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【レツラゴー!駆ける!】

昔々、星騎士にまでなったラタにより平穏が訪れた城塞都市ラタであったが、立地、施設、人々の意識などにおいて重要とされるためにその後の歴史の中でも激しい戦いの渦中に陥ることも珍しくはなかった。
星教会の威光と影響もまだ小さかった頃に起こった【星の争奪戦】。かつてラタが身に纏い数多くの戦いを駆け抜けた武具、それは星遺物。
ラタの亡き後もそれらが発するオーラは覇権を目指すものには大きすぎる魅力であった。
東西衝突のどさくさに紛れて他国からの勢力も乱入した一大争奪戦は苛烈を極め、星教会と氏族の守る天導院は風前の灯火であり、星遺物は遂に院の最も高い屋根の上まで退避することとなった。
その使用については適性や資質が必要とされるが、それでも平和を願わぬ者の手に渡ればどのような事になるのか想像も出来ない。
院の皆が遂に天の星へ遺物の避難を願うほどにまで窮地になったその時、城塞の防壁の頂より一迅の風が吹いたのだ。
イストモス全土を修行の場とする星巡りの最中であったシスター見習いのケンタウロス
騎士の家ながら兄弟姉妹の末であることから星教会に預けられた彼女には仕える十人の従者がいた。
狗人と他獣人からなる十従士達は混乱のラタ城塞に潜入し各自が工作を行い一筋の、誰にも分からぬ【道】を作ったのである。
防壁から大木と大木を繋ぐ太縄、兵舎の板屋根を鉄板で補強した上、屋根骨に飛び出す凹凸を削り平らな細道は走るに易く、飛び降りるに適した藁塊から駆け上がるによい高さに積まれた荷物の崖。
ありとあらゆるが彼女の駆け抜ける【道】となり、疾風は迷いなく天導院へと吹き抜けた。
幾つもの逸話を残すラタ城塞の中でも特に有名な【天導院の直壁登り】は、最後に彼女が院の外壁を駆け登ったものである。
その後、見事星遺物を託された彼女は仮星騎士となり多くの兵が戦う中を颯爽と駆け、数年の間城塞の外へと星遺物を持ち出し守ったという。

此度、その逸話に習いラタの外殻防壁の外から走者が一斉に走り出し中央の天導院の頂上へと至る競争が行われるという。
ゲート祭の始まりより一週間の準備期間で各々が道程を錯誤し一番の到着を目指し、栄光を掴むのだ。
しかし、最後の最後に最大の障壁、テミランの星巫女となったラタが走者の間に立ちはだかるのだ。
競技の名は【誰彼の上を駆け抜ける者】、【レツラゴー】となった。
勝利すれば世界中に評判が轟くこと間違いなし。挑戦者達が続々とラタの祭りの喧噪の裏で集結していくのだった。

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最終更新:2018年06月06日 00:38