少年の行動はこの場においては正しい行動だと言えただろう。
中心街から離れすぎず、かつ近すぎない距離の民家、その一室。
あえて鍵やカーテンを閉めなかった事も……いや、これは偶然か。今の彼にそこまでの余裕と体力はない。
とにかく、少年はこの半日間、他の参加者と一切接触する事無く放送を迎えようとしていた。
「でも……一体どうすれば」
虚空に呟く。声が出る事に少しだけ安心した。
だが、その安心も口に出した疑問の前には意味をなさなかった。
吉良吉影を脅迫、利用するだなんて。その決意を変える気はない。
だが、アテがないのだ。あの平穏好きが隠れられるような場所は杜王町にはいくらでもある。
それはつまり、地図に載らないような民家の全て。
その一軒一軒を虱潰しにあたる体力と時間を己が持っていない事は明白。
他の参加者に協力を願おうにも、自分が逃げ込んだ民家には来訪者はゼロ。この数時間が証明してくれている。
しかし――それでも彼は諦めない。なぜなら……
こと人間観察においては相当の自信があるから。
自分の両親に気付かれない位置にカメラを設置することなど朝飯前。
その気になれば盗聴や尾行も出来るし交渉術だって磨かれていると自負できるだろう。
では、その一種の『能力』をどう活かそうか、と言う点に問題は発展する。
幸いにもこの民家は二階建て。双眼鏡や望遠鏡と言ったものはなくとも少し目を凝らせばコロッセオの頭が見える。
道路を堂々歩く人間がいれば気付くだろう。彼ならば。
知人なら、あるいは『ヤツ』なら大当たりだ。その他なら無視するくらいの心構えでいる。
悩む事は次の一手にミスを生むからだ。あの朝に学んだことだ。忘れる訳もない。
二階にいると逃げ遅れる可能性もある。だが今の足で下手に動いて発見されるよりは息を殺す方がリスクは少ないと感じたのだ。
「よし」
誰に言う訳でもなく再び虚空に一言。
そう呟いた彼は思い身体とデイパックを引きずり階段に足をかけた。
【F-5 北西部 民家/1日目 夕方】
【
川尻早人】
[時間軸]:吉良吉影撃破後
[状態]:精神疲労(大。少々収まった)、身体疲労(小。少々収まった)、腹部と背中にダメージ大(応急手当済)、上半身ダメージ(ほぼ回復)、右手人差し指欠損、
漆黒の意思、殺意の炎。服は乾いた
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×2、鳩のレターセット、メサイアのDISC、ヴァニラの不明支給品×1(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:荒木を倒したい。吉良吉影を殺す。殺し合いにはのらないけど、乗ってる参加者は仕方ない。
0.吉良吉影を脅し、ウェザーの仇をとるのを手伝わせる。とりあえず吉良を探す。
現在は民家に潜みつつ参加者を探し&観察し、必要ならば接触する。
1.絶対にウェザーの仇を見つける。
2.吉良吉影を殺す。邪魔をするような奴がいたらそいつも・・・
3.荒木の能力を解明したい
[備考]
※吉良吉影を最大限警戒、またエンポリオの情報によりディオ、プッチ神父も警戒しています。
※ゾンビ馬によって右足はくっついていますが、他人の足なので一日たてば取れてしまう可能性があります。
歩いたり、走ったりすることはできるようです。
※ある程度ジョセフたちと情報交換しましたが、三人を完全に信用していないので吉良吉影について話していません。
ジョセフも本人かどうか半信半疑なので仗助について話していません。
※
第二回放送をほとんど聞いていません。「承太郎の名前が呼ばれた気がする」程度です。
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最終更新:2010年07月02日 21:59