サーレーは"宙に浮いている"漫画のページを捲りながらシャンパンを飲んでいた。
『へへ……本当にラッキーだぜ、殺し合いなんて言われた時は焦ったけどな……』
今の彼には先程の火傷以外に外傷が見当たらない。
ここへ連れてこられる直前、
グイード・ミスタに額を始め様々な箇所を銃弾で抉られた筈なのに。
『まさか傷まで治してくれたうえにこんな気の利いた差し入れまで用意してくれるとはなあ~っ、荒木様々だぜ』
彼の読んでいる漫画、ピンクダークの少年の作者はこのゲームの参加者でもある
岸辺露伴である。
漫画は現在(と言っても1999年時点でだが)3部まで連載されていて、既に本人の頭の中では9部までの構想が既にあるらしい。
更に驚くべきはその執筆速度で、1晩で19ページ書き上げた事もあるという。
そしてその異常さから実は古の仮面を被って人間を超越したとかしないとか。
実はその岸辺露伴がすぐ近くにいるのだが幽霊部屋に籠もって漫画を読んでいるサーレーが気づくはずもなく。
そして、数時間が経過する……
* *
『読み終わったッ! 第1部完! 』
日本の漫画ってのは面白ぇな。今まで知らなかったぜ。
最後はハッピーエンドだと思ったんだがなあ、まさか生首と心中するとはな……
予想の斜め上だぜ、次は第二部か、早く死なねえかな~。このままじゃ退屈だぜ。
今頃何人死んでるんだろうな……
そういや、ズッケェロの奴はどうしてんだ?俺がミスタに襲われたところを見ると捕まってゲロしたか或いはブチャラティ達のスタンド能力か……
確かブチャラティ達でこの場で呼ばれてないのはナランチャだけだったな……
マズイぜ、ズッケェロのスタンドソフト・マシーンでナランチャ一人から遺産の隠し場所を吐かせるのは無理だ……せめて二人……ブチャラティ辺りが居ればナランチャを人質に取ってブチャラティに喋らせるってのが出来るんだがなあ~。
俺のスタンド、クラフトワークなら拷問する事も可能だ。まぁここでブチャラティ共を探して吐かせるって手もあるが……すぐ見つかるとは限らねえし、さっきの肉ダルマを見るにどうやらこの場にはスタンド使いが大勢いるらしいからな。
リスクがデカ過ぎる、やっぱ人数が減るまで待つしかねえな……
かと言って漫画読んでるだけってのもな、仕方ねえ、こんな高級そうなベッドも貰っちまったし、寝るか。ま、せいぜい殺し合ってくれよ……
* *
突然だが、皆さんはウサギとカメという童話をご存知だろうか、ウサギが鈍足の亀を馬鹿にし、腹を立てた亀がウサギにかけっこの勝負を挑むという話である。
かけっこは途中までウサギが勝っていたのが、余裕綽々のウサギは居眠りを始めたのである。
そして目を覚ましたウサギが見たものは、ゴールして大喜びのカメだったそうな。
そしてサーレーをウサギ、命を奪う死神をカメに例えてみよう。
殺し合いの状況で隠れられる安全な場所を見つけたサーレーは余裕綽々で眠り始める、そして眠っている間に放送が始まってこのD-2が禁止エリアになるとする。
それでもサーレーが眠っていたのなら、サーレーは首輪が爆発して死んでしまうだろう。参加者の一人、J・P・ポルナレフのセリフを借りればこうなる。
あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!
『俺は余裕ぶっこいて眠っていたら、いつの間にか首がブッ飛んでいた』。
な…何を言っているのかわからねーと思うが、
俺も何をされたのかわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…切断面をカビで包むだとか敵の攻撃を受けただとか
そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。
もっと恐ろしい首輪の片鱗を味わったぜ…
と、こうなる訳である。果たしてサーレーはウサギとなって死んでしまうのか、それとも……
『zzzzzz……』
そしてサーレーは考えるのをやめた。
【D-2 幽霊部屋/1日目 黎明】
【サーレー】
[スタンド]:クラフトワーク
[時間軸]:ミスタ戦直後
[状態]:背中に軽い火傷、睡眠中
[装備]:なし
[道具]:基本支給品(懐中電灯以外)、ベッド、『ピンクダークの少年』3部までセット、高級シャンパン
[思考・状況]
1.しばらくここで待機する。
2.優勝してポルポの遺産を奪う
3.出来ればブチャラティ達を探して遺産の隠し場所を吐かせたい
[備考]
※幽霊部屋の中にも荒木の放送は聞こえてきます。
※D-2が禁止エリアになった時は、幽霊部屋もその例外ではありません。
※ピンクダークの少年の1部を読破しました。
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最終更新:2009年11月03日 20:52