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【エアフォース】



「うぅん!もうアタシ頑張っちゃうから! えいっえいっえいっ!」
ランタンの中をぐるぐると炎が渦巻くと、それらは硝子から溢れ出、真紅のベールとなり黒甲殻の後ろ半分を覆う。
「燃焼効率の増加を確認。 速度増加のまま対象の脇を抜けマス」
 ドドンッッ ゴッオンッッ
遠方より突撃してくる黒い存在を察知したのか、風喰い斑が踵を返すのと同時に衝撃と交錯。
突如金切り声をあげて空中で無秩序に飛び回る、激しく脇を抉られた風喰い斑。切り彫られた三本の深い溝から緑の体液を振り散ばす。
澄ましたように鷲爪を備えた脚部を格納する円錐は、もう片方の鷲爪が握っている縄で空を舞う少年を絡めとると皆が対比する樹木へと強硬着陸を敢行する。
「「ヨイチ!シズカ!」」
ターダブとツグンノが少年を受け止めるのを確認すると、ヨイチと呼ばれた円錐は空気を一噴きし体勢を反転する。
少年へと飛んで行こうとしたランタンをしっかと掴み取るやいなや即座に飛び立った。
「再度強突撃を行い脅威を排除しマス。 再度の過熱を要請しマス」
「あーんもう折角胸に飛び込もうとしたのにー! 待っててね、すーぐ終わらせてくるから!」
 ズドンッ ッキィィィィイインッッ
0から100まで一瞬で加速しきる黒鋼の甲殻、鏃。 対して皆に向かって飛ぶと同時に斑八枚羽を震わせ制空権を掴もうとする風喰い斑。
しかしその力は風精霊の加護により飛行するものには絶大な影響力を行使できるが、自力での空気体内圧縮噴射による飛行を行う蟲人には空域の風抵抗が少し増した程度であった。
相性の悪さに気付き逃走へと意思をきった風喰い斑は、既に体躯を貫かれ空に臓腑をを巻き散らした。
そのまま遠くを旋回し反転し帰還。
「あっ…倒的じゃないですか?!そもそもなんなんですか?!」
「二人は蟲人のヨイチと火精霊のシズカです。頼りになる者達でしょう?」
ランタンに入ったまま少年の肩に乗っかる火精霊は分かるとして、ひょこっと出た二本足で立ってるステルス戦闘機は一体…。
私の疑問を察知したのか、戦闘機の頭頂…というかコクピットがありそうな場所から折り畳まれていた触角が二本伸びてこっちを指す。
「私と初めて会った人は皆不思議そうな顔をしマス。 私は対浮遊島突撃空弾兵四一型、生産番号は忘失していマス」
「かつての大戦(おおいくさ)で空浮く島に向かって飛んだ後に不思議な光に包まれ、気が付けば土石に埋まり活動を停止したとのこと。
私が岩屋の中で発見し掘り起こすと再び動き出したというのです」
「へぇー昔の蟲人さんなんですか、凄いなぁ」
一同が揃った辺りから徐々に龍の大地が反転を始める。天が地に、地が天に流転し正常な風景に戻ったのである。
足元に立つ場所があるってこんなにも幸せだったんだという変な実感。
一息ついたところでぐるり皆を見渡してみる。
 人間の少年 亀人の偉丈夫 グリフォンのいないグライフリッターのドワーフ 飛空船のない空賊のゴブリン 弾道兵器然とした蟲人 ランタンの中の火精霊
そして空を飛ぶ翼の無い鳥人。
異世界にも奇妙な面々と、とっても非日常なイベントの連続に心が躍らずにはいられない。
「ところで皆さんはこんな場所で何をしてるんですか?」
当然の疑問がやっとのこと喉から出た。
少年に助けられたので共をするというのが大体の意見であり、その少年は「声」に呼ばれて龍の頭部分になっている山を目指しているのだという。
肝心要の少年はこの地で目覚めるまでの記憶のほとんどがなく、本能の様に備わった体術と刀術、背負っていた太刀で獰猛な生物闊歩する中で生き延びていたのだ。
「うちも一緒について行ってもいいですか?」
出発の支度をする彼らには予想していた言葉だったのか、顔を見合わせ笑って頷くのだった。
「主が認めるのならば我らはそれに従うのみ。という堅苦しい言葉はこの様な摩訶不思議な地では無用ですな。 旅は道連れ、縁は奇なもの」
「ありがとうございます! うち、川瀬、川瀬 翠です、よろしく!」


一難無事に去りて奇妙な一同と一緒に龍の頭を目指すことになった川瀬の運命は?!
次回へ続く!

  • ドラゴンが反転している=落下即ゲームオーバーなんだろうけど空飛べるというのは強いな異世界 -- (名無しさん) 2017-11-23 22:53:55
  • 蟲人のスペック高い上に知能持ちで強ええな -- (名無しさん) 2017-11-28 23:08:00
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最終更新:2017年11月23日 00:28