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【狗侍語り 団子】

わしの名を? ふむ…それは難しいですな。
商会長である貴殿の名を聞いた後で心苦しいのもあるのですが、お応えし兼ねます。
…その様な顔をなさらんで欲しい。無礼は十分承知の上…
何と、理由をどうしても知りたいと? …仕方ありませんな。
戦場にてわしの様な“狙撃者(そげきもの)”は幽鬼の如く忌み嫌われる者。
その様な者の名を聞けば、貴殿のこの先にある明るい商道に陰りが生まれようというものでしょう。
それはそうと…大延国に実る柑粒珠果を練り込んだ小団子は、さっぱりすっきり美味ですな(くるりっ)。

そうそう、貴殿は商いの手を新天地でも辺境と呼ばれる地へも広げているとのこと。
そうなると他国では見受けられない新天地ならではの“異なる獣”共には難儀しておられるでしょう?
おや、鯖模様が歪んでいるところを見るとどうやら遠からずというところですかな?
そうとなると凡そ“人相手”が生業の傭兵では立ち行かぬこともあるでしょう。
(もむもむ…)二杯目の団子、美味しゅうございました。
それでは、貴殿の道を照らす手助けに成り得そうな傭兵団を御紹介いたしましょう ──

対魔獣戦術教導団 “人の城”

拠点:大延国南西 塞王外南蛮境界線 / 主要構成:獣人 / 活動範囲:南蛮、未踏破境界地
“抑えれぬ大なる獣にお困りであれば一声を”と、冒険者ギルドでも害獣対策課に大きく書いている彼らの戦う相手は“魔獣”。
人と相容れぬ恐々たる獣で御座います。
一概に魔獣と申しましてもその種類は多岐に渡り、ここ新天地では未だ未開の地も多く未踏破と溶け合う曖昧なることから
人の届かぬ奥地辺境へ行かずとも、異なる獣の類を多く見ることができます。
無数に押し寄せる刃を通さぬ甲殻と牙を持つ魔蟲… 頭が尻にあるので撃ち抜くのに難儀しました。
森を進んでいると思えば巨大な草蜥蜴の背中というのもあり申した。
川底が数十メトル先まで一匹の魚だったというのもありましたな。
商隊の移動では空から目が離せぬでしょう? 六枚翼の大鳥かと思えば六散し、鎌の様な嘴で襲ってくるものもおりますしな。
休息に適した場所は既に家主がおることも多く、焚き火の向こうに棘顎竜が強靭な後脚を蹴って戻ってくるのを見た時は肝を冷やしましたな。
全てわしが撃ち返しましたが(くるりっ)。
かように人と大きく違う魔獣は、凡そ人を相手に戦う傭兵にとっては苦手とするものでありましょうが、
それらと戦うための戦術、倒すための武器、訓練された兵で固められたのが彼ら“人の城”で御座います。
そんな彼らの特徴が、嬉しい“安い雇用料”ですな。 ふむ、やはり目尻が下がっておいでだ。
安い理由には、“戦う相手は雇用主が探してくれるため”というのともう一つ、“練兵のために新兵が混ざっているため”がありましょう。
何故危険な魔獣相手に新兵を混ぜるのかとお思いでしょうが、わしはその理由を聞いたことがあり申す。
一度、大勢を雇っての開拓地拡張防衛の折のことなのですが、彼らが言うには
“我らの真の戦場はここに非ず。 遥か遠く邪なる樹を目指す道にあり。”
ということでした。
ここ最近でしょうか、表立っての大きな交流の無い大延国と南蛮にありて、その両地に住む者同士が手を取り合いて
南蛮奥地にあるという“樹”を目指す一団が起こったと、傭兵の間では話題になっておりました。
“戦う意思ある者は集え”と掲げ、国や種族を越えて様々な兵が団を成し、それらが各国の未踏破境界地にて練武を重ね、
大延国より塞王を越えて本陣と交わるとのこと。
噂では、仙人悪仙をはじめ獣闘士や躍師、一線を退いたとされている武侠など一同に介することも難儀する面々が共に戦い
少しづつではありますが、樹へと進んでいると聞いたことがあります。

ふぅむ、やはり“安い”という言葉が響かれたか、既に財布の中身の確認ですかな?
何と?わしも一緒に辺境開拓に来ないかと? …腕を買ってもらえるのは恐悦至極。しかしわしの武器にはちと難儀する処がありましてな、
火精霊の薄い地や気難しい場所などは狙撃に入る以前の問題でして、遠出のためにそこなで火精霊を雇うのも一苦労。
やはりこの“長物”が気になりますか。 そう、銃であろうというのは正解で御座います。
地球との取引では見た事の無いモノであると?そうでしょうそうでしょう。
…どうしましょうか。どうしてもというのであればお教えしても構わないのですが…
おや、もう外に夕闇が。話しが長くなって夕餉に丁度良い時間になりましたな。
わしは、このニシューネンにて美味し酒と料理を出す亭がお気に入りでして、話の続きはそこでというのはどうですかな?(くるりっ)


長銃狗侍をシェアさせてもらっての語りの続きです
商人猫は好奇心でどこまで奢れるのかプライスレス

  • 傭兵団の紹介に合わせて色んなものを出してくるのが楽しいな。今度はフタバ亭に? -- (としあき) 2013-10-21 23:12:13
  • すごい侍なのかただの物知り食いしん坊なのか誰か教えて欲しい -- (名無しさん) 2013-10-22 21:53:26
  • 異世界での銃と火精霊との関係は切り離せないものであると。特に危険とされる地域での集団活動は互いにメリットがなければ成立しないくらい割に合わないものという空気を感じます -- (名無しさん) 2017-09-24 16:47:06
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最終更新:2013年10月19日 13:34