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【都市物語 領都ポレア】

 スラヴィア北部に横たわるラフィン山系、その峰が領地の大半を占めるのが最古の貴族の一人である[髑髏王]ヴェルルギュリウス伯爵領、そのラフィンの赤茶けた荒々しい山肌を晒す裾野にあるのがヴェルルギュリウス伯爵領の領都ポレアである。

 ヴェルルキュリウス伯爵領はいくつもの鉱山と採石場を領内に有し、そこから産出される鉱石や石材によってスラヴィアでも上位に位置する豊かさを誇っているが、その領都ポレアは岩肌がむき出しになったラフィンの裾野にあり、ラフィンの山頂から吹き降ろされる寒風に晒される荒涼としたその場所は、とてもスラヴィアでも有数の豊かさを誇る領地の主の居地とは思えない。

 ポレアを一言で表現するなら灰色の街だろう。
 ポレア近郊で豊富に採れるレマ石と呼ばれる灰色の石材を用いて建設されたこの街は、ラフィンの山裾に吹く冷気と相まってひどく寒々しい印象を訪れる者に与え、日中は街角にほとんど領民などの生者の姿を見かけないことから閑散とした印象をさらに強く抱くことになるだろう。
 ヴェルルギュリウス伯爵の居城はポレアの街並みを一望できる崖上に建ち、いくつもの立ち並んだ鋭い針のような尖塔と、城の至る所に髑髏の意匠が施された城は灰色の街と相まって不気味な雰囲気を醸し出している。

 ポレアはそもそも都市としての目的をもって建設された訳ではない、もちろんポレアに暮らす領民も少なからず存在はしているが、ポレアは都市の形をしたヴェルルギュリウス伯爵のアトリエと言ったほうが良い。
 ヴェルルギュリウス伯爵は[髑髏王]と呼ばれる髑髏の頭部を晒し髑髏を偏愛する屍者であり、そして屍体から新たな屍者を生み出す屍者創造の権威である。
 彼のアトリエであるポレアの至る所に目を凝らせば、そこには彼によって新たな生を授けられた作品達が領民の暮らしの中に紛れて存在しているのがわかるだろう。

 死徒精製・屍者創造の権威であるヴェルルギュリウス伯爵の作品、それは屍体を切り刻み繋ぎ合せて生み出される生ける工芸作品あり、そのインモラルな姿は我々の宗教観や倫理観を激しく刺激してくる。
 しかし、あえて誤解を恐れずに言わせてもらえれば、そうした作品群は狂喜に彩られた美とでも表現すべきか、決して万人に受け入れられるとは思えないが、このポレアの至るところで見受けられる伯爵の生み出したモノ達には、恐怖と共に見る者の心の根底にある何かを強く惹きつけるものがある、それは生と死や破壊と創造といったものを超越したもののように思えてならない。


  • 伯爵の欲求を満たすために作られた道具や工房のような。領地の様子は領主貴族の趣味趣向がそのまま出ている -- (名無しさん) 2014-09-09 01:52:38
  • 居住や生活とかけ離れた都市像とは面白い -- (名無しさん) 2014-09-27 00:24:03
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最終更新:2014年09月09日 01:50