【可能性は気付かない】

ベルマ「…これでも違和感が残るなんて」
ラ・ムールに広がる砂漠にあるオアシスの一つ。それに寄り添うように広がる街『ディセト・カリマ』。その中にありて異世界でも名立たる娼館『砂漠の薔薇』。
広い館内の一角、修練場にてダークエルフが一人剣を振るい舞う。
必要最低限の布だけを纏い力強く軽やかな剣舞であったが、当の本人は何故か納得していないようだ。
ブレア「微々たるものだが、体幹にずれが見受けられるが…どうしても気になるのなら医者に診てもらったらどうだ?」
娼館の主の懐刀にしてベルマと同じ氏族出の闘士は、隻眼だが鋭い眼光で彼女の動きを分析した。
武器である長短の剣が形悪くなったのかと鍛冶に見てもらい研いでももらったが異常はなかった。
衣がやつれ擦れ重みが変わったのかと針に繕ってもらったがおかしいところはなかった。
そうなるともうここは躊躇いも不安もあるが医力は確かな、『藪医者』に診てもらうしかないだろう。
ディセトの地下、彼の者の巣である阿片窟へと向かう足取りはやや重たい。

ネビオラ「…で、不調を感じたのはいつ頃からだねィ?」
ベルマ「ここ数週間かしら」
いつもの体が調整中のため、見た目は蜘蛛人の少女な医療活動用軽量体で応対するネビオラ。
肉体を看破する数対の眼はしげしげとベルマを見診した後に若干歪んだ。
ネビオラ「希望は決して捨てはしないが延々と続く現状維持が心理に与える影響、ということなのかねィ。 …ここは祝辞の一つも贈れば良いのか…」
ベルマ「回りくどいのはやめて結論を頂戴。 外へ出向いている半数を除く私達で街を護らなければいけないの。お喋りしている時間は無いわ」
何とも情緒の無い返しに呆れた体を見せるネビオラは、机上にある紙に文言を殴り書いて拡げ見せる。
ネビオラ「祝!御懐妊!」
藪医者の素っ頓狂な声が響いた後にベルマの何処から出たのか分からぬ驚愕の一叫が響くまで、数分の間が空いた。


ベルマの懐妊発覚を想像

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最終更新:2020年06月07日 12:26