バーバルディア侯女領の西、長閑な牧草地と耕作地が広がり、銀の穂を実らせるリリムと、セパルと呼ばれる低木の植えられた耕作地の合間に石壁で囲まれた村落が疎らに広がる、そんな風景が広がるのがパルファンドゥール女伯爵領であり、その領都エッセスもまたそうした耕作地の合間にある石壁に囲まれた街である。
バーバルディア侯女領と同様にアトラ地方に属するこのパルファンドゥール女伯爵領も肥沃な土地に恵まれ農耕と牧畜そして紡績を主産業とし、特にタジャと呼ばれる芋類を食べさせて育てたラケルと呼ばれる家畜はパルファンドゥール領の名産品となっている。
ラケルを簡単に説明すると羊の毛を生やした豚である。
ラケルはパルファンドゥール女伯爵領の森辺に近い放牧地に放し飼いにされ、牧草地の草やタジャと呼ばれる森に自生する鈴なりに実る芋類を食べて丸々と成長する。
このラケルは優れた家畜であり、成長が早く、多産であり、その毛はまさに羊毛のようであり、肉は全身余すところなく使うことができ、特にタジャを食べて育ったラケルは非常に肉質が良い。
パルファンドゥール女伯爵領ではこのラケルを利用した料理や加工品が名物であり、ベーコンやソーセージなどの燻製はもちろんのこと秘伝の調味液に漬け込んで熟成させたラケルの壷漬け肉は高級食材として
スラヴィア内外に広く送り出されている。
温暖な地域の多いスラヴィアでもとくに温暖なアトラ地方ではラケルは年に二回毛刈りを行う、そうして刈られた毛は丁寧に洗浄され紡がれ毛糸となり、それらは各家庭で織られあるいは編まれて生地や紐となる。
またパルファンドゥール女伯爵領の耕作地ではセパルと呼ばれる低木が栽培され、これは通年を通して拳大のピスタチオのような実をつけ、これを収穫して乾燥させ火で軽く炙ることで硬い殻が弾け、中に詰まった綿花のような繊維を取り出して紡ぐことで細く丈夫なパセル糸が作られる。
こうした繊維製品は多くは隣接するバーバルディア侯女領へと送られパルファンドゥール女伯爵領の大きな収入となっている。
パルファンドゥール女伯爵領に足を向けるのであれば是非エッセスに立ち寄ってラケル料理に舌鼓を打つべきだろう、味付けは塩と香味野菜とハーブだけ、そんな素朴な調理法であるにも関わらず、いや、だからこそタジャをたらふく食べて育ったラケルの肉の美味さを実感できるはずだ。
美味いラケル料理と美味い地酒、それを機織りの音を聞きながら楽しむのも悪くないだろう。
- ラケル面白い異世界動物。パセルの使い方も意表を突いて楽しい。よく思いつくなーと感心するばかり -- (名無しさん) 2014-09-12 02:08:10
- 見た目を想像するととてものんびりしたもこもこの豚が浮かんだラケル -- (名無しさん) 2014-09-13 23:52:57
- 村落風景の中にラケルがのんびりはむはむしているのを想像したらすごい牧歌的 -- (名無しさん) 2014-09-20 01:11:59
- 地球とは一風変わった動物による畜産は興味がある -- (名無しさん) 2014-09-26 23:41:01
最終更新:2014年09月12日 02:05