2月14日。 交流特区ポートアイランド内十津那大学。
「瑪瑙君、瑪瑙君。これ義理だけどバレンタインチョコあげる!」
特に知り合いというわけではないが講義で何度か一緒になった女学生が差し出す何処にでも売っているチョコ。
「おう、ありがとうな!冒険で渡せそうなものがゲットできたならホワイトデーに渡すわ」
「メノー!先生が待ってくれてるんだから早く行かないと!」
使用感のあるジャンパーの袖を両手で引っ張る干し草色の髪の
エルフ。
「ちょっ、そんなに慌てなくても良いだろイスズ。今日中に課題を渡せばokなんだぜ?」
「ぐぇへへへ。ごっつぁんです。お返しなんて気にしなくていいからねー。御馳走様ー」
講義単位知るかそんなもん状態で異世界冒険家三昧の瑪瑙が一応大学生をやっていけているのは、冒険の報告如何が学修内容として認められているからである。
学内で見かけることは少ないが、野性味ある青年と華奢で青年と少年の境界線にいるような
エルフのツーショットは『そっち方面』の人々には人気があるという。
今年のバレンタインでも瑪瑙にチョコ渡す→イスズがむくれるというムーヴを眺め撮影するために何人もの刺客がチョコを持ってくるのであった。
「瑪瑙はほいほいとチョコ受け取りすぎじゃない?からかわれてるだけなのにさ」
「おいおい、チョコってのはエネ効率良い食い物なんだぞ?暑いとこには持ってけないけどよ」
「それにしたって、その量は食べきる前に虫歯になっちゃうよ」
「んーまぁ半分くらいアリョーシャのお土産に渡すか」
気が付けばもう大学を後にして帰路の途中。
今年もイスズは瑪瑙にチョコを渡すことはできなさそうである。
(…夕食に砕いて混ぜようかな、これ)
バレンタインSSS
最終更新:2020年02月15日 03:53