風邪をひいた。
だから頭痛が酷い。
ズキズキとしてまったく止まない。
しかも
ミズハミシマに来てるから医者がいない。
宿の主人が心配して呼んだ魚人の医者とかまるで役に立たない。
火精霊を取りこみすぎて体が温から熱になってるとか意味がわからない。
陽気を減らす薬とか言って飲まされた水の苦い事と言ったら無い。
それで銅貨10枚とか馬鹿にするにもほどがある。
ああイライラする。
地球人の医者を呼ぼうにもなにぶん一人旅だし、宿の主人も先の医者を呼んだことでお役御免といった顔だ。
仕方がないので冒険者ギルドを使う事にする。
冒険者ギルドなんて言うとRの頭文字のつくゲームのようだけど、実際MMOモンガーの道楽成金が異世界にカネをうならせて作ったとの話だ。
ギャグで作ったギャグ組織が実をもって機能してしまったという酷いギャグなのだ。
それはそうとして冒険者ギルドに依頼を出す事にする。
宿屋で丁稚奉公をしている10歳ほどの魚人の坊主を呼び依頼書を届けさせることにした。
(何が面倒ってこの坊主が俺が地球人と言う事を理解できない事だ)
銅貨を3枚ほど握らせ、帰りは寄り道していいという契約の元、丁稚はギルドに向かった。
それが30分ほど前だろうか。
ゴツゴツと小気味悪い音を鳴らしてドアがノックされた。
「どぶずぉ」
鼻水が酷く、どうぞとすら言えない自分の健康状態にウンザリする。
ガチャリとドアが開いて巨大な革のバッグが部屋に入ってきた。
「医者でーす」
革のバッグがしゃべったのかと思ったがそうではなかった。
バッグの後ろに小人族が居た。
しかし
ドワーフ、ノーム、ホビット、
ゴブリン、どれでもなさそうだ。
強いて言うならノームのようにも見えるが・・・
「始めまして。ナハノッテルハミネと申します。
ギルドの依頼で来ましたけども」
「帰っでぐだざい」
「・・・え?えーと医者ですけども。
ほら、聴診器ですけども」
ナハ、何?覚えられないはバッグから聴診器を持ち出した。
「用があるのは地球人の医者だ。
お前は一体何なんだ」
実際にはノドが潰れてゲホゲホになりながら言った
「レプラコーンの医者ですけども。
十津那学園医学部卒業ですけども」
そう言うとレプ、何?覚えられない・・・はブカブカの白衣をバッグから引っ張り出した。
「さあ、まかせていただきますけども」
診察はまともだった。
「いわゆるストレスによる疲労からくる体調不良で、
精霊脈の流れが悪くなってるから火精霊が滞ってますので、
リンパ節に腫れが見られますので風邪症状が出ていますので、
陽精散を水に溶いたものを飲んでも治るのは治りますのですが、
地球人向けの漢方をこれから処方しますので」
ナなんとかはそう言うとバッグから薬箪笥をドンと引っ張り出して、
何かの種や乾燥した葉っぱや得体のしれない何かを秤にかけながら、
あっという間に薬を処方して煎じ始めた。
「大丈夫です。最終的には甘いミルクティーになりますので」
それは助かる。
なるほど宿の部屋中になにやら甘い香りがただよいはじめた。
甘く温かいミルクティーを飲んでいると少しリラックスしたのか頭痛も引いていった。
「ところでこのミルクってウシじゃないよな。何の乳なんだ」
「ステナンゴです」
「何?」
「乳はステナンゴです」
恐ろしい事実を知ってしまいそうなのでこれ以上は詮索しないことにした。
体調が良くなり気が抜けたのか、その後すぐに俺は睡魔に襲われた。
目を覚ましてベッド脇を見ると「診療代銀貨3枚」とあった。
高ぇよ。
でもまあ治った事には感謝しなければならないか。
俺はさしあたって、魚人の坊主にギルドまで使いをするよう声をかけた。
- 大きな強そうな異種族が注目されやすいけど小さな種族も異世界ではちゃんと生活しているんだよね。はたから見るとふわふわな髪の毛が歩いているような感じだろうか面白い -- (名無しさん) 2016-11-03 07:19:51
- ステナンゴ気になる…地球の金持ちが異世界でどこまでのことができるのかは知りたいな -- (名無しさん) 2016-11-04 18:32:37
最終更新:2016年11月05日 22:00