【水喰地底龍伝奇について】

ここに一冊の古文書がある。名を水喰地底龍伝奇という。
古代、ミズハミシマで編纂されたこの書物は、ミズハミシマに棲息している
あるいはしていた地底龍という亜龍たちを纏めた物とされる。
今日はその中から経過報告として解読が進んだ個体を紹介しよう。
これを見た諸君の異世界研究の参考となれば幸いである。

○播邏権(ばらごん)
最初に確認された地底龍。
角と牙は鬼、体は龍、手足はオーガオークのような顔と耳を持つ。
赤茶けた体表の色。口から熱線を吐き、非常に獰猛。普段は四足歩行だが、後ろ足で立つ姿も目撃されている。
ヒトや家畜を好んで食べたという。
書物によれば大太によって調伏されたと記されているが、以降近代にいたるまで何度か出現が確認されているため複数の個体がいるものと推察される。
また鼻先の一本角は発光器官が備わっており地底を掘り進む時に活用する他、夜道で旅人をおびき寄せ食べるために使われることもあった。

○碆晤吮(ぱごす)
四足で這うように歩き、鋭い牙を二本持つ。虹色の光線を吐き物をバラバラにする。
面長であり後方に伸びる二つに分かれた頭部が特徴。
虹の卵より孵化し、それらを食糧とした。また油石鉱脈を食らったとも。
上記の習性はカッコウの托卵に見られる行動と類似している。
複数の目撃が近世まで報告されており、播邏権同様現在も地底での棲息が予測されている。
なお伝奇中によれば鬼人の炭鉱夫たちによって退治された例もあるらしい。

○禰崙駕(ねろんが)
黒に緑がかったような体表を持ち背鰭は黄色。
鼻先の一本角の他にクワガタのような触角を持つ。
普段は透明で光精霊を食らって姿を現す。またその際に前述の触角から稲妻を放つことから雷竜とも。
凶暴にして貪欲。大食いで一説によれば光精霊を食べ尽くしたことで辺りが闇に包まれたことも。
地方によっては夜が来るのは禰崙駕のせいだという言い伝えもあり、「夜中まで起きていると禰崙駕に食べられる」と夜更かしする子供たちを窘めることにも用いられる。

○偈崙駕(げろんが)
禰崙駕の近似種と思われる。民間伝承に言われるところの牛鬼だとされる。
事実、ミズハにおいて牛鬼の言い伝えが残る地方と偈崙駕の出現箇所は驚くほど一致している。
禰崙駕に酷似し、禰崙駕が持つ二本の触覚の代わりに、黄色がかった二本の角を有す。
このことから近似種とされているようだが、透明になったという記録はどこにもない。
角は前方ではなく体表に沿うように後ろ向きに生えていることから、外敵と戦う時または地底を進む際に体を守るための器官であると推察される。
禰崙駕ほど凶暴ではないらしく、真楠長兵衛という人物(鬼人か魚人であるかは不明)に牙を折られたことにより戦意を喪失、そのまま地底へと姿を消したとの伝承も残っている。

○摩倶羅(まぐら)
全身に小さな棘をもつ。別名、地震龍。
二本足で歩き、地底に潜るときは四本足。タタラ地方(現:タタラ藩)に出現したとされる。
同地は地震が多く摩倶羅の出現に前後して頻発するらしい。
タタラでは火山活動が活発でこれも摩倶羅のせいであり、製鉄技術の発達に一役買ったと言えなくもない。
目撃例は少ない。なお近代までタタラ地方では生贄の風習があり、これは摩倶羅を鎮めるためのものであった。

○臥媽螺(がぼら)
六枚の鋭い襟巻を持つ。これを顔を覆うように閉じて地底を進むとされる。
四足歩行。複数の油石鉱脈を襲い、これらを食らったという。
碆晤吮同様、這うような四足歩行。また口から熱戦を吐く。
地底を進む速度は早く、地上でも身軽に動くとされる。
だが目撃例が洞窟内などの地下中であることが殆どであるため、検証が必要である。
なお類似種として襟巻きを持つ璽騾済(じらす)という龍も記載されているが生態が異なるため、おそらく襟巻きを見た目撃者が混同したと推察される。


いかがだっただろうか?
今後進展があれば随時報告を予定している。
その時を期待して待っていてほしい。


  • 龍の名前に読み仮名がほしいけど…モロネタバレになるからできないんですか!?ピコーンピコーン -- (名無しさん) 2014-04-26 22:21:18
  • こういうネタは平成よりも昭和代表格の方が適しているのだろうか。璽騾済の襟巻きを取ってはいけない激高する -- (名無しさん) 2014-04-28 20:38:00
  • 姿形がいっぱいあるイレゲの龍なら怪龍とかでいけそうじゃない? -- (名無しさん) 2014-04-29 01:24:49
  • 何か怪獣みたいな化け物みたいな生物は龍神の細胞とか力の影響を受けて変異したものなんじゃないかとオキシジェン -- (名無しさん) 2014-12-08 19:09:27
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最終更新:2014年04月28日 01:50