【私メリー、今あなたの斜め前方から駆け寄ってケブラドーラコンヒーロー!】

キンコンカンとチャイムが鳴る
今日も今日とて授業開始直前にクラスに駆け込んできた私は自分の席に急いで座り込み鞄の中身を机に押し込む
朝に弱い私にとって遅刻しないというのはなかなか難しい
正直言って私は夜型生活の権化といっても過言ではないほどだ
自分で言っていて結構かっこ悪いと思う
でも割りと事実なのでしかたない
そんなわけで今日も私は自分の机で「ぐでーっ」とするわけだ
この学校に通い始めてから毎日こんなかんじである
「ねぇねぇメリー!」
とそんな私に声をかける女の子がいる
これもいつもの光景
私の一番の友達であるミサキちゃんだ
おしゃべり大好きな彼女は私に頻繁に話しかけてくる
正直どうでもいい話が大半なわけだけど、私もミサキちゃんの話を聞くのは嫌いじゃないのでめんどくさがらずにこやかに対応する
「どうしたの?ミサキちゃん」
「ねぇ聞いた?3丁目の路地の話!」
「なにそれ?」
どうせまた体重が増えただのニキビができただのといった話かと思いきや切り出されたのは全く心当たりのない話
もしかしてまた不審者か何かが出たのかな?
そう思って尋ねてみれば
「いやいや、もっとおっかないものだよ!大変だよ!」
とのこと一体全体何が起きたのか
朝で頭があまり回らないこともあってなかなか思いつかない
「大量の死体が転がってたとか?」
ぱっとおもいついたのがそんな答えなのは乙女としていかがなものかと思うけどしかたない
おっかないというヒントではそんなものしか思いつかなかったのだ
「・・・そこまで物騒ではないかな」
「なにひいてんのさ」
ちょっと物騒すぎたか、朝からいうことでもなかったかとちょっと反省
「で?実際のところは?」
「ユーレイだよユーレイ!」
ユーレイ?
「死んだ人の魂がどうとか呪いがどうとかっていう方のユーレイ?」
「ほかにどういう方のユーレイがあるのか聞きたいけどそっちのほうの幽霊だよ」
「そうかそうかー」
ふむふむなるほど
幽霊ですかそうですか
でもそれってさ
「目の前に似たようなのいると思うんだけど」
そう言って私は自分の顔を指さした




私はスラヴィアンである
名前はメリー
訳あって別世界の学校に通っている私はスラヴィアの貴族が作り出した生粋のアンデットであり
私の友人のミサキちゃんが怖い怖い言っている幽霊とも同じようなものだといえる
産地は違えど元は死んだ人だったというところは同じわけだし同じようなものと言っても不都合なかろう
たぶん
まぁそんなわけでスラヴィアンであるところの私と親しげに話せるようなミサキちゃんが幽霊程度怖がることもないとおもう
しかし当の本人はといえば
「いや、メリーはなんか違うし」
とのことである
なんか違うって何が?
まぁそんな感じのことをつらつらと考えながら授業を適当に聞き流す
歴史好きなおじいちゃん先生が「ばくまつ」がどうのこうの言っているけど
正直言って他国どころか世界すら違う国の歴史とか興味ないし
そんな感じでぼへーっと過ごしてたらいつの間にか放課後になっていた
最近すっかり日が短くなったせいで5時には外はもうずいぶん暗い
気温も低くなってきたらしく、いまだに夏服を着ている私はちょっと目立ってる
私は寒さとかかなりへっちゃらなので衣替え期間ギリギリまで夏服なのだ
動きやすいし
ミサキちゃんは部活に行ってしまうので私は帰るときには大体一人で下校している
朝もギリギリに登校するから一人なんだけど
そんなわけで一人で下校してるわけなんだけど、私の頭の中で気にかかっていることが一つ
そう、「3丁目の幽霊」である
幽霊、私のいた世界とは違う世界のスラヴィアン、のような何か
ちょっと興味を惹かれる
なにせこちらに来てから人間以外とは全くと言っていいほど会っていない
「ちょっと会ってみたいなぁ」
会ってみたい
会ってみて話したい
「太陽とか滅びればいいのに」とか言い合いたい
そんなわけで私の足は噂の路地へと向かっていくのであった




着きました

なにもいませんでした

……

くそっ!私の期待を裏切りやがって!
久しぶりに同類と会えると思ったのに!
ちょっとワクワクしてたのに!
はぁ
ちょっと泣きそうです

「おっおい、どうしたんだ?こんなところで」

見られてしまった
やっば!超恥ずかしい!
一人路地裏でグスグスしてるとこ見られた!
「いいえ何でもありません」
でもそんな内面は決して表に出さない出さないクールな私
うん、出してません
だから目とかそらさなくていいんですよ?そこの人
「あーそうか、悪かったな。急に声かけたりして」
と、ちょっと気まずそうにいう目撃者A
なぜか白い着物を着ている男性だ
私よりいくらか年上、かな?
「大丈夫です。心配してくれてありがとうございます」
と返す礼儀正しい私
さすがに幽霊探しに来たけどいなかったから泣いてましたとか言われても困るだろう
こちらの世界は浅いけどそのくらいは私にもわかる
「ええと、着物着てらっしゃいますけど今日この辺でお祭りでもあるんですか?」
ちょっと苦しいかもだけど話題をそらすことにする
この人も話しづらそうだしまぁ乗ってくれるだろう
「ん?いや、別に祭りってわけじゃないんだが」
「なにか着物関係のお仕事なんですか?」
「いや、俺な」
いいながら彼はすこしそらし気味だった目をまっすぐ私に向けて言った
「ここで死んだ幽霊なんだ」


「やった会えた」
「え?」
「あっいや」

後編へ続く


  • うんまぁ確かに幽霊ノットイコールスラヴィアン。テンポのよさと女子学生っぽいノリと口調に和むわむ。この後で題名がどう活きるのかどうか見守りたい -- (名無しさん) 2014-11-04 22:09:03
  • 文面でとくに書かれてないけど登場キャラの種族ってなんなんだろう?幽霊と言ってるけど幽霊じゃなさそう -- (名無しさん) 2014-11-05 13:37:02
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最終更新:2014年11月04日 22:06