【クロック(略)市長の昼下がりの続き】



「だれだこいつと問われたら、答えてあげるが世の情け!あたしこそは天上天下唯我独尊!金羅分身10号!ってちょっとまって今のなし!だって分身が九つもいるのに唯一人なんておかしいもの!――――――

「キンラ、キンラ、キンラ―――、ふむ聞いたことがあるぞ。そう、確か素晴らしき我がペンギン族の偉大なる言い伝えにその名前がのっていたような、のってなかったような――――――



「―――(中略)―――つまり九我九尊!あれれ?でも今は分身どれだけだしてるのかしら!?あとあと本体も入れたらいったい全部でいくつになるのかしら!?わからない!わからないわ!――――――

「―――(中略)―――おお、思い出した!ならば客人よ!心して我の素晴らしき話を聞け!我々の祖先はもともと北方大氷園に住まい、そこは我が素晴らしき都市ほどではないが楽園的な楽園的楽園が存在しており――――――



「―――(中略)―――あっそうだ、23号だか24号だとか言ったけど別に二十何番目かに作られたとかそういうことでもないの!というかあたしでもよくわからないのよ!だけどあたし達分身は同時に9体までだからだから、九より大きい数で名乗れば他の分身とかぶらないから!ええと、なんだっけ!――――――

「―――(中略)―――かの楽園にて楽園たる日々を楽園的に暮しけれども、某月某日、悪食魔神キンラキンラが現れけり。その姿は炎眼炎毛九天九尾、空を呑みこまんばかりの大口にて"氷獄美味なるかな"と、おお、そういえば、本伝にはのってないのだが素晴らしき我が祖父が言うには――――――



「―――(中略)―――そうだからこれはアイデンなんとかの問題が、ああ、もうよくわからなくなってきたわ!まあいいわ!とにかくあたしのことは金羅分身18号って呼んで呼んで!――――――

「―――(中略)―――そして!我が祖先は南方大渦淵の右斜め上に位置する島に辿り着いたのだ!素晴らしいな我が祖先!ふふふ、話している我本人もどうなることかとヒヤヒヤした!なにより素晴らしきは我が創話能力。―――はて?なぜ我は先日創った小説南方大遊録の話をしているのだろうか?まあこんな時は素晴らしき我が湖を――――――



「―――(中略)―――そう、あたしこそは天上天下唯我独尊!ってあれれ?あーもう!本体ったら、あたしの知能設定間違えたわね!もうっ、ひどいんだから!ねえねえ聞いてよ!あたしが今回誕生したとき本体ったらベロンベロンに酔っ払っててさー!それでそれでっ――――――

「―――(中略)―――はて?我は何の話をしていたのだろうか?――――――そうだ、キンラキンラだ!キンラキンラ?キンラキンラってなんだ?キンラキンラ、キンラキンラ。はははは!面白い響きだな!おお、歌いたくなってきた!我の歌を聴け――――――



「―――(中略)―――それでどっちが分身を遠くまで吹き飛ばせるかの勝負!あたしったらそのためだけに生み出されたのよ!ひどいったらありゃしないわ!もうお酒飲まなきゃやってらんない!って異人さんたらお酒もってるじゃない!ねぇねぇちょうだい――あっひどい!鍋にこぼすなんてするならあたしに―――あら!いい匂いね!」

「―――(中略♪)―――……ふぅ。素晴らしい……。素晴らしきかな我が歌声!素晴らしきかな我が作詞!素晴らしきかな我が作曲!ははは、光闇が愉快なことになっておるわ!それにしても喉が渇いた。おお、酒があるではないか!――――ああっ!鍋に呑ませるくらいなら我の素晴らしき喉に―――おお!いい匂いではないか!」



「上手に焼けましたっとな。はい、お二方、召し上がれ」

「「いただきます!」」

「「―――(中略)―――!美味い!」」

  • …おい! -- (名無しさん) 2012-08-12 11:38:01
  • にっぽん族の存在わすれてた! -- (名無しさん) 2012-08-12 13:39:23
  • 今までにない形で驚いている。 見所を集めてみたみたいなもの? -- (とっしー) 2012-08-16 23:28:06
  • 居酒屋で酔っ払った客二人がかみ合わない掛け合いの末に注文したことを忘れていた料理で舌鼓をうつ。盛り上がる二人以外は平然と経過を見ているようななんとも形容し難い空気でした -- (名無しさん) 2014-12-03 17:39:20
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最終更新:2012年08月12日 09:54