茜色

白銀

黄金色

赤銅色

褐色


若草色

沈みかけた太陽は紅く燃え、世界を茜色へと染め上げる。
空を、雲を、コンクリートの塊を、線路を、青年の髪を。
白銀のそれは浴びた光を反射し、元とは異なった新しい色で輝く。
黄金とよく似た色をしながら風でたなびくそれは小さなライ麦畑のよう。
彼の肌の色である褐色とのコントラストがより一層、自然と人間の調和で生まれた小さな世界を強調する。

「これが夕日というものか……美しいな」

生まれて初めてじっくりと眺めた日没の時。
小さな感嘆の声が髪の毛とよく似た白い唇から漏れ出す。
青々と茂った草を踏む音が心地よい。
暗闇の世界で生きていた彼にはこの色彩溢れる世界がひどく魅力的に映った。
白金も、金剛石も、黄金の煌めきでも眼前に広がる光景には敵わない。
目の前にあるのは地平線に半分隠れた紅の塊。
人生における最大の障壁が、今は新しい自分の象徴となった。

カーズが自然を愛したという気持ちも分かる」

視界にある中で最も背の高い木に目をつけて歩み寄る。
大きく跳躍して手頃な太さの枝にぶら下がった。
そのまま腕力で体を持ち上げて、その枝に腰を下ろす。
触れた樹皮のザラりとした感触もまた心地がよい。

「ほぅ……」

形の整った唇より再び声が漏れ出す。
世界というものは広い。
南米に、ローマに、中国に、世界中を巡っても見えなかった真実がここにある。
手頃なあたりにあった葉を一枚だけちぎり、太陽に透かす。
青かった。
葉脈以外の場所、いや光を通しにくいはずの葉脈ですら生命力に満ち足りた色を発している。
ただそれだけのことが、この生命体にとっては嬉しかった。
自分たちが向かおうとしていた進化の果てを見れた気がした。
太陽を克服した先に見えるのは究極の生命体としての景色ではなく、この美しいパノラマ。
残念なのは、この光景が見れるのが自分しかいないという事実。
だからこそ、彼は優勝を目指して走る。
仲間の無念を晴らすため、自分達が最強の存在であることを証明せねばならない。
しかし、彼は動こうとしない。
せめて日が沈むまでは、太陽がなくなるまではずっと眺めていようと、
新しい能力のおかげで手に入れた新しい世界を。
ただ肉体に潜り込むだけでは遮断できなかった網膜へと入り込む光すらも無害に変える無敵の盾。
男、エシディシはその存在に改めて感謝した。



★  ☆  ★



「また……貴様か」

不快感と殺気に溢れた声が目の前から聞こえる。
男、青年と呼ぶべきだろうか? とにかくヤツは背を向けたまま声を発した。
ありえねぇ、こんなことはありえねぇ。
狙いは確実だった、着弾地点もきっちり視認した。
だったらなんで脳幹をぶち抜かれて生きてるんだよおおおおおおおお!

「しかし、半端者から化け物になることはできたみたいだな。そこだけは褒めてやろう」

男は緩慢な動作で立ち上がりこっちを振り向いた。
逆光で見えにくくなっている顔の中で、唇が軽く吊り上っていることは分かった。
あぁ、分かったよ。
肌の色、身長、髪、服装、下手したら性別まで違うんじゃないかと思ったがコイツは間違いなくアイツだ。
圧倒的な力と、覚悟を決めるきっかけをくれたアイツだ。

「コロッセオでは世話になったな。あんたのおかげでハッキリと目が覚めたよ。
 それにしても……他人の体を乗っ取り内側から食い破るか。
 本当に化け物を表すにはふさわしい表現だな、あんたもそう思うだろ?」

嫌味を交えつつも考察を繰り返す。
コロッセオで会っただけで判断できた、コイツはとんでもなく頭が切れるってことが。
あの屈辱的な挑発と発言を先取りされたことで一発で理解させられた。
そんな相手が間違いなく理由もなしに人間に擬態するわけがないな。

「化け物か……生物界の頂点に立つことがそうであるならばこのエシディシ、その汚名を喜んで受け入れよう」

考える余裕すら相手は与えてくれない。
線が細くなっても化け物じみた身体能力は変わらないようだ。
筋肉達磨、エシディシは一跳躍で優に二十メートルはある距離を詰めてきた。
着地と同時に身を大きくかがめて反撃を避ける。
そしてそのまま、足を薙ぐような低い軌道の蹴り。
当たったら不味いということは嫌というほど思い知らされてるから軽く跳躍することでしのぐ。

「くらいな!」

ダメージを与えることを狙ったわけではなく、時間稼ぎのために体の一部を打ち出す。
着地の際にできる隙をこれで何とか殺す!

「MM!」

ヤツは咄嗟に回避した。
よし、これで逃げるだけの時間がで……おい、ちょっと待て。
なんで避けた? あれだけの回復力を持ち、体内に入ったフーファイターズを焼き殺すことで対処できるあいつが何故?
今の射撃はどこも奴にとっての致命傷にはならないはずだ。
ならば?
チッ、考える時間もくれないってか!
触れることもできないから大きな動きで奴の攻撃をしのいでいく。
飛燕のような早さと手数の拳。
速さと連打性にに特化した攻勢を上体を激しく動かして全てに対応していく。
内臓をえぐり取るようなブローを少し動くことで避ける。
雷電のような鋭さで放たれる蹴撃。
あと一歩前にいたら頭が宙を舞っていた。
真空によって生まれた剃刀が前髪の先端を持って行った。
相手は太陽を背負ってやがるから見えにくくてうっとおしい、せめてこれが月光だったら。
ちょっと待て、何かがおかしいぞ。
太陽を背負って?
なるほどな、全てが繋がったよ。
やっぱりあいつも伊達や酔狂であんな格好してるわけじゃないんだな。
しかし本当に驚いた。
こればっかりは流石の私も予想外だったよ。








まさかアイツと自分が似たり寄ったりな理由で人の皮を被ってるとはな。







エシディシは日光を、私は乾燥を防ぐために。
ってことはアレッシーが言ってたことは本当なんだな。
だったら……今なら勝ち目がある。
タイムリミットは地平線に太陽が沈むまでの間。
何分だ?
二十分か? 十分か? 五分か? それとも一分もしないで沈む?
いや、関係ない。
一分で沈むなら一分以内に、五分で沈むなら五分以内にあのでかい図体を太陽のもとに引きずり出せば勝ちだ。
ディバッグより透明な容器を取り出した。
キャップをあける間ももどかしいから指突で壁を突き破って顔に水を浴びせる。
表面から吸収できないのが雫となって地面へと滴り落ちる。
よし、やってやろうじゃないか。



★  ☆  ★



さっきまでとは一転、フー・ファイターズが攻勢に出た。
銃のように構えた指から己の一部を連続で放つ。
エシディシ自体にダメージを与えることはできないが、ティッツアーノの肉体を食い破ることはできる。
その事実を知っているエシディシは回避に専念する。

「そんなにその体が破られることが怖いか?
 日光に弱いらしいからなぁ、たっぷりと日焼けさしてやるよ」

見下した様子の挑発に口角を釣り上げることでエシディシは答えた。
余裕溢れる態度に苛立つが、それを抑えつつ攻撃を続行しようとしたところで――――男は急に前へと飛び出してきた。
今まで横の動きで回避する相手に対応していたフー・ファイターズにとってこの動きは意外ではあるが対処できないものでもない。
曲げていた指を伸ばして迎撃の準備をする。
そして眼前に迫ってきたエシディシは握った拳を開いて、振り下ろされた手刀をその内へと収める。

「そう来ると思ったぜ。俺の被っている肉体を切り裂こうとしている貴様はなあああああああ!」

そう言いながら掴んだ腕を捻ることでフー・ファイターズを地面へと叩きつけた。
到達する衝撃は人間の肉体に耐えられるものではない。
全身の至る所で皮が破れ、中身であったものが漏れ出す。
千切れかけた右腕を放り投げるとエシディシはつまらなさそうに言った。

「所詮はこんなものか、やはり貴様に人間の面白さを期待するのは間違っているようだな」

蠢くプランクトンを焼きつくそうと己の肉体を貫いて血液を噴出させそうとするエシディシ。
しかし、それより先にダービーの肉体が立ち上がった。

「ずいぶんと舐めたこと言ってくれるじゃないか。ええ、その余裕が気に食わないんだよ」

外見の凄惨さとは裏腹に、今のフー・ファイターズにダメージは少ない。
だが外気に直に晒されることで乾燥は急激に進行していく。
それでも現状に変化はないと彼女は判断した。
元から日が沈むまでがタイムリミットの戦い、それまでに致命的なまでに乾燥するはずはないと。
ボロボロになった全身を自分の肉体を繋ぎとして人としての形を保つ。

「人間の面白さねぇ……。何に対して面白さを探したいかは分からないけどな。
 少なくともお前には分からねぇさ、ああ分かるはずがねぇ」

うわ言のように呟きながら攻撃を再開した。
FF弾を使用しない肉弾戦。
パワー、スピードともに相手が上回ることは分かった。
それと同時に、人の皮を被っているときは触れただけで取りこまれるということはないということも。

「ほぅ、その口ぶりなら貴様は知っているということか?
 ジョリーンとやらから教わったということか?
 ならば俺はジョリーンとやらと戦うしかないなぁ」

勝利を確信しつつエシディシはいやらしい笑みを浮かべる。
それを無視してフー・ファイターズは腕を横に薙いだ。
彼はしゃがみこむことでそれを回避し、逆に右腕で足を薙ぎ払う。
体勢の悪さから足が千切れたりはしなかったものの大きくバランスを崩した。
追い打ちで胴体を狙って拳が飛来する。
柱の男の筋力で放たれるそれは単純であるが必殺の威力を持つ。
当たれば今度こそバラバラに飛散するであろう一撃。
咄嗟に腕を伸ばしてエシディシの首を掴むことで空中で体勢を立て直し回避。
そして首を掴んだ掌の形を変えて首輪の隙間へと潜り込ませる。

「皮という型が無くなった分だけ自由に動けるというわけか
 いよいよ本格的に化け物じみてきたじゃないか」
「ずいぶん余裕だな、大事な被りものの頭吹き飛ばされてもそんなことが言えるのかぁ!」

言うと同時に首輪にかけた両腕を引っ張る。
辺りに響き渡る爆音。
一瞬吹きあがる炎。
部分的に吹き荒れる爆風。
飛ばされた頭。
煌めく髪の毛が重力を無視したように舞って―――ティッツアーノの頭はアスファルトの上に落ちた。

「クソッ、これで完全に使い物になんなくなったな」

爆心地より少し離れた位置にいたものの、腕を襲った爆発の衝撃で尻もちをついてしまう。
焼け焦げた両腕を見ながらフー・ファイターズは毒づいた。
完全に水分など蒸発し尽くし、ポロポロと死滅したプランクトン達がはがれおちていく。
けどこの重症に見合うだけの戦果は得られたのではないかと思う。
視線を上げてエシディシの立っていた方向を見た。

頭が無い、この状態が一番想定しうるものだった。

エシディシの頭が生えている、あまり想像したくないがそれもありうるだろう。

ならばこれはどういうことだ?

吹き飛ばされたはずの中性的な顔がいまだに存在するっていうのは?

阿呆みたいに口を開けてフー・ファイターズは目線を移した。
確かに吹き飛ばされた首はある。
疑問の嵐が駆け巡るも、目の前にある問題の解決へは至らない。
混乱する間も待たずにエシディシは大きく顎を蹴りあげる。
歯が口より飛び散った、顎の骨が粉となった、そして下顎が大きく天へと飛ばされていく。

「切り札が通用しなくって残念だったなぁ~」

口調とは裏腹にエシディシの表情に笑みはない。
一歩一歩迫り来る男にフー・ファイターズは自身の死を見た。
心を埋め尽くすのは諦観と絶望。


私じゃコイツに絶対勝てない。


虚ろな瞳でエシディシを見た。
いや、本当に見てるかすらわからない。
ただただ呆然としながら時が過ぎるのに身を任せるだけだ。

「この会場に柱の男の他に人間じゃない奴は何人いるんだろうな?
 貴様、ディオの部下だった屍生人。他にも吸血鬼や屍生人がいるかもしれんなぁ
 この中に我々柱の男を倒しうる怪物がこの会場には存在しているのか?
 NOだ、断じてNOだ。ならば誰が殺した?
 あのひよっこを、戦闘の天才のワムウを、稀代の頭脳を持ったカーズを!
 ……人間だ、波紋使いも含めた人間どもが我々の仲間を殺したに違いない!
 だからこそ俺は人間の面白さを認めた。
 いや、これ以上これから死にゆく貴様に言ってもしょうがないか」

魂の抜け殻の目の前で長々と語るエシディシ。
話が一段落すると止めを刺すべくフー・ファイターズへと両腕を向けた。
煮えたぎる血液を出すために爪を開ける。
戦意を喪失したと思っている相手の瞳に光が戻っていることに気がつかずに。
しかしながら彼の突然立ち上がったフー・ファイターズへの対応は見事なものであった。
こちらへと飛びかかる力を逆手に取ったカウンター。
正拳を叩きこまれたフー・ファイターズはまたしても体のパーツを飛び散らしながら宙を舞う。
数メートル吹き飛ばされ、地面にしこたま体をぶつけるもフー・ファイターズは再び両足で大地を踏みしめる。
繰り返される無謀な突撃。
案の定エシディシからの手痛い反撃を受けて地面へと倒れ伏す。
今度の一撃は足を吹き飛ばし、立つことすらままならない。

「どうした? その見苦しい反撃は。
 勝てぬと分かったからヤケクソになったってわけか。
 どうせ立ち上がるならもう少し考えるんだなああああああああ」

サッカーボールのように蹴り飛ばされてフー・ファイターズが吹き飛ぶ。
もはやダービーの肉体は僅かに残るのみ。
今度こそ完全なる止めを刺そうとエシディシは歩み寄る。
アスファルトを踏みつけながら、伸びる影法師を追いかけるように確実に近付く怪物。
さっきと同じシチュエーションであるが、一つだけ違うのはフー・ファイターズが声を発したこと。

「なぁ、鉄塔でジョルノと戦っただろお前。アイツに殴られた時硬直したよな?
 お前の仲間も死んだって言っただろ、要するにお前も不死身の化け物ってわけじゃないんだな。
 勝てるんだろ? やりようによってはお前らにも勝てるんだよなああああああああああ!!」

叫び声と同時にエシディシの、正確に言えばティッツアーノの肉体が弾けた。
飛散する肉片。
一帯にばら撒かれた赤い塗料。
どす黒く染め上げられた服だった布の破片がゆっくりと舞い落ちる。
そして再び宙を舞うことになったティッツアーノの頭部。

「WOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!」

中から現れた化け物の巨体は煙を上げ、少しづつ蒸発していく。
今までの圧倒的な暴力が嘘であるかのように道路の上を転がり苦しみ悶える。
日光の予想以上の効果に驚くフー・ファイターズではあるがすぐに気を取り直した。
消滅していくエシディシが逃げて行かぬように気を付けながらも半ば勝利を確信した。
数分もたたないうちにこの化け物は塵となって消える。
太陽がなくなるまでには何とかなるだろう。
安堵感と達成感がボロボロとなった体にしみわたる。

「ここまで効果的だったとはな。そりゃあ人の皮を被ってでも日光を避けるわけだ。
 本当は動きを止めたところでF・F弾を耳に叩きこむ戦法をもう一度使うつもりだったんだが……その必要もなさそうだな」

しかし、気が付いてしまった。
エシディシの体より湧き出る黄色いジェル状の何かに。
それに包まれていくエシディシに。
そして全身を覆われると同時に立ち上がる彼に。
スライムの塊がエシディシの姿を模したことに。



★  ☆  ★


「まさか攻撃されたときに弾け飛んだ肉体を使って反撃するとは思わなかったぞ。
 危うく死にかけた。スタンドの操作が上手くできなければ間違いなく死んでいた。
 ほんの少しだが、貴様に敬意を払っていもいいかもしれんな」

エシディシが平然とした様子で喋っている。
これは何の悪夢だ? やっとの思いで人の皮を破壊したと思いきや今度はスタンドだと?
咄嗟に周りから肉を寄せて再生させた右腕からF・F弾を奴の脳天へとぶち込んだ。
あぁ、ぶち込んだはずさ。
やっぱりか、やっぱり通用しないってか。
表面にあった黄色いジェルだった何かを食い破らせようとした。
けれどもそれよりも早くフー・ファイターズは消滅した。

「スタンドを持ってたなんて知らなかったぜ」
「貴様と会ったときは生憎持ってなかったもんでな。
 まぁ、あの時の貴様が俺にスタンドを使わせるほど俺を追い込むことなど不可能だっただろうがな」

ちっ、プッチの野郎が余計な事をやりやがったってことか。
どんな能力か詳細は分からねぇけど少なくとも今判断できるのは、
全身を覆うことで太陽の光を防げて形まで変えられる、その上表面に付着したフー・ファイターズをあっという間に死滅させる何かか!
お手上げだ、今度こそダメだ。

ジョリーン! ジョリーン! ジョリーン!

守れないのか? 彼女を生かすことはもうできなくなるのか?
アナスイはいる、けどこの怪物に勝てるのか!?
もし勝てたとしてアイツは変な希望に縋りつくことなく現実的な対応をとってくれるのか!?
分からない、分からないこそ私が生き延びなくてはならないのに!
生きたい! まだ死ぬわけにはいかない!
何とかなってくれ、お願いだから何とかなってくれ!
コイツを倒すヒントでも何でもいい!
……そうだ、首輪さえ爆発させれば。
既に傍へと近寄ってきたエシディシの首輪に手をかけようとした。
アイツは動かない。
さっきと同じ手にかかるとはマヌケか。








どうして首輪に触っただけであたしの手がなくなってるんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!



迫る影

喪失した手首

目の前に向けられた掌

あまりにも無感情で冷たい瞳

ポタリ ポタリ

焼ける  焼ける  焼ける  あたしという存在が焼けていく











                          ジョリーン












★  ☆  ★



地平線へとほとんど沈み、頭頂しか見えなくなった太陽を見つめながらエシディシは溜息をついた。
あまりにも見苦しすぎる化け物の最期。
途中までは健闘したと彼も認めている。
潜り込んでいた人間の頭を吹き飛ばし、肉体を完膚なきまでに破壊した。
経過だけを見れば素晴らしいものであった。
それだからこそあの終わり方には納得がいっていない。

「あの人間、ティッツアーノは力なくとも最後まで抵抗したのだがな」

心底つまらなさそうに呟く。
やけくその一撃はイエロー・テンパランスによって阻まれ、その後は焦るだけ。
期待外れすぎる結果に彼の満足感は全くもって満たされない。
ストレスにアスファルトを踏みぬいた。
破片が飛び散り、彼の右足が地面へと埋まる。
それを勢いよく引き抜きながら溜息をもう一つ。

「やはり人間でなくてはいけないのか。俺を成長させてくれるのは人間だけしか……」

もうすぐ日が沈む。
もうすぐ柱の男の世界がやってくる。
エシディシは被っているイエロー・パランスを蠢かせた。
願わくば己を楽しませる人間が現れることを、
願わくば己を打ち倒すほどの力を持ち自分をさらなる高みへと引き上げてくれる人間に出会うことを。

彼は歩きだす、方向など適当に。
ポルナレフの約束などどうでもいい、彼は自分の進みたい場所へと向かっていくだけだ。



【F-3/1日目 夕方】
【エシディシ】
[時間軸]:JC9巻、ジョセフの“糸の結界”を切断した瞬間
[状態]:人間の強さを認めた
[装備]:『イエローテンパランス』のスタンドDISC
[道具]:支給品一式×2、『ジョースター家とそのルーツ』リスト(JOJO3部~6部コミックスの最初に載ってるあれ)
    不明支給品0~2(確認済み)、岸辺露伴のサイン、少年ジャンプ(ピンクダークの少年、巻頭カラー)、ブラックモアの傘
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いに優勝し、全生物の頂点にッ!
1.南で参加者を殺して回る
2.億泰には感謝せねばなるまい。
3.常識は捨てる必要があると認識
4.ドナテロ・ヴェルサスを殺す際にメッセージを伝える。ヴェルサスの『進化』(真価)に期待
[備考]
※時代を越えて参加者が集められていると考えています。
※スタンドが誰にでも見えると言う制限に気付きました 。彼らはその制限の秘密が首輪か会場そのものにあると推測しています
※『ジョースター家とそのルーツ』リストには顔写真は載ってません。
※『イエローテンパランス』の変装能力で他者の顔を模することができます
※頭部を強打されればDISCが外れるかもしれません。
※この後どこに向かうかは次の書き手にお任せします。
※イエローテンパランスはまだ完全にコントロールできてません。また具体的な疲労度などは後続の書き手さまにお任せします。











怪物の去ったあとに残されたのは飛び散った二人の男たちの肉片。
あまりにも凄惨な現場は訪れた者たちに激戦を想像させる。

風が吹き抜け、プランクトンの焼けカスを拡散させていく。

風は吹き抜け、衣服の欠片を何処かへと飛ばしていく。

風は吹き抜け、胴体と離された頭の髪を揺らす。

風は吹き抜け、生首だけの存在となった青年の口から漏れた声を運ぶ。

「何なんだろうなあたしは。
 ジョリーンと会ったときから決意で変えたはずの口調は元通りになっちまうわ、
 エシディシにぼろ負けするわで本当にどうしようもない」

たまたまティッツアーノの体にフー・ファイターズが付着していたから、エシディシがそのことを確認しなかったから生き残れた。
本人すらも意識していなかったことだが、そのことが逆によかったのかもしれない。
演技でない絶望を読み取ったからこそ念入りな止めを刺さずに去っていったのだろうから。
しかし、それは本当に良いことだったのだろうか?
心も体もバラバラに引き裂かれ、生首としてみじめに生き続ける。
この境遇がたまらなく悔しく、無力感と虚無感が絶えず襲いかかってきた。

「とりあえず……水を探さないとな」

風は吹き抜け、彼女の独り言をかき消していった。

吹き抜ける風が遺した遺産が付近にあることに彼女はまだ気が付いていない。



【F-3/1日目 夕方】


【F・F】
[スタンド]:『フー・ファイターズ』
[時間軸]:DアンG抹殺後
[状態]:身体ダメージ(大)精神状態不安定(極大) 生首状態
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×2(ペットボトル一本消費)、壊れた懐中電灯、加湿器、メローネのマスク、カップラーメン、携帯電話
[思考・状況]:
基本行動方針: 空条徐倫を生存させるために彼女を優勝させる
1.湿地帯へ向かい、ケジメをつける
2.ブチャラティチームとプッチの一味は敵と判断
3.ブチャラティ一行を始末できなかった事を後悔
4.余裕が出来たら自分の能力(制限)を把握しておきたい
5. もしも荒木が倒せるならば対主催に益がある方法で死ぬ
6.無力感と虚無感で打ちひしがれている
[備考]
※リゾットの能力を物質の透明化だと思いこんでいます
※リゾットの知るブチャラティチームの情報を聞きましたが、暗殺チームの仲間の話は聞いてません
※ジョルノに対してはある程度の信頼を寄せるようになりました。出会ったら……?
※ダービーとアレッシーの生前の記憶を見たので三部勢(少なくとも承太郎一派、九栄神、DIO、ヴァニラ、ケニーG)の情報は把握しました。
※エシディシは血液の温度を上昇させることができ、若返らず、太陽光に弱く、スタンドを使えると認識しました。 (太陽光が致命傷になることも把握)
※リゾットから聞いたブチャラティチームのスタンド能力についての情報は事実だと確信しました(ジョルノの情報はアレッシーの記憶よりこちらを優先)
※自分の能力について制限がある事に気がつきました。
ディアボロの能力を『瞬間移動』と認識しています。
※参加者の時間のズレを何となく理解しました。
※アナスイが、脱出は不可能だと知ったときに殺し合いに乗りうるという事を把握しました。
※ティッツアーノとダービーのものであった肉片がF-3に散らばっています
※ダービーの肉体は大半が焼失しました
※ティッツアーノの生首の中で生存しています











メンドクサイことになったなぁ。
ダービーの時は一応首輪が付いてるからいいやって思ったんだけどね。
流石に首輪が存在してない参加者に取り付いたって状況はどうにかならないかな?
胴体もゲットしたら再び取り付けようか、それともこのまま放っておくか。
彼女の場合は普通の首輪じゃいたちごっこになるから、またつけるならちょっと細工しないといけないかな。
僕としてはどっちでも構わないんだけどね。
彼女は優秀なコマとしてゲームを盛り上げてくれてるし、チョットくらいのご褒美をあげてもいいかなぁって気もするしなぁ。
う~ん。


ま、放送がもうすぐあるしそれが終わってから考えるか。


今回も何らかの演出でも入れてみようかな?
とりあえず水でも飲んで落ち着くとしよう。
あ~相変わらずこの瞬間は緊張するんだよね。




【荒木飛呂彦】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:日記、ダービーズチケット、???
[思考・状況]
基本行動方針:運命そのものになって、それに抗う人々を見る。
0.僕は皆の運命になりたい。
1.さすがだ、ジョルノ君。
2.ダービーのことは出来る限り守る。楽しみが減るから。
3.次にダービーに勝った参加者には、自分と勝負する権利を与えてやっても良い。


※チケットは荒木が持っています。忘れるかもしれませんが、気が向いたら他の参加者に渡してもいいと考えています。




投下順で読む


時系列順で読む


キャラを追って読む

170:空条徐倫の仲間、そして友 F・F 183:89人目
169:アイ・コール・ユア・ネーム エシディシ 180:Close to you ― 遥かなる『夢』を掲げて
171:Danse Macabre 荒木飛呂彦 177:第三回放送

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最終更新:2010年07月26日 22:10