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【星見の起源】

異世界西方大陸北方に位置する大国イストモス
このケンタウロス諸族が建国した国家には、神星教会と呼ばれる特殊な組織が存在する。
その起源を占星術師や天文学者の集団とするこの組織は、イストモス各地に支部をもち日々星の運行を観測する活動と平行して様々な活動を行っている。
神星教会を宗教組織と考える者も多いが、彼らは厳密には宗教とは異なる位置に存在する。
一部の活動で宗教組織の行うような啓蒙活動や慈善事業を行ってはいるが彼らの本質は学術組織に極めて近い。
なぜこのような宗教組織のような形態をもつ学術組織が存在するかと言えば、異世界全体で言えることだが異世界では宗教・哲学・科学は未分化な状態で今日まで発展してきた場合が圧倒的に多い
それはなぜかと言えば、世界と神を理解することから端を発し現代において神を否定することにつながりつつある地球とは異なり、異世界において世界を知ることとは神について理解を深めることに他ならず、宗教・哲学・科学はすべて神の理解という一点に集約されることがその背景にある。

このような思想・経緯から神星教会は異世界において夜空の星と運命を司るとされる星神テラミンを信仰する傍らその研究を続け、異世界において星の観測は未来予測につながるという考えに行き着いた。
事実彼らの研究は過去様々な災害や事件を事前に予測していたということが様々な歴史資料によって証明されている。
彼らの遠い始祖達は夜空の星々の活動を記録し分析することで世界の道行きを事前に知ることができるかもしれないという考えに辿り着いた。
そして、それからの彼らは長い年月をかけて観測手法と分析方法を研鑽し、精度を高めた天体観測によっての未来予測技術を確立させていくこととなる。
その過程で雑多な人々の集団だったもの現在の神星教会の原型となる組織となり、初期の頃は「星見」などと呼ばれていた人々は「星職者」と呼ばれるようになった。
そうした気が遠くなるほどの地道な努力と記録の積み重ねから彼らは様々な情報を発信し続け、この情報によって多くの人々が災害や戦禍から逃れることができたとされている。
イストモスにおいて彼ら神星教会関係者が尊敬されるのはこの地道な業績の積み重ねからによるものが大きい

そして、イストモスの歴史において彼ら神星教会の地位が確立したのは今より700年前にはじめて成功した救世主出現予測の成功だろう。
救世主とはイストモスにおいて語られる世界が危機に瀕した時天より遣わされる偉大なる者のこととして呼ばれ、ラ・ムールより多くの虐げられた狗人を解放し、彼らを友としイストモスを最初に建国した建国王イストモスも救世主であったとされている。
しかし、救世主の出現は元来誰にもわからず人知れず地上に生まれ、運命に導かれ事を成すというのがこれまでの救世主に対しての人々の捉え方であり、事前に救世主の出生を予測できるななどというのは誰しも考えたこともなかったことだった。
それを可能とした足掛かりとなったのは、それまでも彼らの中で理論的には確立していた「救世主出現予測理論」であった。
この理論に基づきはじめて観測によって「三つ子の流星」と呼ばれる救世主出現の前兆となる天体現象を観測することに成功し、後日導き出した地点周辺で救世主と見られる男児を調査隊が発見、これを歴史的に始めて救世主認定することとなる。
この時救世主認定された男児こそが、後に数々の武勲を上げ東イストモスを幾度と無く脅威から救った星凱王アシュバンである。

その後も神星教会は天体観測を続けることで様々な発見や予測を発表しイストモスに多大な貢献をすることとなり、現在はイストモス国政にも少なからぬ影響力をもつ組織として存在している。
イストモスの王が代々神星教会の承認をもって王となる慣習もこの歴史的背景によるものが大きい。
イストモス王の権威の象徴となっている星遺物の数々は長年の神星教会の探索の結果もたらされた物であり、イストモス王家にとって神星教会の貢献は特に多大なものが有るといえる。

こうしたイストモス国政における影響力からか、イストモスの様々な場所で神星教会の天導院と呼ばれる施設を見かけることができる。
これらの施設は地球のイスラム寺院のようなドームと天体観測を行う塔によって構成され、ドームの内側には地上から観測できる様々な星々が星画として精密に記され、イストモスの首都アクティパルにある神星教会最大の施設クラタナル大天導院の大ドームに描かれた「大星図画」は星のひとつひとつに照明が組み込まれ、さながら地球のプラネタリウムのような機能を果たすことでも知られている。
イストモス各地にあるこういった施設はその全てが天文観測施設であり、イストモス各地で漏れなく空を観測することであらゆる天候の場合でも常に夜空を正確に観測することができる。

そして、この記事を読まれているあなたがイストモスを訪れた際に神星教会の施設に立ち寄ることがあれば教会関係者の胸元に注目してみることをオススメしたい。
多くの教会関係者は羅針盤を記号化したシンボルを胸元に吊るしていると思われるが、その中にシンボルではなくしっかりと機能を果たすだろう小型の羅針盤を首からぶら下げている人を見つけることができるかもしれない。
彼らがぶら下げているのは「天運の羅針盤」と呼ばれるもので、羅針盤に触れた者の求める物の場所を指し示すといわれている宝具だ。
天運石とは星神テラミンの導きの力の宿った特殊な鉱石で、古くからその力を理解していた彼ら神星教会の始祖は天運石の効果を最大に得られる方法を長年模索し、その結果羅針盤やペンデュラムとして活用することを最良と考えた。
現在ではそういった天運石が用いられた宝具は神星教会の特別な者しか身に付けることが許されない特別なものとして、その者の教会内での地位を現す目安ともなっている。
運が良ければ天運の宝具を用いた未来予測をしてもらえるチャンスがあるかもしれないが、それは全てあなたの運命次第だろう。

2011年1月発行 月刊アトランティス イストモス特集号の特集ページより一部抜粋


  • 神の力を実感できる異世界での科学と学問と神秘主義が合わさった形は興味があります。本当にあるのだと思わせる綿密な解説が図鑑のようで面白いです -- (名無しさん) 2014-04-06 18:09:02
  • 人々が実感できる「導き」があるから生まれた信仰で信仰対象が実在するのも合わせて異世界では大きな組織なのだなと -- (名無しさん) 2018-01-06 08:50:25
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最終更新:2012年04月05日 01:58