「おーい、リストコピーして来たぜ。」
「こっちも終わったなっしな。」
「こっちも終わったなっしな。」
時刻は6時手前。
会場北部にある小学校の体育館の、校舎からなるべく離れた位置には青いビニールシートが敷かれている。
その上に並べられた死体を見て野宮球児は気分を悪くしながらも、その場にいる5人(梨を含む)にプリントを配布した。
会場北部にある小学校の体育館の、校舎からなるべく離れた位置には青いビニールシートが敷かれている。
その上に並べられた死体を見て野宮球児は気分を悪くしながらも、その場にいる5人(梨を含む)にプリントを配布した。
「なんか数合わなくねえか。こんなにいたのか。」
「安永さん、さっき車椅子とかピエロの人たちも来たからじゃないですか。」
「数え違えたか?」
「安永さん、さっき車椅子とかピエロの人たちも来たからじゃないですか。」
「数え違えたか?」
ふなっしーの隣で死体を検分していてやはり気分を悪くした安永がやや青い顔で言うのを、球児は顔を背けて言葉を返す。鼻で息をしないようにしているのもあって上ずったその声に、誰も意図を聞くようなことはなかった。
保健室での騒ぎの後、江戸川コナンや相原徹といった面々は情報の整理に取り掛かっていた。それぞれ知り合いに出会えたことである程度役割分担ができる。コナンとしては不審な鷹野三四から目を離して灰原哀と小嶋元太と離れることは避けたかったが、灰原も判断能力はあるようだし元太も何かあったら直ぐに探偵バッジを使うだろうし、一応任せることとする。正直なところ、今の灰原は若干、いやかなり怪しいところはあるが、それは元太もわかっているようで、なおかつ何かあれば探偵バッジという阿笠博士の発明品を使いたがるタチだと見越して任せることにする。それにこれだけの死体を前に、探偵が動かないわけには行かない。
保健室での騒ぎの後、江戸川コナンや相原徹といった面々は情報の整理に取り掛かっていた。それぞれ知り合いに出会えたことである程度役割分担ができる。コナンとしては不審な鷹野三四から目を離して灰原哀と小嶋元太と離れることは避けたかったが、灰原も判断能力はあるようだし元太も何かあったら直ぐに探偵バッジを使うだろうし、一応任せることとする。正直なところ、今の灰原は若干、いやかなり怪しいところはあるが、それは元太もわかっているようで、なおかつ何かあれば探偵バッジという阿笠博士の発明品を使いたがるタチだと見越して任せることにする。それにこれだけの死体を前に、探偵が動かないわけには行かない。
(殆どの死体は熊に襲われたものみたいだが、いくつかは明らかに変だ。)
「江戸川、大丈夫か?」
「うん、僕のおじさん探偵だから、ヘーキだよ。」
「……そうか。」
「江戸川、大丈夫か?」
「うん、僕のおじさん探偵だから、ヘーキだよ。」
「……そうか。」
心配そうに声をかけた相原が言葉を飲み込んだのには気づいたが、だからといってこれ以上に上手い誤魔化しようもないので放っておく。コナンの関心は、死体とこの学校にいる人間のことだ。
今現在、コナンが一番の課題としていることが何かと言えば、それはこの学校に何人いるかわからないということだ。もっと言えば、この学校に殺人犯が潜んでいる可能性が高いということだ。
小学校を避難所とするのは発想としてはありきたりなものだろう。特に小中学生にとっては。そうした理由でここに集まったのが学生中心なのか、それともこの殺し合いに拉致された人間が学生中心かのかはわからないが、とにかく沢山の人間がここに集まってきている。そしてその中には殺人犯が紛れ込んでいる可能性を排除できていなかった。
はじめ、コナンは殺人についての情報を優先して集めていたのだが、複数のグループはそれぞれ殺害現場を直接見たり間接的に聞いたり、あるいは自分たちが襲われたりなどあまりに頻発していて方針を変えざるを得なかった。わかっているだけで数え切れぬほどの銃刀法違反に複数の獣害、そして殺人だ。たとえばコナン達は黒鬼を名乗る子供に暴行を加えられたし、ふなっしーが出会った少女たちは竜堂ルナなる少女に殺害されかけた可能性がある。あるいは目の前の死体をここまで運んだ沖田悠翔たちのように、謎の魔法使いによる殺人を目にした者もいる。もちろんなんらかのトリックだろうが、それは残念ながら今考えている間は無い。同時にこれだけ事件が起こると、まずやるべきことはこれ以上事件を起こさせないことだ。
今現在、コナンが一番の課題としていることが何かと言えば、それはこの学校に何人いるかわからないということだ。もっと言えば、この学校に殺人犯が潜んでいる可能性が高いということだ。
小学校を避難所とするのは発想としてはありきたりなものだろう。特に小中学生にとっては。そうした理由でここに集まったのが学生中心なのか、それともこの殺し合いに拉致された人間が学生中心かのかはわからないが、とにかく沢山の人間がここに集まってきている。そしてその中には殺人犯が紛れ込んでいる可能性を排除できていなかった。
はじめ、コナンは殺人についての情報を優先して集めていたのだが、複数のグループはそれぞれ殺害現場を直接見たり間接的に聞いたり、あるいは自分たちが襲われたりなどあまりに頻発していて方針を変えざるを得なかった。わかっているだけで数え切れぬほどの銃刀法違反に複数の獣害、そして殺人だ。たとえばコナン達は黒鬼を名乗る子供に暴行を加えられたし、ふなっしーが出会った少女たちは竜堂ルナなる少女に殺害されかけた可能性がある。あるいは目の前の死体をここまで運んだ沖田悠翔たちのように、謎の魔法使いによる殺人を目にした者もいる。もちろんなんらかのトリックだろうが、それは残念ながら今考えている間は無い。同時にこれだけ事件が起こると、まずやるべきことはこれ以上事件を起こさせないことだ。
「沖田さん、さっきのリストを見せてあげようよ。」
「……そうだな。」
「……そうだな。」
人が死ぬのを見ているしかなかった負い目から遺体の安置に協力していた悠翔だが、疲労もあって青褪めた顔で小さく返事をする。それでも弱々しく差し出したのは、校外学習などで使うバインダーだ。そこには職員室から持ってきたコピー用紙が何枚か挟まれ、一番上の紙には死体の特徴が列記されていた。
ますます顔が青くなりながらもそれを読む球児だが、一通り読んだあとはほっと息をつく。あらためて自分の知り合いと思わしき遺体は無いことを再確認した安堵だ。そもそも彼や他の男子が遺体の収容や検分しているのは、それぞれの知り合いが死亡している不安からだ。顔面が損壊している遺体もありそれが多大なストレスを与えもしたが、しかし誰の知り合いも存在しなかった。そのことがこの場の人間の冷静さの源泉である。
ますます顔が青くなりながらもそれを読む球児だが、一通り読んだあとはほっと息をつく。あらためて自分の知り合いと思わしき遺体は無いことを再確認した安堵だ。そもそも彼や他の男子が遺体の収容や検分しているのは、それぞれの知り合いが死亡している不安からだ。顔面が損壊している遺体もありそれが多大なストレスを与えもしたが、しかし誰の知り合いも存在しなかった。そのことがこの場の人間の冷静さの源泉である。
(この人たちが落ち着いていてくれて良かった。銃を持ってる子供が相手じゃ手が出せないからな。)
「しっかし、血生ぐせえな。校舎の方まで臭いそうだぜ。」
「安永! いや……そうだな。みんな動揺するよな。」
「ああ。コイツらには悪りいけどよ、死体ってのがこんな気分悪くなるもんだって思わなかったぜ。」
「これからどんどん臭うだろうしな。冷房でもつけれれば少しは、腐るのを遅くできるかもな。」
「……悠翔くん、気分悪いなら我慢しないほうがいいなっし。」
「……平気です……」
「しっかし、血生ぐせえな。校舎の方まで臭いそうだぜ。」
「安永! いや……そうだな。みんな動揺するよな。」
「ああ。コイツらには悪りいけどよ、死体ってのがこんな気分悪くなるもんだって思わなかったぜ。」
「これからどんどん臭うだろうしな。冷房でもつけれれば少しは、腐るのを遅くできるかもな。」
「……悠翔くん、気分悪いなら我慢しないほうがいいなっし。」
「……平気です……」
まずは小学校に潜む殺人犯らしき人物がいないか確認する。そのためには最低限何人いるかは把握しなければ。次はそれぞれの情報を整理して、凶器を手放させて……コナンがそう今後の段取りを考えていると、唐突に周囲に音楽が響いた。
「悠翔くんスマホ鳴ってるなっし?」
「いやちが。」
「おいスピーカーからも流れてんぞっ。」
「スピーカーだけじゃない、首輪からもだ!」
「いやちが。」
「おいスピーカーからも流れてんぞっ。」
「スピーカーだけじゃない、首輪からもだ!」
安永にそう答えたことでコナンは冷静さを取り戻す。自分より混乱している人間から受ける恩恵というものはある。それがコナンに放送へ耳を傾ける余裕を生む。
『──えっと、今後は6時間ごとに放送する。毎度前回からの脱落者と、追加ミッションと、あと雑談を話すからよく聞いとけ〜。脱落者は死んだヤツの名前、ミッションは新ルールの追加、雑談は、まあ話すヤツの気分だな。で、脱落者の名前は……』
「なっ!?」
「なっ!?」
そんな余裕は直ぐに吹き飛んだ。聞こえてきた言葉に耳を疑った。聴きたくない、聴かせたくない言葉が一度に続いた。
追加ミッション、その意味は犯人は何らかの方法で殺し合いを強制させるか、あるいは殺し合うように誘導するということだろう。これだけでも事件の動機になるが、それよりも恐ろしいのは、脱落者──誰が死んだかの情報だ。
追加ミッション、その意味は犯人は何らかの方法で殺し合いを強制させるか、あるいは殺し合うように誘導するということだろう。これだけでも事件の動機になるが、それよりも恐ろしいのは、脱落者──誰が死んだかの情報だ。
(おそらくこの首輪には、ウエラブルデバイスみてーに着けている人間の心拍数でも測るセンサーが入っている。それで誰が生きてるかわかるんだろうが、そんなの俺らには確かめようがねえ。そもそも犯人がバカ正直に正確な情報を言うとは限らねえ。)
(だがそれでも、大切な人の名前を呼ばれれば誰だって動揺する。)
(だがそれでも、大切な人の名前を呼ばれれば誰だって動揺する。)
コナンは十中八九、伝えられる死者の情報は真実だと推理していた。この『十中八九』が厄介なのだ。
技術的には民間に出回る家電を組み合わせるだけでも正確な生死の判断はできるだろう。なんなら阿笠博士ならもっと多機能な物を作れる。この首輪に求められるだろう機能はその程度のものだ。よって重要なのはそこではない、それを使う側だ。問題は犯人の動機がわからないなら、どこまで正しく話すかが絞りきれないということなのだ。嘘を話す理由は思いつかないが、それは話す内容が『確からしい』と思える程度のことしか意味しない。
例えば、総理大臣の名前が呼ばれたとしよう。しかし実際には総理大臣は参加者でないとする。この時、日本人ならば大なり小なりショックを受けるのは間違いないだろう。たった1名嘘の名前を読み上げるだけで、何十人もの人間を動揺させられる。
そしてもっと悪い場合は、実際に総理大臣でも誘拐されていて、殺し合いの中で殺害されていた場合だ。これはその一人に関しては放送の内容が正しいことを意味する。だがそれだけだ。その一例だけで放送で読み上げられる被害者が全て死亡したと決めつけられるわけではない。それでも放送を真実だと思わせるには充分だ。
嘘とブラフでパニックを起こすのはどこかの怪盗もやる手だが、この殺し合いの場でのそれは悪辣さが違う。警察もいないこの場では誤情報を訂正することもできずに、被害者の間で情報の認識に差が生まれる、差が不信を生み出す。銃器が大量に放置されているこの場で疑心暗鬼が拡がれば、殺し合いは避けられない。
技術的には民間に出回る家電を組み合わせるだけでも正確な生死の判断はできるだろう。なんなら阿笠博士ならもっと多機能な物を作れる。この首輪に求められるだろう機能はその程度のものだ。よって重要なのはそこではない、それを使う側だ。問題は犯人の動機がわからないなら、どこまで正しく話すかが絞りきれないということなのだ。嘘を話す理由は思いつかないが、それは話す内容が『確からしい』と思える程度のことしか意味しない。
例えば、総理大臣の名前が呼ばれたとしよう。しかし実際には総理大臣は参加者でないとする。この時、日本人ならば大なり小なりショックを受けるのは間違いないだろう。たった1名嘘の名前を読み上げるだけで、何十人もの人間を動揺させられる。
そしてもっと悪い場合は、実際に総理大臣でも誘拐されていて、殺し合いの中で殺害されていた場合だ。これはその一人に関しては放送の内容が正しいことを意味する。だがそれだけだ。その一例だけで放送で読み上げられる被害者が全て死亡したと決めつけられるわけではない。それでも放送を真実だと思わせるには充分だ。
嘘とブラフでパニックを起こすのはどこかの怪盗もやる手だが、この殺し合いの場でのそれは悪辣さが違う。警察もいないこの場では誤情報を訂正することもできずに、被害者の間で情報の認識に差が生まれる、差が不信を生み出す。銃器が大量に放置されているこの場で疑心暗鬼が拡がれば、殺し合いは避けられない。
(警察の救出を待ってる時間は無い。だが脱出しようにもこの放送の内容次第じゃ──)
『アガツマゼンイツ、アカネザキムー──』
『アガツマゼンイツ、アカネザキムー──』
コナンに考察の時間など与えやらんとばかりに死者の名前が読み上げられ始める。ぐぅの音も出ないがやるべきことは事前にやっておいた。この放送はスマホからも流れている、レコーダーを起動して直ぐに放送を録音した。まずは与えられる情報を聞き逃さないことだ、そう切り替えるコナンに、直ぐ洗礼が浴びせられる。
聞こえてきたのは推理小説のキャラクターの名前に戦国武将、そして隣の相原の、安永のクラスメイトの名前だ。
にわかに周囲の空気が殺気立つ。先程までのピリついたものから雰囲気の濃密さが変わった。
にわかに周囲の空気が殺気立つ。先程までのピリついたものから雰囲気の濃密さが変わった。
『──オグロケンジ──オーバヒロト──カラデラケン──キクチエージ──』
「小黒に菊地……?」
「……」
「ウッソだろ……おい。」
(また知り合いが呼ばれたのか? それに今オオバヒロトって言わなかったか。主催者側だと言っている奴が探している人間が呼ばれた、どういうことだ。)
「小黒に菊地……?」
「……」
「ウッソだろ……おい。」
(また知り合いが呼ばれたのか? それに今オオバヒロトって言わなかったか。主催者側だと言っている奴が探している人間が呼ばれた、どういうことだ。)
次々と相原のクラスメイトの名前が呼ばれていく。球児のクラスメイトの名前も呼ばれ、その合間にオオバヒロトの名前があることをコナンは聞き逃さない。危険人物が探すように言っていた名前が死者として読み上げられる。そのことは充分にコナンの注意を引いた。
『──ジゲンダイスケ──ゼニガタコーイチ──』
(銭形警部まで……!)
(銭形警部まで……!)
だが推理など許さんとばかりに、コナンの知り合いの名前も呼ばれていく。殺しても死ななそうな人間の名前が次々に呼ばれて。さしものコナンも頭がそちらに向く。そして。
『──ツブラヤミツヒコ──』
その名前が流れて、コナンはハッとした表情になったあと、奥歯を噛み締めた。
冷静であればわかっていたはずだ。元太がいて灰原がいるのだ、少年探偵団のメンバーが他にも巻き込まれている可能性には。その可能性を無意識の内に小さなものと考えていた。そのぶんだけ、今、こうして強いショックとしてコナンに降りかかる。
冷静であればわかっていたはずだ。元太がいて灰原がいるのだ、少年探偵団のメンバーが他にも巻き込まれている可能性には。その可能性を無意識の内に小さなものと考えていた。そのぶんだけ、今、こうして強いショックとしてコナンに降りかかる。
(……いや待て、光彦が本当に死んだ可能性は……バーロー、高いに決まってる。明智光秀や織田信長ならともかく、光彦をブラフにして影響を受ける──)
『──マツノイチマツ、マツノジューシマツ、マツノチョロマツ──』
(おいおい、なんかマツってつく名前やたら呼ばれてないか?)
『──マツノイチマツ、マツノジューシマツ、マツノチョロマツ──』
(おいおい、なんかマツってつく名前やたら呼ばれてないか?)
そして仲間の死を受け止める時間も無く放送は続く。一時思考の海に浸りかけたが、コナンの耳は放送の違和感を逃すことは無かった。
やたら『マツ』がつく名前が多い。偶然か、それとも故意か。コマツバラを始め苗字に『マツ』が付くものだけでなく、名前にも『マツ』が付くものが多い。よく思い出せば、妙な形容詞付きのなんとか『マツ』が多かった気もする。
この異様な『マツ』推しはなんなのか。並行して考えようにも、放送は続く。
やたら『マツ』がつく名前が多い。偶然か、それとも故意か。コマツバラを始め苗字に『マツ』が付くものだけでなく、名前にも『マツ』が付くものが多い。よく思い出せば、妙な形容詞付きのなんとか『マツ』が多かった気もする。
この異様な『マツ』推しはなんなのか。並行して考えようにも、放送は続く。
『──おっと、追加ルールの発表、忘れるところだったぜ。追加ルールは……ジャン! キルスコアレース! 6時間で一番殺した参加者は、優勝者とは別にゲームから勝った扱いになるぜぇ。今からリモートで首輪外すからよ、ゲーセンかどっかで終わるまで暇つぶししてくれよ。』
『次の放送で脱落者として名前呼ぶから、みんな気いつけて聞きぃ。ちなみにこのルールはこれからも有効や。みんなん中で次の6時間で一番殺したやつも抜けられるで。今ならキルスコア2倍で、参加者一人殺したら二人殺したことにしたる。前の6時間で何人も殺したマーダーもおるけど、これで今からでも追いつけるで〜。あ、首輪外れてるやつはキルスコアにならんから気いつけてなぁ。』
「クソッ!」
『次の放送で脱落者として名前呼ぶから、みんな気いつけて聞きぃ。ちなみにこのルールはこれからも有効や。みんなん中で次の6時間で一番殺したやつも抜けられるで。今ならキルスコア2倍で、参加者一人殺したら二人殺したことにしたる。前の6時間で何人も殺したマーダーもおるけど、これで今からでも追いつけるで〜。あ、首輪外れてるやつはキルスコアにならんから気いつけてなぁ。』
「クソッ!」
思わず悪態が口から出た。冴えた頭を持つ探偵には似つかわしくない振る舞いだが、ヘドが出なかっただけマシだろう。
案の定だが、追加ルールは殺人を煽るものだった。多く殺したものが助かるなどという、命をキルスコアとしか見なさない殺人ゲームが、誰の耳にも届く形で伝えられた。その恐ろしさに背筋が寒くなる。
なによりタイミングが悪い、最悪だ。あの放送を聞いて自分の知り合いが死んだ者にとっては正しく悪魔の囁きである。特にまずいのが、首輪から解放された人間がいるというところだ。それはつまり、知り合いを殺した殺人犯が殺し合いから解放された──そういう考えに行き着く道が作られたことになる。
読み上げられた死者の名前は81名。戦国武将などの名前もあるため、ほぼ全員が知った誰かの死を知ったかもしれない。そんな彼らに、光彦を失ったコナンを含めた者たちにこう告げたのだ。「お前の知っている人大切な人を殺した犯人は、殺し合いから解放されたぞ」と。
案の定だが、追加ルールは殺人を煽るものだった。多く殺したものが助かるなどという、命をキルスコアとしか見なさない殺人ゲームが、誰の耳にも届く形で伝えられた。その恐ろしさに背筋が寒くなる。
なによりタイミングが悪い、最悪だ。あの放送を聞いて自分の知り合いが死んだ者にとっては正しく悪魔の囁きである。特にまずいのが、首輪から解放された人間がいるというところだ。それはつまり、知り合いを殺した殺人犯が殺し合いから解放された──そういう考えに行き着く道が作られたことになる。
読み上げられた死者の名前は81名。戦国武将などの名前もあるため、ほぼ全員が知った誰かの死を知ったかもしれない。そんな彼らに、光彦を失ったコナンを含めた者たちにこう告げたのだ。「お前の知っている人大切な人を殺した犯人は、殺し合いから解放されたぞ」と。
(んなの誰が納得できんだ。こんな殺し合い開いた奴が一番悪いってわかってても、首輪外した奴に恨みが行っちまう。本当は殺してないのかもしれないのに。)
そしてこのルールの一番の問題点はここだ。首輪を外している者が自分の知り合いの殺人犯とは限らないということではなく、そもそも誰かを殺して首輪を外したとは限らないことだ。つまり、首輪解除に成功した者が傍から見れば危険人物に見えるのだ。
殺し合いから脱出するにしても何をするにしても、この首輪がある限りその行動は犯人たちに筒抜けだろう。そのためこの首輪を無力化することが殺し合いを止めるための大前提だが、そこが崩された。殺し合いに反抗する者が積極的に殺し合っている者だと誤解されかねない。
もちろん逆もまた然りである。本当は連続殺人の果てに首輪を外したのに、危険を犯して首輪解除に挑み成功した者と振る舞えさえする。なによりこの可能性に行きつけば、迂闊に首輪解除を行えない。あのルール1つで首輪を外すことのリスクが大きく高まってしまった。
殺し合いから脱出するにしても何をするにしても、この首輪がある限りその行動は犯人たちに筒抜けだろう。そのためこの首輪を無力化することが殺し合いを止めるための大前提だが、そこが崩された。殺し合いに反抗する者が積極的に殺し合っている者だと誤解されかねない。
もちろん逆もまた然りである。本当は連続殺人の果てに首輪を外したのに、危険を犯して首輪解除に挑み成功した者と振る舞えさえする。なによりこの可能性に行きつけば、迂闊に首輪解除を行えない。あのルール1つで首輪を外すことのリスクが大きく高まってしまった。
(最悪だ。)
犯人たちがやったことと言えば言葉一つだ。真実か確かめようのないことを無理矢理聞かせただけだ。それだけなのに、この銃を所持した人間が50人近くいる学校で事件を起こさせるには充分すぎるのだ。
コナンは恐る恐る安永たちを見た。もし、もしあの放送を真に受けられれば、既に何人ものクラスメイトが殺され、殺し合いから脱出する方法があると分かれば、そう思ってしまったのなら。彼らの持つ銃が自分や誰かに向けられる可能性を感じながら見上げると。
コナンは恐る恐る安永たちを見た。もし、もしあの放送を真に受けられれば、既に何人ものクラスメイトが殺され、殺し合いから脱出する方法があると分かれば、そう思ってしまったのなら。彼らの持つ銃が自分や誰かに向けられる可能性を感じながら見上げると。
「……で、エアコンどうする。」
「入口にリモコンとかないってことは準備室にあるかもしれないな。鍵取ってくる。」
「待て、職員室だろ。コイツを使ってみる。」
「入口にリモコンとかないってことは準備室にあるかもしれないな。鍵取ってくる。」
「待て、職員室だろ。コイツを使ってみる。」
放送など無かったかのように先程のエアコンの話をしていた。というかコナンのスケボーを安永が乗ってどこかに行った。
「あ、おい!」
「江戸川、借りるぜ。」
「江戸川、借りるぜ。」
スケボーを使われたこともそうだがあまりに平然とした態度に驚きを隠せない。「さっきの放送を無視してるのか?」と漏れ出た呟きに、相原が意外そうな声を上げた。
「信じたのか? あれを。」
「全部じゃない……よ。」
「全部じゃない……よ。」
ギリギリで取り繕うと、なんとか小学生らしい演技で問う。「でもあの人たちは、殺し合えって言ってるよ? みんな信じるんじゃないかな?」と。
それを聞いた相原は、顎に手を当てて何秒か考えた後言った、「信じる部分あったか」とやや不思議そうな顔で。
それを聞いた相原は、顎に手を当てて何秒か考えた後言った、「信じる部分あったか」とやや不思議そうな顔で。
「俺たちはあのツノウサギだかをぶっ飛ばそうとしてる、殺し合いなんてする気がないって言ってる。なのに放送は信じます、とはならないだろ。」
「でもわざわざ嘘を言うかな。」
「言うな。本当のことを話す意味が無い。」
「でもわざわざ嘘を言うかな。」
「言うな。本当のことを話す意味が無い。」
断言するような言い方の相原に更にコナンは問う。それはなぜ放送を信じようと思えないかというより、信じないと判断した理由が知りたかったからだ。
「本当のことを言わなかったら、誰も殺し合わなくなっちゃうんじゃないかな。だって最後の一人になったら助かるってことも嘘だって思っちゃうよ。」
「助ける気があるとは思えないな。そもそも最初から嘘だろ、突然誘拐して殺し合えなんて言うやつが約束を守るはずない。最後は皆殺しだ。それに嘘がバレる心配も無い。」
「そうかな、たとえば、誰が死んじゃったかを正確に言えば信じる人もいるんじゃない?」
「詐欺師が何言っても、詐欺ってない詐欺師ってだけだな。首輪に毒が入ってること以外、真実はわからない。」
「助ける気があるとは思えないな。そもそも最初から嘘だろ、突然誘拐して殺し合えなんて言うやつが約束を守るはずない。最後は皆殺しだ。それに嘘がバレる心配も無い。」
「そうかな、たとえば、誰が死んじゃったかを正確に言えば信じる人もいるんじゃない?」
「詐欺師が何言っても、詐欺ってない詐欺師ってだけだな。首輪に毒が入ってること以外、真実はわからない。」
それに、と相原は続ける。
「あの放送でわざわざ着けた首輪を外すような事を言ってた。なんでそんなことをするのか、そんなことをしないといけないのか。それってつまり、首輪を外した奴らがいるからそいつらを妨害したいからじゃないか。」
「それは。」
「それは。」
楽観的だ、が、当のコナンもその可能性は頭の隅にはあった。
将来的な首輪解除への牽制ではなく、既に首輪解除を成し遂げた者への嫌がらせ。あるかないかで言えば、ありえる。しかもこの場合、別に嘘をつくわけでもない。単に動機を非開示のまま新しいルールを追加しただけだ。殺し合いの促進では無く、破綻を防ぐために。
将来的な首輪解除への牽制ではなく、既に首輪解除を成し遂げた者への嫌がらせ。あるかないかで言えば、ありえる。しかもこの場合、別に嘘をつくわけでもない。単に動機を非開示のまま新しいルールを追加しただけだ。殺し合いの促進では無く、破綻を防ぐために。
「俺の仲間の名前も何人か呼ばれたが、あいつらはタフだ、殺されるより首輪を外してる方があいつららしい。」
「……僕の友達の名前も呼ばれたよ。きっと相原さんの仲間みたいには……」
「死体を見るまでは疑ってるぐらいでいい。俺もあいつらが全員死んでないとは思ってない。でもそれは、クソッタレな殺し合いを押し付けてくる奴の話とは関係無い。」
「……僕の友達の名前も呼ばれたよ。きっと相原さんの仲間みたいには……」
「死体を見るまでは疑ってるぐらいでいい。俺もあいつらが全員死んでないとは思ってない。でもそれは、クソッタレな殺し合いを押し付けてくる奴の話とは関係無い。」
トントンと首輪を指でつつきながら相原は続ける。
「この首輪に本当に毒が入ってるかも怪しい。確かめようとしたら死ぬからな。俺らなら全員の首輪に毒なんて入れないで、何人かはもっと安上がりなやり方をする。」
おいおいと言いたくなるコナンをよそに、飄々とした態度で相原は言い終えた。
相原にあるのは、あるいは安永などこの放送を聞いた相原の仲間にあるのは、首輪を着けて殺し合わせる側の視点である。
さすがに人を殺せるようなアイテムはそうそう作らないが、激痛の1つや2つ与えるものやリンチの心得もある。その観点から見れば、全員の首輪に仕掛けをする必要を感じない。大半のものをハリボテにして、残ったものに手間と予算をかけてえげつないものに仕上げる。そしてそれを見せてみれば、楽でスマートな脅しになる。ようはリアリティを感じさせればいいわけであって、こけおどしでも見せしめを派手にしたほうが効くという考えだ。
相原にあるのは、あるいは安永などこの放送を聞いた相原の仲間にあるのは、首輪を着けて殺し合わせる側の視点である。
さすがに人を殺せるようなアイテムはそうそう作らないが、激痛の1つや2つ与えるものやリンチの心得もある。その観点から見れば、全員の首輪に仕掛けをする必要を感じない。大半のものをハリボテにして、残ったものに手間と予算をかけてえげつないものに仕上げる。そしてそれを見せてみれば、楽でスマートな脅しになる。ようはリアリティを感じさせればいいわけであって、こけおどしでも見せしめを派手にしたほうが効くという考えだ。
「……いや、死んでんのに近いことにはなってんじゃねえかな。」
「どういうことなっし?」
「それは……なんていうか。」
「どういうことなっし?」
「それは……なんていうか。」
だがその視点に他のデスゲームに巻き込まれた経験を持つ球児が、それまでの沈黙を破り複雑そうな顔で言う。その言い方にコナンだけでなくふなっしーも引っかかったのだろう。問いかけるが、球児は言葉を濁した。その雰囲気が、答えにくいことを聞かれたというよりは、なんと答えればいいかわからないといった様子で、よりコナンの興味を引く。
「それよりも気になるのは追加されたルールだ。わざわざ首輪を外すなんて言い出したのは──」
「待たせたな。」
「安永、さっきの放送どう思う。」
「確かめようがねえんだから頭に入れとくぐらいでいいだろ。あんなの真に受けるか。」
「ていうわけだ。まずは遺体を──」
「それよりヤバい話がある。」
「待たせたな。」
「安永、さっきの放送どう思う。」
「確かめようがねえんだから頭に入れとくぐらいでいいだろ。あんなの真に受けるか。」
「ていうわけだ。まずは遺体を──」
「それよりヤバい話がある。」
相原が話を変えようとしたところに安永がスケボーに乗って戻ってきた。その手から鍵を受け取りながら改めて話を続けようとしたところで、安永が真剣な顔で切り出したのと同時に、チャイムが鳴った。それが校内放送で使われるものだと察したあと、直ぐに全員校門へ駆け出した。
『──みんな、校門に車が近づいて来てる!』
「チッ、走りながら話す。」
「OK、なにがあった。」
「2人殺された。」
「なっ!?」
「チッ、走りながら話す。」
「OK、なにがあった。」
「2人殺された。」
「なっ!?」
驚愕の声を上げるコナンに、驚きからかよろける相原に構わず、安永は続けた。
「殺されたらしいのは俺たち見張り組の小林って奴と、もう一人女子がやられたらしい。名前はわかんねえけど、たしか高校生だったか。」
「星乃さんか!」
「星乃さんか!」
この小学校にいる女子高生は2人、星乃美紅と四宮かぐや。そのうちかぐやは怪我人として保健室で寝ているのをコナン自身で確認している。保健室で人が死ねば元太が探偵バッジで連絡してくるだろうから自由に動ける美紅が殺されたのだろう。
推理しながら駆ける間にも後ろの校舎から怒声が聞こえだした。まずい、殺人が起きたことでパニックになる可能性は高い。その上新しい避難民が来るとは。
安永は伝えるべきことは話したと言わんばかりにスケボーに乗ると一気に先行する。いつの間に使い方を覚えたのか自走できるようになっていて、さすがに走って追いつけない。コナンたちが校門に着く頃には、安永は銃を構えて何か叫んでいた。
推理しながら駆ける間にも後ろの校舎から怒声が聞こえだした。まずい、殺人が起きたことでパニックになる可能性は高い。その上新しい避難民が来るとは。
安永は伝えるべきことは話したと言わんばかりにスケボーに乗ると一気に先行する。いつの間に使い方を覚えたのか自走できるようになっていて、さすがに走って追いつけない。コナンたちが校門に着く頃には、安永は銃を構えて何か叫んでいた。
「柿沼! 本物か!」
「俺は世界に一つだけのカッキーだよ!」
「まずい、止めないと!」
「いや、大丈夫だ。」
「俺は世界に一つだけのカッキーだよ!」
「まずい、止めないと!」
「いや、大丈夫だ。」
ようやく近づけたコナンが急いで止めようとする。安永が暴発する可能性もなくなはない。そう思っての行動は、並走していた相原に遮られた。
「仲間だ。」
「たぶん本物だけど聞くぞ! お前廃工場でなにしてた!」
「誘拐されてた!」
「みんな! アイツは本物の柿沼だ! 俺の知り合いだ!」
「お前俺のことネタにしてただろ!」
「やっぱりな、柿沼だ。」
「たぶん本物だけど聞くぞ! お前廃工場でなにしてた!」
「誘拐されてた!」
「みんな! アイツは本物の柿沼だ! 俺の知り合いだ!」
「お前俺のことネタにしてただろ!」
「やっぱりな、柿沼だ。」
わずかにため息混じりに言う相原の声には安堵の色があった。安永も銃を降ろしてハイタッチしていて、コナンもようやく足を止める。連続殺人事件の後だけに緊張もひとしおだ。だがまるで一息つく暇など無い。校舎では2人死に、そして車の中には負傷者が詰め込まれていたのだから。
「いやそれじゃだめだ、大怪我してる人が2人もいるんだよ。なあ、そっちに医者とかいないか?」
「看護師ならいるけど、こっちも何人も怪我してて手が足りてないらしい。病院とか知らないよな。」
「看護師ならいるけど、こっちも何人も怪我してて手が足りてないらしい。病院とか知らないよな。」
素早く情報交換した結果、柿沼と同行していた負傷者がまず安永に付き添われ校舎に向かい、残ったメンバーは校門から少し離れたところにある雑居ビルに移動することになる。負傷者でもない人間が何人も校舎に向かうことは今は危険すぎる。あの放送の直後で、既に数分の間に死者が出たことは、コナンにとっても大きな衝撃だ。そしてそこに無関係な人間を向かわせる危険性に思い至らないわけがない。本当であれば負傷者を向かわせることもありえないのだが、応急処置が可能なのが保健室だけである以上背に腹は替えられなかった。
「な、梨?」
「ふなっしーなっし。」
(避難民の調査に放送の推理、殺人事件の捜査にこの人たちの対応……やることが、やることが多い。あとスケボー返せよ。)
「ふなっしーなっし。」
(避難民の調査に放送の推理、殺人事件の捜査にこの人たちの対応……やることが、やることが多い。あとスケボー返せよ。)
なによりまずいのは、校舎内に殺人犯がいる可能性が高いということだ。その発生を防ぐためにもこの学校に集まった人間について知って、精神的に不安定そうな人間の目処をつけておきたかったが間に合わなかった。今から向かって殺人犯を止めに行くのが重要だとわかっているが、しかしその前に聞いておかなくてはならないこともある。
「えっと、お兄さんたちも誰かに襲われたの?」
「それを説明するには、拙者たちの今の状況から話す必要がある。少し長くなるぞ。」
「それを説明するには、拙者たちの今の状況から話す必要がある。少し長くなるぞ。」
ふなっしーに困惑気味していた十字傷が頬にある男、緋村剣心と名乗った青年はそう時代がかった風に言った。
このグループが何者かに襲われているのは明らかだ。それを知っておかなければ、彼らを追撃する殺人犯へ備えることができなくなる。校舎内にいる殺人犯と、学校外にいるかもしれない殺人犯、どちらへの対応をすべきか即断即決しなくてはならない。
そのコナンの判断は、既に遅いと気づくのは、その数秒後剣心たちの乗ってきた車が爆発炎上したときのことだ。
このグループが何者かに襲われているのは明らかだ。それを知っておかなければ、彼らを追撃する殺人犯へ備えることができなくなる。校舎内にいる殺人犯と、学校外にいるかもしれない殺人犯、どちらへの対応をすべきか即断即決しなくてはならない。
そのコナンの判断は、既に遅いと気づくのは、その数秒後剣心たちの乗ってきた車が爆発炎上したときのことだ。
「ぐおおおおおおお!!?」
直撃を受けた道着の男、相楽左之助が吹き飛ぶ。彼が盾となったことで辛うじて直撃を避けることができた軽自動車に次いで何かが撃ち込まれて、爆炎と共に中から何かが吹き飛んできた。オレンジの明るい紐のようなものが先端に付いた棒状のものから枝が展開する。それが人間の手足だと気づいた時は、コナンの前に双葉マメの即死した顔と目があった時だった。
「炸裂弾だああっ!!」
更に放たれた擲弾から車を守らんと左之助が叫びながら前に出る。突き出した拳に40ミリの弾体が突き刺さり、その衝撃で起爆、既に吹き飛んでいた皮膚を簡単に通り過ぎると、ところどころが抉られていた筋肉に遮られながらも骨へと達し、破片が脳と内臓を吹き飛ばし、左之助の肉体を爆発四散させる。
追って放たれた飛来物が容赦無く迫る中、コナンは爆発で吹き飛ばされたと錯覚するような凄まじい勢いを感じた。それが剣心が自分を抱きかかえて駆けたのだと気づくのはもう少し先のこと。ただ今は、視界の端でふなっしーが銃を構えようとして、彼の手が無いことと彼の頭が無くなっていくのを見ていただけだった。そしてそれを理解して。
追って放たれた飛来物が容赦無く迫る中、コナンは爆発で吹き飛ばされたと錯覚するような凄まじい勢いを感じた。それが剣心が自分を抱きかかえて駆けたのだと気づくのはもう少し先のこと。ただ今は、視界の端でふなっしーが銃を構えようとして、彼の手が無いことと彼の頭が無くなっていくのを見ていただけだった。そしてそれを理解して。
(バーロー!! こんだけ武器が置いてあるんだぞ!! いつ奇襲されたっておかしくねえじゃねえか!!)
コナンは自分をぶん殴りたくなった。
端的に言えば、油断していたのだ。
基地での黒鬼の襲撃以来、戦車に乗り込んでの逃避行の間も、この学校に来て多くの参加者と出会ってからも、事件は起こっていなかった。『誘拐』された『被害者』たちが『犯人』から殺し合うように『脅迫』されても、その犯人が目の前におらず危害を加えてくる様子もないのだから、冷静さは保てるはずだという過信か願望があった。もちろんただ漠然と状況に流される気はなく、その為にできる限りのことをしてきたしこれからもしていく、そう思っていた。これまでの行動はその一環でもあったし、また探偵として目の前の遺体が生まれた原因を明らかにするという使命と習性でもあった。
端的に言えば、油断していたのだ。
基地での黒鬼の襲撃以来、戦車に乗り込んでの逃避行の間も、この学校に来て多くの参加者と出会ってからも、事件は起こっていなかった。『誘拐』された『被害者』たちが『犯人』から殺し合うように『脅迫』されても、その犯人が目の前におらず危害を加えてくる様子もないのだから、冷静さは保てるはずだという過信か願望があった。もちろんただ漠然と状況に流される気はなく、その為にできる限りのことをしてきたしこれからもしていく、そう思っていた。これまでの行動はその一環でもあったし、また探偵として目の前の遺体が生まれた原因を明らかにするという使命と習性でもあった。
「みんな校舎に逃げるなっし──」
だがそんな『探偵』のあり方を『人誅』は許しはしない。復讐劇は推理小説では無い、遠距離から何人もの人間を殺戮できる機会があるなら老若男女も問わず躊躇無く殺傷する。探偵どころから警察も軍隊も皆殺しにする個。暴力のみで上海マフィアの頭目にまでなった野蛮なカリスマ。
雪代縁とは、そういう男だった。
雪代縁とは、そういう男だった。
「緋村抜刀斎……!!」
ふなっしーが血みどろの梨汁をぶちまけるのを見て、傷が開くほどに口を吊り上げ、縁は牙を向くように笑う。笑顔とは元来威嚇の表情であるという俗説を見たものに信じさせる獰猛な顔で、撃ち終えたグレネードランチャーを放ると、足元の別のグレネードランチャーを手に取り乱射した。だが決して剣心は狙わない。剣心の周囲の人間を殺す、殺して生地獄を味合わせる、その為に。
「ふなっしーさん! 顔が、顔が飛んでって。」
「ダメだ悠翔! 戻んな!」
「ダメだ悠翔! 戻んな!」
コナンたちにとっての不幸は、剣心達が拠点としようとしたビルが、縁が拠点としていたビルの隣だったこと。縁が出発して直ぐに剣心を見つけた。ならばやることは人誅である。
予定とは変わったが、剣心の周囲を無差別に吹き飛ばすというのはこの殺し合いの前からの計画だ。ならば変わりなく人誅を実行する。
とにかく人誅を実行するめちゃくちゃ人誅を実行する人誅を実行する人誅を実行する人誅人誅人誅人誅人誅復讐復讐復讐人誅人誅人誅人誅人誅。
予定とは変わったが、剣心の周囲を無差別に吹き飛ばすというのはこの殺し合いの前からの計画だ。ならば変わりなく人誅を実行する。
とにかく人誅を実行するめちゃくちゃ人誅を実行する人誅を実行する人誅を実行する人誅人誅人誅人誅人誅復讐復讐復讐人誅人誅人誅人誅人誅。
「姉サン……見ててね。」
白煙に包まれた学校に向けて、縁は機関銃を担いで歩き出す。そしておもむろに銃口を向ける。目標は、倒れ伏した梨の中身を拾い集める少年。
バララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララ。
わずか数秒の合間に、7ミリの金属が50発放たれる。
人間では到底持つのがやっとのはずの武器を、縁はさも当然のように使う。彼の同士はこれよりも重いもので街を砲撃しようとしたのだ、それになにより10年以上に渡って探し求めた怨敵が目の前にいるのだ、肉体の限界など超えて当然である。
わずか数秒の合間に、7ミリの金属が50発放たれる。
人間では到底持つのがやっとのはずの武器を、縁はさも当然のように使う。彼の同士はこれよりも重いもので街を砲撃しようとしたのだ、それになにより10年以上に渡って探し求めた怨敵が目の前にいるのだ、肉体の限界など超えて当然である。
「あ。」
「チックショオオオオ!!」
「撃っちゃダメダアッ!!」
「チックショオオオオ!!」
「撃っちゃダメダアッ!!」
即死したふなっしーの死体が、それに覆い被さる悠翔が、ズタズタの肉片に削られていく。どこから狙われているのかわからず周囲に銃を乱射した球児の放つ弾丸が2人を人の形でなくしていく。その銃口が地面に伏せる相原の上を通過して、コナンとそれを背負う剣心の方に向く寸前、真っ赤な塊が覆い被さった。
「ふなっしーさん邪魔──」
乱射される弾丸が胴体を次々に貫通していく中、ふなっしーは球児から銃を取り上げようとする。それに抵抗する球児の手が飛び、頭が飛び、胴体が鳩尾の辺りから別れる。飛び出した小腸が依然として立っままの下半身へと垂れ下がり、その勢いのまま大腸もまろびでる。そこを弾丸が打ち抜き、中に入っていた糞と血がコナンの眼鏡を汚した。
「見つけた。」
ニヤリと笑う美少年は、双眼鏡から目を放すと、背を預けていた赤い日産GTRの運転席へと乗り込む。アイドリングしていたそれのアクセルを踏むと学校へと走らせた。
少年の名は日守夕夜。悪魔と戦うマテリアルにして、彼自身も悪魔の子である。
彼は方針を変えて助けたスネリから離れていた。というのも、深手を負ったスネリはこんこんと気絶し続け。手当をしたとはいえ化け猫1匹にかかりきりになる間に時間ばかり過ぎて行った。それは誰ともろくに会話しないまま数時間経ったということ、妹であるサーヤの捜索をしたい彼にとってはあまりに無駄な時間だ。
やむを得ず切り上げて付近を捜索したのだが、この頃にはサーヤはその場をとっくに離れ、また銃撃された経験から人目に付く場所に出ないようにしていた。そうなると1つの街から人一人を探すのは至難の業。更に近場の人間は第一回放送までのトップマーダーであるタイ達によって死体ばかりと生者に出会うことはとんとなく。その間に見つけたカーディーラーで地図でも無いかと探していた時に車の鍵を見つけ、長距離を高速で駆け回ることにした。
そうして立ち昇る煙に目をつけ近づいてみれば、正しく縁が学校を襲撃するところだったのだ。ただ問題は、せっかく遠くから観察できていたのに煙幕を張られてしまったこと。これは縁が見つけたグレランのうち片方にはスモークグレネードが装填されていたためだが、遠目に見ているユーヤはもちろん撃った本人である縁も予想だにしていない。結論として、ユーヤは学校へと向かうことを決める。ゲーム開始から6時間、100人近い人間が死んでいる状況で初めて会話ができる人間がいる場所なのだ、多少の障害は抹殺してでも征く価値はある。
全参加者の1割を越す人数が集まった学校はこうして煙と血に包まれた。
少年の名は日守夕夜。悪魔と戦うマテリアルにして、彼自身も悪魔の子である。
彼は方針を変えて助けたスネリから離れていた。というのも、深手を負ったスネリはこんこんと気絶し続け。手当をしたとはいえ化け猫1匹にかかりきりになる間に時間ばかり過ぎて行った。それは誰ともろくに会話しないまま数時間経ったということ、妹であるサーヤの捜索をしたい彼にとってはあまりに無駄な時間だ。
やむを得ず切り上げて付近を捜索したのだが、この頃にはサーヤはその場をとっくに離れ、また銃撃された経験から人目に付く場所に出ないようにしていた。そうなると1つの街から人一人を探すのは至難の業。更に近場の人間は第一回放送までのトップマーダーであるタイ達によって死体ばかりと生者に出会うことはとんとなく。その間に見つけたカーディーラーで地図でも無いかと探していた時に車の鍵を見つけ、長距離を高速で駆け回ることにした。
そうして立ち昇る煙に目をつけ近づいてみれば、正しく縁が学校を襲撃するところだったのだ。ただ問題は、せっかく遠くから観察できていたのに煙幕を張られてしまったこと。これは縁が見つけたグレランのうち片方にはスモークグレネードが装填されていたためだが、遠目に見ているユーヤはもちろん撃った本人である縁も予想だにしていない。結論として、ユーヤは学校へと向かうことを決める。ゲーム開始から6時間、100人近い人間が死んでいる状況で初めて会話ができる人間がいる場所なのだ、多少の障害は抹殺してでも征く価値はある。
全参加者の1割を越す人数が集まった学校はこうして煙と血に包まれた。
【0614 『北部』小学校とその周辺】
【江戸川コナン@名探偵コナン 紺青の拳(名探偵コナンシリーズ)@小学館ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
何が起こっているか調べて、脱出する。
●中目標
元太や灰原のような知り合いを探す。
●小目標
???
【目標】
●大目標
何が起こっているか調べて、脱出する。
●中目標
元太や灰原のような知り合いを探す。
●小目標
???
【相原徹@ぼくらのデスゲーム(ぼくらシリーズ)@角川つばさ文庫】
●大目標
殺し合いから脱出する。
●中目標
仲間を探す。
●小目標
狙われてる、どこから!?
●大目標
殺し合いから脱出する。
●中目標
仲間を探す。
●小目標
狙われてる、どこから!?
【緋村剣心@るろうに剣心 最終章 The Final映画ノベライズ みらい文庫版@集英社みらい文庫】
●大目標
一つでも多くの命を救う。
●中目標
鱗滝と近藤の治療の術を探す。
●小目標
銀髪の男(縁)の襲撃から人々を守る
●大目標
一つでも多くの命を救う。
●中目標
鱗滝と近藤の治療の術を探す。
●小目標
銀髪の男(縁)の襲撃から人々を守る
【雪代縁@るろうに剣心 最終章 The Final映画ノベライズ みらい文庫版@集英社みらい文庫】
●大目標
人誅人誅人誅人誅人誅復讐復讐復讐人誅人誅人誅人誅人誅
●中目標
人誅人誅人誅人誅人誅復讐復讐復讐人誅人誅人誅人誅人誅
●小目標
人誅人誅人誅人誅人誅復讐復讐復讐人誅人誅人誅人誅人誅
●大目標
人誅人誅人誅人誅人誅復讐復讐復讐人誅人誅人誅人誅人誅
●中目標
人誅人誅人誅人誅人誅復讐復讐復讐人誅人誅人誅人誅人誅
●小目標
人誅人誅人誅人誅人誅復讐復讐復讐人誅人誅人誅人誅人誅
【日守夕夜@魔天使マテリアル(8) 揺れる明日(魔天使マテリアルシリーズ)@ポプラカラフル文庫】
【目標】
●大目標
サーヤを守り、脱出する。
●中目標
サーヤと合流する。
●小目標
化け猫(スネリ)を助けて誤解を解きたかったけど第一回放送終わるまで出番無かったから積極的に動くよ。
【目標】
●大目標
サーヤを守り、脱出する。
●中目標
サーヤと合流する。
●小目標
化け猫(スネリ)を助けて誤解を解きたかったけど第一回放送終わるまで出番無かったから積極的に動くよ。
【脱落】
【双葉マメ@サバイバー!!(1) いじわるエースと初ミッション!(サバイバー!!シリーズ)@角川つばさ文庫】
【相楽左之助@るろうに剣心 最終章 The Final映画ノベライズ みらい文庫版@集英社みらい文庫】
【沖田悠翔@無限×悪夢 午後3時33分のタイムループ地獄@集英社みらい文庫】
【ふなっしー@ふなっしーの大冒険@小学館ジュニア文庫】
【野宮球児@迷宮教室 最悪な先生と最高の友達(迷宮教室シリーズ)@集英社みらい文庫】
【相楽左之助@るろうに剣心 最終章 The Final映画ノベライズ みらい文庫版@集英社みらい文庫】
【沖田悠翔@無限×悪夢 午後3時33分のタイムループ地獄@集英社みらい文庫】
【ふなっしー@ふなっしーの大冒険@小学館ジュニア文庫】
【野宮球児@迷宮教室 最悪な先生と最高の友達(迷宮教室シリーズ)@集英社みらい文庫】