【詳細】
300年前の厄祭戦時に開発されたMS用の有機デバイスシステム。
類似した
タイプEはリンク先を参照。
いわゆる「ブレイン・マシン・インターフェース」と呼ばれるもので、人間の神経とマシンの制御系統を直結させるもの。
人間の脊髄にナノマシンを注入し脳内に空間認識を司る部位を擬似的に作成、MSのカメラをはじめとする各種センサーが獲得した情報をパイロットの五感に投影することで処理する。
これによって直観的な状況認識にMS制御システムとのリンクにより柔軟な挙動と高速反応を実現する人間工学・インタフェースの進化における究極系の一つと言えるシステムである。
この阿頼耶識は通常のディスプレイ映像・警告音などのパイロットが情報を受け取るのにある程度の教養と練度が必要となる通常の操縦システムと違い、多くの情報をシーンレスにパイロットに転送。
パイロットが実現したい動作のための操縦を即座にシステムへと転送することで、熟練と見紛う挙動と戦闘力、教練時間の大幅な短縮が可能となる。
基本的にプログラム操作のMSは、パイロットが操作を入力しそこからMSが起動するため、誤った操作を行った場合のキャンセル、リカバリーが難しく、周囲状況に対しMS側が自動補正を加える為MSの行動がパイロットの意思とは異なる場合も存在する。
しかし阿頼耶識システムはこれらの問題をほぼ全て解決している。
要は「殴りたい!」と思えばMSが殴る動作を行い、「銃を撃ちたい!」と思えばディスプレイで視認した敵めがけてMSが引き金を引くわけである(ペダルを踏むなどの操作はあるだろうが)。
その動作を行うため阿頼耶識以外のMSは、ディスプレイに映る敵機を補足、ロックオンし、マニピュレータを操作して
ライフルの引き金を引く、という幾つもの操作が必要になる。
これらの面倒な操作を省いた直感的な操作が可能になる阿頼耶識は、
ガンダム・フレームの性能と組み合わさることでまさに悪魔的な機体性能を発揮するだろう。
だが、厄祭戦が終わった世界では過剰な力は世を乱すと判断されたことで、ガンダム・フレーム共々封印されることに成り、
ギャラルホルンは人間の体に機械を埋め込むような技術に対する忌避感を民衆に植え付けることで阿頼耶識システムの存在を消そうと試みた。
しかし違法に流出したこの技術はヒューマンデブリ等を擁する宇宙海賊や、その他の無法者たちにはうってつけの技術であり、
数百年が経過した現在では非合法な手段を持ってヒューマンデブリをお手軽な戦闘力にする手段として蔓延してしまっている。
流出したのは部分的な技術であったため成功率も低く、後述する問題点があるなど、厄祭戦当時の阿頼耶識システムと比べると技術的に著しく劣るものとなっている。
この技術は本来は義肢などの医療用に確立された技術だが、MS用に軍事転用された(ただ表向きは、の可能性アリ)。
モビルスーツと人体を結合させるこの技術を用いたガンダム・フレームは、そのすさまじい性能をフルに発揮、72体しか作られないにもかかわらず、その目論見通りガンダムは厄祭戦を終わらせることに成功した。
ガンダム・フレームは阿頼耶識を使うことを前提とした操縦システムを有するため、阿頼耶識を施した鉄華団の少年兵達と抜群の相性を見せる。
特に3回施術を施した三日月はバルバトスと極めて高い適合を示し、戦闘で破損が生じる度に彼専用にカスタムされ続けたことで、たとえ阿頼耶識を施術していても三日月以外の者がバルバトスを操縦することは実質不可能となっている。
厄祭戦が終結後、ギャラルホルンはこの技術が蔓延するのを恐れたのか機械を人体に埋め込むような行為を禁忌とする風潮を作り上げ、
阿頼耶識の施術を行うものを「宇宙ネズミ」と蔑む現在の世界情勢となった。
各地で発見されるガンダム・フレームのほとんどがコクピットブロックのない状態であるのも、発見したものが阿頼耶識を使うことを恐れたためであるとされる。
阿頼耶識システムの詳細は失伝されて久しく、所々不明な点も存在しているため現在使われているMSの操縦系にはやや相性が悪く、
無理矢理埋め込んでもガンダムほどの挙動は得られないが、それでも
EB-06/tc2 流星号(グレイズ改弐)は並のMSを超える挙動を行う。
この相性の悪さだが、通常のMSを阿頼耶識対応型への改修は厄災戦時の予め、阿頼耶識を前提にした機体をパッチワーク的に改修したものが多く、グレイズ改弐も現地改修的な物なのでシステムへの最適化などがされていないことが原因と思われる。
だが、ギャラルホルンも近年まで密かに阿頼耶識をMSに対応させた技術の研究を続けており、阿頼耶識を使う前提で開発されたモビルスーツを密かに保有していた。
最新鋭かつ全体的な性能はガンダムを超える力を持つと公式が明言した
モビルスーツと、開発した本家であり近年まで最新の研究が行われていた阿頼耶識システムが結合した結果は推して知るべし。
施術を行ったアイン・ダルトンは「真の阿頼耶識」と言われるとてつもない反応速度と性能を発揮してみせたが精神が持たず暴走。
そんな彼は脊髄に3つ、首筋から頭部に2つ、正面から胸部に2つケーブルを繋いだ状態で四肢を切断し上半身を固定した状態で操縦席に格納されていた。(図面を見るかぎり頭部は小脳とMSが有線接続されており、通常の操縦桿などの操作が不可能なアインが機体を操作するために彼の運動機能を司る小脳を接続したものと思われる。)
この状態が「真の阿頼耶識」というのなら、厄祭戦時のガンダムとはどのようなものだったのかあまり考えたくないが、厄祭戦では技術力が今とは比べ物にならないほど高かったため、
阿頼耶識は大人でも適合させることが出来ると監督インタビューで判明している。
後に登場したバエルのコックピットがコネクタ形状こそ違うものの通常の阿頼耶識を搭載していたことから、単にガエリオが鉄華団との差別化と自己正当化をしたいがために口にした言葉と思われる。
この阿頼耶識システム、メリットばかりではなく当然デメリットも存在する。
厄祭戦当時では上述の通りあまりリスクはなかったのかもしれないが、数百年経過した現在では深刻な問題点も多い。
まず、その施術方法。
脊髄に直接注入器をぶっ刺し、ナノマシンを注入するという方法ではあまりに成功率が低い。
うまく適合できず失敗すれば死亡、あるいは生き残っても甚大な機能障害をもたらす危険性があり、ハッシュの兄貴分だったビルスという少年は阿頼耶識に適合できず下半身不随となり、後にその境遇に耐えられず自殺した。
鉄華団の阿頼耶識施術組はかなりいるように見えるが、登場しているキャラはたまたま適合できただけで実際には不適合となり機能障害を患った少年達はかなりいたと思われる(オルガの話によれば同時に10人受けて4人は失敗とのことで、成功率は6割程度という事になる)。
これは非合法な手段かつ、ナノマシンのレベルが低いため起きている問題点であり、正式な手段、設備を用いた施術であればそういった問題は起こらない。
この施術を行うものは、地球圏ではまずありえない。
ギャラルホルンの印象操作により体に遺物を埋め込むことを忌避する風習が有り、阿頼耶識を持つ子供達を「宇宙ネズミ」として毛嫌いするものも多いためであり、
表向き使用が禁じられていながらCGSやブルワーズなどの表稼業でない者達が戦力の増強として秘密裏に施術を行っている場合がほとんど。
CGSではスラム街の子供たちやヒューマンデブリを買って施術を施し、適合するか否かで入社試験の代わりにしていた。
ブルワーズでは不明だが、夜明けの地平線団でも複数のデブリ達が阿頼耶識を使っており、テイワズの傘下であるJTPトラストも密かに多くのヒューマンデブリを確保し阿頼耶識の施術を行っていた。
次に情報処理を脳内で行うため、脳にかかる負担が非常に大きい。
阿頼耶識を繰り返し施術している人物であればより負担も増大し、あの三日月でさえ初戦ではバルバトスの寄越す情報処理の負担で戦闘中(ほぼ敵機を撃退済みだったとは言え)気絶したほど。
機体と密接に繋がることで、ストッパーなども自分の意志ではずせるため、機体とのリンクが密接になればなるほど、脳と神経に掛かる負担から戦闘終了後人体の機能を喪失してしまうケースもある。
三日月はまるでバルバトスと会話するようにリミッターを解除し、その後体の機能を次々に失っていたが、これが単なる映像化に伴うわかりやすい描写なのか、
機体側に意志があるのかは不明。
一番最初に開発され、厄祭戦時のまま保存されていた
ASW-G-01 ガンダム・バエルにはアグニカ・カイエルの魂が宿るという。
これがほんとうの意味で、なのかそれとも…
更にナノマシンの定着が可能な人間の年齢。
技術力が低下した現在では、ナノマシンは成長期前の子供にしか定着せず、さらに1つ目の問題点のように成功率に難があるため、
五体満足で適合できる人間は限りがある。
これが阿頼耶識を施術した少年兵が極めて多い理由であり、鉄華団がその有用性を証明したことで各地の紛争地帯で少年兵に阿頼耶識の施術を行う事例が増加したという。
厄祭戦時代の技術を復活させたマクギリスの方法では、大人でも定着し、一回の施術で問題なくフルスペックを発揮できるが、
現在使われている方法だと3回の施術でようやく同レベルになる。
ただでさえ一回の施術に伴う危険性が高いのに、複数回の施術を行うとなるとその危険性は倍々で増加していき、
基本的に作中で複数回の施術を行ったのが確認できるのは三日月の3回が最高で、次点で昭弘の2回。
後にフラウロスに乗ることになるシノは1回のみだった。
施術に成功しても背中にMSと接続するピアスが露出しているため仰向けに寝ることが出来ず、戦闘では体力よりもむしろ脳髄が多大な情報処理の負担で疲労するため、
三日月は火星ヤシを口にして糖分を補給していた。
最終更新:2025年03月04日 18:07