【異世界冒険譚-蒼穹のソラリア- ⑤ 後篇】

「お~~~い」
「みんな無事か~」
 ソラリアがタクトを探して再び黒い月の入り口に差し掛かった時、門の奥から声が聞こえてきた。
「シエラ、エル。無事だったのか」
 それはシエラとエル二人の声だった。
 リンネと戦い惨敗を喫した二人だったが、何とか致命傷は免れていた為傷の応急手当と体力の回復を待ちここに隠れていたのだ。
 体中痛むがこんな時にこれ以上休んでは居られない。動けるようになったからソラリアやタクトを探していたのだった。
「探したぞソラリア」
「良かったぁ、ソラリンも無事だったんだね!」
 ボロボロだが五体満足で帰ってきたソラリアを見て二人は安堵のため息をついた。
 ソラリアが強い事は知っていた。だがいざ実際にリンネの、魔神の恐怖を体験した二人は心配でならなかったのだ。
 タクトもアクシズ三姉妹にさらわれ行方知れずのままだし、今こうしてソラリアの無事が確認できただけでも上場だったのだが……。
「ごめんね、私があんな事言ったから……ごめんね。本当にごめんね」
「もう気にしていないよ。ほら、涙を拭いて」
 シエラがソラリアに謝った。
 少女はここに来るまでもずっと気に病んでいたのだ。
 あんな事があったとは言え自分の言葉でソラリアが傷ついて出て行ってしまった。それがここ黒い月での戦いの始まりだったのだから。
 こんな悪魔が住む場所に来て激しい戦闘を繰り広げて、もしもソラリアが死んでしまったら自分のせいだと己を責め続けていたのだ。
 だがそんな彼女にソラリアは優しく微笑み涙を拭いてやった。そう、これは誰のせいでもない。他ならぬ自分の運命だったから。
「雰囲気が変わったな。記憶を……取り戻したのか?」
「えぇ、全て取り戻したよ。全て、ね」
「そうか良かったな」
 ソラリアの変化にいち早く気付いたエルが尋ねた。
 ソラリアが記憶喪失だった事は周知の事実だったが、ソラリアが何故ここに向かったのかエルはずっと考えていた。
 聖騎士達から聞かされた事はここ黒い月が魔神達の故郷のような場所だと言う事。ならばソラリアは自分が魔神だと言う事を知って、当然故郷に戻れば失った記憶を取り戻せるかもしれないと考えたのだろう。
 だがまさかそれが、こんな戦闘状況にまで発展する事になるとは夢にも思わなかったが。
「それよりタクトは?」
「お兄ちゃんは……」
「それについては話がある。こっちに来てくれ」
 ソラリアはシエラと再開の喜びを分かち合った後、二人にタクトの行方を知らないか尋ねた。
 当然の成り行きだ。ソラリアはタクトを助ける為ミィレスと戦ったし、記憶を取り戻してからもタクトの為アクシズ三姉妹の次女・ヒュントと戦った。
 ソラリアの戦いは常にタクトの為なのだ。
 だがその肝心のタクトは取り戻せず、今どうなっているかも分からない状態。タクトの無事を確認するまで安心は出来なかった。
「……」
「そうか、タクトはやはりカーレンに……」
 二人はソラリアと出会う前、聖騎士三人とも出会っていた。
 ソラリアはヒュントとの戦闘で負った傷が回復するまで移動もままならなかったからだ。
 その間に二人が聞いた話は、ソラリアが最も恐れていた事態そのものだった。
「ストレンジャーが教えてくれた。奴等は、カーレン=フォーマルハウトは時間跳躍をしようとしている。そしてその為には、この世界の殆どの精霊エネルギーを使ってしまうと」
「戻った先で奴は歴史を改変するつもりだ。千体の魔神を使って、自分の思い通りの歴史をやり直すつもりなんだ」
 説明を聞いている間もソラリアは気が気ではなかった。
 何故なら彼女は他の五人が知っている情報は既に知っていたからだ。そしてその為にタクトがどうなってしまうのかも……。
「精霊が死滅したら、この世界の自然バランスは完全に崩れてしまうわ」
【天変地異が起こって生き物の住めない星になっちゃう】
 確かに装置が起動すれば精霊エネルギー、マナは大量に失われ時空の裂け目はこの大地を引き裂くだろう。
 だがソラリアはその先を知らない。
 ソラリアの知識はそこまでで終わっているのだ。
「私はタクトを助けに行く。それが私の生きる目的であり、全ての望みなのだから」
 だからソラリアにはタクトこそが全てだったのだ。タクトを助け装置の起動を阻止する。いや、最低でもタクトを連れてどこか遠くへ逃げられれば良いと思っていた。
「その道がカーレンの野望を阻止する事に繋がっているのなら、私達も同行するよ」
「ここまできたら乗りかかった船だし、行ってあげるわよ」
【みんなで戦えばきっと勝てるよ】
「そうだそうだ! えい、えい、おー! だよっ」
 だが彼女が知り合った五人はあまりにも眩しくて……。
 ソラリアもタクトも元は地球の出身だ。異世界がダメになっても地球に逃げれば良い。だがこの五人は異世界こそが故郷であり守るべき大切な場所なのだ。
 代わりなんて無い。何としても守り抜きたい唯一の世界。そこを守る為に強大な敵にも立ち向かおうと言う勇気を持っている。自分の為だけではない、もっと大きな物の為に戦っているのだ。
「……」
 それが解るからこそソラリアは自分の卑小さが申し訳なかった。
 こんな自分を仲間と思って心配してくれる二人に申し訳が立たない気持ちだった。
 だがそれでも、どうしても彼女の心の一番深くにあるのはタクトの優しさ、温もりだったのだ。優先順位一はタクト、これは動かしようの無い真の心だから。
「ソラリア、その前に一つ聞いておきたい事がある」
「エル」
 エルに話しかけられソラリアはドキリとした。
 ありえない事だが、こんな自分勝手な心の奥底を見透かされていないかと不安になったからだ。
「さっきタクトの事を聞いて「やはり」と言っていたな。ソラリア、あんたはもしかして……」
 だからせめて、心の奥底だけは秘密にする代わりに他の事は何でも話そうと思った。
 自分の秘密も、何もかもを。
「そうだ。私は……」
 五人が固唾を呑んで見守る中、とうとうソラリアは秘密を打ち明けるのだった。

「私は……時間跳躍者なんだ』

 五人の動きがピタリと止まった。



「カーレン、箱舟の準備はどうか?」
「はい、万事順調に進んでいます」
 玉座に座った男が尋ねると、カーレンは跪いてそう答えた。
 暗いコンソールの明かりだけが周囲を照らす部屋で、男はその様を満足げに眺めている。
「後は王、御自らが『刻の箱舟』の起動指示を出されれば、刻の箱舟はマナを吸収し5千年前の過去に飛ぶ事が出来ます」
「ふむ、流石カーレン。我が右腕よ」
 王と呼ばれた男はそう言うと、カーレンの細い顎を手でクイと上げ水晶のように透き通った美しい瞳を見つめた。
 まるで瞳の奥に隠した本心を窺うように、ジィと黙って数秒程見続けたあと、急にその手を彼女の豊満な乳房へと伸ばしたのだ。
 ピクリ
 その一瞬、一瞬だけカーレンの体が身じろぎ、そしてすぐにまた微動だにしなくなった。それからも王はカーレンの瞳を見据えながら乳房を揉みしだいている。
 その間、カーレンは顔色一つ変えず王に成されるがままとなっていた。反応を示したのは最初のほんの一瞬のみ。王はつまらなそうに手を離した。
「時が惜しい。さっさと箱舟へと参ろうか、カーレン」
「御意」
 カーレンは王を嫌っていた。だが洗脳を受けている彼女は王に逆らう事は出来ない。
 それは魔神となった今も変わらず、五千年経ってもその呪縛から解き放たれる事は無かったのだ。
 汚された顎と胸を気にしながら、カーレンはそれを手で拭う事さえ出来なかった。



「そう、私は何度も繰り返してきた。この戦いを。タクトと出逢い、旅し、別れるまでの時間を。ずっと……」
 それは五人にとっては残酷な知らせだった。
 何故なら、ソラリアの発言は即ち『五人が敗北する未来』を意味しているのだから。
「それが私の知る記憶の全てなんだ。この、まるでエンドレスワルツ(終わりの無い円舞曲)のような時間だけが、私の全てなんだ」
 五人は衝撃の事実に唖然とした。
 アクシズ三姉妹を倒した。あの三人は最強の魔神ではなかったのか?それともこの後、千体の魔神が起動して自分達は成す術無くやられてしまうのか?
 いや、それは無い。あの千体の魔神はカーレンが、天上王が五千年前の人魔戦争の結末を変える為に使う筈なのだから。
 ならば考えられる障害は――。
「我々は勝てるのか? あのカーレンと言う女に」
「……勝てない」
 今度はハッキリとソラリアが結末を言った。
「何故ならカーレンもまた、自分を魔神へと改造していたからだ」
 そう、ソラリアは何度と無く同じ時をやり直してきた。いや、やり直させられてきたと言った方が正確か。
 カーレンは歴史の改竄をしようと黒い月の中枢装置、刻の箱舟で過去に戻ろうとしている。
 そこに記憶を失ったソラリアは、カーレンの定めたプログラム通りに王の器――聖杯となる地球人であるタクトを導いてしまう。
 黒い月で記憶を取り戻したソラリアは世界と引き換えに自分の望みを叶えようとするカーレンの野望を阻止する為戦い、そしてその戦いの末、カーレンに負けてタクトも死なせてしまう。
 しかし歴史の改竄などこの世界の神が許す筈も無く、原初の大神である時の神によって時の箱舟は上手く起動せず、ソラリアだけが過去に飛ばされるのだ。
 そうして何度も繰り返してきた戦い……戦いだけがソラリアの記憶だった。
「全ての魔神には生まれつき戦闘ランクが定められている。私やミィレスはフェイズ3、それより新型のアクシズ三姉妹はフェイズ4。通常、下位の魔神が上位フェイズの機種に勝つ事はありえない」
 だがそんな記憶の中で、ソラリアの心を支えるものがタクトと仲間達だった。
「だが私はアクシズ三姉妹の性能を知っていた。武装、性格、戦闘プログラム……フェイズ3の私がフェイズ4のヒュントに勝てたのは、戦闘経験の差があるからなんだ。だが博士は……」
 タクトとの出逢いはプログラムされていたものだった。仕組まれた運命、だがタクトと仲間達と過ごした日々は偽りではない。
 苦しくも楽しかった日々だけは、決して偽者ではない、ソラリアだけの物だ。
「カーレン博士は寿命で死ぬ前に自分自身を魔神に改造している。彼女自身が彼女の最高傑作なんだ。その戦闘ランクはフェイズ5……史上唯一のフェイズ5の魔神。勝つ事は不可能だ」
 彼女は何度でも挑む。
「だがそれでも行かせてくれ。永遠の時に囚われ、戦いの運命に支配された私でも、戦う理由だけは自分のモノでありたいんだ」
 例え結果が判っていようとも、何度だって運命に抗うのだ。
「私の名前ソラリアとは、自由を意味する言葉なのだから」
 全ての秘密を話し、ソラリアは心が軽くなったように感じた。
 タクトを目の前にすればきっと自分は正気ではいられないだろう。だが今だけは、五人の仲間達と共に力の限り戦おうと思えた。
 偽りの気持ちでも良い。騙したと蔑まれても構わない。例えこの先に何が待っていようとも、ソラリアは最後まで戦い抜くと心に誓った。
「ソラリア――っ!?」
「な、何この揺れ!?」
 その時、巨大な黒い月で地震のような揺れが起こった。
「まさか、もう始まったのか? 時間跳躍の準備が」
【そのまさかみたい】
 世界に遍く存在する精霊エネルギー・マナの力は莫大だ。途方も無いエネルギーはこの巨大な建造物でさえいとも容易く動かす事が出来る。
 それを操り利用すれば、時空に穴を開けて過去の世界に『ゲート』を開く事だって可能なのだ。
「くっ、こうしてはいられない! 早くカーレンの、タクトの所に行かなければ!」
「ソラリア! 一人じゃ無茶だ!」
「ソラリン! 待ってソラリン!」
 こうなっては最早一刻の猶予も無い。時空間転移装置『刻の箱舟』が起動したと言う事はつまり――。
 ソラリアは祈るように黒い月の通路を駆けた。


 暗い通路を抜け再び開けたホールに出た。通路はそのままホールの中心を貫くように奥へと伸びていて、その奥にはカーレンのラボがあった。
 更にそのラボから上った先にあるのが中央管制室。黒い月の中枢、時空転移装置『刻の箱舟』のコントロールブロックだった。
「タクトっ!」
「……」
 そのコントロールブロックの中央に腰掛ける一人の人物にソラリアは声をかけた。
 返事は無い。ただ冷たい視線が帰ってくるばかりだ。
 嫌な予感がした。恐い想像もした。それでもソラリアは心に渦巻く不安を振り払って、希望を信じて声をかける。
「私だ! ソラリアだ! 返事をしてくれ、タクト!! タクトっ!!」
「タクトとは……この体の元の持ち主の名か?」
「っ!?」
 タクトの姿をした者から発せられた言葉にソラリアは氷りつく。
(タクトの声じゃない)
 正確には声は同じだった。だが喋り方、空気、態度、全てがタクトとは違った。だから別人の声のように感じたのだ。
 いや、別人のようにではなく別人なのだが。
「それならばもう無駄ぞ。下賎の者の脆弱なる魂は、この高貴なる我が御魂を以って全て塗りつぶしてしまった故な」
「演技じゃない……どう言う事だ? こいつは一体何者なんだ?」
 後から追いついてきたエルがソラリアに尋ねる。だがソラリアはとても返事を返せる状態ではない。
 間に合わなかった。
 これが今回の結末。ソラリアが戦って辿り着いた結末だったのだから。今、ソラリアの希望は無残にも崩れ落ちたのだ。
「我は天上の王ベルクラント=ミスティス。この世界、いや、全ての世界を統べる王なるぞ」
「陛下の御前である。皆の者、頭が高い。控えなさい」
 天上王の玉座の後ろから姿を現したカーレンを見て、呆けていたソラリアは突然覚醒したようにカーレンに向かって怒りを顕にした。
「貴っ様ーーー! カーレン! タクトに何をした!」
「彼には天上王復活の聖杯となってもらいました」
「聖杯っ!?」
 初めて見る本気で起こったソラリアの剣幕にシエラやエル、聖騎士達でさえも一瞬たじろいでしまった。
 しかしその怒りを向けられているカーレンはと言うと、まるで怯える表情も見せずに、淡々と説明をこなすだけだ。
 カーレンはフェイズ5。圧倒的強さを誇る故の余裕だろうか。だがソラリアは今そんな事は関係なかった。
 彼女は知っていた。今まで刻の箱舟を起動させる為にカーレンはタクトを使って天上王を復活させてきたのだ。それはタクトと言う存在を消して、上から天上王ベルクラント=ミスティスを上書きすると言う事。
 タクトと言う人格、記憶は、それによって完全に消されてしまうのだ。つまりカーレンによってタクトはもう、殺されてしまったも同然なのだ。
「記憶と人格のインストールですよ。遺伝子単位で適合係数の高い地球人の脳に、天上王ミスティス様の魂を上書きしたのです」
「なっーー」
 ストレンジャーの持ち帰った情報にそこまでの情報は無かった。
 一同が驚きを禁じえない中、ソラリアは改めて自分が間に合わなかった事を認識して、絶望の淵に立たされたのだった。
「尤も、その為には精神的に弱っている状態である事が条件だったので多少小細工が必要でしたがね」
 「諦めない」「信じる」ミィレスにそう言ったソラリアだったが、現実に明確な絶望を突きつけられて、もう強がるのは限界だった。
 それでも縋りたい。嘘であってほしいと、心が訴えかけるから声が出る。
「タクト……嘘だろう? お前が消えてしまったなんて、そんなの嘘だと言ってくれ。タクトっ」
「そちがアクシズ三姉妹をも退けたと言う魔神か? 今宵は余が再び目覚めた目出度い日だ。許す」
 あぁ、全ては今終わったのだ。
 ソラリアの戦いは今、敗北と言う形で幕を閉じた。
「恩赦と言うやつだ。ありがたく受けよ。そして今後も、その調子で余の覇業に尽力せよ」
 一度はみんなの為に、仲間の為に最後まで戦おうと心に誓ったソラリアだが、彼女にとっての最後が来てしまった今戦いを支える物は何一つ残っては居ない。
 希望がほしい。例え偽りの希望であっても。
 信じたいではなく縋りたい。今のソラリアはそんな気持ちで一杯だった。
「こんなのお兄ちゃんじゃない……お兄ちゃんは、もう」
「残念だがソラリア、もう戦うしかないぞ。こいつはもうタクトじゃない」
「ストレンジャーの情報によると装置の起動キーは天上王……今すぐこいつを殺ればまだ間に合――」
「待ってくれ!」
 戦闘体勢に入る一同の前にソラリアが割って入った。
「ま、まだ完全にタクトが消えてなくなったと決めつけるには早いじゃないか! そうだ、まだ何か方法が、可能性があるかもしれないじゃないか!」
「……」
 身勝手と言えばそれまでだが、短い間でも共に旅をして、幾度も苦難を共にしてきたエルとシエラにはソラリアの気持ちが理解できた。
 もうダメと分かっていても、現に目の前にタクトの姿があれば「もしかしたら」と思ってしまうのも無理からぬ話だからだ。
 人は――死んだとわかっているのに心のどこかで、故人が今もどこかで幸せに暮らしてくれていればと願ってしまう動物だから。
「どうしたみんな? どうして誰もうんと言ってくれないの? まだ可能性が」
 そこでアルトメリアがソラリアの肩を叩いた。
 続いてストレンジャーがおずおずと、でもはっきりとソラリアの目の前に突きつけるようにフリップを出す。
【仮に方法があったとしても間に合わない】
 それは誰の目にも明らかな事だった。
 正気を失っているソラリアにだけ見えていない事だった。
 だから敢えて教えたのだ。いくらタクトが、ソラリアが可哀想であっても聖騎士三人もエルもシエラも退く事は出来ない。ならばせめて覚悟だけはさせてやった方が良い。
 もしかしたらこれでソラリアが錯乱して自分達を止めようと攻撃してくるかもしれなかったが、これがせめてもの二人の犠牲者への責任の取り方だと三人は判断した上での行動だった。
「私達はシエラを、世界を守る義務があるわ。あんたは何の為に戦うの? ソラリア」
 カイラの問いかけ。
 しかしソラリアは答える事が出来ない。
「私の……私の戦う理由は……理由は」
 そう、答えられる訳がないのだ。
 ソラリアはもうとっくに戦う理由を失っているのだから。
「まとめて片付けましょうか?」
「いや、余興だ。このまま放っておけ」
 カーレンの問いに天上王はニヤニヤと笑いながら答えた。
 敵、とすら思っていない。ムシケラのイザコザを眺める下卑た感情からの行動だ。
 カーレンはそんな天上王に少しだけ眉根をひそませた。
「タクト殿には悪いが生身の天上王を狙わせてもらう」
「ストレンジャー、カーレンの動きを一瞬でも止められる?」
【やってみる】
 ソラリアはみんなの為に例え何があっても戦うと決意していたつもりだった。
 だがシエラ達は分かっていたのだ。
 もしタクトがダメだった場合、ソラリアは戦えなくなるだろう事を。
 ここは自分達の世界だ。自分達だけでもどうにかしなければならない。初めからその決意を以って一同はここに来たのだから。
「話し合いは済んだか? ふん、仲間割れが見られるかと思ったが残念だ。カーレン」
「はい」
 天上王がカーレンに命じた。
 最強最後の魔神が動く。
 正々堂々戦えば勝ち目は無い。先の先を取り一気に片を付けるしか道は無い。
 始めから五人の腹は決まっていた。躊躇無く一気に攻め立てる。
「今だ!」
【アンチマシンプログラム起動】
 ストレンジャーがアクシズ三姉妹に使ったのと同じシステムジャックを仕掛けた。
 正直これが効かなければ全て終わりと思っていた一同だったが、天は五人に味方したようだ。
「うっ!? 体が――」
 カーレンの動きが止まる。プログラムが効いているのだ。
 今こそ勝機と四人は一斉に座した天上王目掛けて攻撃を飛ばす。カーレンには勝てなくても要は天上王を倒してしまえば時間跳躍は阻止できる。世界のマナも消費されずに済む。
『喰らえーーー!!』
「やめてー!」
 ソラリアの悲痛な叫びが響き渡る。
 そして起こる大爆発。ウィンザード姉妹の精霊魔法、エルの炸裂筒付き弓矢、アルトメリアの投剣。それら全が一斉に天上王へと降り注いだ。
 これでは生身の人間などひとたまりも無い。一同が勝利を確信した時……。
「やったか!?」
「面白い。ケダモノ共にしてはよくやる」
 土煙が晴れた先に居たのは、玉座に座ったまま傷一つない天上王だった。
「なっ」
「どうして!?」
 まさかカーレンが動いたのか?一瞬そう思いカーレンの方を見ると、動けないまま余裕の笑みでシエラ達を見るカーレンの姿。
 ならば何故?まさか天上王も魔神になっていたのか?それでも全くの無傷、汚れ一つ無いのはおかしい。
 状況が理解できずうろたえる一同の耳に、天上王の高笑いが響いた。
「無知蒙昧な蛮族共に教えてやる。貴様らと余の間には強化テクタイトの壁が張ってあるのだ。故に貴様らの攻撃は全てそこで阻まれた」
「ホントだ! 透明の見えない壁みたいなのがあるよ」
「くそっ、卑怯だぞ! こっちに出て来い!」
「ふん、よく吠えるケダモノ共だ。カーレン」
「はい……!」
 王の命令でカーレンがアンチプログラムの呪縛を力ずくで解こうとしている。
 カーレンに動かれたら作戦は失敗に終わる。最早一刻の猶予も無いのだが、あれだけの攻撃を受けて傷一つつかない壁をどうやって突破すれば良いのか……。
「まずい! 魔神カーレンが動くぞ!」
「なめるなぁ!」
 カイラが吠えた。
 精神を集中し羽を広げ舞い踊る。すると――。
「何っ? この風はまさか!?」
 壁の向こう側で空気が動き始めた。やがて精霊が力を使った際に発生する精霊力の光が辺りに発生し、やがて風は渦を巻き、爆発的変化の兆しを見せ始める。
「大地に遍く精霊よ! 我が呼びかけに応え給え!」
「精霊はあらゆる場所に偏在している。そうか、君にはこんなガラスの壁無意味だったね」
 精霊術師としてより深い所、アストラルサイドで精霊と繋がった者は遠隔地の精霊にも祝詞や舞を届け願いを聞いてもらう事が可能だと言う。
 今カイラが行っている事がまさにそれであった。カーレンは魔神だから周囲の精霊力を吸収してしまうので通じないが、生身の天上王にならば可能だったのだ。テンペスターの名は伊達ではない。
「やっぱり待って! タクトが、タクトがぁ!」
「何をしているカーレン! 余を守れ! えぇい、こうなったら――箱舟起動」
 天上王が始めて玉座から腰を上げた。
 事ここに至ってようやく危機感を覚えたのだろう。だがもう間に合わない。カーレンが動くより先に、天上王が逃げるより先に、カイラの精霊魔法テンペストの嵐が天上王を襲った。
「テンペスト!!」
「ぐわぁぁぁぁああああああああああ!!!!」
「タクトーーー!!」
 ソラリアの目の前で天上王が、タクトの体が真空刃によって切り刻まれてゆく。
 そして上昇気流に煽られ木の葉のように舞い上がった体は天上に激突し、制御ユニットのコンソールへと落下する。
「あぁ……あああぁ……」
 タクトの体が当たり砕けたモニターのガラス片が乾いた音を立てて地面へと降り注いだ。そして天上王はそのまま不自然な体勢でコンソールからずり落ち、床に倒れ伏す。
 ピクリとも動かない。ズタボロになりこれだけの衝撃を体に受けたのだ。心肺が停止しただろう事は誰もが予想できた。
 一同が固唾を呑んで見守る中、ガラスが砕け散る音が聞こえた。ソラリアが鍵の剣で強化テクタイトの壁を破ったのだ。
「あぁ……タクト……タクト……あぁ」
 ソラリアがタクトに駆け寄る。息は……無い。脈は……無い。完全に心肺停止状態だ。ソラリアが急いで心臓マッサージと人工呼吸を始めるが、その姿はあまりに痛々しく周囲の目に映った。
 終わったのだ。何もかも、今ここで。
 一同が悲しみと共にそう安堵した瞬間、薄暗かった周囲が急に光に包まれた。制御コンソールが一斉に起動した光だ。
 空中に映し出される幾つもの情報。文字、図解、動画、周囲の光景。それと共に揺れ動き始める足場に、シエラ達は驚愕の声を上げる。
「っ!? なんだこの振動は?」
「一体何が起こってるの!?」
【まさか装置の中枢が起動したんじゃ】
「そのまさかですよ」
 間に合わなかったのか――そんな予感の中、カーレンがバイザーに隠された表情を愉悦に歪ませながら口を開いた。
「黒い月の中枢『刻の箱舟』は王の命令で起動しました。これでもう私にも扱う事が出来ます」
 語られる衝撃の事実。
 あぁ、何と言う悲劇。何と言う皮肉な運命。結局、物語の結末は変えられないと言うのか。
 ソラリアはタクトを守れずに、刻の箱舟に巻き込まれ記憶を失い過去に飛ばされる。そうして何度も同じ結末を繰り返すのだ。
 それが刻の牢獄に捕らわれたソラリアと言う名の機械少女の宿命。
「私は魔神故、王に逆らえません。しかし私の目的の為には王は邪魔だった……その為に、わざわざセキュリティを解いて貴女をシステムに侵入させたのですよ? 蟲人の女」
 精霊力・魔素を失った世界はどうなってしまうのか?
 精霊の力が失われ自然界の秩序は保たれるのか?精霊と共に生きてきた人々は一体どうやって生活して行けば良いのか?想像もつかない艱難辛苦が待ち構えている事は明らかだ。
 作戦は失敗した。これで世界は再び混乱の坩堝へと回帰してゆく事となる。聖騎士達は任務を失敗したのだ。
「王は世界支配が目的でしたが私の目的は違う。私の目的はあくまで過去に戻って全てをやり直す事……ありがとうございます。皆さんのおかげで望みにまた一歩近づきました」
「王の打倒までカーレン、お前の計画だったと言うのか?」
「その為に娘と呼んでたアクシズ三姉妹まで……? そんなの酷いよ……酷すぎるよ……」
「フフフ……」
 エルとシエラが膝を付き絶望に暮れる。大切な仲間を、タクトとソラリアを失ってまで決意した戦いの結末がこれでは、一体何の為に戦ったのか……。
 虚しさだけが残る中、それでも諦めない者達が居た。
「お喜びの所悪いが、私達の目的は君の野望の阻止なんでね」
【時間跳躍の前に、黒い月を落として魔神全てを封印するよ】
「あたしも、この世界を壊させるわけには行かないのよね」
 アルトメリアが、ストレンジャーが、カイラがカーレンの前に立ちふさがった。
 勝算などない。残された力も無い。だがこのままここで諦める事だけは出来なかった。全てを終わらせない為に、限りなく低い可能性でもそれに賭けて戦うしかないのだ。
「……何か出来るつもりですか? 貴女達ごときに」
「聖騎士を舐めるなよ!」
 アルトメリアがそう叫び、折れた剣を拾ってカーレンに突撃した。
 その剣を素手で軽々と受け止めるカーレン。剣を止められアルトメリアが剣を放して下がった後ろで、ストレンジャーとカイラは既に動いていた。
「ストレンジャー、コンソールに行け! カイラ! もう一度テンペストだ!」
「大地に遍く精霊よ! 我が呼びかけに応え給え! テンペスト!!」
 ストレンジャーの動きを追おうとしたカーレンを真空刃=カマイタチを伴った竜巻が襲った。
 小規模ながら最大風速50mクラスの風が発生する中、カーレンは鉄板の床を踏み抜いて足を固定し微動だにしない。
 巨大なバイザーに隠れた目がストレンジャーを追う。そうしてもうすぐストレンジャーがコンソールに到着すると言う時、カーレンが笑った。
「フフフ、もう一度ハッキングするするつもりですか? 悪あがきを」
「っ!?」
 次の瞬間、アルトメリア達三人は気がつくと壁まで吹き飛ばされていた。
『きゃあああああああああ!!』
 一体何をされたのか、誰一人として理解できなかった。
 衝撃と爆発が起こった事は分かった。だがカーレンが何かした所を誰も見ては居ないのだ。
「全て無駄です」
 三人は全く同じタイミングで同時に壁まで吹き飛ばされていた。これが最強魔神カーレンの実力だと言うのか。
 一同を再び絶望が覆う中、カーレンは今だ戻らないタクトの救命活動を続けているソラリアに話しかける。
「ソラリア」
「タクト! タクトぉ! 戻って来て! タクトぉ!!」
 ソラリアは何度も何度も、祈るようにして心肺蘇生術を続けている。だがタクトは戻らない。
 ソラリアは涙を流す事は出来ないが、その顔は今にも泣き出しそうな顔で、シエラとエルは胸を突かれるような思いがした。
「その地球人、確かタクトと言いましたか? その男……生き返したくありませんか?」
『!?』
 ソラリアの動きが止まった。
 そしてチラリとカーレンの方を見返し、また心肺蘇生法に戻る。
「この『刻の箱舟』は過去に戻る事が出来る装置です。記憶と魂を過去の自分へと送る事が出来る、言わば時空間転移装置なのです」
 カーレンは構わず話を続ける。
 彼女にとって消耗しきった聖騎士三人など物の数ではなかった。シエラとエルも恐れるに足らない。
 僅かでも不安が残るとしたらそれはただ一人、ソラリアだけだった。
「もう一度……記憶を失わずに、やり直したくありませんか?」
 刻の箱舟は今時空間跳躍の為に準備を進めている。その準備にはもう少し時間がかかると言う事だ。
 異世界への扉を開いた十一の神――その奇跡に小規模ながら近い奇跡を起こそうと言うのだ。世界中を犠牲にする程の、膨大なエネルギーが必要となるのは必定である。
「奴の口車に乗るな! ソラリア!」
「ソラリンごめんね。でも……でも……」
 刻の箱舟が精霊力・魔素をチャージするのにどれくらいの時間を要するのか、それは分からない。
 だがそのエネルギーがチャージし終わるまでが残された時間となる。魔素と奇跡の変換は不可逆的な反応だ。一度奇跡を起こすのに消費されれば戻らない。
「タクト……私……」
 今カーレンの野望を阻止できる可能性を持つ者はソラリアだけなのだ。そう、ソラリアだけ……。
「あなたはタクトさんを連れて地球に逃げれば良いのです。それだけで簡単に、あなたの望む未来が手に入るのですよ?」
 そのソラリアに邪魔されない為、カーレンの甘言が続く。
「タクト殿を殺しておいて、こんなこと言えた義理じゃないが……頼む、助けてくれ。お願いだ」
「…………っ」
「あんた私達を見殺しにするつもり? この世界を見捨てるつもりなの? ソラリア=ソーサリー」
 僅かでも不安要素があるならば排除する。例え自分の勝利が決定付けられていたとしても。それがカーレン=フォーマルハウトと言う女だった。
「わ、私は……違う、私はただ……タクトと……」
「煩い外野ですね。あちらこそ自分達の為に、貴女とタクトさんに犠牲になれと言っている事に気付かないのでしょうか?」
 一時でも騙せればそれで良いのだ。時間を稼げればそれで充分。カーレンの計画は最終段階に入っていた。
「大丈夫ですよソラリア。何ならあなたが危機を皆に伝えてあげれば良いではないですか。そうすれば大勢の人が地球に逃れ、助かる事が出来る。それにイレブンズゲートによって地球のマナが異世界に供給されれば、ここが滅ぶ事はありません。何も心配要らないのです」
「そ、そうか……その通りだ。何も問題ない。大丈夫だ」
 かかった。とカーレンは思った。
 一同がソラリアを見守る中、ソラリアはカーレンに魅入られている。果たしてこのまま希望は潰えてしまうのか?運命は変えられないのか?
「嘘だ! その女に騙されるなソラリア!」
「ソラリン! 目を覚まして!」
「頼む、ソラリア。頼む」
「っ……!」
「全ては……終わりなの……?」
 巨大なバイザーの下でカーレンがほくそ笑む。
(箱舟がエネルギーチャージを完了するまでもう少しかかります……その時間さえ稼げればソラリア、貴女などどうでも良い……フフフ)
 ソラリアの揺れる心を見透かしたようにカーレンが勝利を確信した。彼女を止める者はもう誰も居ない。そう思った時……。
(タクト……わたしのせいでこんな事に巻き込んで死なせてしまった……! ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい)
 ソラリアの手が止まった。
 ゆっくりとタクトから手を離し最後にもう一度口付けを交わした。
「ごめんなさい……タクト」
 二人の最初で最後の口付けが終わった時、ソラリアは屹然と立ち上がりカーレンに向き直った。
「ソラリア?」
 突然変わったソラリアの態度にカーレンが訝しげに声をあげた。
 もうソラリア自分と戦う理由はない筈だ。提案を受け入れ、大人しく彼女の希望が叶う時を待つ筈だ。そう、その筈だった。
「カーレン博士。自由を奪われ、愛を奪われ、それでも失った時を取り戻そうとする貴女に、私は敬意を表します」
 黒い瞳が静かに燃えてカーレンに語りかける。
 黒い髪に黒い瞳。日本人の久我タクトと同じ色。そんな事さえ嬉しかった、あの日々はもう決して戻らない。
「それでも、失った時は決して戻りはしないのです。そんな事は、神様にだって出来やしないのだから」
 ソラリアの運命は繰り返しの螺旋回廊。そこに未来など、希望など無い。
 解っていた。解っていたのに。ソラリアはまた絶望に負けそうになってしまった。みんなを見捨てそうになってしまった。
「私が失敗する……とでも言いたいのですか」
「はい」
「箱舟の起動には王の指令が必要でした。その為に私は五千年待った。それを今更、貴女に言われて止める事が出来ますか?」
「刻の箱舟を動かせば、この世界の殆どのマナを消費し尽くしてしまう。それはこの世界の精霊を死滅させる、世界を崩壊させるに等しい事だ」
 タクトはソラリアの為にここまで来てくれた。ソラリアの気持ちはタクトに通じていた。
 ならばタクトの気持ちをソラリアが解らなくてどうするのか。
「それだけじゃない。この世界の時の神は歴史の改竄を許さない。矛盾する時を直そうと、歴史の修正作用が働くのです」
「その結果が、貴女だと言うのですか? ソラリア=ソーサリー」
 例え百万分の一も勝ち目がない戦いでも。今まで何度も、何十回も、何百辺も繰り返してきた宿命でも。
 それでも彼女は戦い続ける。タクトが好きだったソラリアは、例え自分が傷ついたって人の為に戦える強い少女なのだから。
「それでも、私は可能性を示されたのです。かつての旧神に、世界を変える方法を」
 カーレンに時を越える方法を教えたのだ誰か――それは分からない。
 この戦い自体その者が仕組んだ計略なのか。だがそれは最早何の意味も持たないだろう。
「例え1%でも可能性があるのなら、私はその可能性に賭けたいのです。いえ、賭けなければならない。貴女も女なら解るでしょう?」
 ソラリアとカーレン。二人の対決もまた運命付けられていたものなのだから。

 ――何故なら、女なら何よりも愛を選ぶから――

 カーレンの言葉がソラリアの心をえぐる。
 自分だってそうだ。ソラリアもタクトの為に戦った。だが今はもう居ない。
 共に愛する者を失った女と女。だがその選ぶ道は余りに正反対だ。  
「箱舟のエネルギーチャージにはもう少し刻を要します。出来れば平和的に事を進めたかったのですが……」
 カーレンが顔の半分以上を覆う巨大なバイザーを外し投げ捨てた。
 その下から黄金の髪と青く澄んだ瞳が顕となる。
 それは黒い髪に黒い瞳のソラリアとは対照的な、神々しいまでの美しさを放っていた。
 だがその美しさはあまりに均整が取れすぎている為に、かえって人間味が薄く、作り物めいた冷たさを見る者に与えるのだ。
「仕方ありません。あなたを破壊します」
 カーレンの体に転送装置から送られたバリアコートが纏われてゆく。
 純白のバリアコートは戦闘服と言うよりむしろウェディングドレスの様で、戦場に似つかわしくない華やかな”衣装”だった。
 目の前に光が弾け、小さな鍵が一つ空中に現出した。宝石がちりばめられた黄金の鍵。それをカーレンが首元に持ってゆくと、光の輪と共にネックレスのようにその身に纏われる。
 これまでの魔神達とは打って変って美しさを基調としたようなカーレンの戦闘形態に、敵ながら一同は息を呑んだ。
 戦闘準備が整ったカーレンはソラリアの真正面に相対し、まるで美しく優雅に挨拶するかのごとくこう言った。
「甲式第五種フォーマルハウト型戦術魔神 カーレン」
「丙式第三種ソーサリー型戦闘魔神 ソラリア」
 二人は真正面から向かい合い名乗りあった。
 真名の名乗り。それは決闘の始まりを意味する。これから始まる戦いが、最早どちらかの死でしか終わらない事を意味しているのだ。
『参る!』
 今、未来を、そして世界を賭けた戦いの幕が切って落とされた。





  • 最後の最後に残った二人が…と思ったら終わってない上 -- (名無しさん) 2013-11-28 22:08:01
  • に以下続行ときたぜー!次回までまた悶々としないといけないのか -- (名無しさん) 2013-11-28 22:08:38
  • 続いた・・・だと・・・。次回に期待してます! -- (名無しさん) 2013-11-29 01:20:34
  • 明かされた事も展開も凄いスケールになってきました。完全に蒼穹の世界が過去現在未来と形成された中で悠久とも言える輪から抜け出そうとするソラリアの今までの人生を想像すると胸が圧し潰されそうになります。それまでの全てとは何かが変化した今がどういう未来に進むのか最終回に期待が膨らみます -- (名無しさん) 2018-06-24 17:08:27
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最終更新:2013年12月01日 03:28