「……ここどこ?」
「さあ……」
「さあ……」
英治が思わずもらした呟きに、近くにいた和服の少女が答える。
周囲をぐるりと見回して、自分と同じぐらいの子供も含めて数百人はいることを確認すると、一周したところで和服の少女と目が合う。
周囲をぐるりと見回して、自分と同じぐらいの子供も含めて数百人はいることを確認すると、一周したところで和服の少女と目が合う。
「……おれ、菊地英治。『ち』は地面の『地』の方で、英語の『英』に政治の『治』。」
「関織子、です。」
「関織子、です。」
なんとなく自己紹介して、話が続かず気まずさからまた周りをキョロキョロする。
おれなにやってんだろう、と思いながらも、英治はどこか冷静に状況を受け止めていた。
辺りは赤い霧に薄く包まれていて、遠くの方の人間は顔がはっきりせず人影としかわからない。何人かは英治と同じ東中の二年一組の、『あの』十七人らしき姿もあったが、どういうわけか誰かまではわからない。それどころか織子の姿まで意識しないとよく認識できない、そう自覚したところで、英治は自分の頭がよく回らないことも自覚した。
おれなにやってんだろう、と思いながらも、英治はどこか冷静に状況を受け止めていた。
辺りは赤い霧に薄く包まれていて、遠くの方の人間は顔がはっきりせず人影としかわからない。何人かは英治と同じ東中の二年一組の、『あの』十七人らしき姿もあったが、どういうわけか誰かまではわからない。それどころか織子の姿まで意識しないとよく認識できない、そう自覚したところで、英治は自分の頭がよく回らないことも自覚した。
「変なクスリでも撒いてるのか? この赤いの。」
「みたいですね。」
「みたいですね。」
かけられた声に英治は一瞬驚く。その声の主は知らない人物だと思うのだが、そうであると確信が持てない。その異常な事態に、自分の脳みそが誰かに弄くられているような感じを覚えた。
まただ、ついさっき教えられた名前が出てこなかった。
嫌な感覚に背中を汗が伝う。
同じ感じなのか、織子も恭哉もどこか不安そうに自己紹介をし合っていた。それを横で見ながら、チラチラと周りの人間にも目をやる。自分達と同じように何人かのグループができつつあるのを見ると、どうやらみんな同じらしい。
つまり、何百人も突然見知らぬ場所に集められた――さらわれた? そして妙なガスまで吸わされて? そこまでようやく考えが行き着いたところで、突然声が響いた。
嫌な感覚に背中を汗が伝う。
同じ感じなのか、織子も恭哉もどこか不安そうに自己紹介をし合っていた。それを横で見ながら、チラチラと周りの人間にも目をやる。自分達と同じように何人かのグループができつつあるのを見ると、どうやらみんな同じらしい。
つまり、何百人も突然見知らぬ場所に集められた――さらわれた? そして妙なガスまで吸わされて? そこまでようやく考えが行き着いたところで、突然声が響いた。
「はい、チューモーク。」
赤い霧に切れ目ができる。そこにいる影が鮮明になる。白い姿があらわになり、出てきたのは――
「オレの名前はツノウサギ。」
ツノの生えたウサギだった。
「え、なんで。」
「わぁかわいい。」
「……」
「わぁかわいい。」
「……」
思わずツッコむ英治と、素直に感想を述べる織子と、なぜか一気に険しい顔になり荒い息になる恭哉。そんな息遣いを聞いて声をかけようとした英治の耳に、その言葉は届いた。
「今日は皆さんに、殺し合いをしてもらおうと思います。」
「やべえぞ! デスゲームだ!」「まずい! この首輪をイジるな! 作動したら死ぬぞ!」「大きな声を出すなぁ! 見せしめになりたいのかぁ!」「まずはルール説明を待とう、おそらくはあのマスコットは解説役だと考えられる。」「すごいな、まるでデスゲーム博士だ。」
「なんかお前ら慣れてない? まあそういうやつを中心に集めたんだけどさ。」
「やべえぞ! デスゲームだ!」「まずい! この首輪をイジるな! 作動したら死ぬぞ!」「大きな声を出すなぁ! 見せしめになりたいのかぁ!」「まずはルール説明を待とう、おそらくはあのマスコットは解説役だと考えられる。」「すごいな、まるでデスゲーム博士だ。」
「なんかお前ら慣れてない? まあそういうやつを中心に集めたんだけどさ。」
ツノウサギの言ったことと、それに反応して一斉に大声を上げだした人影たちの両方に英治は驚く。
「まさか、でもやっぱり」と呟く恭哉の声は耳に入らなかった。
殺し合えという言葉と、それに慣れているらしい多くの人間というのは、さすがの英治でも想像の範囲外のものだ。
「まさか、でもやっぱり」と呟く恭哉の声は耳に入らなかった。
殺し合えという言葉と、それに慣れているらしい多くの人間というのは、さすがの英治でも想像の範囲外のものだ。
「今からお前たちはオレ達主催者が用意した孤島に行ってもらう。海あり山あり街あり武器ありのな。そこで最後の一人まで殺し合う。な、簡単だろ?」
「そこまでにしときな。」
「そこまでにしときな。」
衝撃的な話を続けるツノウサギの声を、今度は青年の声が遮る。そこだけスポットライトの当たったように霧が晴れると、黒服に剣を携えた青年の姿か見えた。
「ガキの鬼がいなくなったと思って面倒くせえと思ったが、手頃な鬼がいるじゃねえか。こんなウサギなら俺でも勝てるぜ。」
「よせえ! 死にたいのか!」「もう駄目だ……おしまいだ。」「見せしめにされる……見せしめにされる……!」
「お前らうるせえな! やりづれえ!」
「おおそうだよ、こういうやつだよ欲しかったのは。まあオレは鬼は鬼でもお前が言ってる鬼じゃねえけど、細かいことはいいや。」
「よせえ! 死にたいのか!」「もう駄目だ……おしまいだ。」「見せしめにされる……見せしめにされる……!」
「お前らうるせえな! やりづれえ!」
「おおそうだよ、こういうやつだよ欲しかったのは。まあオレは鬼は鬼でもお前が言ってる鬼じゃねえけど、細かいことはいいや。」
周囲の制止を振り切り、青年は剣を顔の横に立てるように構える。それを見てツノウサギは、手をパチパチと拍手するように叩くと言葉を続けた。
「で、ルールだが、基本的にない。俺ら主催者がイラッときたら、その首輪で殺す。例えば――」
ツノウサギの言葉を無視して青年は斬りかかる。一息に距離を詰めてあと数歩まで迫り――
「――こんなふうにな。」
「――ガッ!?」
「――ガッ!?」
突如青年の首が閃光を放つ。爆発!?と驚き、それでも英治が目を開けると、青年の身体が、斬りかかろうとした体勢のまま転んだ。
文字通り、そのままの体勢だ。片足は上げられ、剣は僅かに肩の後へと。その体勢のまま青年は、わけがわからないという表情で地面を這う。
文字通り、そのままの体勢だ。片足は上げられ、剣は僅かに肩の後へと。その体勢のまま青年は、わけがわからないという表情で地面を這う。
「すげえだろそれ。毒を注射してよ、人間の身体を数秒で固めて殺すんだとよ。で、これがお前ら全員に着けられてるってわけ。おまけに作動すると爆発したみたいに光って演出も充分。そこそこ電池は持つらしいが、早めに外さないと誤作動するかもな。ケケ!」
英治はハッと首に手をやった。今まで意識しないようにしていた冷たい感触のそれは、前より一層冷たく感じる。それは他の子供も同じようで、恭哉などうずくまってひたすらに息を吸っていた。
その背中に手をやりながら、英治は固まっていく青年を見る。もうすぐ人一人が死ぬというのに何もできない。だからこそ、か。英治の足が一歩前に進む。だがその足が青年に向かうまでにはあまりにも遠い。しかし。
その背中に手をやりながら、英治は固まっていく青年を見る。もうすぐ人一人が死ぬというのに何もできない。だからこそ、か。英治の足が一歩前に進む。だがその足が青年に向かうまでにはあまりにも遠い。しかし。
「ドラァッ!!」
「カハっ!?」
「え、ウソ、生き返った!?」
「カハっ!?」
「え、ウソ、生き返った!?」
ハンバーグのような髪型をした変な学ランの青年が雄叫びをあげながら倒れた青年に触れる。そうするとどうだろう、不自然な体勢のまま固まっていた青年の身体がほぐれるようにパタリと倒れ、そして青年は信じられないという表情でゆっくりと立ち上がった。
「おいそれは無しだろ……もう解説役の見せ場ないじゃん……」
ツノウサギも信じられないという表情でそんなことを言っている。もっともこちらの場合は意味が違うようだが。
そして何か言葉を続けようとしたところで、声が悲鳴に変わる。
先ほどの鳥の巣みたいな頭の青年がツノウサギに近づくと、突如として二人の間の霧が吹き飛んだのだ。
「ゲェっ!?」というツノウサギの叫びに反応するように霧が二人の間に割って入り、「ドラァッ!」という気合とともに吹き飛ばされる。
それが二度三度続いたところで、今度はツノウサギの全周囲の霧がかき消えた。そこに残るのは、無数の刀。よく見れば先ほどツノウサギにみせしめにされた剣士と同じような黒服を着た集団が各々の剣を振るっていた。ていうかさっきのみせしめ剣士もいた。ガッツあるな。
そして何か言葉を続けようとしたところで、声が悲鳴に変わる。
先ほどの鳥の巣みたいな頭の青年がツノウサギに近づくと、突如として二人の間の霧が吹き飛んだのだ。
「ゲェっ!?」というツノウサギの叫びに反応するように霧が二人の間に割って入り、「ドラァッ!」という気合とともに吹き飛ばされる。
それが二度三度続いたところで、今度はツノウサギの全周囲の霧がかき消えた。そこに残るのは、無数の刀。よく見れば先ほどツノウサギにみせしめにされた剣士と同じような黒服を着た集団が各々の剣を振るっていた。ていうかさっきのみせしめ剣士もいた。ガッツあるな。
「止まった時の世界にまで入ってくるんじゃねえええ! おい! もうルール説明とかいいから会場に飛ばしちま――」
「オラァ!」
「オラァ!」
突然後ろから聞こえた声に英治は驚いて振り向く。ちょうどその時、いつの間にか後ろにいたツノウサギが、何か透明なものにでも上から押しつぶされるようにぺちゃんこになる瞬間を目撃した。
驚きまた振り向き視線はさっきまでツノウサギがいた方へ。そちらは先ほどの剣士たちを残してツノウサギはいない。まるで瞬間移動だが、なぜか瞬間移動後にぐちゃぐちゃになっているのはどういうわけだろうか。
あまりにも次から次へと起こる異常事態に、英治の頭が痛む。それと同時に、意識も遠のく。いや、これは、混乱からくる頭痛では無く――
驚きまた振り向き視線はさっきまでツノウサギがいた方へ。そちらは先ほどの剣士たちを残してツノウサギはいない。まるで瞬間移動だが、なぜか瞬間移動後にぐちゃぐちゃになっているのはどういうわけだろうか。
あまりにも次から次へと起こる異常事態に、英治の頭が痛む。それと同時に、意識も遠のく。いや、これは、混乱からくる頭痛では無く――
「なんか、ヤバい……!」
咄嗟に自分の腕をつねり上げるが、意識が飛んでいく。なんとなくだが、これから会場へ拉致されて殺し合いに巻き込まれる気がする。今まで廃工場に立て篭って機動隊と戦ったりヤクザやカルト教団や泥棒と戦ったりしてきたのでわかる。だがわかっていたところで対応できないことはあるわけで。
数秒後、赤い霧に包まれた全員の意識が無くなり、その姿が霧へと飲み込まれていった。
【参戦確定】
【菊地英治@ぼくらのデスゲーム(ぼくらシリーズ)@角川つばさ文庫】
【関織子@若おかみは小学生! 映画ノベライズ(若おかみシリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【深海恭哉@ギルティゲーム(ギルティゲームシリーズ)@小学館ジュニア文庫】
【塁に切り刻まれた剣士@鬼滅の刃 ノベライズ~きょうだいの絆と鬼殺隊編~(鬼滅の刃シリーズ)@集英社みらい文庫】
【東方仗助@ジョジョの奇妙な冒険
ダイヤモンドは砕けない 第一章 映画ノベライズ みらい文庫版@集英社みらい文庫】
【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章 映画ノベライズ みらい文庫版@集英社みらい文庫】
【関織子@若おかみは小学生! 映画ノベライズ(若おかみシリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【深海恭哉@ギルティゲーム(ギルティゲームシリーズ)@小学館ジュニア文庫】
【塁に切り刻まれた剣士@鬼滅の刃 ノベライズ~きょうだいの絆と鬼殺隊編~(鬼滅の刃シリーズ)@集英社みらい文庫】
【東方仗助@ジョジョの奇妙な冒険
ダイヤモンドは砕けない 第一章 映画ノベライズ みらい文庫版@集英社みらい文庫】
【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章 映画ノベライズ みらい文庫版@集英社みらい文庫】
※参加者は主催者の謎パワーによりオープニングで出会った他参加者のことを覚えていません
※このこと以外に基本的に制限はないです
※このこと以外に基本的に制限はないです