第二回第一回放送 - 児童文庫ロワ

『強くなれる理由を知った――』

　時刻は6時を回った。濃い霧で朝も夜もない会場では、夜明けに合わせた放送などわかりはしないだろう。
　流れ出したのは、LiSAの紅蓮華だった。それがビルのスピーカーから、室内のパソコンから、電話から、FAXから、無線から、とにかく通信機器全てから一斉に流れ出す。何十台ものパソコンを始め1部屋あたり100をこす紅蓮華の大合唱が始まる。
　カーラジオから、防災無線から、街頭モニターから、あらゆるものから紅蓮華が響く。それは参加者の私物の携帯電話やトランシーバーからもどういうわけか紅蓮華が鳴っていた。

『僕を抱いて進め――』
『ケケッ！　グッドモーニング！』
『おはようさん、朝の6時をお伝えするで〜。』

　サビらしき部分に入ると同時に、正体を掴めない高い声と、明るい少女の声が聞こえてくる。その声の片方が、オープニングで死の宣告をしたツノウサギの声だと覚えているのは、参加者のうち半分もいないだろう。夢の中の出来事のように、情報はおぼろげに覚えられても記憶はそうは行かない。殺し合いの場には場違い甚だしいテンションで、ツノウサギと少女は話し出した。

『オレの名前はツノウサギ。お前らの殺し合いを6時間バッチリ見させてもらったぜぇ〜！』
『ウチの名前は死野マギワ。次の6時間を担当するわ。みんなよろしくな〜。』

　ツノウサギに続いて自己紹介したのは、うさんくさい関西弁でしゃべる少女、マギワ。紅蓮華をバッグに、2人はつらつらと言葉を続ける。

『そんじゃあ、あらためてルール説明だ。さっきみたいに邪魔いれたかったらやってみな！　できないだろうけどな！』
『ハイハイ本題に行くでぇ。今日は皆に、殺し合いをしてもらおうと思う。バトル・ロワイヤルや。』

『オイソリャオレのセリフだ！　えっと気を取り直しまして、今お前らがいるのがバトロワの会場だ。中にあるものは好きに使っていい。それで殺し合って最後の一人になったら勝ちだ。』
『法律なんて関係ないルール無用のデスゲームや。』

『優勝者はオレらの仲間になれる。だいたいの願いならまあ叶えてやるぜ〜。オレらにその力があるってことは、もうよ〜くわかってるだろ。お前ら！　頑張って殺し合えよ！　ケケケっ！！』
『このゲームの参加者には金に困ってるやつも多いやろから、ウチらサイドまで上がってこれれば待遇は保証するで〜。その額、500億。プラスそこに、不動産や有価証券みたいなわかりやすい資産でも、ハイテクや臓器みたいな欲しいやつなら喉から手が出るほどほしいもんでも、まあたいていは用立てたる。うちらの偽札は本物よりも精巧や。なんなら死人も蘇らせれる。ウソや思うやろ？　ウチも1回死んでるから、ホントやってわかるんやけど、信じるかどうかは君らに任せるわ。』

『あと、アレだ、えっと、今後は6時間ごとに放送する。毎度前回からの脱落者と、追加ミッションと、あと雑談を話すからよく聞いとけ〜。脱落者は死んだヤツの名前、ミッションは新ルールの追加、雑談は、まあ話すヤツの気分だな。で、脱落者の名前は……あれ、メモどこ行った……』
『ここやここ！　もうどんくさいなぁ、人数多いからサクサク進めんと日が暮れるで。参加者のみんなもメモの用意はできた？　いくで〜。』

『
我妻善逸
茜崎夢羽
秋野真月
アキラ
明智小五郎
明智光秀
阿部ソウタ
天野司郎
有星アキノリ
磯崎蘭
稲妻快晴
ヴァイオレット・ボードレール
上田次郎
大木直
小笠原牧人
小黒健二
大太刀
大場大翔
大場結衣
長内隆
織田信長
空寺ケン
神田あかね
菊池英治
木瀬文太
木村孝一郎
木本麻耶
工藤穂乃香
蜘蛛の鬼（兄）
蜘蛛の鬼（父）
ゲッコウガ
小島直樹
小清水凛
小林聖司
小林疾風
小松原麻紀
櫻井悠
桜木生絹
桜田ネネ
定春
次元大介
四道健太
白井玲
杉下元
銭形幸一
仙川文子
大富豪のカラ松氏
高橋大地
武市変平太
タベケン
チョロマツ
チョロ松警部
円谷光彦
手鬼
富竹ジロウ
なごみ探偵のおそ松
二階堂大河
日本号
野原しんのすけ
野原ひまわり
ノル
春野サクラ
ビースト
東方仗助
ピカチュウ
ヒグマ
日向冬樹
広瀬崇
馬頭鬼
松野一松
松野十四松
松野チョロ松
水沢光矢
宮美四月
村瀬司
森嶋帆高
山岸由花子
ユイ
夢見キララ
羅門ルル
累に切り刻まれた剣士
』

『……以上の81名！　イイネ、イイネ！　その調子でどんどん殺し合ってくれよな！
『いやいや、自分ら殺しすぎとちゃう？　あんなルール説明も途中で終わったんにどんだけ殺る気やねん、驚くわ〜、てか引くわ〜。元から殺人鬼とか変態とかばっか集めたんやけど、せやかて、こんな殺すか？　え、人の心とかないん？』

『ケケケ楽しきゃいいんだよ。おっと、追加ルールの発表、忘れるところだったぜ。追加ルールは……ジャン！　キルスコアレース！　6時間で一番殺した参加者は、優勝者とは別にゲームから勝った扱いになるぜぇ。今からリモートで首輪外すからよ、ゲーセンかどっかで終わるまで暇つぶししてくれよ。』
『次の放送で脱落者として名前呼ぶから、みんな気いつけて聞きぃ。ちなみにこのルールはこれからも有効や。みんなん中で次の6時間で一番殺したやつも抜けられるで。今ならキルスコア2倍で、参加者一人殺したら二人殺したことにしたる。前の6時間で何人も殺したマーダーもおるけど、これで今からでも追いつけるで〜。あ、首輪外れてるやつはキルスコアにならんから気いつけてなぁ。』

『んじゃ、オレ次のシフトまで仮眠とっから、みんな頑張って殺し合えよな！』
『ええなあ、うちは6時間ここでみんなの監督や。うちも頑張るからみんなも頑張ろな！　ほな、また！』

　紅蓮華と共に、声はフェードアウトして消えた。