(チッ、あいつ遅すぎるぜ……)

D-4、ナヴォーナ広場近くの路地にて。
眠りに入ったパンナコッタ・フーゴの傍らでイギーはいらついていた。

事の発端はサン・ジョルジョ・マジョーレ教会の突然の崩落であった。
当然、イギー達はその様子をしっかり確認しており、彼の用心棒たるシーザー・アントニオ・ツェペリはすぐにでも様子を見に行きたいようだったのだが……
同時に発生した轟音にイギーと睨み合っていたシルバー・バレットが驚いてしまい、落ち着かせるのを手間取る間に第三放送が始まってしまった。
その後ようやく出発可能となったシーザーがイギーに後を任せ、馬で駆けて行ってから数十分。
シーザーは未だ戻ってきていない。

(どいつもこいつも、なんで危険なところに行きたがるんだか……)

出発間際にシーザーが言っていたことを思い返す。

『あんなことが出来そうなやつの心当たりは、おれの「宿敵」しか思い浮かばない……
 そいつらがいそうなところへ、フーゴやお前を連れてはいけない……!』

こんな状態のフーゴ(と自分)を置いていくのかと鳴き声で抗議はしたものの、彼の答えは変わらなかった。

『波紋はおれでなく、フーゴ自身の呼吸が傷を治すんだ……おれが今やるべきなのは、ここでじっと見てる事じゃない……
 フーゴを頼んだぞ、イギー』

そう言い残して走り出した彼らを、イギーは止めることが出来なかった。
教会へ近づく気などないうえに不本意ながらフーゴのことを頼まれた以上、後を追うような真似はしない。
また、付き合いこそ短いもののシーザーがそのまま逃げるような男ではないと理解していたために黙って待っていたのである。
だがいくら信用しているとはいえ、待たされ続けるのは不満だった。

(こいつはこいつでグースカ寝やがって………ったく、せっかくジョルノがDIOの野郎を倒してくれたってのに………)

見たわけではないが、放送の内容と教会の崩落………つまりは、そういうことなのだろうとイギーは思っていた。
今のところフーゴの様子に変化はないが、それがいつまで続くか。
新たな誰かがいないかと周辺の捜索はしつくした以上、やることは―――

(そういや、こいつがあったな……全く重てえな、何が入ってんだァ?
 いい加減うざったいし、てきとーに見ていらないもんは捨てちまうか)

実際にはほとんど重さなど感じないのだが、一度意識してしまうとどうにも気になる自身のデイパックを見やる。
開始から実に二十時間近く経つにもかかわらず、開けてすらいないそれにイギーはようやく手を付け始めた。
前足で……は開けられないため、変幻自在の『愚者』で器用に開けて中身を調べていく。


食料―――食いだめしておく

水―――入れ物が開けられねーからいらない

懐中電灯―――いらない

地図―――どこだかわからねーからいらない

鉛筆と紙―――犬のおれによこすな!

磁石―――いらない

時計―――上に同じ


一通り眺めていらないものはデイパックに入れっぱなしにし、残るは―――

(あとは――この妙な紙、鉄のにおいがしやがる……
 ひょっとしたら危ねーもんかもしれねーし、ちょっとだけ離れるか)

未知の中身を警戒したイギーはフーゴに影響が出ないよういったんその場を離れることにした。
シーザーがしっかりと止血処理を施していったため、もうスタンドの射程距離を気にする必要はない。
紙を口に咥えると別の路地へと移動し………

(ああ、ここか………そういや花京院のやつも呼ばれちまったんだっけ………
 ここはなんか嫌だな………もうちょい先に行くか)

そこに横たわる男―――殺し合いの最初も最初、花京院が殺害した男の死体を見つける。
普段のイギーなら「死体の傍で何かしたくない」としか思わないのだが、今は―――ほんのちょっぴり、花京院のことも思い出した。
もう一本隣の路地へと入ると地面に紙を置き、『愚者』を使って開けていく。

―――このとき、イギーの警戒は正しかった。
だが、いくら警戒していたとしても……

バシュッ!!

(…………なッ!!?)


警戒だけでは回避できない、予想外のことは起こり得る―――!




#

その頃、当のシーザーは瓦礫の山と化したサン・ジョルジョ・マジョーレ教会跡を探索していた。
今の彼はひとり―――『敵』に悟られぬよう、乗ってきたシルバー・バレットは教会跡からやや距離がある地点に残してきたため。
慎重に人の気配を探りつつ、地上の瓦礫をかき分け、空いた大穴から地下へと飛び降りて誰かいないか探していく。

(倒壊はワムウあたりの仕業じゃないかと踏んでいたが……どちらにせよ『また』遅すぎたか……くそっ)

だが……必死の捜索にもかかわらず、生きている参加者は一人も見つからなかった。
人の痕跡といえば死体や肉片、ちぎれた腕が散らばるだけ―――しかも見つけた死体には全て両腕が付いているのがなんとも嫌な感じである。
彼が唯一推測できたのは落ちている道具の少なさから、「おそらく生き残りがいて、何処かに去った」ということのみだった。

(不気味だぜ………死体だらけなのもそうだが、あれだけ派手に崩れ落ちたにもかかわらず
 おれ以外に様子を見に来るやつがひとりもいねえっていうのは………)

しばらくしてシーザーはこれ以上の探索は無駄と判断し、いったん引き返すことにした。
何も得られなかったものの、気を落としてはいられない。
思ったよりも時間を食ってしまったし、フーゴは無事なのかという懸念も拭い去れなかった。

(結局、成果はなし………マンマミヤー、おれってツキに見放されてるのか?)

心の中で自虐するが、ハッキリ言ってしまえばその通りである。
どこかですれ違ったのか……それとも、今まさにこの時傍にいたのに気付けなかったのか。
シーザー自身や彼を待つフーゴにイギー、彼らが最も会いたいと望む男たちが近くにいたにもかかわらず、接触できなかったのだから。

「待たせたな、シルバー・バレット。それじゃあ戻るとするか………………ん?」

再び馬に跨り、来た道を急ぎ戻る………が、進む先に妙な違和感を覚える。
すぐにシーザーは自分が知る、出発時の風景には無かったはずのそれを視界に捉えた。

「……なんだぁ~? あの……『鉄塔』は?」

そびえ立つは巨大な鉄塔……狭い路地を中心として、根本は周囲の建物に突き刺さっている部分もある。
会場内で風景にそぐわない建造物はいくつかあったが、一応敷地内に収まっていたそれらとは根本的に違う……
いうならば、後から無理やり付け足したのが見え見えの不自然な光景だった。

「あんなでかいのをおれが見落としていたとは思えん……
 まさか……シルバー・バレット、悪いがまた少し待っていてもらうぞ」

『敵』の襲撃か何かか……その可能性も視野に入れて行動を決める。
ひとまずシルバー・バレットから降り、自分だけで用心しながら鉄塔へと近づいていく。

(フーゴ、イギー、無事でいてくれよ………形兆も、じいさんも、ヴァニラも、DIOでさえも放送で呼ばれた………
 おれがここへ連れてこられてから知り合ったやつらは、もうおまえらしか残ってないんだ…………ん?)

そして鉄塔のすぐ下が見える位置まで来た時、シーザーの目に飛び込んできたのは……

「……イギー?」

そこにいたのはまぎれもなくイギーだった。
その体に外傷などはなく、顔も苦悶の表情とは真逆でむしろくつろいでいるように見える。
シーザーにしてみれば正直、心配して損をしたと思えるほどの無事具合だった。
さらにイギーのすぐ近くに開かれた紙があるのを見て、なんとなくこの状況に予想をつける。

「支給品の紙を開けたら出てきたってとこか……
 随分とバカでかいうえに斬新な形の犬小屋だが、偉そうにふんぞり返ってる暇はないだろう?」

一応周囲には他に誰もいないことを確認しつつ、シーザーはイギーを抱え上げてでも移動させるべく鉄塔の中へと足を踏み入れようとした―――

「ガルルルルッ!!!」

―――瞬間、イギーが激しく吠え始めた。

「うおっ、なんだ? 自分の縄張りに入るなってか? 何度も言わせるな、今はこんなことしてる場合じゃ無いんだよ」
(そうじゃあねえッ! いや入るなってのは正しいんだけどよッ!!)

なおも近づかんとするシーザーに対し、イギーはついにスタンドを発現した。
イギーのすぐ前にて戦闘も辞さないといわんばかりの『愚者』を見てさすがにシーザーも足を止め、鉄塔の直前で座り込む。

「なんだぁ~~? そんなにそこが気に入ったってのか?
 わかったわかった、なら無理強いはしねえ―――」
(………………よし)

シーザーが折れたことにイギーは一瞬胸をなでおろす―――が、件の鉄塔の持ち主はこんなことを言っている。
「人は『入れ!』と言うと用心して入らない、『入るな』と言うとムキになって『入ってくる』」………と。


「―――っていうとでも思ったか、このワン公ッ!!
 てめーは「努力」や「ガンバル」って言葉が嫌いなどっかのバカかッ!!」

シーザーは座ったままの姿勢、膝の力だけで跳躍し一気に『愚者』を飛び越えてイギーへと迫るッ!
彼もイギーが悪い犬でないことは理解しているが、同時にそのふてぶてしさも十分に把握していたッ!
今彼らがいるのは命がけの殺し合いの中………それゆえに、役目は果たしたとばかりに何もする気のない犬を叩いてわからせてやる位はするつもりだった!
一方、不意を突かれたイギーは慌ててスタンドでシーザーの体を弾き飛ばそうとしたが、届かないッ!

(なっ……来るんじゃねえ! バカはおめーの方だッ!!)

その叫びも言葉の壁に阻まれ、シーザーはあっさりと鉄塔内へと入ってしまう。
近づいたら隙を見て噛みついてくるぐらいは予測していたシーザーだったが、意外にもイギーはおとなしかった。
半ば諦めたような表情へと変わった彼の体と近くに落ちていたもう一枚の紙を掴みあげ、そのまま鉄塔の外へと出ようとした瞬間……


                      ド  ガ  ン  !


外へと踏み出したその足が、金属へと変わっていった―――!

「……こ、これはッ!!?」
(……ほれみろ、いわんこっちゃねえ)

反射的にバックステップを行い鉄塔の真下へと戻り、慌てて見直すも既に足は元に戻っていた。
ついでに、自らの手元から明らかにため息を吐く音まで聞こえてくる。

「……今のは、まさか」

おそるおそる鉄塔の外へと体を差し出してみる。
途中までは何ともなかったのだが、体の前半分……具体的には掴みあげたイギーの全身が外へ出たあたりで、またしてもシーザーの体が金属に変化し始めた。

「グッ、やはり……こいつは『罠』だったのかッ!!」
(だから警告しただろマヌケッ! おまえまで中に入っちまって、どうすんだよッ!?)

『スーパーフライ』………元の世界ではその名で呼ばれるスタンドは、この会場において鉄塔だけという形で支給品されていた。
使いようによっては邪魔な人物を閉じ込めたりできるのかもしれないが……今の彼らにとっては罠以外の何物でもなかった―――!

「だが、罠にしてはお粗末だぜ―――なにしろ、原因がはっきりしすぎてるんだからなあ―――ッ!!」

再び下がったシーザーはどうしたかというと―――イギーを地面に降ろすと同時に、鉄塔の柱へと蹴りを繰り出したッ!
罠の正体は確実にこの鉄塔なのだから、破壊してしまえばそれまでという極めてシンプルな思考でッ!

(おいバカやめろッ!!!)

だが、彼は失念していた―――まったく同じ立場になったイギーが、それをやらなかったはずがないということを。


                     ド グ シ ャ ア ッ !


さすがに粉砕とまではいかないが、鉄塔の柱の一部が僅かに歪む。
このまま攻撃を加え続ければ近いうちに破壊可能………シーザーがニヤリとしたその瞬間、妙な音が辺りに響き始めた。
―――なにかがうねるような音が。


                    ウォンウォンウォンウォン………


「………なんだ、この音は」
(あーあ、やっちまった。おれしーらね)

正体はわからないが、いい予感は全くしなかった。
柱への攻撃を中止し、注意深く周りを見回す。


                    ゴオンゴオンゴオンゴオン………


音はだんだん大きくなっていき………瞬間。


                 ゴオンゴオン………ド グ シ ャ ア ッ !


「う、うおおおおおおッ!!!?」

なんと先ほどシーザーが蹴りつけたところから、「脚」が「蹴り」を繰り出して来たッ!!

「こ、これはッ! この『脚』はおれのだッ!!
 なぜかはわからんが、おれの脚が蹴り返してきやがったッ!!」

咄嗟にガードするも、手加減なしで蹴った一撃は止まりきらないッ!
シーザーは後ろに飛んで衝撃を逃がすも完全には殺しきれず、固い地面に尻もちをついたッ!
とはいえこれしきではへこたれず、すぐさま立ち上がって服についた汚れを払い、鉄塔を見上げ悪態をつく。

「クソッ、おれの攻撃を反射するとはッ! まるで波紋以外をはね返す地獄昇柱(ヘルクライム・ピラー)のようッ!
 しかも波紋は対生物能力……物理的な破壊は得意としていないゆえ素手だけで壊しきるにはどうしても時間がかかるッ!
 こいつは厄介だぜ……よく考えろ……地獄昇柱は波紋を好み、頂上が出口……この鉄塔は何を好み、どこが出口―――ん?」
(………………あれ?)

シーザーは言葉途中で予想外の現状に気が付き、思わず足元を確かめる。
先ほどのエネルギー反射を必死で防いだ結果、今自分が立っていたのは………鉄塔の『外』だったッ!

「お……おれはなにをどうやったんだッ!?
 すでにッ! 外へと出ているッ!
 喜ぶべきではあるが、自分自身でもわからん………」

少々混乱しながら全身を確認するも、先ほどのように金属化している部分は存在しない。
鉄塔へ視線を戻すとイギーが外に出ようとして金属化しかけ、慌てて戻るところだった。

「本当にどういうことだ………? 咄嗟の行動だったから罠が認識できなかった………?
 いや、これだけ大掛かりな罠がそんなスカスカなわけがない……とすると?
 よし……イギー! ちょっとそこを動くなよッ!!」

先ほどイギーを連れて出ようとした時の体勢を思い出し、数歩下がると鉄塔に向かって走るッ!
直前で地を蹴り、鉄塔内へと跳躍ッ! さらに勢いは止まらず、大して広くもない鉄塔内を素通りしそのまま逆側へと出るッ!
この間、シーザーの体が金属化するような様子は全くなかったッ!!
やや後先を考えない行動だったが、罠を承知で飛び込んでいくのが彼の持ち味―――そうして道を切り開いてきたのだからッ!
そして、その行動でシーザーは真相を理解したッ!!

「なるほど……いまのようにおれが出入り自由ということは……わかったぜ……!
 この罠が閉じ込めておけるのは『ひとりだけ』ってことだッ!」

その言葉で呆気にとられていたイギーも気が付く。
先ほど二人で出ようとした時も金属化しかけていたのはシーザーだけだったということに。

「だが……裏を返せば必ずひとりは残らねばならんということだ……さて、どうするか」
(おい、誰でもいいから連れてきて、さっさとおれを外に出られるようにしやがれッ!)

罠の特性は理解できたものの、それだけで解決とするには早かった。
シーザーは三度鉄塔を見上げ、考え込む。

(おれやイギーは論外、フーゴは……この罠の特性からするとある意味安全かもしれんが、ひとりだけで置いていくわけには……
 いや待てよ? シルバー・バレットなら………悪くはないが、時間がないのに移動手段を失うのはまずいかもしれん……)

もともとフーゴの護衛に手を取られているうえに、ここにきてさらなる戦力の減少はかなりの痛手となる。
どうにか最善手を模索するシーザーの脳裏に浮かぶのは、こうしたピンチを自分では想像もつかないような方法で切り抜けてきた男の顔。

(正直、こういうのはJOJOの方が圧倒的に得手なのは事実だが……
 このシーザー、普段からJOJOに「よく考えろ」といっている以上、解決できませんと音を上げるわけにはいかん……!
 考えろ、もしあいつなら………ん? 待てよ? JOJOなら―――?)

唐突に思考がクリアになる。
まるで頭の回転が速い親友がその頭脳を分け与えてくれたかのように、シーザーは解決法を思いついた。

「ひらめいたぜ………! ちょっと待ってろよイギー!
 すぐ出してやるからなッ!!」
(てめーッ、またおれを待たせるのかっ!!)

イギーを尻目にシーザーは何処かへと走り去り―――しばらくして戻ってきた。
彼の傍らにはシルバー・バレットの姿も見える。

(ああなるほど、その馬を居残らせれば万事解決―――ってオイッ!?)

イギーにとっては予想外なことに……シーザーは馬を制止させるとためらいなく自分だけ鉄塔内へ入る。
それを見て不安を覚え、さっさと代わりに脱出したイギーは振り返り………鉄塔内のシーザーがなにやら白いものを持っているのを確認した。

白いものの正体―――サヴェジ・ガーデンと呼ばれるその鳩は参加者に名簿を届けた後も会場内に残っていた。
誰かに捕まったり休んでいたりと行動は様々だが、シーザーは教会へ赴く途中にそんな鳩の一羽を見かけており、犬でいいなら鳩でもいいだろうと波紋で眠らせ連れてきたのだ。
小動物に無慈悲ではと思うかもしれないが、少なくともシーザー自身は、鳩は主催者側の用意した存在との認識ゆえに罪悪感はなかった。

(……鳩? ああ、そんなのいたな。けど、そんなんで大丈夫なのか?)


―――あえてイギーの疑問について考えてみるならば。
まず、鉄塔が中に誰かを閉じ込めるのは自らが存在するためのエネルギーが必要だからである。
鉄塔がほしいのは『たったひとりだけ』―――すなわち、必要な量は『人間ひとり分』。
イギーは犬だが、彼はスタンド使いということを踏まえると例外としてよいだろう。

さらに、元の本体である鋼田一という男は鉄塔内で自給自足をしており、ウサギやスズメを捕まえて食料にもしていた。
毎日毎日外へ出る事を考えていた彼が、それらの動物を居残りとして使えないか試さなかったと思うだろうか?
そう考えると、シーザーの鳩だけを鉄塔内に残すという案は―――

「………よし、出られるッ! これで無事脱出完了ってことだぜッ!」
(ふーん、ほんとに脱出しやがった)

―――うまくいってしまった。
一部の支給品のように、鉄塔の能力もまた本来のそれとは微妙に異なっていたのだろうか?
それとも、シーザーが置いた鳩が特別だったとでもいうのだろうか?
理由は不明だが、『スーパーフライ』の元の特性を知らない彼らにはそんな疑問が湧き上がる事自体無かった。
鳩を鉄塔下に置いたシーザーは悠々と外に出てくると、去り際に鉄塔へと向き直り言い放つ。

「じゃあな、最後にいい言葉を贈るぜ……おまえは『ハトにしか勝てねえのさ』!」
「………………」
(何言ってんだコイツ)

物言わぬ鉄塔に切る啖呵が決まっていたかどうかはともかく、彼らはその場を後にする。
こうして、多少時間を食ったものの大きな被害もなく鉄塔を攻略したシーザーたちはフーゴの待つ路地へと戻ることに成功した―――







                        ―――はずだった。


「………………あっ………!?」
「………!?」




                       問題はただ一つ………








             そこで眠っていたはずのフーゴの姿が、影も形もなかったこと―――!!



【D-3 路地 / 1日目 夜】

【シーザー・アントニオ・ツェペリ】
[能力]:『波紋法』
[時間軸]:サン・モリッツ廃ホテル突入前、ジョセフと喧嘩別れした直後
[状態]:胸に銃創二発(ほぼ回復済み)
[装備]:トニオさんの石鹸、メリケンサック、シルバー・バレット
[道具]:基本支給品一式、モデルガン、コーヒーガム(1枚消費)、ダイナマイト6本
   ミスタの記憶DISC、クリーム・スターターのスタンドDISC、ホット・パンツの記憶DISC、イギーの不明支給品1
[思考・状況]
基本行動方針:主催者、柱の男、吸血鬼の打倒。
1.フーゴ、どこに………?
2.フーゴに助かってほしい
3.ジョセフ、シュトロハイムを探し柱の男を倒す。


※DISCの使い方を理解しました。スタンドDISCと記憶DISCの違いはまだ知りません。
※フーゴの言う『ジョジョ』をジョセフの事だと誤解しています。



【イギー】
[スタンド]:『ザ・フール』
[時間軸]:JC23巻 ダービー戦前
[状態]:疲労(小)
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:ここから脱出する。
1.あいつ(フーゴ)、どこ行きやがった!?
2.コーヒーガム(シーザー)と行動、穴だらけ(フーゴ)、フーゴの仲間と合流したい
3.煙突(ジョルノ)が気に喰わないけど、DIOを倒したのでちょっと見直した

※不明支給品のうち一つは『スーパーフライの鉄塔』でした。
※デイパックと中身の基本支給品(食料無し)は鉄塔付近に放置してきました。









#

………時をほぼ同じくして。
吉良吉影はバイクに跨り、後ろに乗せた宮本輝之輔と共にD-5を目指していた。
彼らの間には妙な空気が漂うと共に沈黙が続いており………吉良からしてみれば、聞きたいことがあるのに口を開けないもどかしい状況だった。

「………………」
「………………」

何故このようなことになっているのかというと、話は彼らの出発前まで遡る。

『生きたまま、参加者の首輪を破壊してみる……だと?』
『ああ、確かそんなことを言ってた………とりあえず、地下にいる誰かを探すとも』
『………つまり、行先はわからないということか』

―――カーズに会うべく先ほど出会った場所へ戻る提案をした吉良だったが、さらに詳しく宮本の話を聞いてみればカーズがそこに戻る理由は無い。
さらにマズいのは禁止エリアがわからないこと。
A-6とA-7の境目地下は禁止エリアによる行き止まりでしかも一本道。
自分たちがそこにいる間にA-5かA-6のどちらかが新たな禁止エリアになってしまえばそれこそ脱出手段がなくなる。
他の参加者もわざわざ行き止まりに向かうとは思えない以上、行くのが無駄なのは明白だった。

そうなると吉良には第二案、参加者を引き連れ第四放送時に会場の中央へ赴く方法が自然と浮かぶ。
そのために………無論、真意は隠しつつだがなるべく他の参加者に接触する必要があると主張し、同行者ができたからか宮本もそれに賛成した。

では、どこへ向かうのか。
得てしてこういったときに出る結論は「まだ行ったことのない所へ行く」という類のものであり、この場合もそれを外れはしなかった。
そしてどちらから来たのか尋ねられた吉良は、主催者にワープさせられたという真実が言えるはずもなく……宮本の逆、つまり南にあるGDS刑務所の方から来たと答えたのだ。
理由はともかく、この選択は少なくとも『最悪』ではなかったといえる―――そちらに進んでいれば刑務所にて、徒党を組んだ『敵』たちと遭遇していたかもしれないのだから。

『残るルートは東側か………既にカーズが待っているかもしれないし、一度会場の中央を確認しがてら、参加者を探すというのは?』
『………………まあ、それが無難なところだろう』

吉良としては近くにある空承邸に思うところがなくはないが、証拠隠滅は万全なはずだし、後々のことを考えるとどのみち近くまでは行かなければならない。
なにより邸内で会った者は全員間違いなく先の放送で呼ばれたのだし、ならば断る方が不自然………という理由から宮本の提案に承諾の結論を出した。
最後に、派手に崩落した―――すなわち、まだ危険そうな教会跡には近づきたくないという意見が一致し、細かい道筋を決めてバイクに跨り出発した。
嘘か誠かDIOの館は宮本が既に調べたと言うためスルーし、彼らはC-3とC-4の境目にある橋から南下し見つけたのだ―――路地にて眠る少年を。

少年―――フーゴがひとりになったのはイギーが紙を開けるため離れてからシーザーの協力で鉄塔から脱出する間、せいぜい三十分足らず。
よりにもよってその間に吉良たちが来てしまったのである―――!
彼らも鉄塔自体は見えていたものの、会場には元々歪な建造物が存在するゆえ気にも留めていなかったのだ。

(彼は………教会前で、犬と一緒に怪物どもに襲われていた少年か。
 まさか生き残っていたとはね………だが、この有様では同じことか)

未だ眠りから覚めず、うわごとでジョジョ……と呟く重傷を負った少年。
吉良が冷静に状況を分析し、おそらく助からないだろうから放っておくか、いっそ楽にしてやろうかと提案―――しようとしたところで宮本の方が動いた。
眠る少年の耳元へ顔を近づけるとなにかを囁き………次の瞬間、少年の様子が急変する。

「う……、うう………!」

元々あまり良いとは言えぬ顔色はさらに蒼白となり、体全体は痙攣しはじめ、閉じられた口の奥からはかたかたと歯の鳴る音が漏れ出る。
しかし吉良が驚いたのはそこではなく………宮本のスタンドが現れて少年の体を紙に包み、収納していく様子だった。
やがて、作業を終えた宮本は紙を拾い上げると人間一人が収まっているとは思えないほど小さく折りたたみ、懐へとしまう。

「………それが、君の能力か」
「………行こう」

一言づつの会話を交わすと、宮本は別の紙を取り出してなにやら文字を書き込み……少年がいた位置へと置く。
二人はそのままバイクへと跨り東へと向かった………あまりにも淡々と―――




(人間を紙にしてしまえるとは………いまのところわたしは『安全』なようだが………
 はて、しかしこの能力はまさか………)

―――こうして、妙な空気が出来上がったというわけである。
速すぎる展開に僅かながら面食らった吉良であったが、いつまでも黙ったままではいられない。

「さっきは彼を―――」

どうやって紙にしたのか、と聞こうとして思いとどまる。
能力を知られることは弱点を知られることにも繋がる………これまでの戦いで嫌というほどそれを実感していた。
方法を知りたいのは確かだが、相手が喋る気ならとっくに喋っているだろう。
秘密なのはお互いさま―――なので、質問を不自然にならないよう変えて続ける。

「―――勝手に連れてきてよかったのかね」
「……治療跡からして同行者はいたんだろうが、普通あんな状態の仲間をひとりで放置していくとは思えない。
 理由があるとすれば、まず間違いなく崩れた教会の様子を見に行ったんだろう。
 最悪、その同行者はそこで戦闘に巻き込まれて死亡している可能性もある……
 待つのは時間の無駄かもしれないなら、動いていた方が効率がいい」

時間の無駄―――おそらくは心臓にある毒薬のことだろう。
そこまで切羽詰まるものかと他人事に呆れつつも、まだ聞きたいことはあった。

「置いてきた紙には何と?」
「カーズの伝言……ああは言ったが、同行者が戻って来る可能性は一応あるからな」
(同行者ね………教会前で少年と一緒に犬がいたが、まさか犬があの応急処置をしたわけではあるまい。
 それよりも気になるのは、彼が生き延びたということだ………もし、あの怪物どもを倒したのだとしたら)

それだけのスタンド、あるいは身体能力を持っているとでもいうのか。
少年がどんなスタンスかはわからないが、そこのところはどう考えているのだろうかと次の質問を行う。

「ふむ……ところで、彼が危険人物だったらどうする?」
「問題ない……ぼくの能力『エニグマ』でこうして紙にしてしまえば、中からは脱出不可能だ。
 いざというときも、あれだけ死にかけているのならなんとかなる」
(まあ、完全に無抵抗だったからな……だが、用心しておかねば手痛い反撃を受けるかもしれん)

出会った頃の怯えた態度はどこへやら、不自然なほど落ち着いている宮本を訝しがりつつも『首輪』がある以上大きな心配はしていなかった。
最後の質問―――本題へと移る。

「……で、彼を紙にして一体全体何をするつもりなのかな?」
「どうとでもできる……『人質』とか『実験台』とか、万が一彼の同行者や知り合いと遭遇した際に信用させるための『手札』にもなるさ。
 紙になっている限り、彼が死ぬこともないから」
(『実験台』―――ね。ふむ、さすがにこいつでも『あの』カーズを手放しで信用はしていないか……
 つまり、これでカーズがこいつの首輪に触れるまで一人分の猶予ができてしまった、というわけだ)

誰かがやぶけば別だがね―――と付け加えられ、思考を切り替えると吉良は運転に集中しなおす。
このとき、聞き終えた吉良に微かな表情の変化が現れていたことに宮本は気付くことができなかった。

「さて、そろそろエリアが変わるが……また減速した方がいいかね?」
「ああ――――――よし、問題ない。いけるぞ」

D-4とD-5の境目に到着し、先が禁止エリアでないことを確かめてから侵入した彼らは数分後、空条邸とトレビの泉の中間にいた。
この場所こそカーズが指定した会場の中心―――地図上、という意味でだが。

「ここが会場の中央だが………どうやらカーズはまだ来ていないようだね?」
「………さすがに早過ぎたか……それにしても、ひどいな………
 もし知ってて選んだのだとしたら、本当に性格が悪い………」

周りに参加者の姿は見られず………代わりに彼らを迎えたのは『惨状』だった。
だがもし第三者がいたのなら、真に恐ろしく見えたのはそんな周囲を無表情で眺めつつ進む彼らだったかもしれない。

「焼け落ちた空条邸、氷塊に潰された車、血だらけの鳥の死体……さすが中心、参加者が集まる分争いは激しいということか」

自分もその一端を担ったなどとはおくびにも出さず、吉良がひとりごちる。
とはいえ、彼も自分が去って僅か数時間のうちに新たな惨状が追加されていたのは予想外―――その分参加者が減ったので内心喜んではいたのだが。
だが、カーズも他の参加者もいない時点で今のところここに来た意味がないという事実は変わらなかった。

「………わたしたち以外には誰もいないようだが、これからどうする?
 やはりもう少しじっくりと………例えば、DIOの館あたりを調べてくるべきだったのではないかね?」
「さっきも言ったとおり、第三放送前にDIOの館は調べた………生存者はいなかったし、使えそうな道具もなかったよ―――



                       ―――『これ』以外は」


                      「………………………!!」



周囲の様子に眉ひとつ動かさなかった吉良も、さすがにぎょっとする。
あくまでも無表情な宮本が取り出した『それ』―――






                      ―――『拡声器』を目にして。

#

さて、二組の男たちがこれからどうするか……というところでこの話は幕を閉じるわけだが、その前にひとつ―――
『宮本がフーゴを紙にして持って行った真意』は何だろうか?
彼が言った通りの理由で別におかしくはないと思うかもしれないが、それにしては不自然な点がある。
フーゴの持つナイフを取り上げなかったり、吉良に一言の相談も無かったりと。

現在の宮本は半ばヤケクソ状態ではあるものの、考えが全くないわけではない。
カーズと別れて一人で歩く間、宮本は考えた―――後にも先にもこれ以上は無いほど考えた。
彼の思考に直結するのは当然、現在直面している二つの問題―――『カーズをどうにかする』、『死の結婚指輪の解毒も行う』。
「両方」やらなくっちゃあならないっていうのが宮本のつらいとこだった。

まずは前者……柱の男そのもの。
カーズのみならずワムウも含め残るは二人だけということだが、その両方と対峙した宮本が思うところはひとつ。

(首輪を解除してもらうなんて話じゃあない……このままだと『人間』は『皆殺し』にされるッ! あいつは……あいつらは倒さなくちゃあならないんだッ!)

心の中ではカッコいい台詞を吐くも、自分のスタンドや武器でどうこう出来る相手でないというのは身に染みてわかっている。
ならば………情けない話だが、他人にどうにかしてもらうのが一番だ。

(あいつらは人類そのものにとって敵………その存在を知れば戦おうとするやつは、残った参加者の中にだって必ずいる)


そして後者だが………冷静になって考えてみれば、伝言役を果たしたとしてカーズが素直に解毒剤をくれるだろうか?

(決まっている―――渡したりなんて、絶対にしない……)

もし、自分が彼の立場なら「そんな約束などした覚えがない」ととぼけてさっさと始末するか、偽の薬を渡して喜ぶ相手をあざ笑うくらいはやりかねない。
相手も、状況も人間の社会とは根本的に違う……立場が上の者は下に対して何をしようが周囲に裁かれることなどないのだ。
ならば………こちらは自分でどうにかするしかない。

では、それらのために自分は何をすべきか?
前者に関しては参加者に接触し、伝言を伝えている―――ひいては第四放送時にカーズにぶつけようとしている―――のは見ての通りだ。
だが後者に関してはそもそも解毒剤がどんなものなのか、本当に存在するのかすらわからない。
それらの情報を持つカーズが信用できないとなれば………他に知っている誰かに聞くしかないだろう。
さしあたって思いつくのは………

(ワムウ………いや、たぶん無理だ。
 あいつはカーズに『様』を付けて呼んでいたことから、力関係はカーズの方が上。
 カーズが仕掛けた指輪について親切心で教えたり、ましてや外してくれるなんて夢のまた夢だろう……)

少ない脳みそを使ってあれこれ思い悩む必要はない―――当のワムウが言っていたことだったか。
だが、腕力でもスタンドでも到底かなわないとなると武器にできるのはひとつ……頭脳しかない。
彼らが他の誰かと話したり、ふと口にした一言を必死に思い返した結果、一番可能性が高そうなのが………

(八方塞がり………? いや、『いる』―――他に知っていそうな参加者がッ!
 ジョセフ・ジョースター、それにシーザー・アントニオ・ツェペリ………)

ワムウと戦ったという彼らならば死の結婚指輪について知っているかもしれない、というかそれ以外に当てがない。
もう少し言うなら、そのジョセフが元の時代にて自分が始末を命じられたジョセフ―――80歳近い老人と同一人物ならば。
彼はそれだけ長生きした、すなわち柱の男との闘いに生き残ったということになるのではないか?
指輪の情報に加えて彼らをどうやって倒した、あるいは退けたのか聞いてみる価値はある。

(第四放送、カーズと会う前に見つけ出すんだ……二人をッ!
 直接どうにかはできないかもしれないけど、このままよりはずっといい……!)

だが、細心の注意を払わなければならない。
もしどこかからカーズに情報が洩れでもしたら―――彼ならば一旦怪しいと思ったが最後、真偽問わずにすぐ自分を斬り捨てるだろう。
目当ての二人以外には誰にも話せないし聞けないどころか、悟られるわけにもいかないのだ。

(やるのは、ぼくひとりだけ……できるかどうかじゃない、できなきゃ……死ぬんだ―――だったら、やるだけやってやるッ!!)


              ともすれば先は死の崖かもしれないが……それでも、宮本は進むと決めた―――


―――のはいいのだが、実行にあたって問題があった。

(ジョセフ・ジョースターの方はいい……ワムウが仗助や噴上たちを分断する際にはっきり顔を見た……
 向こうがぼくをどう認識しているかはわからないけど、ワムウに脅されていたと言えば会話ぐらいはできるだろう……
 問題はもう一人………シーザー・アントニオ・ツェペリの方だ)

彼の外見を自分は全く知らない。
参加者が時代を超えて集められている以上、これまで聞いた情報も『男』や『ウィル・A・ツェペリの孫』といった間違いようのない事実を除き当てにはできない。
かといって片っ端から参加者に聞いて周っていては命がいくつあっても足りたものではない。
ないない尽くしの現状で、絞り込む条件に選んだのが……『人種』。

(名前からして、外国人なのは間違いない……それにツェペリの孫という事実を加えれば、ヨーロッパ側の人間である可能性が高い。
 つまり探すべきは『欧州の外国人男性』ってことだ―――!)

数時間前、そんな人物を含む二人組を見かけて苦労して会話を盗み聞いたものの、男の名はプロシュート―――残念ながら人違いだった。
伝言を伝えたところ、同行者の方がカーズを知っているようだったのでとりあえず成果はゼロではなかった………と思いたい。

次に出会った男はどう見ても日本人のため対象外。
吉良吉影と名乗ったその男にいろいろ言われて同行することになったが、一目見たときから彼に思うところなどなかったのだ。
今も落ち着きすぎているとか服が綺麗すぎるとか怪しいところはあるが、心底どうでもよかった。
彼はすぐこちらを殺す気は無いようだし、利用したいならすればよい―――ただそれだけ。
自分は自分の『やりたいことをやる』だけだ。

そして、つい数分前の出来事。
路地にて眠る一人の少年を発見、そのうわごとを耳にした……瞬間、体に電撃が走ったかのようだった。
そう、少年は『欧州の外国人男性』で、しかもジョジョ(ワムウがジョセフをそう呼んでいた)を知っている。
すなわち、シーザー・アントニオ・ツェペリの可能性が極めて高かったのだ。
だから、迷わず紙にした―――死にかけている彼の、命を繋ぐために。
恐怖のサインを見つけるのは簡単で、彼にそっと囁きかけるだけでよかった―――「ジョジョは死んだ」と。

(こいつの恐怖のサインは『奥歯が鳴るほど激しく震える』ことだ)

彼が本当にシーザーならどうにかして治療することで、話を聞かせてもらえる程度の恩は売れるだろう。
よしんば違ったとしても吉良に言ったとおり、使い道などいくらでもある。
少なくとも、自分に損なことなど全くない……そう考えていた。

―――その行為が、本物のシーザーを激怒させかねない状況を作り出したとは夢にも思わずに。

死の結婚指輪、爆弾と化した首輪、拡声器、そして誘拐の代償………
自分の想像を遥かに超える速度で死の崖へつっ走っていることに気付いていない宮本は、果たして生き残れるのだろうか………?


【D-5 中央 / 1日目 夜】

【宮本輝之輔】
[スタンド]:『エニグマ』
[時間軸]:仗助に本にされる直前
[状態]:左耳たぶ欠損(止血済)、心臓動脈に死の結婚指輪
[装備]:コルト・パイソン、『爆弾化』した首輪(本人は気付いていない)
[道具]:重ちーのウイスキー、壊れた首輪(SPW)、フーゴの紙、拡声器
[思考・状況]
基本行動方針:柱の男を倒す、自分も生き残る、両方やる
1.柱の男や死の結婚指輪について情報を集める、そのためにジョセフとシーザーを探す
2.1のため、紙にした少年を治療できる方法を探す
3.吉良とともに行動する。なるべく多くの参加者にカーズの伝言を伝える
4.体内にある『死の結婚指輪』をどうにかしたい

※フーゴをシーザーではないかと思っています。
※思考1について本人(ジョセフ、シーザー)以外に話す気は全くありません。
 従って思考1、2について自分から誰かに聞くことはできるだけしないつもりです。
 シーザーについては外見がわからないため『欧州の外国人男性』を見かけたら名前までは調べると決めています。
※第二放送をしっかり聞いていません。覚えているのは152話『新・戦闘潮流』で見た知り合い(ワムウ、仗助、噴上ら)が呼ばれなかったことぐらいです。
 吉良に聞くなど手段はありますが、本人の思考がそこに至っていない状態です。
 第三放送は聞いていました。
※カーズから『第四放送時、会場の中央に来た者は首輪をはずしてやる』という伝言を受けました。
※死の結婚指輪を埋め込まれました。タイムリミットは2日目 黎明頃です。
※夕方(シーザーが出て行ってからルーシーが来るまで)にDIOの館を捜索し、拡声器を入手していました。
 それに伴い、サン・ジョルジョ・マジョーレ教会の倒壊も目撃していました。


【吉良吉影】
[スタンド]:『キラークイーン』
[時間軸]:JC37巻、『吉良吉影は静かに暮らしたい』 その①、サンジェルマンでサンドイッチを買った直後
[状態]:左手首負傷(大・応急手当済)、全身ダメージ(回復)疲労(回復)
[装備]:波紋入りの薔薇、空条貞夫の私服(普段着)
[道具]:基本支給品 バイク(三部/DIO戦で承太郎とポルナレフが乗ったもの) 、川尻しのぶの右手首、
    地下地図、紫外線照射装置、スロー・ダンサー(未開封)、ランダム支給品2~3(しのぶ、吉良・確認済)
[思考・状況]
基本行動方針:優勝する
0.自分の存在を知るものを殺し、優勝を目指す
1.宮本輝之助をカーズと接触させ、カーズ暗殺を計画
2.宮本の行動に協力(するフリを)して参加者と接触、方針1の基盤とする。無論そこで自分の正体を晒す気はない
3.機会があれば吉良邸へ赴き、弓矢を回収したい

※宮本輝之助の首輪を爆弾化しました。『爆弾に触れた相手を消し飛ばす』ものです(166話『悪の教典』でしのぶがなっていた状態と同じです)
※波紋の治療により傷はほとんど治りましたが、溶けた左手首はそのままです。応急処置だけ済ませました。
※吉良が確認したのは168話(Trace)の承太郎達、169話(トリニティ・ブラッド)のトリッシュ達と、教会地下のDIO・ジョルノの戦闘、
 地上でのイギー・ヴァニラ達の戦闘です。具体的に誰を補足しているかは不明です。
※吉良が今後ジョニィに接触するかどうかは未定です。以降の書き手さんにお任せします。
※宮本と細かい情報交換は(どちらも必要性を感じていないため)していません。


【パンナコッタ・フーゴ】
[スタンド]:『パープル・ヘイズ・ディストーション』
[時間軸]:『恥知らずのパープルヘイズ』終了時点
[状態]:紙化、右腕消失、脇腹・左足負傷(波紋で止血済)、大量出血
[装備]:DIOの投げたナイフ1本
[道具]:基本支給品(食料1、水ボトル少し消費)、DIOの投げたナイフ×5、
[思考・状況]
基本行動方針:"ジョジョ"の夢と未来を受け継ぐ。
1.……(思考不能)

※フーゴの容体は深刻です。危篤状態は脱しましたが、いつ急変してもおかしくありません。
 ただし『エニグマ』の能力で紙になっている間は変化しません。
※第三放送を聞き逃しました。


【備考】
  • D-4南西にスーパーフライの鉄塔が建ちました。大きさとしては目立ちますが、カオスローマなので特別おかしくは見えないかも。
 原作通り中に入った誰かひとりだけを閉じ込めます。
 現在サヴェジガーデン一羽が居残っていますが、何故これで居残りが成立しているのかは後の書き手さんにお任せします。
  • D-3の路地、フーゴが眠っていた位置にカーズの伝言(第四放送時、会場の中央に来た者は首輪をはずしてやる。カーズより)が書かれた紙が置かれています。
 シーザーたちはまだ気が付いていません。
  • シルバー・バレットとイギーのケンカは無効勝負となりました。
 状況が落ち着いたらまた始まるかもしれません。


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前話 登場キャラクター 次話
177:君の知らない物語 シーザー・アントニオ・ツェペリ 202:引力
177:君の知らない物語 パンナコッタ・フーゴ 207:どこへ行かれるのですか?
177:君の知らない物語 イギー 202:引力
187:接触 宮本輝之輔 207:どこへ行かれるのですか?
187:接触 吉良吉影 207:どこへ行かれるのですか?

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最終更新:2022年02月13日 01:03