オルニトの空に浮かぶ数々の浮遊島は地球に住む者からすれば何所もかしこも不思議な観光スポット。
そんなスポットの一つを目指してオルニトゲートから一番近い村にやってきた。
オルニトでは鳥人の籠に運んでもらうのも、鳥人が操る大鳥などに運んでもらうのも総じて鳥タクと呼ばれている
オルニトでは空が開けている場所にはそんな鳥タクの駅になっていることが多いのだ
「オルニト大神殿に行きたいのですが、運んでもらってよろしいでしょうか?」
客待ちをしている屈強な禿鷹人二人に頼むとこれまた屈強な爪を振って返された。
「はっはっは!お客さん、あそこに行くのは俺らにゃちょいと厳しいな。体力のある荷鳥のタクに頼むかもう二駅乗り継いで向かうしかしないと」
「真っ直ぐ飛んで行けたら俺達でも運べるんだけどね。ちょいと迂回しないといけないんだ。なので鳥人籠には厳しいんだよ」
飛んで近付くと分かるよ。という彼らのアドバイスを受けて改めて鳥タクを探す。
好奇心を刺激されたためかすぐにでも確かめたいので四翼を持つ厳めしい風体の大鳥タクに乗ることにした。
「お客さーん、ほら見えてきたべー。あれを迂回しないといかんから距離が遠くなってるんべさー」
手綱を繰る梟人が頭だけを真後ろに回して案内してくれる。ぎょっとする。
ゆるやかに進行方向を斜めにしていく中でそれは見えた。
地上と浮遊島を結ぶきらめく青、水の帯
物理法則に逆らって空へと流れる滝
「風神様の仕業なんだろなー、滝壺から島に向かって水が流れてるんだー。あそこら辺は風精霊も気流もあべこべに動いてるんだべ。
近付くとどこに飛んでいっちまうか分からんのよー」
精霊の力ではそれをずっと実現するのは難しい現象も神の力では容易いことなのだろうか。
噂では
ハピカトルの雲が千切れて滝壺に落ちたとか嵐に引っ掛かった浮遊島が神の雨を強く染み込ませたとか言われているが、本当のところは誰にも分からないという。
「お、島から虹が降りてきてるべ。お客さんー面白いものが拝めるべー」
滝の昇りつく浮遊島から飛沫が巻き起こり、それは地上へと虹を伸ばす
それは島にある湖が溢れたという合図でもある
そして湖はまた不可思議な力によって満たした水を滝壺へと一気に流し落とすのだ
浮遊島から伸びる二筋の水の帯は無数の虹を生み出す。それがどこまでも透き通る青空に映えてとても素晴らしい。
自分が大神殿を目指しているのも忘れ、暫しその異世界ならではの風景に見入っていた。