スラヴィアの中央部、五領と呼ばれる川と湖がまるで境界線のようになって区切られた、五つ有力な貴族の治める広大な領地のちょうど中央、カビセラ湖の湖上にある荘厳な旧市街とその対岸にあるコロシアムや大歌劇場などを有する新市街とで構成される都市、それがスラヴィアの首都である死都カビセラ・ポノミレスだ。
死都という陰気極まりない呼び名と実際のこの都市の印象は真逆と言って良い、白輝石をふんだんに用い、それぞれがまるで芸術品かと思うような見事な彫刻で飾られた旧市街の街並みは昼間であれば輝くように美しく、夜は照明に照らされて光と影に彩られて浮かび上がる街並みは妖しい美しさを演出してみせる。
この都市はスラフ戦役の後、スラヴィアとその盟主であり象徴であるサミュラに相応しき都市をという多くの屍者の願いを受け、多くの屍者の不休の働きによって二十年の月日を費やして建設された。
この後に旧市街と都市はサミュラの居城を起点とした白亜の街並みと、それを放射状に区切る水路によって構成された円状の都市であり、必要であれば都市丸ごとを闇の暗幕で覆うことができる構造となっている。
カビセラ・ポノミレスは本来存在してはならぬはずの死者と生者が混在する国家であるスラヴィアの屍者と生者の交流と融和の歴史を物語る都市でもある。
建設当時、このカビセラ・ポノミレスは完全なる屍者の都市であり、日中は闇のヴェールに包まれたこの屍者の聖域とも言える都市に生ある者が足を踏み入れることは許されなかった。
しかし、サミュラの下での統治が軌道に乗り、スラヴィアが現在とほぼ変わらぬ形となってからは、この都市にも生者の姿を見受けるようになった。
スラヴィア建国から百年となったのを機に対岸に新市街の建設が決定され、この建設には屍者だけでなく多くの生者がその建設に従事し、十年の歳月をもって建設された新市街にはその後多くの生者が暮らすこととなり、新市街は新たな時代をスラヴィアが迎えたことを物語る場所として多くの者たちに記憶され、そして記録されることとなった。
そして、新市街の建設が完了したその年、それまで一日として途切れることのなかった旧市街の闇のヴェールも普段は解かれることとなり、日中は二つの市街ともに生者が行き交い、夜は屍者の間を生者が行き交うという特異な都市の姿がこうして完成することとなった。
スラヴィアを旅するのであれば、本来交わるはずのなかった者たちの交流の歴史をこの都市で感じてみるのも悪くはないだろう。
- 夕闇にお互いの親睦を深める異世界でも特別な都。早く夜にならないかなぁと思われてそうで太陽の肩身の狭さがえらいことに -- (名無しさん) 2014-09-10 01:49:10
- 生者の住民は異種族が多そうだけどスラヴィアンは意外と人間がそこそこいそうな雰囲気 -- (名無しさん) 2014-11-04 22:20:17
最終更新:2014年09月10日 01:04