0239:その鏡真実を映さず





「富樫!どうするのだ!」
「畜生、今考えてんだよ!」

太公望と富樫は、非常に焦っている。何故か?
それは、順風満帆に進んでいた海の旅の途中に起こった出来事が原因だ。

~~数分前~~

「ううむ、潮の流れが速くなったのう、富樫」
「ああ、この辺の潮流は複雑だから、気合入れてかねえとすぐにどっか別の場所に流されちまう」
言って、オールを力強く漕ぐ富樫。
「すぐ着くかと思っていたが、以外に時間がかかるのう」
太公望は、元の世界で釣りをするために人間界の川に行ったことはあったが、海のような流れのあるものではなかった。
先ほど泳いだときは、自分達も動いていたから、あまり気にならなかったが。
ぼんやりと富樫を見つめる太公望
「よっとぉ!」
富樫は力強くオールを漕ぐ!
その姿、正に漢の中の漢!
「でぇい!」
富樫は逞しくオールを漕ぐ!
その姿、正に一角の男塾生!
「ずおりゃああああああ!」
ボキッ
その姿―――――!?
「なっ!?オールが折れた!?」
―――――――間抜け。

~~~そして時は動き出す~~~

「富樫!どうするのだ!」
「畜生、今考えてんだよ!」
自分達が進むはずの方向から大きく外れ、どんどん船は流されていく。陸が右手に見える事が却って二人を焦らせる。
「くそ、仕方ねぇ!太公望、泳げるか・・・って、聞くだけ無駄だな。しがみ付いてろ!」
「お、おぬし、この流れの中泳ぎきれると思っておるのか!?」
「このままじゃどこまで流されるかわからねえだろ!
潮に逆らったら無理だろうがよ、一瞬だけ全力を出して、なるべく近い大陸への潮流に乗れれば、和歌山の近くには辿り着くはずだ!」
「ま、待て、それなら―――――」
「行くぜっ!」
富樫は、なにやら喚き散らす太公望の首根っこを掴み、海へとダイブした。
全力で、横から来る複合した潮に逆らい、進む。
五分ほどして、ようやく潮の抵抗がなくなった。富樫は前を見据える。進む方向には、陸。その先には高くそびえるビル。
どうやら、大都市に向かうという本来の目的は達せそうだ。
富樫は、安心して泳ぐ。太公望を背負って、強敵との戦いをシミュレーションしながら。


「・・・思ったよりダメージが深いわね」
大阪の町の外れの喫茶店で、大蛇丸はじっとチャクラを蓄えていた。
先ほどの戦闘で刺傷を負った胸部の応急手当もしなくてはならなかった。
「あの男、斎藤とかいったかしら。あれほどの気迫、もしもっと才能があれば依り代にしてもよかったんだけど」
しかし、あの男はダイや自分のように特殊な力を持っていなかった。
どうでもいい感慨を振り切り、民家で見つけた包帯を傷口に巻きつける。
その時、バーの扉が開く音がした。
「―――――あら。貴方は―――」
藍染惣右介。やはり、この方向に向かっていたんだね、大蛇丸
十数時間前、岡山で会った相手。自分と似た雰囲気を持つ、利用しようと考えていた相手。
まさか、向こうから来てくれるとは―――――――
「君と協力したくてね、大蛇丸
「―――――どういう風の吹き回しかしら、藍染惣右介
自分が前に会ったとき持った印象では、こうも簡単に協定を持ちかけてくるのではなく、回りくどいやり方を選ぶ男だと思っていたが。
「少し考えが変わってね、【正義ぶった連中】を掃討しておきたいんだ。
さっきも彼らに邪魔されて体力を消耗させられてね――――大蛇丸、君もそうじゃないのかい?」
巻きかけの包帯を指差す藍染。
なるほど。確かに生き残るにしても、そういった徒党を組む連中に邪魔されてはたまらない。
藍染の言うとおり、自分も幾度かそういった連中に手傷を負わされている。件の斎藤たちの事を思い出す。
「・・・・・・ふふ、殺し合いの世界で、協力?何を言ってるのかしら、私が拒んで殺されるとは考えてないの?」
「おや、それは盲点だったな。しかし、君も本当はそんなこと考えてもいないだろう?」
二人の間に緊迫した空気が流れる。
自分の考えを見透かされている。この余裕のある口ぶりからすると、恐らくは万全の状態――――体力の消耗もブラフの可能性もある。
ならば、今戦えば負けるのは自分。それ以前に、自分自身、この男を利用したいと願っていたのだ。断る理由はないが―――どうする?
「ええ、その通りよ。でも、その言葉が真実だという証拠がほしいわね」
「証拠、か。そんな物はないが、これならどうかな?【ホイミ】」
瞬間、藍染の指先が光る。
(――――不意打ち!?・・・いや、これは――)
細胞が超速で再生する感覚。これは、医療忍術――――いや、それとも違う。
「ホイミ。回復の魔法、と言うと俗っぽいがね、それそのものさ」
「―――――こんなことをして、私が戦闘を仕掛けたらどうするのかしら」
「先ほど君から感じた霊圧―――いや、力の源が減っている。これは、傷は癒せるが、その力の源は癒せないはずだ」
事実、チャクラ自体はほとんど戻っていない。
「これは私が出来る君への最大限の誠意だ。もう一度訊こう――――手を組まないか、大蛇丸
確信。この男はほとんど体力を消耗していない。余力にかなりの差が無ければ、回復などしまい。せいぜい食糧でも差し出すのが関の山だ。
断り、戦闘になれば、チャクラがない今の自分では相打ちすら出来るかどうか。ならば―――――
(利用してやるわ、藍染惣右介
「ふふ、なるほど、考えてるわね。協力、してあげるわ」
「そうかい、そう言ってくれると信じていたよ」
「ただし、協力は残り人数が20人を切るまで、でいいかしら」
「ふむ、いいだろう。さて、今私は【正義ぶった連中】に、《ゲームからの脱出を琵琶湖で行う》と噂を流してある。
純粋そうな人間に言いふらさせているから、何人かは来るだろう」
藍染はそう言うと、一拍おいて大蛇丸に語りかける。
「そこに集まった者達を、私と君で皆殺しにする」
「・・・もし、三十人四十人集まってたらどうするの?それじゃあ流石に二人では―――」
「私の能力を使う。斬魄刀、鏡花水月。複数の対象に絶対の幻覚を見せる能力だ」
「なるほど、其れで撹乱した相手を叩く、と」
面白い。本当は何を考えているのか知らないが、彼は予想以上に使えそうだ。
だが、その場にダイがいた場合だけは全力で止めなければ。彼の才覚は惜しい。まあ、それもダイ以上の才能を持つ者がいたら別だが。
こうして、腹黒い二人は同盟を組んだ。お互いに自分の本性と、目的を隠したまま。
その時、外から声が聞こえた。


「――――悪かったよ」
「――――まあ、結局大きな町に着いたからよいが、次からはわしの話も聞いてくれ」
太公望と富樫が、大阪の町を歩いている。絆もどこへやら、かなりの険悪ムード。
何故こんなムードになっているか、参考までに説明しよう。

~~数分前~~

陸地に海から乗り上げる影が二つ。
「うっし、着いたぞ太公望!さっきビルが見えたから、近くに町もあるはずだぜ」
「・・・・・・」
太公望は黙って地面に突っ伏している。
心配になって、富樫が話しかける。
「どうした、太公望
太公望は顔を上げて口火を切った。
「この阿呆が!」
「阿呆だと!?」
「ああそうじゃとも!全く、何故わしの話を聞かずに飛び込んだのじゃ!」
言い返そうとして、太公望の荷物がなくなっていることに気づく。
「あのまま船に乗っていても、必ずどこかにはたどり着いたはずじゃ!そこで町を探せばよかったものを・・・」
太公望は頭を抱え込んで、嘆いている。
富樫は、自分の行為の短絡さに頭を抱えた。
その後、険悪なムードのまま大阪の町に向かったのだ。

~~~そして時は動き出す~~~

「――――まあ、済んだことは忘れて、気楽に行くかのう~」
蛸のような姿でそう言う太公望
それを見て、幾分富樫の心も落ち着く。
(全く、お前には助けられてばっかりだな)
人の心を惹きつける、カリスマ。富樫は自分達の師である漢を、太公望に重ねて見ていた。
(―――――って、それもまた違うか?)
富樫は交差点で歩道を渡ろうと、角に敵が潜んでいないか確かめようとする。太公望は何やら考え事をしているようだ。
――――――敵はいた。
直後に交差点の左側から、何かの乗り物に乗った一つの影が、右側の確認を終え左側を向いた富樫に迫る!
「富樫!避け・・・」
太公望の声。
その声が耳に届く前に、富樫の肩に小振りの剣が刺さっていた。
「――――――っ!!」
とっさに剣を引き抜き、妙な乗り物に乗った男を目で追う。
そこには、自分達がこの世界で相対した中でも最悪の男―――藍染惣右介
それに、自分に剣を突き刺した長髪の男。いや、待てよ、あいつの風貌は―――
「いい腕だね、大蛇丸
藍染がそう言った。
大蛇丸!確かダイ達が出会った、マーダー!
(まずい・・・最悪のときに、最悪の二人に会っちまった!)
「心臓を狙ったんだけどね。なかなかいい反応してるわ。少しは楽しめるかしら」
「本当に君だけでやるのかい、大蛇丸?彼らはそこそこ手強いよ」
二人は楽しそうに会話している。
太公望、聞こえるか)
(ああ、どうする?わしもお前も疲れておる、逃げても追いつかれるじゃろうな)
(やけくそで突っ込むか?)
(馬鹿を言え。わしらはここで死ぬわけにはいかん)
「ええ、さっきの魔法のお礼、ってところかしら。例の能力はどのくらい消耗するかわからないから、計画実行までなるべく使いたくないんでしょう?」
「ああ、助かる。では、私は高みの見物といくかな」
藍染は跳躍し、建築物(マンション)の2階のベランダに立った。まるでモルモットでも見るかのように見下ろしている。
そして、一方的な戦闘は始まった。
まず、大蛇丸は妙な乗り物から降りる。完全に不意打ちのためだけに使ったらしい。
「いくわよ」
言うが早いか、右手に巨大な剣を持ち、突進してくる大蛇丸
「くっそぉ!」
自分の肩に刺さっていた剣を持ち、応戦する富樫。
まず、大蛇丸の初撃が振り下ろされる。
何とか回避する富樫。
そこに、さらに横薙ぎの追撃。
これを、剣の腹で受ける。
「ふふ、剣技は苦手かしら!?」
「ちいっ!」
力では富樫のほうが上回っているが、剣技では大蛇丸に一日の長がある。
(ドスなら慣れてんだが・・・くそっ!桃に習っとけばよかったか!)
「あら、隙だらけねぇ・・・やっぱり疲れてるのね、楽でいいわ」
瞬時に思考の隙をつかれ、剣を跳ね上げられる。
「最初は貴方からね。すぐ連れも送ってやるわ――――!?」
殺られる、と思った瞬間、大蛇丸の顔に石がぶつかり、大蛇丸の顔が濃くなる―――五光石か!
吹き飛ばされた大蛇丸を尻目に、太公望を見る。ばしっ!と五光石をキャッチして、得意満面。
「お前、荷物は流されたはずじゃ・・・」
「わーはっはっは!このわしがそう簡単に武器を手放すわけないじゃろう!これだけはずっと懐に入れておいたのじゃ!」
爆笑する太公望を見ながら、富樫は苦笑する。
(こいつはこんなところで死んじゃならねぇ、必ず俺が守り通す!)
「ふ―――――ふふふふふ、やってくれるじゃない、貴方達。チャクラも無いただの人間の分際で」
大蛇丸が立ち上がり、大蛇のような目でこちらを見据えてくる。静かに怒りを燃やし、殺意を放出して。
「火遁―――――鳳仙花!」
大蛇丸は手で印を組み、叫ぶ。瞬間、二つの炎が富樫に迫る。
「なに!?」
剣を拾って構えなおし、大蛇丸が再び突進してくるものと思っていた富樫は、予想外の事態に驚く。
迫りくる炎。
剣ではどうしようもない。しかたなく転がって炎を回避しようとする。
一つ目は避けることに成功する。しかし、二つ目の炎は――――意思を持つかのように曲がり、富樫の右足に直撃した。
「―――――!!!」
何とか消そうとするが、足元はアスファルト。消えるはずもない。
「富樫!!」
太公望が富樫に駆け寄る。
「ふふふ、お別れの時間ぐらいはあげようかしら」
大蛇丸の嘲った声が富樫の耳に届く。
「富樫、大丈夫か!」
「へ、へ・・・太公望、俺は逃げるのは無理そうだ」
既に右足の表面はほとんど燃え尽きている。
(だからよ、俺があいつらに隙を作る。その隙を突いて、お前だけでも逃げろ!)
かすれて、聞き取りづらい声。
「な、なにを―――」
(お前が死んだらよ――――皆を纏める奴が、いなくなっちまうだろ)
(俺が合図したら、あの乗り物の所へ、全力で走れ。後は分かるな?)
富樫は自分のバッグから何かを取り出し、バッグ自体は太公望に渡した。
「ま、待て!わしの話を―――」
「悪いが、きけねぇ」
言って、富樫はふらふらと立ち上がる。
「いくぜ、ヘビ野郎」
「あら、もう死にに来るの?つまらないわねぇ・・・」
大蛇丸は、大剣を振りかぶり、再び突進する。
それに合わせ、富樫も駆け出す。
「おおらぁぁぁぁっ!!」
全ての力を込めた渾身の一撃。剣を、力のみに任せて振り回す。遠心力を加えながら。
その常軌を逸した力に、ぶつかった大蛇丸の大剣は砕け、吹き飛ぶ。そして、富樫の魔槍の剣も真っ二つに折れる。
(肉弾戦なら―――――!)
富樫は両手を同時に突き出す。
―――――突き出した両手は、大蛇丸の顔には届かない。
一本の槍が、富樫の体を、腹部を、貫いていた。
「ふふふ、あなたといい、斎藤といい、本当に滑稽ねぇ。命を懸けて何かやろうなんて、流行りじゃないわよ?」
嘲笑する大蛇丸
「へ、べ、そうかもな」
口から血を流しながら、自嘲的な口調で言う富樫。
「でもよ、ごれがおれらの、やりがたなもんでよ!」
両手を開く富樫。そこには―――――!
「それは――――爆砕符!」
「へえ。知ってんのかい。じゃあ、おれがなにじようとじでんのが、わがんよなぁ!」
富樫は、逃げようとする大蛇丸の首を掴み、ニヤリと笑う。
「貴――――様!ふざけるな!さっさと死ね!」
槍を心臓の方向へと横薙ぎにしようとする大蛇丸の行為は、しかし富樫の鋼の筋肉に妨害される。
「な――――!?貴様、人間か?」
「ああ、手前と違ってなァ!!太公望、行けぇぇぇぇ!」
言うと同時に、爆砕符を大蛇丸の頭にセットする。そして全力で大蛇丸の両腕を掴む。
「う、動けない!?糞ぉぉぉぉぉ!こんな所でええええっ!」
「最後に教えてやる―――俺の名前は富樫源次!男塾一号生!―――――地獄に行っても、忘れんじゃねえぞ」
――――――3。
太公望は、ウェイバーに乗り込み、操作方法を確認する。
――――――2。
大蛇丸は、最後の足掻きと言わんばかりになけなしのチャクラを頭に集める。
――――――1。
藍染は、静かに状況を見下ろし、何かを考えている。

――――――0。

爆砕符二枚分の爆発音が、大阪の町に鳴り響いた。
一瞬遅れて、ウェイバーの発進音。
(くそ――――富樫!おぬしはこれでよかったのか?)
仲間を失うという確信が太公望にはあった。それを知りながら自分は何もできない。
聞仲との戦いで死んでいった十二仙のことを思い出す。
(おのれ――――わしにもっと力があれば!)
(それは違うよ、望ちゃん)
「―――――普賢!?」
心の奥から聞こえる、友の声。
(望ちゃんは、優しいから、力がなくてもみんなが集まるんだ。だから、徒に力を望むべきじゃない)
「―――――そうじゃのう。わしらしくもない」
自分の目的は、ゲームを脱出することであって、主催者を倒すことではない。
――――――覚悟を新たに、前に進もう。それが、きっと富樫のためでもある。

その時、藍染がいきなり自分の進路に現れた。
「私が逃がすと思っているのかい、太公望
太公望は構わずアクセルを踏む。
「どかぬと、ひき殺すぞ!藍染!」
「―――――砕けろ、【鏡花水月】」
藍染が何か言った、と思った瞬間、ウェイバーは最大速度まで加速し、藍染を撥ね飛ばしていた。
藍染の四肢が千切れ飛び、その表情が驚愕に変わるのが見えた。そしてその顔もウェイバーの前面に直撃し、砕けた。
(死んだ、じゃと?馬鹿な、簡単すぎる)
一瞬疑問に感じたが、飛び散る血、そしてなお宙を舞う四肢は、確かに目に見えている。
ゆえに、振り向かず走り続ける。
(これからどうする?公主達に合流するか、別のところを探索するか・・・)
太公望は、走行しながら考える。

富樫は、太公望が無事この修羅場から抜け出したのを見ていた。藍染が死んだところも見た。
大蛇丸はピクリとも動かない。当然だ、頭が無くなっているのだから。
「へ、へっ。生き残れよ、太公望
富樫は、自分の死を確信していた。血が全く止まらない。
(塾長・・・太公望に会ってください。あんたと太公望なら、この糞ゲームを何とかできる気がする)
富樫はふっと笑う。今から死ぬというのに、妙に落ち着いているからだ。
(ああ・・・桃、そっちに行ったらお前と決着・・・)
富樫の視界は、薄れていく。最後に見たものは―――――


その場には、死体が三つ。
少なくとも、先の出来事を見ていた者にはそう見えている。
一つ、腹から槍を生やし、ほんの少し驚いたような表情の死体。
二つ、頭がなくなり、誰なのか判別すらできない死体。
三つ、粉々に千切れ飛び、原型すらない死体。
そしてそれらの死体からは、等しく首輪がなくなっている。
だが、もし今ここに何も知らない人間が通りかかれば、三つ目の死体を目にすることは叶わないだろう。
何故なら―――――――

(・・・まさかここまで体力を使うとは。一歩間違えば本当に轢き殺されていた。)
大阪の町の、【大阪名物たこ焼き店!フリーザ様推奨!】と書かれた、店内いたるところに蛸の置物が点在する建物の奥、おそらくは食材倉庫。
そこに、息を荒げ、膝を折る男が一人。
(ホイミも―――――鬼道も使えない。今は休むしかないな。
首輪の解析も――――今は出来んな、頭が冴えない。放送と霊力の回復を待つしかない)
男が、危険を冒して能力を使った理由は二つ。
一つは、太公望に対して自分の死を誤認させるため。そうしておけば、最悪でも次の放送までは仲間をぞろぞろ連れてこられる恐れは無いだろう。
だが、それなら大阪から逃げればよかったのではないか?そうすれば、体力の消費も最大限に抑えられた。
二つ目の理由が、その考えを覆させた。
実験。主催者に対する、明らかなる造反。
大蛇丸が死んだ以上、男が大阪に来たことは完全な失敗となる。
だが、その失敗によって死者の首輪と、主催者に自己の能力が効くのか、
そして監視しているかを楽に判別するための機会が目の前に転がってきたのだ。リスクを冒す価値はある。
(鏡花水月の能力は完全催眠。たとえどんな実力者でも―――――一度目にすれば、逃れる術は無いはずだ)
男は、自分の能力に絶対の自信を持つ。それが、妄信かもしれないとは考えもせず。
(監視しているのなら、私の名が呼ばれるはず。していなければ、琵琶湖での計画実行が幾分楽になる。
―――いかん、今はただ休んだほうがいい)
男は、周囲を警戒しながらも、静かに眠り始めた。





【大阪市内交差点/1日目・午後】

【太公望@封神演義】
[状態]:やや疲労、完全催眠(大阪の交差点に藍染の死体)
[道具]:荷物一式(食料1/8消費)、五光石@封神演義、鼻栓、ウェイバー@ONE PIECE
[思考]:1.この場を離脱。その後公主たちと合流するか、別のところを探索するか…
    2.バギの習得を試みる
    3.新たな伝達手段を見つける


【大阪府市街地(たこ焼き屋、食材倉庫)/1日目・午後・太公望の状態表より30分ほど後】

【藍染惣右介@BLEACH】
[状態]:周囲を警戒しつつ睡眠、わき腹に軽い負傷、骨一本にひび、重度の疲労、MP空(戦闘不能・盤古幡使用不可)
[装備]:雪走@ONE PIECE、斬魄刀@BLEACH
[道具]:荷物一式二個(一つは食料二人分 1/8消費)、盤古幡@封神演技、首輪×2
[思考]:1 夜まで体力回復に努める
    2 琵琶湖へ向かう
    3 出会った者の支給品を手に入れる。断れば殺害。特にキメラの翼、ルーラの使い手を求めている。
    4 計画の実行
    5 次の放送で実験の結果を検分、その後行動方針を決める。

備考:大蛇丸が持っていた荷物のうち2つは、
   二人が同士討ちになった、と後に来た参加者に思わせるために現場に残してあります。
   主催者に能力が通じたかどうかは不明。


【大蛇丸@NARUTO 死亡確認】
【富樫源次@魁!!男塾 死亡確認】
【残り87人】


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0232:小さな主催者 藍染惣右介 0262:死神の眼×4
0205:前へ前へ 太公望 0258:流れ行く風
0205:前へ前へ 富樫源次 死亡
0231:壬生狼の信念 大蛇丸 死亡

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最終更新:2024年03月24日 08:16