クルスベルグからグーテンターク
ドイツ新聞Berliner Morgenpost
クルスベルグ駐在記者 ヨハン・ゲーレン発
第12回 『人形は親心』
皆さんこんにちは。
突然ですが皆さんの家には人形はありますか?
我が家には4体の人形が大事に飾られています。
義理の母・妻・二人の娘の4体の人形です。
ノームの古くからの風習に子供が生まれると病気や怪我を肩代わりしてくれる存在として人形を作る風習があります。
地球でも世界各地にこうした呪術的な意味合いからの人形文化というのはありますが、異世界でもこうした文化はやはりクルスベルグに限らず各地にあるらしいというのを以前聞いたことがあります。
ノームの家に子供が生まれると両親は生まれて来た子供のために人形を作ります。
大昔は両親が手作業でコツコツと作っていたそうですが、現在は専門の人形職人に依頼することが多く自分たちで作るというのはかなり珍しいことのようです。
この人形を作るには二つの決まりごとがあります。
一つは人形の髪の毛は母親の髪を使うというもので、このため妊娠した女性は生まれてくる子供のために髪の毛を伸ばします。
私の妻も結婚前や現在は短い髪型なのですが二度の妊娠時には出産までの間髪を切らずに伸ばしていました。
ノームの古い諺には「髪の短い女には子供は来ない」というものがあり、髪の短い女性は出産願望が無いなどと囁かれたりするようです。
しかし私の妻は「髪の毛が長いと鬱陶しい」と短いサッパリとした髪型を好みます。
私としては娘たちがお腹の中にいた時の長い髪形のほうが魅力的だと思うのですが彼女としてはあまり好きではないのが残念です。
私の妻のように普段から短い髪型を好む女性でもちゃんと子供を授かっているように、迷信はあくまでも根拠のない迷信なのでしょう。
少々話が脱線してしまったので話を元に戻しましょう。
人形作りのもう一つの決まりごとは人形の瞳は両親それぞれの瞳の色にするというもの
両親の瞳の色が違う場合は人形の瞳はオッドアイになります。
我が家の場合は私の瞳の色はブルーで妻はグリーンなので娘たちの人形は右目がブルーで左目がグリーンとなっています。
下世話な話をすると人形作りで何に一番お金がかかるかというとこの瞳の製作費用で、人形の瞳細工作り専門の職人に依頼してオーダーメイドで作るのですが人形制作の半分くらいはこの瞳細工の製作費用と言っても過言ではありません。
しかし、クルスベルグでは人形の魂は瞳に宿ると考えられているのでこれを高いと考える人は居ません。中途半端な瞳細工では人形は大事な子供の身代わりの役目をしてくれないと考えて惜しみなくお金を使うのです。
両親にとって待ち望んだ子供は掛け替えのない宝ですからね。
こうして作られた人形は両親の子供に対する愛情の証として大事に扱われます。
子供たちも男女によって成長の過程で多少人形に対しての接し方は変わってくるそうですが私の娘たちはもう一人の姉妹のように大切にしてくれています。
次女は今でも寝る時は必ず枕元に人形がないと落ち着かず眠れないようで、長女のほうも次女くらいの時期には同じようでしたが今ではそんなこともなく一人で寝ていますが、時々人形の髪の毛を櫛でときながら自分の考えていることを人形相手に話しているようです。
またノームの女性が他家に嫁ぐ場合は実家に人形を残していくという風習もあります。
「私は家を出て行きますが、いつまでもお二人の娘です」という意味があるとのこと
我が家の場合は義理の母の亡くなった夫も私も入り婿なのでこの家に4体の人形があるわけです。
今回はノームと人形についてお話しましたが、クルスベルグのもう一つの主役である
ドワーフにも変わった風習があるのでそれはまた次回ご紹介しようと思います。
それではみなさんまた次回
Berliner Morgenpost ネット配信版 20011年9月10日号より
- 人形の作り方から風習の説明とそれに対する考え。どれも自然に一つにまとまっていて素晴らしい完成度でした -- (名無しさん) 2014-03-30 18:18:01
最終更新:2014年04月02日 16:03