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【海の中を歩いてみます】

異世界を歩いてみましょう。 今回はミズハミシマです。

ミズハミシマの海岸線、砂浜や岩場の区別なく点在する向かい合う二つのこけしの様な岩。
人と同じくらいの大きさで、見様によってはお互いが手を伸ばしお互いを求めている様にも見えます。
この双子岩は【海之入(うみのいり)】と呼ばれており、岩の間からは石段が海の中へと下りています。
幅広な石段が海と陸の斜面に沿って海底へと向けて下っています。
石段には所々に不思議な紋様が刻まれており、石段に足が着く度に不思議な音色を海の中に響かせます。
ミズハミシマ竜宮城の市政部によれば、石段は海と山で産出される特別な石材を組み合わせて配置されており、
中を空洞に加工された一つ一つの石材が踏む衝撃により音色を奏でるようになっているのです。
一段、また一段と下りると海水に入っていくため濡れてしまうのは当たり前なのですが、
なんということでしょう、濡れていた足の先から不思議な空間が広がり海水と触れなくなっていきます。
これは水精霊の力によるもので、水精霊が海水を体から離れるように操作しているのです。
石段の音色が水精霊を呼び、海の中に入る手助けをしてくれるという仕組みになっているようです。

水精霊は元来、世話好きな性分が多いとはありますが、
陸から海への来訪者をいつでもどこでも手助けするのか?と言われると少し首をかしげます。
実はこの海入りの仕組みは竜宮城、乙姫様の進める海と陸との共和政策の一環であり、
乙姫様と水精霊とが【丘よりの海入りを助ける】という約定がなされているからなのであります。
しかし、水精霊達にも数限りがありそれぞれの生活があるため、石段を何度響かせても海水が引かない場合は
素直に諦めて別の機会に海入りするのをお勧めします。

石段は浜や磯の形状によって段の大きさや斜面が変わりますが、どれもが海底にまで下りています。
【海之入】が下りた海底の近くには水先案内、水棲種族の駐在所があります。
海中のいろはや戸惑う事がある場合は遠慮せずに駐在員に訪ねてみましょう。
竜宮城の政策にて付近の海町などから交替で駐在員が待機しており、彼らは丁寧に説明してくれるでしょう。

では海の底を歩いてみましょう。
いくらかは整地されたりはしているものの、大体は自然のままの地形や風景が広がっています。
泳ぐ魚も揺れる海草も地球のものと似ている種も多く、たまに見かける大きなもの以外には違和感はないと思います。
海底を歩いていると岩肌に穴が空いていたり珊瑚の林の中に詰まれた海産建材を見かけることでしょう。
水棲亜人種の多くが元来ある海の地形を崩さずに住居を作るようです。
その理由は、海の地形を変えて潮や海流の流れから魚類などの回遊路を変えてしまうのをよしとしないからなのでしょう。
規模の大きな竜宮城やその城下町や海の宿場町などは、その建造物や町並みを作るにあたって、
多くの水精霊に働きかけることで自然の流れを阻害しないように事象を操作していることが多いようです。

自然のままの海底ということで軽い登山になることも珍しくなく、高い岩場などには登坂用に縄が張ってあります。
歩いているとそこが海底であるかを忘れるような日中の明るさは、
海面付近で光精霊が戯れで陽光を海中に運んでいるといった理由などもあります。
元々透明度の高い海水というのもありますが、精霊のいる異世界の海は陽のある限り明るいようです。
歩いているとそこが海の中ということを忘れてしまいそうになりますが、側を泳いでいく魚の群れや
それを漁する鱗人などを見かけたりすると異世界の海を再認識します。

もし海の中で水精霊が疲れた素振りを見せ始めたり陸へ帰りたくなった場合でも落ち着いて周囲を見回して下さい。
海底の所々や水棲亜人の住居の近くには鳴子のような立て物があります。
それらは【戻り魚(な)呼び】と呼ばれる楽器の類であり、それを鳴らすことで戻り魚がすぐに泳いできます。
人を乗せる籠を引く巨体をうねらせる化石魚の様な戻り魚は、陸に揚がる前脚も備えており
近場の【海之入】か、それらが無ければ海岸に運んでくれます。

水精霊に通じる者がいれば、【海之入】から以外でも海中へ陸棲種族が立ち入ることは可能です。
海中に長く滞在したい場合は、同じく水精霊に通じた者を探すか一緒に海の中にいてくれる水精霊を見つけるのがいいでしょう。
それではまた、異世界の風景の何処かで会えることを祈って。


想像、ミズハミシマの海の中

  • なかなか素敵な描写だ -- (名無しさん) 2013-05-18 19:32:30
  • 龍宮城が海と陸の交流を後押ししているのがいいね。猫バスならぬ魚バスかー -- (とっしー) 2013-05-19 20:14:32
  • 海と陸が交流しようとしているのがよくわかる。オトヒメ様の尽力もいいな -- (名無しさん) 2013-05-23 15:25:01
  • なるほどと納得する精霊の助力。ミズハミシマの住民は他所からやってくる人には優しいのかな? -- (名無しさん) 2013-11-12 20:26:56
  • 思ったよりも仕組みがはっきりして科学的な水の中へのサポートですね。海側があれこれと働きかけて陸との交流を進めたミズハミシマの苦労とその成果はあついものがこみ上げてきます -- (名無しさん) 2016-10-02 17:41:30
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最終更新:2013年05月18日 19:17