【ドワーフは岩を食べる!?】

クルスベルグからグーテンターク

ドイツ新聞Berliner Morgenpost クルスベルグ駐在記者 ヨハン・ゲーレン発

第9回 『ドワーフは岩を食べる!?』

みなさんこんにちは。
今回も前回に引き続き編集部経由で私のところに来たこのコラムの読者の方からビックリする話が届いたのでこの話をしようかと思います。(自分でコラムのネタを考えなくていいから楽だなとか思ってたりしませんよ?しませんよ?)
まずはその質問者さんの話から御紹介。

『ヨハン・ゲーレンさんこんにちは、コラム大変面白く読ませてもらっています。そこで質問なのですが、ドワーフは岩を食べるのですか?クルスベルグに行ったことのある知り合いが酒場でドワーフがお酒と一緒に岩や石炭を食べていたという話をしていました。そんなバカな!?と思うのですが異世界の人類とは異なる種族であるドワーフならもしかして……とも思ったりもします。実際ドワーフは岩を食べたりするのでしょうか?』

なるほど、ファンタジーとしてのドワーフの話の中には岩を食べるというものもありますから、このことで質問されたのかもしれませんね。
結論から言うとドワーフは岩は食べません。
しかし、これだけでは素っ気ないのでもう少し話を掘り下げてみましょう。
ドワーフはたしかに岩をガリゴリ噛み砕けそうなほど頑丈な顎と歯をもっています。しかし、本当に岩を噛み砕いて食べてしまうなんていうことはしません。
しかし、この質問者さんのお知り合いがそう間違えたであろう光景は大体想像ができます。
そのヒントとなったのはその知り合いが酒場でその光景を見たということ、ここで私はピンときました。
クルスベルグのドワーフ達は酒場でお酒を飲みながらわりと良く食べるものがあります。それはキニエという黒砂糖をドロドロに煮詰めたものにナッツや穀類などを混ぜて板状に固め、それをハンマーで砕いたとても固いお菓子です。それを甘党のドワーフはよくガリゴリ噛み砕きながらエールを飲んだりします。
おそらく石炭に間違えたのはこのキニエのほうでしょう、これは正直はじめて見る人なら食べ物だとは思えないくらい石炭によく似ています(味もものすごく甘いので甘党の人でも一欠片で充分というでしょう)
そして岩のほうですがこれは簡単岩塩でしょう。クルスベルグの鉱山ではよく岩塩の層が現れることがあり、鉱山で仕事に従事する工夫のドワーフはこの岩塩を採掘し、塊で持ち歩いては塩分補給でそのままその岩塩の塊を齧ったりするのです。
そして、仕事帰りの酒場ではお酒を飲みながらその味に変化をつけるために岩塩を齧ったりする光景がよく見られます。
これで今後クルスベルグの酒場でドワーフが岩を食べているようにしか見えない光景に遭遇してもこのコラムを読者の方は驚かずに済むはずですね。
ちなみに私の周囲での統計ですがドワーフはエール派が多くノームはウィスキー派が多いようでいずれお酒にまつわる話もしてみたいですね。
今後もこんな話をして欲しいという読者の皆さんからの質問にもドンドン答えていきたいので質問お待ちしています。
それでは皆さんまた次回

Berliner Morgenpost ネット配信版 20011年8月20日号より


  • 思わず題名から「日本人はハラキリニンジャ」と同じ様な空気を感じた。 文章の組み立て方が本当にコラムを読んでいる気になる上手さとドワーフの超甘党っぷりの意外さに、ちょっと今度はキニエがこわい -- (名無しさん) 2013-07-13 21:33:49
  • ドワーフが甘党というのを想像して思わず笑ってしまいました。肉体労働と岩塩かじりも理に叶っていて納得。優しい口調の記事作りの形が和みます -- (名無しさん) 2013-09-23 18:14:26
  • 酒のツマミは辛いものというイメージがあったのでこれは意外なドワーフのつまみ -- (名無しさん) 2017-03-15 16:41:58
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最終更新:2014年04月02日 14:45