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【渡るフェリーの金話】

日本、ポートアイランド発のミズハミシマ行き渡界フェリー。その中には日本国の出先機関の幾つかが整備されている。
出入国管理、戸籍申請、病原菌等検疫、自衛隊特殊部隊…そして【為替取扱】。
2000年に入り本格的に地球異世界間通貨規範が研究、取り決められることになり両世界の経済界識者から商業に携わる多くの者が協議を繰り返した。
その結果、各国の主要産業とその上下価値流通を地球での価値に照らし合わせ、かつ両国の経済バランスを崩さない為替レートの構築。
凡そ一定価値基準の見える地球とは違い価値観も生産力も特産特徴も大きく違う異世界の判断には当初難航が予想されたが、
異世界側の積極的かつ多大な協力のもとで速やかに大枠が出来上がっていった。
かくして未だ改善の余地を残しながらも異世界交流が盛んな国では両世界為替が施行されたのだ。
それまで異世界現地にて地球物産や貨幣に興味のある層とだけ成立していた第一段階取引も、為替が成立することで多方面多層に広がっていくことになった。

「頑強とハ言え、コの様な船に多くノ貨幣を乗せてオくとは豪胆デあルな」
恰幅のよい鮫風体の亜人が米一俵相当の袋に詰めた白蒼貝貨を貨幣テーブルに載せる。
大凡の概算による日本円額が表示窓に並んだところでぶっきらぼうな受付が強化ガラス越しに打診する。
「すいません。一日に為替可能な額は日本円で百万円なんですよ。約款にも書いてありますが、一応。
二日目以降に別所にある為替所窓口等で残りはお願いします」
「貝貨の枚数、確認完了。今回、限度額まで為替なさいますか?」
受付の隣で数千個はあったであろう貝貨をもう数えきったのは日除け帽を複眼の上に被った蜻蛉人。
「お願イしよウ。残りハ陸の方で当たッてミるとすル」
「どうもありがとうございます。良き旅を。
あと金札については御心配なく。金庫をこじ開ける前に暴徒が蒸発するか金庫だけを残して船が蒸発するかのどちらですので。
十中八九前者で間違いないでしょうが」
半分軽くなった貨袋と百万円の札束を受け取った鮫人は為替窓口を後にする。
数度目の日本入りではあるが、本格的に財を持ち込んでの活動は今回が初めてのようである。
「それは明日以降為替する分にゃ。丁重に扱うのにゃ、一枚たりとも落としたりとか駄目なのにゃ」
慣れてなさそうなスーツを着た猫人が居心地悪そうに何度も襟元を広げたり閉じたり。
その両脇には大層なジュラルミンケースを抱える大柄な人間男性と黒鬼人が立つ。
「おヤ、また会イましたナ。サバーニャ殿」
「これはこれはヴさん。この船ではよく会いますにゃ。また観光かなにかですかにゃ?」
「いエ、私も今回は商イでしテ」
「そうですかにゃー、これは私もうかうかしてられませんにゃ。
それにしてもこの為替限度額は早く引き上げて欲しいですにゃ。滞在日数や派遣員数がかさんでしまいますにゃ」
「地球トしてモ急速な商通は好しトしなイのでシょう。じっクり丁寧ニという事なノでしょウな。 それニ…」
「それに?」
「限度額ガ無けレば思いっキりの財を持チ込む気でしょウに」
「うーん、それ程でもないと思うんですにゃ。
…億円くらいにゃ?」
両脇に構える偉丈夫が眉間を抑えて目を瞑った。


  • 異世界人が本格的に商売を始めると金の流れや貯蓄バランスが大きく変動しそうだ -- (名無しさん) 2014-09-13 23:51:38
  • スーツ姿の猫人わむ。何を買いにいくんだろう異世界の商人 -- (名無しさん) 2014-09-20 01:09:14
  • 商売の場だと種族もなにも関係なしになるのだろうか -- (名無しさん) 2014-09-27 00:19:58
  • 関所が船に乗っかってるみたいな?金が集まるなら人も集まるかー -- (名無しさん) 2015-04-17 20:41:01
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最終更新:2014年09月10日 03:24