「あれ? 野宮くんは?」
「それが……校門の人たちを、体育館に運んでるらしくて。」
「あっ……そっかぁ。」
「どうする?」
「うーん……ちょっと早いけど集まってもらっちゃったしなあ。」
「遊、呼んできたけど、話ってなに?」
「それが……校門の人たちを、体育館に運んでるらしくて。」
「あっ……そっかぁ。」
「どうする?」
「うーん……ちょっと早いけど集まってもらっちゃったしなあ。」
「遊、呼んできたけど、話ってなに?」
時刻はもうそろそろ6時になろうかという頃。
三谷ワタルと次元遊は、それぞれの知り合いを視聴覚室に呼び集めていた。
遊は幼なじみでゲーム開始後比較的早いタイミングで再会した君野明莉と、ようやく看護婦役から休憩できた本乃あいのクラスメイト2名を、ワタルは幻界での仲間であるキ・キーマに、この学校にいる中では一番長い付き合いのシェーラ、そしてゲームから出てきたっぽいイケメン剣士を連れてきていた。
三谷ワタルと次元遊は、それぞれの知り合いを視聴覚室に呼び集めていた。
遊は幼なじみでゲーム開始後比較的早いタイミングで再会した君野明莉と、ようやく看護婦役から休憩できた本乃あいのクラスメイト2名を、ワタルは幻界での仲間であるキ・キーマに、この学校にいる中では一番長い付き合いのシェーラ、そしてゲームから出てきたっぽいイケメン剣士を連れてきていた。
「そうだよね……あの人たちもあのままじゃ……」
「あの、それはそれで大事なんだけど、そちらの剣士の方は?」
「ああ、この人はクレイ・C・アンダーソンさん、エルフの魔法使いとかと一緒にクエストをこなしてる冒険者なんだって。」
「つまり深澤美潮先生のフォーチュン・クエストのクレイ……ってこと!?」
「おおっとあいが食いついた。」
「あの、それはそれで大事なんだけど、そちらの剣士の方は?」
「ああ、この人はクレイ・C・アンダーソンさん、エルフの魔法使いとかと一緒にクエストをこなしてる冒険者なんだって。」
「つまり深澤美潮先生のフォーチュン・クエストのクレイ……ってこと!?」
「おおっとあいが食いついた。」
困惑する明莉、どこか得意げに紹介する遊、そして疲れ果てていた様子が嘘のように興奮するあいに、当のクレイは今まで影が薄かったのになんで急に俺は注目されてるんだろうと思った。
小学6年生にしてプロの小説家としてデビューしたあいは、学校図書館向けに出版されている本ならばそのたいていは一読とまでは言わずとも名前ぐらいは聞いたことがある。他の児童が寄り付かないような図書館の歩き方を知っている彼女だからこそその筆力が養われたのだ。
そんなあいの様子を見て、説明が早く済みそうだと思いながら、「まずはこちらをご覧ください」とワタルはプロジェクターのスイッチを入れた。
小学6年生にしてプロの小説家としてデビューしたあいは、学校図書館向けに出版されている本ならばそのたいていは一読とまでは言わずとも名前ぐらいは聞いたことがある。他の児童が寄り付かないような図書館の歩き方を知っている彼女だからこそその筆力が養われたのだ。
そんなあいの様子を見て、説明が早く済みそうだと思いながら、「まずはこちらをご覧ください」とワタルはプロジェクターのスイッチを入れた。
『タイムスリップじゃなくて多元世界から参加者連れてこられてる説 提唱者 次元遊・三谷亘』
「なんでパワポっぽい手書きなの?」
「ここにあるパソコン、ビックリするぐらい何も入ってなかったんだよね。」
「ここにあるパソコン、ビックリするぐらい何も入ってなかったんだよね。」
幼なじみの気安さでツッコむ明莉とツッコまれる遊をよそに、ワタルは次のスライドを置きながら言った。
「最初は、遊と2人でゲームの話をしてたんだ。でもすぐに2人の知ってるゲームをお互いが知らないことに気づいたんだ。」「で、直ぐにまず時代が違うことに気づいたんだ。SEGAやSNKがゲーム機作ってるって聞いておかしいと思ったんだよ。」
「でも古いでも話が噛み合わなくて。」「もっと詳しく聞いてたらゲーム会社自体が違ったんだよね。」
「それで、もしかして時代が違うんじゃなくて並行世界なんじゃないかってひらめいたんだ。」「パラレルワールドだね。」
「でも古いでも話が噛み合わなくて。」「もっと詳しく聞いてたらゲーム会社自体が違ったんだよね。」
「それで、もしかして時代が違うんじゃなくて並行世界なんじゃないかってひらめいたんだ。」「パラレルワールドだね。」
息ぴったりに話すワタルと遊に、とりあえず明莉とあいは聞き役に徹していた。何か回りくどい感じもするが、ツッコんでばかりでは話が進まない。
「それで、実はボクは異世界に行ったことがあって。」
「ええっ!?」
「ていうか、異世界で旅をしてたら連れてこられたんだよね。こっちが仲間のキ・キーマ。」
「ええっ!?」
「ええっ!?」
「ていうか、異世界で旅をしてたら連れてこられたんだよね。こっちが仲間のキ・キーマ。」
「ええっ!?」
この着ぐるみにしてはやけに素材がしっかりしてる人はなんなんだろうと思っていたあいからすると突然開示された情報に驚かざるをえない。
「そういえばあいには話してなかったか。」
「そうなの?」
「おーなんだなんだ、俺の話か?」
「そうなの?」
「おーなんだなんだ、俺の話か?」
一方の張本人であるキ・キーマはよくわからない話が続いたあとに唐突に自分の名前が出てさすがに困惑する。
「それで、異世界だと言葉がわからないはずだけどボクは言葉がわかったんだ。」「転移特典みたいなやつだね。」
「あい、わかる?」
「ごめんなさい、なろう系は詳しくなくて。でも異世界に行った時に魔法か何かで言葉がわかるようになるっていう展開だと思う。」
「で、こっちがシェーラひめって言うんだけど、よく話を聞いたらボクのいた世界とは違う世界にいたみたいなんだ。」「4つ目の世界だね。」
「あら、今度はわたし?」
「あい、わかる?」
「ごめんなさい、なろう系は詳しくなくて。でも異世界に行った時に魔法か何かで言葉がわかるようになるっていう展開だと思う。」
「で、こっちがシェーラひめって言うんだけど、よく話を聞いたらボクのいた世界とは違う世界にいたみたいなんだ。」「4つ目の世界だね。」
「あら、今度はわたし?」
明らかにアラビアンな装いの少女が自分を指差しながら言う。遊は紙を交換すると4つの丸が描かれた図の紙がプロジェクターに投影された。
「つまり、ボクのいた日本と、遊のいた日本、キ・キーマのいた異世界と、シェーラのいた異世界。4つは全部別なんだ。」「キ・キーマとシェーラひめの世界の言葉は違うみたいだからね。」
「だけどボクはどの世界の言葉もわかる。たぶん。」「チートだね。」
「それで、実はみんな別々の異世界から召喚されたかもって思って、色んな人から話をしてみようって思ったら、クレイさんがいたんだ。」「保健室の前でウロウロしてた人だね。」
「ああ、この人が……」
「だけどボクはどの世界の言葉もわかる。たぶん。」「チートだね。」
「それで、実はみんな別々の異世界から召喚されたかもって思って、色んな人から話をしてみようって思ったら、クレイさんがいたんだ。」「保健室の前でウロウロしてた人だね。」
「ああ、この人が……」
自分に話を振られて少し緊張した面持ちで前に一歩出るが、何を言っても言葉が通じないので少し悩み、騎士らしく奉剣して敬礼してみた。
ここにいる一同、全員クレイを見たことはあるものの彼が他とは交流の薄いグループに属していたのもあって、その名前もよく知らなかった。
だが今は違う。あいが一度分かれば、彼の正体も掴め、そして他の人間たちの正体にも当たりがついた。
ここにいる一同、全員クレイを見たことはあるものの彼が他とは交流の薄いグループに属していたのもあって、その名前もよく知らなかった。
だが今は違う。あいが一度分かれば、彼の正体も掴め、そして他の人間たちの正体にも当たりがついた。
「それでクレイさんも別の異世界の人だってわかったんだ。」「たぶんゲームとかそういうのの世界だと思うな。」
「ううん、違うと思う。」
「え?」「どういうこと?」
「……ごめんね、失礼なことを聞くけれど、ワタルくんは、なにか……願いがあって異世界に、幻界に行ったんじゃないかな?」
「どうしてそれを……もしかして、君も旅人……」「どういうこと?」
「フォーチュン・クエスト……ブレイブ・ストーリー……もしかして。」
「ううん、違うと思う。」
「え?」「どういうこと?」
「……ごめんね、失礼なことを聞くけれど、ワタルくんは、なにか……願いがあって異世界に、幻界に行ったんじゃないかな?」
「どうしてそれを……もしかして、君も旅人……」「どういうこと?」
「フォーチュン・クエスト……ブレイブ・ストーリー……もしかして。」
あいはこれまでに出会った人間聞いた人間の名前を思い出す。彼女は曲がりなりにも日本人のグループと行動を共にしてきた。だから気づくことができなかった。安永宏という名前はありふれていて、彼の冒険譚は他に比べればまだ現実的で、だから流してしまった。その後は怪我人を必死に治療していてそれどころではなくなった。ふなっしーがいるのも、単に巻き込まれたタレントなのだと思った。なまじクラスメイトにアイドルがいて、1クラスまるごと迷宮教室に囚われていたことがあったせいで、そういったこともあると受け入れてしまった。
「もしかして、このバトル・ロワイヤルに集められた人は──!?」
気づきを口にして自分の口から出かけた言葉に、あいは驚愕する。
どうして今まで気づかなかったのだろう。
いや、その理由はわかる。図書館にその本は置いていないし、電子書籍になっているわけでもない。なにより、小学生の彼女の手の届くところにその作品は置かれていない。小説も、映画も、漫画も、彼女のような子供からは遠ざけられている。
それは彼女が読まないデスゲーム系の作品で、迷宮教室なんてことが起きなければ今後も調べることはなかったジャンルで、そのストーリーを知った時はホラーよりも嫌悪感が前に出て、それで──
どうして今まで気づかなかったのだろう。
いや、その理由はわかる。図書館にその本は置いていないし、電子書籍になっているわけでもない。なにより、小学生の彼女の手の届くところにその作品は置かれていない。小説も、映画も、漫画も、彼女のような子供からは遠ざけられている。
それは彼女が読まないデスゲーム系の作品で、迷宮教室なんてことが起きなければ今後も調べることはなかったジャンルで、そのストーリーを知った時はホラーよりも嫌悪感が前に出て、それで──
『強くなれる理由を知った──』
第一回放送が始まった。
呼ばれた名前に、あいは推察への確信を得る。
『──空寺ケン──』
クラスメイトの名前に、3人が目を見開く。
『──菊地英治──』
それでもあいは、聞こえてきた名前を逃さない。これは絶対に伝えなければいないことだから。
『──夢見キララ──』
たとえ2人目のクラスメイトの名前が呼ばれようとも。
「そんな……ノルがまた死ぬなんて。」
「クレイさん……」
「……すまない、少しだけ、1人にさせてくれ。」
「待って!」
「クレイさん……」
「……すまない、少しだけ、1人にさせてくれ。」
「待って!」
言葉はわからないが、クレイが明らかに落ち着きを無くして部屋から出ていこうとするのを見て、あいは急いで止めた。急がなくてはいけない、あの放送では殺した人が有利になる追加ルールがあった。一刻も早く説明しなくては。
諌めようとする遊を止め、ワタルへも指示を出す明莉の手際に、あいはアイコンタクトと頷きで応えた。明莉はこういう時に場の空気とそれぞれの事情を汲んで動ける。そのことに今までで一番の感謝をすると、あいは前へと歩み出た。
「わたしたちは別々の世界から呼ばれたんじゃない……別々の本から呼ばれたのかもしれない。」
「別々の世界じゃなくて別々の本……?」
「別々の世界じゃなくて別々の本……?」
ワタルが繰り返したのは通訳という意味もあるが、それよりも言われていることが受け止めきれないという面が大きい。そんなワタルの声で異世界からの3人も同様の疑問の顔になる。
「わたしはクレイさんがどんな冒険をしたか知っているわ。それは、クレイさんが登場人物の本を読んだことがあるからなの。」
「ううんどういうことだ、えっと、あいはクレイさんが登場人物の本を読んだことがあるから……だって。」
「俺が……? ああ、パステルの書いてる……あれ?」
「えっと、パステルって人の書いてる小説の話? あれ、でもなんでクレイさんの世界の本を読んだことがあるの?」
「違うの、わたしたちの世界に、小説としてクレイさんの冒険が本になっているの。」
「つまりクレイさんは小説のキャラってこと?」
「ううんどういうことだ、えっと、あいはクレイさんが登場人物の本を読んだことがあるから……だって。」
「俺が……? ああ、パステルの書いてる……あれ?」
「えっと、パステルって人の書いてる小説の話? あれ、でもなんでクレイさんの世界の本を読んだことがあるの?」
「違うの、わたしたちの世界に、小説としてクレイさんの冒険が本になっているの。」
「つまりクレイさんは小説のキャラってこと?」
遊の助け舟に頷く。実際に異世界転移しているワタルに対して、遊はよりあいに近い感性で話せる。チャイムが鳴った。『──みんな、校門に車が近づいて来てる!』という音声が流れる。どうやら時間は殆ど無い。
「クレイさんも、キ・キーマさんも、それにワタル、あなたもわたしから見ると小説の登場人物なの。」
「ボクが……小説の?」
「おいワタル、俺の名前呼ばれたけどどういうことだ?」
「えっと、ボクらがみんな小説の登場人物に見えるって。」
「ううんどういうことだ?」
「なんだか難しい話になってきたわね。」
「ボクが……小説の?」
「おいワタル、俺の名前呼ばれたけどどういうことだ?」
「えっと、ボクらがみんな小説の登場人物に見えるって。」
「ううんどういうことだ?」
「なんだか難しい話になってきたわね。」
キ・キーマとシェーラひめは揃って首をかしげている。それもそうだろう、突然自分が物語の登場人物だと言われて受け入れられるわけがない。
あいは自分の口下手に苛立つ。書いて文字にして伝えるのと言葉で話すのとではこんなにも自分の考えが伝わらない。明莉のように筋道立ててわかりやすく話すコツも、キララのようにダイレクトに感情で伝えるカリスマ性もない。それでもこれは伝えなくてはならないとなんとか言葉を探していると、ガラリと扉が開いて、同年代の少女が慌てた様子で「本乃あいさん、いますか!」と入ってきた。
あいは自分の口下手に苛立つ。書いて文字にして伝えるのと言葉で話すのとではこんなにも自分の考えが伝わらない。明莉のように筋道立ててわかりやすく話すコツも、キララのようにダイレクトに感情で伝えるカリスマ性もない。それでもこれは伝えなくてはならないとなんとか言葉を探していると、ガラリと扉が開いて、同年代の少女が慌てた様子で「本乃あいさん、いますか!」と入ってきた。
「ミサキ、どうしたんだ?」
ちょうど部屋から出て行こうとしたところを足を止めていたクレイが、ジェスチャー混じりで問いかけるのを見つつ、あいは焦る。大方、看護婦として呼びに来たのだろう。たまたまクレイと比較的長くいた氷室実咲だったため少し考える時間ができたが、その間に妙案が考えつくはずもない。
「そ、その、何人も死んじゃったみたいで、あと、新しく何人か人が来たみたいで。」
「私が行きます!」
「私が行きます!」
だがここでも明莉が機転を利かせる。そのことに感謝したのがあいの最期の記憶だった。
雪代縁は手に持った機関銃を気をつけて緋村剣心たちには向けないようにしつつ乱射していた。
縁の目的は剣心の死、ではない。むしろ逆。彼に生地獄を味合わせることである。愛する姉を彼に殺された苦しみは、同じように生き残らされてのみ実感させられる。それが縁の復讐である。
少年を2人殺し、妙な馬鹿でかい梨のような者も殺し、さて次の標的は誰かと考える。目にしたのは、セーラー服姿の少女、竜崎レナ。
縁の目的は剣心の死、ではない。むしろ逆。彼に生地獄を味合わせることである。愛する姉を彼に殺された苦しみは、同じように生き残らされてのみ実感させられる。それが縁の復讐である。
少年を2人殺し、妙な馬鹿でかい梨のような者も殺し、さて次の標的は誰かと考える。目にしたのは、セーラー服姿の少女、竜崎レナ。
「────。」
「レナ! あぶねグベアッ!?」
「レナ! あぶねグベアッ!?」
なんとなくコイツは辞めておいたほうが良さそうな気がしたので、レナを庇いに来た柿沼直樹を撃ち即死させる。他意は無い。少なくとも彼の中では本当にただなんとなくレナは撃たないほうが良さそうな気がしただけだ。本当は女を撃てないなどとは断じて認めない。
「カッキー!」
「チっ……」
「チっ……」
問題はそのレナが銃を持ち出して撃ってきたことだ。これは困る。せっかく撃たなかった……彼女にも生地獄を味わってもらいたい的なあれなのに。仕方がないので急いで駆ける。さすがに回転式機関砲のような連射をされれば完全に躱わしきるのは難しい。校庭に停められている戦車へと駆けると、射線が切れてもなお走り続ける。目標は、先程グレランを撃ち込んだ校舎。スモークを撃ち込んでしまったところに突入すると、直ぐに部屋中に機関銃を乱射しようとする、が。
「弾切れ、カ。」
景気良く撃ち過ぎたらしい。何発か出たと思ったら虚しい音を立て出した。よく見れば弾倉に透明の部分があり残弾の確認もできたのだが、そこまでは気が回らなかった。適当に投げ棄てると、気配のする方へ向かう。どうやら当たりを引いたらしい。煙に巻かれて見えないが、この部屋には何人かいるようだ。異国の言葉も聞こえるが気にしない。手近な日本語を喋っている人間へと近づく。
「ゲホッ、ゲホッ、あ、あなた、早く逃げ──」
黒い服に身を包んだ少年を斬りつける。一太刀で吹き飛んで行った。どうやらおめでたいことに、縁が襲撃をしに来た張本人だと気づいていなかったようだ。よほど平和ボケしているのだろう、そう薄く笑おうとして、手応えに気づく。吹き飛んで行った? なぜ? 斬ったのに?
「刃が溢れていた……?」
「みんな!! その銀髪敵だ!!」
「みんな!! その銀髪敵だ!!」
──ワタルの服は蜘蛛の鬼(姉)との戦いで見習い勇者の物から李徴がくれた鬼殺隊の隊服へと変わっている。その耐久性は通常の服とは一線を画す。
それを知らない縁は、自分に向けて突き出された切っ先に浅く外腿を斬られた。カランコロンと軽やかな音ともに煙を割って現れたのは、西洋の剣士を思わせるクレイだ。
それを知らない縁は、自分に向けて突き出された切っ先に浅く外腿を斬られた。カランコロンと軽やかな音ともに煙を割って現れたのは、西洋の剣士を思わせるクレイだ。
「邪魔、ダ!」
「ハァ!」
「ハァ!」
乱雑に振り回した倭刀の速度はクレイにも捉えられない。だが彼は急所を剣で防ぎ、それ以外は鎧に任せると無理矢理肉薄した。今までそんな物を身に着けた相手と戦ってこなかった為にワンテンポ対応が遅れ、開いた傷がツーテンポ遅らせる。
縁は痛みを無視する。常に憎悪に満ちている彼は肉体的な損害というものを軽視する傾向がある。精神が肉体を凌駕しているためそれでも身体が動くからだ。だが、自分がイメージする通りのコンディションを発揮できないことには、動けなくなってからでなければ気づけない。
縁は痛みを無視する。常に憎悪に満ちている彼は肉体的な損害というものを軽視する傾向がある。精神が肉体を凌駕しているためそれでも身体が動くからだ。だが、自分がイメージする通りのコンディションを発揮できないことには、動けなくなってからでなければ気づけない。
「ガンガンいこうぜ! ガンガンいこうぜ!」
「吠えれバ強くなるノカ!?」
「吠えれバ強くなるノカ!?」
鍔迫り合いに持ち込まれるが、縁は押し返し、崩し、斬りつける。クレイが身体をくの字に折り竹アーマーが砕けつつ吹き飛んだところで、猛烈な寒気。咄嗟に横に跳べば、曲刀が床に深々と突き刺さっていた。
「ガンガンいこうぜ! ガンガンいこうぜ!」
「ガンガンいこうぜ! ガンガンいこうぜ!」
「なんだそれは……」
「ガンガンいこうぜ! ガンガンいこうぜ!」
「なんだそれは……」
次いで迫るのは斧だ。受け止めるも、僅かに横へと下がらされる。反射的に前に出てぶん殴ってから気づく。トカゲが二足歩行している。
「ぐあっ!? あだだだだ。」
「てかげんしないんだから!」
「てかげんしないんだから!」
肘打ちにアッパーを食らいたたらを踏むキ・キーマの陰からシェーラひめが飛び出す。
その剣に太刀打ち、できない。
だがそれが功を奏した。
心が退いていなければ、力づくで唐竹割りにされていただろう。
その剣に太刀打ち、できない。
だがそれが功を奏した。
心が退いていなければ、力づくで唐竹割りにされていただろう。
(ナンテ怪力ダ!)
「この人すっごい剣が上手い! 早く戻ってきて!」
「この人すっごい剣が上手い! 早く戻ってきて!」
冷や汗をかく思いでシェーラひめの剛剣をいなす縁。そんな彼にシェーラひめは舌を巻く。彼女自身剣の心得はあるが、間違いなく目の前の相手には足元にも及ばない。彼女の怪力をもいなされるなど父親を相手取った時のようだ。一対一では分が悪い。
だがシェーラひめは剣士ではない。多勢に無勢で行く。
そしてそれを可能にするのは、ワタルの存在。
だがシェーラひめは剣士ではない。多勢に無勢で行く。
そしてそれを可能にするのは、ワタルの存在。
「みんな! ガンガンいこうぜ!」
『たたかう』を意味する言葉ぐらいなら共有済みである。キ・キーマが右から、クレイが左から、ワタル自身が後方から迫る。この校舎にいる近接戦闘3強に死角からのワタルも加えての完全包囲に。縁は刀の柄をシェーラひめへ向けた。
「──回刺刀勢!!」
シェーラひめの一太刀を柄で受け止める。それを強烈な身体の捻りで回転に転換。前方からの剛剣の勢いは、右への鮮やかな一太刀の為の推進力へと変わる。
「カッ……パッ……」
「キ・キーマ!!」
「キ・キーマ!!」
縁自身も放ったことの無い速度の突きは、キ・キーマの首を首輪ごと貫通した。
縁は交差する刀剣を掻い潜ってワタルをクレイに投げつける。シェーラひめの追撃は、キ・キーマを盾にし止めさせた。そうして、ゆっくりと倭刀を引き抜く。予想外だ。想像を超える存在がいた。剣心は。もうあの子供を置いてこちらに向かっているだろうか。
縁は交差する刀剣を掻い潜ってワタルをクレイに投げつける。シェーラひめの追撃は、キ・キーマを盾にし止めさせた。そうして、ゆっくりと倭刀を引き抜く。予想外だ。想像を超える存在がいた。剣心は。もうあの子供を置いてこちらに向かっているだろうか。
「河岸を変えよう……」
「待ちなさい!」
「ダメだ、止まって!」
「うぇ!?」
「待ちなさい!」
「ダメだ、止まって!」
「うぇ!?」
縁はわざとらしく手榴弾を転がして見せると、視聴覚室から飛び出した。ピンは抜いていない。抜いていたら殺してしまうからだ。
この校舎にはまだ大量の人間がいるようだ。自分を狙ってくるのがわかっている彼らよりも、逃げようとする連中を殺すのが先だ。それに剣心と今は戦う気は無い。奴を絶望のどん底に落とし込んでこその人誅である。
この校舎にはまだ大量の人間がいるようだ。自分を狙ってくるのがわかっている彼らよりも、逃げようとする連中を殺すのが先だ。それに剣心と今は戦う気は無い。奴を絶望のどん底に落とし込んでこその人誅である。
「うー、爆発の次は煙……いったい何が……」
「……」
「あ、どうも……」
「……」
「……」
「あ、どうも……」
「……」
視聴覚室の外でへたり込んでいた実咲を無視すると、縁は校舎の廊下を練り歩き始めた。
「キ・キーマ!! キ・キーマ!! 待って、置いてかないでよ!!」
「ワタル……キ・キーマは、もう……」
「ワタル……キ・キーマは、もう……」
ようやく煙の晴れた視聴覚室では、3人の死体が横たえられていた。
首輪を破壊されたことで毒により硬直化したキ・キーマは、その苦しみがそのままに死体の表情を形作っている。それに故郷の惨状を重ねるシェーラひめは、しかし重く心にのしかかる悲しみを感じないかのように、ワタルをキ・キーマから引き離していた。後で彼が自分のせいで死に姿を酷いものにしたと思わないように。
この部屋で一番最初に死亡したあいは、その砕けた顔面に、彼女の持つハンカチがかけられていた。スモークグレネードとはいえグレネードランチャーから発射されたものが顔面に直撃したのである。もはや一目も見れる状態では無かった。
そして死体がもう1つ。
首輪を破壊されたことで毒により硬直化したキ・キーマは、その苦しみがそのままに死体の表情を形作っている。それに故郷の惨状を重ねるシェーラひめは、しかし重く心にのしかかる悲しみを感じないかのように、ワタルをキ・キーマから引き離していた。後で彼が自分のせいで死に姿を酷いものにしたと思わないように。
この部屋で一番最初に死亡したあいは、その砕けた顔面に、彼女の持つハンカチがかけられていた。スモークグレネードとはいえグレネードランチャーから発射されたものが顔面に直撃したのである。もはや一目も見れる状態では無かった。
そして死体がもう1つ。
「遊! 遊しっかりして! 遊!!」
「ごめん……また……先に逝くね……」
「ごめん……また……先に逝くね……」
必死になって明莉が自分の太ももを抑えて止血しようとするのを、遊は痛み無く見ていた。
縁の放った機関銃の一連射。それはワタルを股抜きし遊の太ももの大動脈をも吹き飛ばしていた。肉と骨が絶たれ、脚とは思えないほどの血が流れて行く。明莉のできる応急処置などなんの意味もないとばかりに、血の池が作られて行った。
縁の放った機関銃の一連射。それはワタルを股抜きし遊の太ももの大動脈をも吹き飛ばしていた。肉と骨が絶たれ、脚とは思えないほどの血が流れて行く。明莉のできる応急処置などなんの意味もないとばかりに、血の池が作られて行った。
「もう少し……離して寝かせて貰いたかったな……他の人が……血で……汚れ、ちゃう……」
「遊! なんで、なんでそんな……」
「……伝えて、僕らが見つけた、ことを……それと……ヒカルと……」
「ねえ遊! 遊!!」
「遊! なんで、なんでそんな……」
「……伝えて、僕らが見つけた、ことを……それと……ヒカルと……」
「ねえ遊! 遊!!」
遺言を途切れ途切れに言う幼なじみに、明莉ができることは何もない。
それは迷宮教室で、みんなが生き残るために、自らを犠牲にしたときのように。
あの時はヒカルがその役目だった。託されるのは彼だった。
でも、今は違う。
託される側にはなったこともあったけれど、それでも目の前で死んで行く遊に、明莉は見ていることしかできない。
それは迷宮教室で、みんなが生き残るために、自らを犠牲にしたときのように。
あの時はヒカルがその役目だった。託されるのは彼だった。
でも、今は違う。
託される側にはなったこともあったけれど、それでも目の前で死んで行く遊に、明莉は見ていることしかできない。
「……、……」
「遊……?」
「遊……?」
微かに口が動いたあと、遊は微笑んだまま動かなくなった。
運が良かった、としか言いようがない。
鑑隼人は、目の前で倒れる双葉マメを見て思った。
あの放送を聞いて、思った。これはわかりやすく解放される手段を提示してくれているのではないかと。他の仲間が、読み上げられた死者について話している間も、隼人は震えが止まらなかった。
水沢光矢が死んだ。
そうか、光矢は死んだのか。きっとパセリを探そうと駆け回っていたのだろう。想像が簡単にできる。
元々赤い鳥軍団に狙われている身の上だ。いつかは、そんな日が来るかもしれないと、思ってはいた。それが、今日だったんだろう。
思うところがないわけでは、ない。光矢とは仲が良いというわけではなかった。それでも、仲間だ。空手の組手では少しムキになって殴り合ったりもした。
それも全部、パセリの為だ。
鑑隼人は、目の前で倒れる双葉マメを見て思った。
あの放送を聞いて、思った。これはわかりやすく解放される手段を提示してくれているのではないかと。他の仲間が、読み上げられた死者について話している間も、隼人は震えが止まらなかった。
水沢光矢が死んだ。
そうか、光矢は死んだのか。きっとパセリを探そうと駆け回っていたのだろう。想像が簡単にできる。
元々赤い鳥軍団に狙われている身の上だ。いつかは、そんな日が来るかもしれないと、思ってはいた。それが、今日だったんだろう。
思うところがないわけでは、ない。光矢とは仲が良いというわけではなかった。それでも、仲間だ。空手の組手では少しムキになって殴り合ったりもした。
それも全部、パセリの為だ。
「俺は……パセリを助けたい。秀人もだ。2人が生きて、幸せなら……」
やりたいことをすべきだ。
結局のところ、自分はパセリと秀人には、光矢のように死んでほしくはないのだ。
隠し持っていたナイフで、マメの胸を刺す。
これでワンポイント。
この校舎には何十人もいる。
それを全部ポイントに変えれば、首輪が外せる。
首輪が外せれば、優勝できて、願いが叶えられる。
結局のところ、自分はパセリと秀人には、光矢のように死んでほしくはないのだ。
隠し持っていたナイフで、マメの胸を刺す。
これでワンポイント。
この校舎には何十人もいる。
それを全部ポイントに変えれば、首輪が外せる。
首輪が外せれば、優勝できて、願いが叶えられる。
「もう……後戻りはできない……」
「猛士くん。」
「……あ、はい。」
「一緒に逃げないかな? かな?」
「……あ、はい。」
「一緒に逃げないかな? かな?」
……とりあえずレナと一緒に動いとくか?
【0617 『北部』小学校とその周辺】
【三谷亘@ブレイブ・ストーリー (4)運命の塔(ブレイブ・ストーリーシリーズ)@角川つばさ文庫】
【目標】
●大目標
脱出する。あの掲示板は……
●中目標
キ・キーマ……
●小目標
???
【目標】
●大目標
脱出する。あの掲示板は……
●中目標
キ・キーマ……
●小目標
???
【君野明莉@迷宮教室 最悪な先生と最高の友達(迷宮教室シリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
ヒカルとかが巻き込まれてたら合流して脱出する。
●中目標
遊……託されたよ。
●小目標
悲しいけど……立たなきゃ。
【目標】
●大目標
ヒカルとかが巻き込まれてたら合流して脱出する。
●中目標
遊……託されたよ。
●小目標
悲しいけど……立たなきゃ。
【シェーラ@シェーラひめのぼうけん 空とぶ城(シェーラひめシリーズ)@フォア文庫】
【目標】
●大目標
仲間と合流する。
●中目標
殺し合いをなんとかする。
●小目標
ワタル……
【目標】
●大目標
仲間と合流する。
●中目標
殺し合いをなんとかする。
●小目標
ワタル……
【クレイ・シーモア・アンダーソン@フォーチュン・クエスト1 世にも幸せな冒険者たち(フォーチュン・クエストシリーズ)@ポプラポケット文庫】
【目標】
●大目標
みんな(フォーチュン・クエストのパーティー)が巻き込まらていないか探す。
●中目標
言葉が通じるワタルと一緒に動く。
●小目標
銀髪の男(縁)が戻ってこないか警戒しつつ、みんなの手当てをする。
【目標】
●大目標
みんな(フォーチュン・クエストのパーティー)が巻き込まらていないか探す。
●中目標
言葉が通じるワタルと一緒に動く。
●小目標
銀髪の男(縁)が戻ってこないか警戒しつつ、みんなの手当てをする。
【氷室実咲@怪盗レッド(1) 2代目怪盗、デビューする☆の巻(怪盗レッドシリーズ)@角川つばさ文庫】
●大目標
生き残る。
●中目標
視聴覚室で何があったの……?
●小目標
日本号さん……やっぱり……
●大目標
生き残る。
●中目標
視聴覚室で何があったの……?
●小目標
日本号さん……やっぱり……
【雪代縁@るろうに剣心 最終章 The Final映画ノベライズ みらい文庫版@集英社みらい文庫】
●大目標
人誅人誅人誅人誅人誅復讐復讐復讐人誅人誅人誅人誅人誅
●中目標
人誅人誅人誅人誅人誅復讐復讐復讐人誅人誅人誅人誅人誅
●小目標
人誅人誅人誅人誅人誅復讐復讐復讐人誅人誅人誅人誅人誅
●大目標
人誅人誅人誅人誅人誅復讐復讐復讐人誅人誅人誅人誅人誅
●中目標
人誅人誅人誅人誅人誅復讐復讐復讐人誅人誅人誅人誅人誅
●小目標
人誅人誅人誅人誅人誅復讐復讐復讐人誅人誅人誅人誅人誅
【竜宮レナ@双葉社ジュニア文庫 ひぐらしのなく頃に 第一話 鬼隠し編 上(ひぐらしのなく頃にシリーズ)@双葉社ジュニア文庫】
●大目標
覚せい剤の幻覚をどうにかしたい。
●中目標
単独行動して部活の仲間を探したい。
●小目標
さっきの放送とマーダーは……?
●大目標
覚せい剤の幻覚をどうにかしたい。
●中目標
単独行動して部活の仲間を探したい。
●小目標
さっきの放送とマーダーは……?
【鑑隼人@パセリ伝説 水の国の少女 memory(3)(パセリ伝説シリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
パセリと秀人を生き残らせる。
●中目標
優勝する。
●小目標
光矢……パセリは守るよ。
【目標】
●大目標
パセリと秀人を生き残らせる。
●中目標
優勝する。
●小目標
光矢……パセリは守るよ。
【利根猛士@絶体絶命ゲーム 1億円争奪サバイバル(絶体絶命シリーズ)@角川つばさ文庫】
【目標】
●大目標
生き残り人生をやり直す。
●中目標
殺し合いに乗る。
●小目標
変なの見ちまったけど……どうしよっかな。
【目標】
●大目標
生き残り人生をやり直す。
●中目標
殺し合いに乗る。
●小目標
変なの見ちまったけど……どうしよっかな。
【脱落】
【柿沼直樹@ぼくらのデスゲーム(ぼくらシリーズ)@角川つばさ文庫】
【本乃あい@迷宮教室 最悪な先生と最高の友達(迷宮教室シリーズ)@集英社みらい文庫】
【キ・キーマ@ブレイブ・ストーリー (4)運命の塔(ブレイブ・ストーリーシリーズ)@角川つばさ文庫】
【次元遊@迷宮教室 最悪な先生と最高の友達(迷宮教室シリーズ)@集英社みらい文庫】
【柿沼直樹@ぼくらのデスゲーム(ぼくらシリーズ)@角川つばさ文庫】
【本乃あい@迷宮教室 最悪な先生と最高の友達(迷宮教室シリーズ)@集英社みらい文庫】
【キ・キーマ@ブレイブ・ストーリー (4)運命の塔(ブレイブ・ストーリーシリーズ)@角川つばさ文庫】
【次元遊@迷宮教室 最悪な先生と最高の友達(迷宮教室シリーズ)@集英社みらい文庫】