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【停止領域】

「こちとら熊の宿敵の蜂が味方についてんでい! 勝てぬ道理がねーってもんだ!」

 不敵に笑いながら六義は体中の発射口から、アモルファス・カーボニア弾を散発的に撃つ。輪ゴムなどというダミー攻撃が無い分、攻撃に隙がない。
 しかしウーススも然る者。急所を腕で庇いながらジリジリと間合いを詰め、強烈な一撃を六義に放つ。
 有効な攻撃が無い六義は、苦々しい思いで間合いを取る。

 ウーススの大ぶりな攻撃は六義を捉える事が出来ない。六義は持ち前の反射神経と体術で、なんなくそれらを躱す。
 一方の六義にも有効打無い。アモルファス・カーボニアではウーススの強靭な毛皮と筋肉を撃ち抜くことはできない。虎の子のムカデ砲も一発限りだ。

 しかし六義には手がまだあった。

 射程距離が短いからこそ有効な攻撃手段。近距離故に接近戦を挑もうとする敵がいる事を想定した零距離での攻撃。

 左肘にはムカデ砲。右肘には大型のアモルファス・カーボニアの槍。
 ムカデ砲の様に飛ばす事は出来ないが、槍は僅か三十センチしか打ち出されない。しかし、その三十センチだけ突き出された槍に、対象自らが飛び込んできたとしたら? 近距離攻撃の為に全体重をかけて覆いかぶさってきたとしたら?

 そのタイミングに合わせて槍が爆発的な速度で突き出されたとしたら?

 ウーススの体重は重い。しかも上背のある彼が爪で攻撃するということは、身を乗り出して振りかぶる事になる。まさに槍を突き立てるに都合がいい。

 ぎりぎりで追い詰められるように躱しながら、六儀は攻撃のタイミングを図る。やがてウーススが付き込みながら爪を繰り出した。
 六義はすかさず掻い潜り、右肘を突き出して覆いかぶさるウーススへと槍を撃ち出す。アモルファス・カーボニアの槍が周囲の水分を蒸気に変えて霧を纏う。

「蜂公の言う通りだな」
 ウーススは六儀の手を読んでいた。
 いや、ドミヌラは六義の手を読み切っていた。
 射程距離を伸ばせないのならば、無理に間合いを遠くにせず切り札はさらに短い距離に仕込む。と……。
 まさに熊に宿敵である蜂が味方すれば敵は居ない。

 掻い潜ったはずの六儀は、床を転がっていた。
 何がおこったのか分からない六儀は、一瞬だけ天井を仰いだが、すぐさま身を跳ね上げて起き上がる。が、フラフラと膝から力が抜けた。

 六儀の膝には、ドミヌラの毒針が突き刺さっている。毒が既に足に回っているらしく、神経が麻痺してバランスを取ることができない。

 誘っておきながら誘われたのは六儀であった。

 ウーススが大振りで爪を付き込んだ攻撃は誘いであり、実は同じ側の足も同時に振り上げていた。攻撃に合わせて倒れるように前へ身体を傾け、同時に攻撃した腕側の足で蹴る


 一撃目を外せば二撃目はない。
 だが攻撃を掻い潜ろうとする六儀にとっては、いきなりウーススの蹴りが飛んできた事になる、
 さらにその蹴り足には器用に足の指で掴んだドミヌラの針が仕込まれていた。

 六義は蹴り飛ばされてアモルファス・カーボニアの槍は宙を突き、しかも致命的な毒針をカウンターで貰ったのだ。

 もがき苦しむ六義の全身から、アモルファス・カーボニアが一斉に放射された。すべてが気体となり、冷気に反応した空中の水分が蒸気となって彼の身体を覆う。
 二酸化炭素と蒸気に包まれながら、ひゅーと最後の一息を吐き出すと、六義は天を仰ぎながら琥珀色の溶解液の中へと倒れ込んでいく。
 溶解液は不思議と、六義を受け入れるかのように波も水飛沫もあげない。

 ドミヌラの毒もそうだが、あの溶解液の中に落ちては助かるはずもない。
 ウーススは血だらけの身体を休めるため、手近なテーブルに腰を降ろした。

 成り行きを見ていたマヌなんとかは、ユーディコッツ所長を抱えて六義の落ちたプールを覗き込む。
 溶けてしまったのだろうか?
 六儀の姿も形も見えない。

 ――Dahlia――

 ネームプレートの様に、プールの端にはそう書かれてあった。

*


 * *

 「シテさん!」

 宗徳の悲痛な叫びが室内に響いた。

 さんさんと降り注ぐ擬似太陽の明かり。その中心でシテはエルフの少女に捕らわれていた。
 エルフの少女は足元から蔦を生やしており、室内に繁茂する植物はすべて彼女に繋がっている。

 植物の特性を埋め込まれた少女は、地面だけでなく動物まで絡み取り根を張る貪欲な植物個体と化していた。
 シテの皮膚を裂き筋肉を割り血肉を吸い、服に潜り込みながら侵食していく。宗徳は慌てて助けようとするが、そもそも床に蔓延る蔦の中に分け入る事ができない。

 シテは何故か無抵抗でエルフの少女を見つめていた。

「わらわ以外ならばただ吸われたであろうが……。すまぬな。妹を救わねばならぬ。汝にもしもの事あらば許せよ」
 十分に絡まり付いたところで、シテは微弱な電気を角から放ち身を被った。

 強力な電撃では自らの身がもたない。かといって微弱な電撃では蔦を傷つけることは出来ない。
「とつくにの学び舎にて知り得たが……。科学とは面妖よのう」

 シテが呟き終えたとき、エルフの少女と蔦に変化が起きる。
 エルフの少女は動悸が激しくなり、ガクガクを身を震わし始めた。蔦は葉の外輪が茶色く変色して蔦も黒い線が浮かび上がる。

「シ、シテさん? いったい何を?」
 宗徳は枯れていく足元の蔦を払いながらシテの元に駆け寄る。
「わらわの骨は、あるみにうむ合金とやらで出来ているらしい」
「……アルミ合金? 電撃? アルミニウムイオンの植物成長阻害作用か! 凄いですよ!」
 割と化学に詳しい宗徳は、シテの行なった化学的反撃に感嘆した。

 シテは痙攣するエルフの少女を抱き寄せ、顔を覆うヘルメットをはぎ取ろうとした。

『おっと、それを取ると死んでしまいますよ』
 室内に何者かの声が響く。
「何奴!?」
『管理者とでも名乗りましょう。それよりそのエルフで最後の実験です。ああ、助けるためですよ。アルミニウムイオンによる植物の劇症反応を、切り離せるかどうか実験です。うまくいけば助かりますよ』
「……信じろと?」
『目的の為に攻撃してきたエルフに反撃する方に言われても困りますがね……。どちらにせよ、そのままでは彼女は死にます』

 信じる以外ない。
 シテは自分の所業が多少関わっている負い目から、室内スピーカーの声の主を信じるしかない。
 エルフの少女の涎をハンカチで拭いながら、「致し方あるまい」と頷く。

 と、少女の頭を覆うヘルメットからいくつもの作動音がなり、フラッシュ注射で薬剤が投入される。
 一際大きな悲鳴を少女は上げ、ガクリと力が抜ける。あまりの反応にシテは慌てたが、すぐに少女の動悸が収まって顔色が良くなるのを見て安心した。

『ほう。分離酵素がここまで早く効き目が出るとは。エルフ自体の防衛反応で植物因子の切り離しが促進された……ようですね。ふむ、いいデータです』
「……ぬしは」
 シテは宗徳の目があることも幅からず、フード付きトレーナーを脱いでエルフの少女に着せた。
 豊かな胸を包む白いブラを見て、一瞬宗徳の目の色が変わったが空気を読んで素知らぬ振りをした。

「ぬしは何奴?」
 再びの問いかけに、声の主も丁寧に答えた。

『私はワイズ・ツールマン。賢い科学の道具……といったところでしょうか?」


*


 * *

 研究所内で孤立したアニーは、手当たりしだいに警報やら警備システムを反応させた挙句に「困ったら原点に戻る」という格言をなんとなく思いついて実行した。

 しかし玄関ホールに戻ろうとして戻れない。仕方無いのでアニーはガラスを叩き割って外へ出る。まったく原点に戻っていない。
 警報がなったが今更些細な事と慣れてしまったアニーは平然と彷徨く。

 スラヴィアンにとって暗闇は慣れ親しんだもので、夜の外を歩くには困らない。先を見れば施設のシャッターが開き始めているのが見えた。アニーは別ルートでの侵入も一つの手だと思いつき、シャッターに向かって走り出した。シャッターが開ききった頃、たどり着いたアニーは無用心にもそこに飛び出す!


 アニーは20トントラックに撥ねられた!


 ガン! ボッガガガリガリッ! ガッコン……ザーァーーガッ……コン!

 明らかに危険な音が施設ガレージ内に響きわたる。
「止めさい!」
 トラックの運転手はブレインロックで動きが固まり、助手席にいる男が代わりにブレーキーを踏んでやっと制動がかかる。
「あー、痛ーのや」
 助手席の男は急ブレーキで軽く首に痛みを感じ、右肩を回した。彼は『電気屋』と呼ばれるシュラインから送り込まれた護衛である。
 いくら襲撃者とはいえ、人間大を車に巻き込んでは走行に支障が出る。運転手は「ママー……ディス、キルドマン……」などと呆然としているので、エンジンをかけさせたまま電気屋は確認の為に車から降りた。

 電気屋は些か異様な姿をしていた。
 頭にボンベのような物がリング状に配置されたヘッドギアを被り、そこからワイヤーが柳のように垂れている。それらは彼の全身を膝まで覆い、まるでフラフラした鳥かごを頭から被っているかのようだ。
 チャリチャリとワイヤーを鳴らしながら、トラックのシャーシや足回りを確認する。人間まるまるシャフトに巻き込んでいたら走る事もままならない。
「死体が巻いたまま走-と、ケツがムズ痒くなるっちゃ」
 電器屋が仙台弁を呟きながら右後方の車輪を確認した時、ボロボロのアニーが車の影から這い出してきた。

「うー……。車に轢かれるのもこれで五回目よ」
 多いな。
 電器屋は突っ込もう思ったが、襲撃者が元気でいるならば即座に沈黙させなくてはならない。すぐさま攻撃に移るため、電器屋はすっと身を屈めた。
 ワイヤーが床に付いてから、電気屋は棘の突いた球をアニーに投げつけた。

 バン! ババン!

 と、短い電撃がガレージ内のいたるところから発生し、アニーに襲い掛かる。
「アギャギャギャギャ!」
 アニーはボロボロの身体で踊るように感電すると、バタリとその場に倒れこんだ。

 電気屋は施設内のコンセントに放電用の機械を取り付け、避雷針でもある球に電撃を遠隔操作で打ち込む攻撃方法を取った。もちろん電撃は思いのほか制御が難しい。電圧の調整や放電の負荷を電源にかけないシステムはコンセントに取り付けた機械が行っているが、狙ったところに打ち込むのは無理と言ってよい。
 投げつけた棘付きの球とて、そこ向かって電撃が飛んでいくときに巻き込まれる恐れがある。

 そこで彼が纏う鳥かごである。倉庫内に広がる放電が電気屋を襲っても、地面へと誘電するアースとなっている。
 しかも……。

「お前やー、スラヴィアンだっちゃ?」

 電気屋は電撃を受けながらノロノロと立ち上がろうとするアニーに問いかける。
「うー……。人生で電撃は三度目よ……」
「多いなや……」
 柳のように垂れるワイヤーの一本を、グリースガンのような銃に差し込むとアニー目掛けて打ち出した。ふらつくアニーの足りない胸に、トンと伸びたワイヤーが突き刺さる。

「これはドドメさー」
 ババンと電気屋のヘッドギアが放電し、ワイヤーを通じてアニーへと電撃が放たれた。アニーは今度は悲鳴も上げず、ビクンと痙攣させて倒れる。
 少々燻りながらアニーはピクリとも動かなくなった。

 電気屋は黒煙を立てる自分のヘッドギアのボンベを一つもぎ取って捨てた。ボンベはコンデサであり、さきほどの電撃を受けて溜めた電力を無理に放出したため壊れたのだ。
 倉庫内への電撃は攻撃と自分の武器へのチャージを兼ねている。
「さあ出発さい」

 電気屋はそろそろ運転手が冷静さを取り戻したと思い、声を掛ける。車も帯電しているようなので触れる事ができないので、ヘッドギアの無線越しである。
「させない!」

 さきほどの電気屋が放った二度の電撃とは比べ物にならない電撃が襲いかかる。
 電気屋の鳥篭が、その恐ろしい威力の電撃から守った。
「誰さ!」

 グリースガンにワイヤーをセットしながら倉庫内壁に立つ人影に問いかける。
 上半身ブラ姿のシテが二階から飛び降りるところだった。
 着地を狙い電気屋は銃を打ち込むが、距離がありすぎたためシテにかわされる。ワイヤーの射出速度は大分遅いため、遠ければ目視でも十分に避ける事が出来る。

 外れたワイヤーは倉庫の壁に当たり、無駄な電撃を放って電気屋のヘッドギアのコンデンサがまた一つ火を吹く。

 スラヴィアンの相手をしていて追いつかれてしまったと悔しがりながら、電気屋は慌ててコンデンサをもぎり捨て、倉庫内のコンセントを利用した電撃を準備する。今度はシテ狙いではない。自分へ帯電させるためである。

 屋内に電撃の網が走り回り、シテと電気屋、ついでにアニーを狙って落ちる。
 シテもまた角で避雷し、神通力を溜めることなく次弾の電気を得る。神通力の電撃よりは大分弱いが、時間がかからないのはメリットだ。アニーはなんの対策も無く倒れているので、追い打ちに身体をビクンとさせてまた動かなくなった。
 また電気屋もコンデンサに電気を溜め終えたようだが、電撃の打ち合いは不利と誘ったのか近くの単相200Vのコンセントに駆け寄ってヘッドギアからのコードで直結させた。

 電気屋の周りの空気がヒュヒュっと悲鳴を上げた。電気屋の纏うワイヤーが熱せられ、赤く焼けた匂いを周囲に放った。
 ワイヤーに触れた研究施設の樹脂製ボックスが、ヒュッと切断される。 

「グ○のヒート○イヤーかよ!」
 恐る恐る覗き込む宗徳がそんな感想を叫んだ。しかし、ただ見物していた訳ではない。
 アニーがむざむざとやられる所を見て(酷い)、宗徳は既に電気屋への対策を思いついていた。

 この研究施設の防犯システムの一つに重要サーバーへの侵入対策がある。それは外部から持ち込まれたIDの割り振られて居ない端末で接続すると、一旦施設の電源が落とされて順番に復帰していくというシステムである。
 本来これは電源が落ちたときにバッテリー駆動している外部から持ち込まれた端末の位置を、ノードごとに探すというための物である。しかし、電源が僅かでも一度落ちると言うことは……。

 パツンと倉庫内の照明が落ち、非常灯が淡く光り出す。

 電気屋が纏うワイヤーの鳥かごは急激に熱を失い、赤々としていた周囲が暗くなった。
「オオオオォォォォォォ!」
 シテは似合わぬ雄叫びを上げ、右手の喉輪で電気屋の首を突き上げた。纏っていたワイヤーに触れ、シテの腕や胸に傷が走る。たとえ電源を失って急に冷めたといえど、まだ熱を持つワイヤーは切断能力を有していた。
 しかし冷めるのを待っているわけにはいかない。たった5秒後には電源が回復するのだ。
 ワイヤーで切断されたブラが舞い落ちるのも気にせず、シテは電気屋の身体を三メートル近い位置まで引き上げて手を放し、すぐさま角から電撃を撃ち放った。
 空中ではアースの効き目などない。

 ワイヤーに落ちた電撃がヘッドギアのコンデンサを過電流で破壊し、有害な物質が飛び散って電気屋の皮膚を焼く。

 すかさずシテは床に落ちた電気屋の身体を引っ張り、コンセントに刺さったプラグを引き抜く。電気屋は神通力の雷の直撃を受けてはいなかったが、ヘッドギアの爆発で意識を失っていた。

「うう、酷い目にあった……」
 勝負が決した頃、アニーはよろよろと立ち上がってトラックの荷台に手をついた。

 バン!

 帯電していたトラックから最後の電撃を貰い、アースの役目を終えたアニーは三度目の気絶を持ってパタンとその場に倒れた。

「あー……。トラックが帯電してるから、どうやって荷台を開けようかなと思ってたけど……」
 宗徳はハシゴをおりながら、燻るアニーを見やった。

「あの子、すっごい役に立ってたなぁ。可哀想だけど」
 宗徳は上半身裸で蹲るシテに駆け寄ると、上着を脱いで手渡した。内心、裸を抱く女の子萌え~激写~とか、裸の女の子に服を渡すなんてシチュエーションがこの俺に訪れるなんて! と騒ぎたかったが、シテの傷をみるとそんな気分も吹っ飛んだ。
 胸を隠しながら上着を受け取り、シテは礼を述べながら少し考え込む。
 体格上、宗徳の上着を羽織れないシテは、一回服を捻って即席のブラにして布切れとして胸に巻きつけた。

 やがてウーススやディリゲントたちも倉庫に集まりだし、力を合わせてなんとかトラックの荷台をこじ開けた。
 運転手は荷台の鍵も持っておらず、アニーを轢いたショックからも立ち直れてないので倉庫内のケージへ電気屋と共に放り込んで置く。電気屋も幸い大した怪我もなく、ヘッドギアの爆発による一時的な脳震盪らしい。一応、病院で精密検査くらいは受けたほうがいいかもしれないが。

 トラックの荷台は生命維持装置となっていおり、慌てて収められたらしくセリオツが上着だけ脱がされて寝かされていた。
 宗徳がコンソールを操作して維持装置の確認と解除と行い、シテは血で妹を汚さぬようにそっと抱いて揺り起こした。
「シテ姉さま……」
「……セリオツ」
 弱々しい声だが、シテは言葉にならない安堵を妹の名前とともに洩らした。

 セリオツは見守る周囲の人たちに視線を向け、
「ウースス殿……かばっていただいてありがとうございまする。ドミヌラ殿……は本当に残念でした。なんとお礼を申せばよいか……。宗徳殿はとても頼りになる人間であらせる。ありがとうございまする。アニー殿は無事ですか? ディリゲント殿? 意識が無いようですが」
 ボンヤリとしながら、なぜか協力者たちの名前を言い当てた。

 ディリゲントはトラック内部から死角になる場所に寝かされたアニーの状態を知っている事を怪訝に思った。
「鬼族の娘よ。いったいなぜそれを」
「……あ、う……」
 ディリゲントの呼び掛けに首を傾げたセリオツ。シテはその様子を観察して、一つの変化に気がついた。

 セリオツの天頂の角が成長して、髪の中から姿を表していた。
 そしてシテは抱き上げるセリオツの身体から、何かの神通力が流れ込んでいることに気がついた。

「サトリ……」
 シテは伝説の上でしか聞かぬ、鬼の数少ない神通力が妹に宿った事を戦慄した。

 シテと離れていた数時間の間に、セリオツは鬼族として成長していた。


  • 六義のしぶとさはスラヴィアンかと思わせるほどでしたが相手が相手なだけに逃げるか捕まるかと思っていました。素直に溶けたと見るべきかは悩みますね。それにしてもアニーは頑丈ですね。粉々にでもしない限りどうとでもなりそうでこれがギャグ補正というヤツですか? -- (名無しさん) 2013-10-20 17:39:45
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最終更新:2013年10月20日 17:36