトすることとなるので、疑似阿頼耶識とは正反対の方向へ進化したと言える。)
最終更新:2023年11月17日 00:08