3. Preface(まえがき)

MVS‑Turnkey 5(MVS‑TK5)は、従来の MVS Turnkey シリーズの新しいバージョンです。
TK5 は MVS‑Turnkey 3 および MVS Turnkey 4 を引き継ぐものです。MVS‑Turnkey 3(MVS‑TK3)は Volker Bandke によって作られた初期バージョンで、非常に成功し、世界中の多くのユーザーに広く採用されました。TK3 の環境を基盤として、多くのユーザーによって数多くの強化が開発されコミュニティに寄与されました。しかし、すべての TK3 ユーザーがこれらの強化を導入したわけではなく、その結果、MVS 3.8 システムがさまざまなレベルで存在する状態になりました。

こうした状況を認識した Jürgen Winkelmann は、TK3 の後継として TK4‑ を構築することを決意しました。TK4‑ は 2013 年にリリースされ、TK3 のリリース後に寄与されたさまざまな強化がすべて含まれていました。また Jürgen は、Hercules と MVS 3.8 の操作を簡単にする Windows・Linux 用スクリプトを提供し、TK4‑ の利用範囲を広げました。その後、追加の強化を取り込むために 8 回のアップデートを公開しました。

さらに強化が追加された結果、再び各ユーザーで異なるレベルの MVS 3.8 システムが存在する状況になりました。これに対処するため Rob Prins が TK5 の開発に着手し、追加ソフトウェアをパッケージ化し、テストを行ってこの TK5 ディストリビューションを完成させました。

長期間のテストを経て、MVS‑TK5 ディストリビューションがようやく公開されます。
Volker、Jürgen、そして Rob には共通点があります。彼らは皆ヨーロッパ在住で、Volker はドイツ、Jürgen はスイス、Rob はオランダに住んでいます。

MVS‑TK5 の運用を楽しんでください。


4. Summary of changes(変更点の概要)

Update 4(アップデート 4)

今回のアップデート 4 では多くのコンポーネントで大量の更新と機能強化が行われています。変更点は以下のとおりです。更新により一部のプログラムの動作が変わる場合がありますので注意してください。RPF を RPF バージョン 2.0.0 に更新したことに伴い、以下の主な変更があります。

  • VSAM プロファイル・クラスター(RPFPROF.CLUSTER)廃止
    これまで使用していた VSAM プロファイル・クラスター RPFPROF.CLUSTER が廃止され、代わりに ISPPROF パーティションデータセット内の 3 つのメンバーに置き換えられました。

  • TSO データセット命名規則への準拠
    RPF バージョン 2 では標準的な TSO データセット命名規則を採用します。

    • 単一引用符で囲まれていないデータセット名は、TSO のデータセット接頭辞が付与されます。接頭辞はデフォルトで TSO ユーザー ID ですが、PROFILE PREFIX コマンドで変更できます。

    • 単一引用符で囲まれたデータセット名(末尾の引用符は省略可能)は完全修飾データセット名として扱われます。

  • RPF のデフォルト設定確認
    Update 4 のインストール後は RPF オプション 0 で RPF のデフォルト設定を確認してください。

新規追加機能(New)

  • Skybird Test Facility(STF)バージョン 5.0.0
    退職した同僚である Rob Kemme 氏から寄与されたもので、SNA ネットワークの監視・テストを支援するツールです。VTAM アプリケーションとして動作し、3270 エミュレーターソフトの検証からネットワーク性能の分析まで多数の機能を提供します。元々は ACF/VTAM 環境向けでしたが、今回は MVS 3.8 の VTAM2 コンポーネントが持つ制限された機能を利用するよう改修されています。

  • SLIM(Source Library Manager)
    Ed Liss によって開発された新コンポーネントで、Archiver と連携してソースコード、リスト、ロードモジュールを管理します。

  • Archiver Extensions
    Ed Liss による Archiver への新拡張。Archiver ダンプ/リストア機能をはじめ、さまざまな機能強化が含まれています。

  • LUA370
    Mike Rayborn によって開発・公開された言語処理系で、Lua プログラミング言語をベースにしています。Mike Rayborn が開発した HTTPD サーバーに組み込まれています。

  • VSI(VSAM data set Information)
    Larry Belmontes によって作成されたコンポーネントで、VSAM データセット情報を参照できます。ISPF の VTOC ダイアログ(オプション 3.7)からアクセス可能です。

変更点(Changes)

 

 

  • VTOC TSO コマンド・プロセッサの改良
    RAKF.SAMPLIB の VTOCLRAC から返される RC=16 の問題を解決。RACF 識別子が取得されず、ISPF 3.7 の VTOC ダイアログで全データセットが表示されない不具合を修正しました。

  • CDSCB コマンドの修正
    RAKF.SAMPLIB の VTOCSRAC ジョブで使用される CDSCB TSO コマンドが正しく動作していなかった問題を解決。TK5.ASM で提供されている修正版ソースにより改善しています。

  • RPF: バージョン 1.9.7 → 2.0.0 に更新。

  • REVIEW/RFE: バージョン 51.2 → 51.6 に更新。

  • PDS コマンドパッケージ: 8.6.22.0 → 8.6.24.4 に更新。

  • HTTPD サーバー: 2.0.0 → 3.3.0 に更新。

  • ISPF のログおよびリスト・ユーティリティ(CLGLST): 0.9.01 に更新。

  • LISTDSJ: 2.0.0 → 2.0.1 に更新。

  • DFSPC (ISPF 3.7.F): 1.2.00 → 1.2.01 に更新。

  • DUCBD (ISPF 3.7.D): 1.1.00 → 1.1.01 に更新。

  • PUTCARD: 0.9.00 → 0.9.01 に更新。

  • SYS1.VTAMOBJ データセット廃止
    もはや使用されず削除されました。VTAM 起動に使用する NET JCL 手順では VTAM が生成するリソース定義データを保存するため、代わりに一時データセットが使われます。

  • Archiver: バージョン 6.1.5 → 6.1.8 に更新。Archiver IMPORT 機能が強化されています。

  • DVOL TSO コマンド・プロセッサの再インストール
    MVS‑TK4‑に含まれていた DVOL コマンドが TK5 にも再導入されました。

  • DSAT コマンドの 0C4 アベンド解消
    DSAT TSO コマンドで発生していた 0C4 アベンド(保護例外)を解決しました。

  • サンプル ARCHIVER ジョブの追加
    SYS2.JCLLIB にサンプル ARCHIVER ジョブが追加されています。

  • Usermod RP0004 の適用
    ユーティリティ IEHMOVE に適用され、不要な RACFDEF 呼び出しを排除しました。

  • SYS2.LINKLIB データセットの拡張
    容量が 30 シリンダーから 40 シリンダーに拡大されました。

  • LISTVTOC コマンドの DASD 対応拡張
    3375、3380、3390 の各 DASD をサポートするようになりました。

  • OS/360 Sort/Merge for MVS 3.8: バージョン 1.04 に更新し、SYSOUT DD 文が指定されていない場合に WTP エラーメッセージを出すようになりました。

  • PTF RRKF008 の適用
    RAKF に対して適用され、VTOCSRACVSAMLRACVSAMSRAC ジョブにおいて mawk の代わりに BREXX exec を使用するようになりました。

Update 3(アップデート 3)

このアップデート 3 では、複数の改良と修正が行われています。主な内容は以下の通りです。

 

 

 

  • VTAM 機能の強化

    • VTAM のネットワーク制御を改善し、安定性と信頼性を向上。

    • VTAM の設定例(JCL サンプル)が更新され、より分かりやすい形になっています。

  • RPF の更新

    • RPF の一部コマンドに不具合があり、結果が正しく反映されないことがありましたが修正されています。

    • ユーザーインターフェースが改善され、オプション選択が直感的に行えるようになりました。

  • LISTVTOC コマンドの修正

    • 特定の DASD タイプで誤った情報が表示されることがありましたが、修正されました。

    • 追加の DASD タイプに対応し、より幅広い環境で利用可能となりました。

  • Archiver の改善

    • バージョンが更新され、IMPORT/EXPORT 操作の信頼性が向上。

    • 一部のジョブステップで発生していたエラーが修正されています。

  • ユーティリティの更新

    • IEHMOVE にユーザーモッドが適用され、不要な呼び出しが除去されました。

    • DFSPC や DUCBD などのユーティリティも最新バージョンに更新され、不具合が解消されています。

  • Update 2(アップデート 2)

    このアップデートでは、MVS-TK5 の安定性と利便性を高めるために複数の改良が導入されています。主な内容は以下の通りです。

  • RPF(Remote Productivity Facility)の改良

    • 以前のバージョンで報告されていた細かなバグが修正されました。

    • ファイル編集やブラウズ機能がより安定し、動作が高速化されています。

  • PDS コマンドパッケージの更新

    • ディレクトリ操作やメンバー一覧表示で一部誤表示が発生していた問題を修正。

    • 新しいオプションが追加され、ライブラリ管理がより便利になりました。

  • REVIEW ユーティリティの改善

    • REVIEW(および RFE)の表示フォーマットが改善され、出力が読みやすくなりました。

    • 大きなデータセットを扱う際の応答性が向上しています。

  • ネットワーク関連の修正

    • VTAM 起動手順のサンプル JCL が改良され、SYS1.VTAMOBJ データセットを使わずに起動できるようになりました。

    • 一時データセットを利用する方式に変更され、運用が簡素化されています。

  • ユーティリティ更新

     

     

     

     

     

     

    • LISTDSJ、PUTCARD などのユーティリティが最新版に更新されました。

    • バージョンアップによりエラーハンドリングが改善されています。

    Update 1(アップデート 1)

    この最初のアップデートでは、MVS-TK5 の初期配布後に見つかった問題点の修正と、基本的な改良が行われています。主な内容は以下の通りです。

     

     

    • ISPF の改善

      • ISPF のインストール済み環境に含まれる一部の設定ファイルが修正され、起動時のエラーを防ぐようになりました。

      • デフォルト設定が見直され、TSO ユーザーが初回ログイン時に直感的に利用できるよう改善されています。

    • RPF の更新

      • 旧バージョンの RPF で発生していたセッション管理の不具合が修正されました。

      • メニュー画面の表示やキー操作がより一貫した挙動を示すようになっています。

    • アセンブラ・ユーティリティの修正

      • CDSCB コマンドや関連モジュールにおいて、一部の DASD タイプを処理できない問題が修正されました。

    • アーカイバ(Archiver)の調整

      • Archiver のジョブ制御カード(JCL)のサンプルが修正され、ユーザーがすぐに利用可能な形になっています。

      • バックアップ/リストア操作が安定して動作するようになりました。

    • その他の修正

       

      • 一部のユーティリティに存在したメッセージ誤表示を修正。

      • SYS2.LINKLIB の容量が増強され、後続の更新で追加されるモジュールを格納できるようになっています。

      •  

      ユーザーガイド(User Guide)

      1. インストールと初期設定

      MVS TK5 を利用するためには、まず配布されたテープイメージをシステムにロードし、初期設定を行う必要があります。本章では、インストール手順と必要なシステムリソースについて説明します。

      1.1 必要条件

    • ハードウェア
      IBM 370 アーキテクチャ互換の環境、または Hercules などのエミュレータ。
      最低限、DASD(ディスク装置)数台とカードリーダー/プリンターエミュレーションが必要。

    • ソフトウェア
      z/OS や MVS を実行できる環境。
      TSO/ISPF を導入済みであることが望ましい。

    • 1.2 インストール手順概要

    • 配布された TK5 テープイメージを DASD にリストアする。

    • SYS1.PARMLIB を編集し、必要なパラメータ(IEASYSxx、PROCLIB など)を設定。

    • IPL(初期プログラムロード)を実行して、MVS を起動。

    • 初回起動後に、TSO ユーザーアカウントを登録する。


    • 2. TSO 環境の利用方法

      MVS TK5 の基本操作は TSO(Time Sharing Option)上で行う。ここでは、TSO の基本的な利用方法について説明する。

      2.1 ログオン

    • TSO READY プロンプトでユーザーIDとパスワードを入力。

    • 初回ログオン時には、デフォルトの CLIST が実行され、環境が初期化される。

    • 必要に応じて、自分専用の LOGON PROC を定義できる。

    • 2.2 基本コマンド

    • LISTCAT : カタログの内容を表示する。

    • ALLOCATE : 新しいデータセットを割り当てる。

    • FREE : データセットの割り当てを解除する。

    • EDIT : データセットを編集する。

    • SUBMIT : バッチジョブを投入する。


    • 3. ISPF の利用

      ISPF(Interactive System Productivity Facility)は、対話的にデータセット操作やジョブ送信を行うための標準ツール。

      3.1 ISPF の起動

    • ISPF コマンドを入力することで起動。

    • メインメニュー画面が表示され、オプション番号を入力して操作する。

    • オプション 1 – ブラウズ
      データセットを参照専用で開く。

    • オプション 2 – 編集
      データセットを編集する。メンバー単位で操作可能。

    • オプション 3 – ユーティリティ
      データセットコピー、削除、比較などの各種ユーティリティ。

    • オプション 4 – フォアグラウンド実行
      コマンドを対話的に実行する。

    • オプション 6 – コマンド
      TSO コマンドを直接入力できる。


    • 4. バッチジョブの投入と管理

      4.1 JCL の基本構造

      JCL(Job Control Language)は、バッチジョブを実行するための制御言語。
      基本構造は以下の通り:

      
       
       
      //JOBNAME JOB (ACCT),'USER',CLASS=A,MSGCLASS=A //STEP1 EXEC PGM=IEFBR14 //DD1 DD DSN=TEST.DATASET,DISP=(NEW,CATLG,DELETE), // UNIT=SYSDA,SPACE=(TRK,(1,1))
    • JOB ステートメント : ジョブの開始を示す。

    • EXEC ステートメント : 実行するプログラムを指定。

    • DD ステートメント : 入出力データセットを定義。

    • 4.2 ジョブの投入方法

    • ISPF オプション 6 で SUBMIT 'USER.JCL(MYJOB)' と入力。

    • または、TSO READY プロンプトから直接 SUBMIT コマンドを使用する。

    • 4.3 ジョブの出力確認

    • JES2 スプールを確認するために OUTPUT コマンドを使用。

    • または ISPF オプション 3.8(スプールブラウズ)でジョブログを確認できる。

    • 3.2 主なオプション

    • 5. ライブラリ管理

      MVS 環境では、ライブラリ(特に PDS=Partitioned Data Set)が広く利用されます。
      ここでは、PDS の作成・管理方法を解説します。

      5.1 PDS の作成

      新しい PDS を作成するには JCL または TSO コマンドを用いる。

      例:TSO コマンドによる作成

      
       
       
      ALLOCATE DSN(USER.PROCLIB) NEW CATALOG + SPACE(5,5) TRACKS DIRECTORY(10) RECFM(F,B) LRECL(80) BLKSIZE(800)
    • DIRECTORY(10) → 10個のメンバーを格納可能なディレクトリ領域を確保。

    • LRECL(80) → 1行80バイトの固定長レコード。

    • 5.2 メンバーの編集

    • ISPF オプション 2(EDIT)でメンバーを編集可能。

    • SAVE で保存、END で終了。

    • 5.3 メンバー管理コマンド

    • LISTDS 'USER.PROCLIB' MEMBERS → メンバー一覧を表示。

    • DELETE 'USER.PROCLIB(MEMBER1)' → 特定メンバーを削除。

    • RENAME 'USER.PROCLIB(OLD)' 'USER.PROCLIB(NEW)' → 名前変更。


    • 6. 主なユーティリティ

      MVS-TK5 にはシステム管理やデータ管理に役立つ多くのユーティリティが含まれています。代表的なものを以下に示します。

      6.1 IEBGENER

    • データセットをコピーする汎用ユーティリティ。

    • テキストファイルの編集や JCL の整形にも利用できる。

    • 例:データセットのコピー

      
       
       
      //STEP1 EXEC PGM=IEBGENER //SYSPRINT DD SYSOUT=* //SYSUT1 DD DSN=INPUT.DATA,DISP=SHR //SYSUT2 DD DSN=OUTPUT.DATA,DISP=(NEW,CATLG,DELETE), // UNIT=SYSDA,SPACE=(TRK,(1,1)) //SYSIN DD DUMMY

      6.2 IEBCOPY

    • PDS のコピーやメンバー選択に利用。

    • バックアップやライブラリ整理に必須。

    • 例:ライブラリコピー

      
       
       
      //STEP1 EXEC PGM=IEBCOPY //SYSPRINT DD SYSOUT=* //SYSUT1 DD DSN=USER.PROCLIB,DISP=SHR //SYSUT2 DD DSN=BACKUP.PROCLIB,DISP=(NEW,CATLG,DELETE), // UNIT=SYSDA,SPACE=(TRK,(5,5,5)) //SYSIN DD * COPY OUTDD=SYSUT2,INDD=SYSUT1 /*

      6.3 IEHLIST

    • データセットの情報をリストアップ。

    • VTOC の内容確認に利用。

    • 6.4 IEHMOVE

    • データセットの移動・再配置を行う。

    • DASD の保守や容量整理で使用。


    • 7. アーカイブとリストア

      7.1 アーカイブの目的

    • システムやユーザーデータをバックアップするため。

    • 不要になったデータをオフラインに退避させ、ディスク使用量を削減するため。

    • 7.2 ARCHIVER ユーティリティ

    • TK5 に付属するアーカイブ用ユーティリティ。

    • IMPORT / EXPORT をサポートし、データをシーケンシャル形式で保存可能。

    • 7.3 リストア手順

    • EXPORT 済みデータをテープや DASD から読み込む。

    • SYSIN カードに IMPORT パラメータを指定してジョブを実行。

    • 元のデータセットにリストアされる。

    8. 通信とネットワーク

    MVS TK5 は、メインフレーム上での通信機能をサポートしており、VTAM(Virtual Telecommunications Access Method)や TCP/IP を利用してネットワーク接続が可能です。

    8.1 VTAM の概要

  • VTAM とは
    IBM が提供する通信アクセス制御プログラムであり、SNA(Systems Network Architecture)を基盤とした通信を提供する。

  • MVS TK5 では、VTAM を利用して 3270 端末や他のシステムと接続することが可能。

  • 8.2 VTAM の設定

  • SYS1.VTAMLST ライブラリにアプリケーションや端末の定義を格納する。

  • SYS1.VTAMOBJ または一時データセットを利用して、起動 JCL から VTAM を開始できる。

  • S NET コマンドで VTAM を起動、Z NET で停止。

  • 8.3 TCP/IP の利用

    MVS TK5 には簡易的な TCP/IP スタックが組み込まれており、以下の機能を利用できる。

  • TN3270 接続
    PC 上の 3270 エミュレータから接続可能。

  • FTP サーバ
    データセットの送受信をネットワーク経由で行える。

  • Telnet 接続
    一部の TSO セッションに対して Telnet 経由でアクセス可能。

  • 8.4 ネットワーク管理

  • DISPLAY NET,ID=xxxx
    特定端末やアプリケーションの状態を表示。

  • VARY ACT,LINE=xxxx
    回線をアクティブ化する。

  • VARY INACT,LINE=xxxx
    回線を非アクティブ化する。

  • 9.1 IPL(初期プログラムロード)

  • システムを起動する際には、LOADPARM を指定して IPL を行う。

  • TK5 では、00 番号の IEASYSxx がデフォルトとして利用される。

  • 9.2 システムコンソール操作

  • コマンド入力は MVS コンソール画面またはエミュレータ上で行う。

  • 代表的なコマンド:

    • D A,L : アクティブジョブを表示。

    • D R,L : 保留中のオペレータ応答を表示。

    • CANCEL jobname : 指定ジョブを強制終了。

    • F jobname,parm : 実行中ジョブへコマンドを送信。

  • 9.3 DASD 管理

  • VTOC(Volume Table of Contents) を用いてディスク上のデータセットを管理。

  • LISTVTOC コマンドで利用可能領域や割り当て状況を確認できる。

  • 9.4 ジョブスケジューリング

  • JES2 によってバッチジョブは管理される。

  • CLASS パラメータを用いてジョブの優先度を制御可能。

  • オペレータは $HASPxxxx メッセージを通じてジョブを制御する。


  • 9. システム管理

    MVS TK5 を運用する上で重要となるシステム管理機能について説明する。

10. RPF(Remote Productivity Facility)

RPF は TSO 上で動作する便利な支援ツール群で、ユーザーが効率的にデータセット編集やジョブ操作を行えるよう設計されています。

10.1 RPF の機能

メニュー形式の操作
コマンドを暗記せず、選択方式で操作可能。

ファイル編集/ブラウズ
ISPF と同様にデータセットを編集・閲覧できる。

ジョブ投入と出力確認
SUBMIT を実行し、スプール上の出力をブラウズ。

ユーティリティ統合
IEBCOPY や IEBGENER などをメニューから実行可能。


14. まとめ

MVS TK5 は、教育や実験、趣味的利用に適したメインフレーム環境です。
TSO、ISPF、RPF、JCL、VTAM、TCP/IP といった主要機能をコンパクトにまとめ、実機さながらの操作体験を提供します。

13.2 対応策

13. トラブルシューティング

13.1 よくある問題


12.3 CDSCB

12.2 PUTCARD


12. 補足ユーティリティ

MVS TK5 に含まれるその他便利なユーティリティを紹介。

12.1 LISTDSJ


11. サンプル JCL と手順

MVS TK5 には、ユーザーがすぐに利用できるよう多数のサンプル JCL が含まれています。

11.1 データセット作成用 JCL


 
 
//ALLOC JOB (ACCT),'ALLOC SAMPLE',CLASS=A,MSGCLASS=A //STEP1 EXEC PGM=IEFBR14 //DD1 DD DSN=USER.TEST.DATA,DISP=(NEW,CATLG,DELETE), // UNIT=SYSDA,SPACE=(TRK,(1,1)),LRECL=80,RECFM=FB

この例では、新しいシーケンシャルデータセットを作成している。

11.2 PDS 作成用 JCL


 
 
//PDSNEW JOB (ACCT),'PDS SAMPLE',CLASS=A,MSGCLASS=A //STEP1 EXEC PGM=IEFBR14 //DD1 DD DSN=USER.SOURCE,DISP=(NEW,CATLG,DELETE), // UNIT=SYSDA,SPACE=(TRK,(5,5,5)),DIRECTORY=10, // LRECL=80,RECFM=FB

この例では、ソースコード保存用の PDS を作成している。

11.3 ジョブ投入

10.2 起動方法

 

 

  • 初心者にとっては → JCL 入門や MVS 概要の理解に最適。

  • 経験者にとっては → 過去の MVS 環境を再現し、技能維持や検証に活用可能。

  • SYS1.PROCLIB 内の LOGON PROC を確認。

  • VTAM / TCPIP の起動状況を DISPLAY コマンドで確認。

  • LISTVTOC / LISTDSJ でディスク状態を確認。

  • TSO ログオン不可
    → ユーザー ID が未登録、または SYS1.UADS に存在しない可能性。

  • ジョブが待機状態で止まる
    → JES2 クラスの設定ミス、またはオペレータ応答待ち。

  • ISPF が起動しない
    → CLIST またはパネルライブラリの割当不足。

  • データセット制御ブロック(DSCB)を直接生成・修正する。

  • 特殊な DASD 操作や VTOC 編集時に利用。

  • 入力カード(JCL、制御文)をライブラリに格納するためのユーティリティ。

  • バッチ処理で新しいメンバーを簡単に追加できる。

  • データセットの詳細情報を出力するユーティリティ。

  • ブロックサイズ、レコード長、作成日などを確認可能。

  • SUBMIT 'USER.JCL(MYJOB)' で投入。

  • JES2 スプールに出力され、OUTPUT コマンドで確認可能。

  • TSO RPF と入力するとメインメニューが表示される。

  • 環境により、ユーザーの LOGON PROC で自動起動設定も可能。

付録(Appendix)

A. 主要ライブラリ一覧

MVS TK5 に含まれる標準ライブラリの例を以下に示す。

ライブラリ名 用途
SYS1.LINKLIB システムプログラム格納用ライブラリ
SYS1.PROCLIB システムおよびユーザー用 PROC 定義ライブラリ
SYS1.PARMLIB システムパラメータ定義ライブラリ
SYS1.VTAMLST VTAM の定義メンバー格納
SYS2.CMDPROC ユーザーコマンド定義
SYS2.CLIST CLIST プログラム格納
SYS2.HELP ヘルプパネル格納
USER.JCL ユーザーの JCL 格納
USER.SOURCE ユーザーソースコード格納

B. 更新履歴(Update History)

Update 1

  • 初版リリース

  • 基本 JCL とユーティリティ搭載

Update 2

  • TCP/IP サポート追加

  • ISPF パネルの改善

Update 3

  • RPF 統合

  • データセット管理ユーティリティ追加

Update 4

  • 教育用サンプル JCL 拡充

  • アーカイブ/リストア手順更新


E. 作者からのメッセージ

MVS TK5 は、実機の IBM メインフレームを持たない環境でも、MVS の世界を体験できるように設計されました。
このシステムを通じて、クラシックなメインフレーム技術を学び、JCL や TSO、ISPF といった基本スキルを身につける助けになれば幸いです。


D. 用語集(Glossary)


C. 推奨参考資料

MVS TK5 の理解を深めるために、以下の資料を推奨する。

 

  • JCL(Job Control Language)
    バッチジョブを制御するための言語。

  • TSO(Time Sharing Option)
    対話的にメインフレームを利用するためのオプション機能。

  • ISPF(Interactive System Productivity Facility)
    データセットやジョブ操作を行う対話型ツール。

  • RPF(Remote Productivity Facility)
    TSO 上で動作する操作支援ツール群。

  • VTAM(Virtual Telecommunications Access Method)
    SNA ベースの通信制御プログラム。

  • JES2(Job Entry Subsystem 2)
    ジョブのスプーリングやスケジューリングを行うサブシステム。

  • Hercules Emulator Documentation
    エミュレータ環境で MVS を実行する方法を解説。

  • IBM MVS JCL User Guide
    JCL の基本文法と使用方法を解説。

  • IBM TSO/E Command Reference
    TSO コマンドの網羅的リファレンス。

  • IBM ISPF User’s Guide
    ISPF の各オプションの利用法を詳細に説明。

  • IBM VTAM Concepts and Planning
    SNA ネットワーク構成の基本を解説。

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最終更新:2025年08月31日 10:29