ShadowCorridor2 雨ノ四葩 - ゲーム非公式Wiki
ある男の手記
最終更新:
kagerou2
-
view
ある男の手記

倉津 隆一氏が書いたと思われる手帳のようなアーカイブ 全30枚
ある男の手記1
![]() |
1. 大正9年 倉津 隆一 "雨ノ四葩" 私がその名を初めて聞いたのは11歳の時だった。 実家の縁側で春風にあたりながら、寝たきりの祖父を横目に一人将棋 を差している時のことだった。 突然祖父が口を開いた。 「アマノヨヒラ」へ行きたかったと。 そこで生き別れた妹に一目会いたかったと。 |
ある男の手記2
![]() |
2. そう言うと、祖父はゆっくりと箪笥の引き出しを指差した その中には赤い珊瑚の玉がついた簪(かんざし)が入っていた。 祖父は、もし私が祖父の妹に会うことがあれば、彼女にその簪を渡し てほしいと私に頼むと、それが祖父の最期の言葉となった。 |
ある男の手記3
![]() |
3. 「アマノヨヒラ」 私はどこかにそのような地があるのだろうと思った。 しかし父も母も、学校の先生も、そんな地名は聞いたことがないとい う。 私は日本地図や世界地図を引っ張り出して「アマノヨヒラ」を探した が、いくら細かく探しても見つからなかった。 私はいつの間にか、この謎の虜になっていた。 それは、世の不可思議についていつも祖父に問うていた私への、祖父 からの置き土産であった。 |
ある男の手記4
![]() |
4. それからというもの、私は古今東西のあらゆる書物を読み漁っては 「アマノヨヒラ」を探すことを日課とし、気がつけば年齢は18となって いた。 京都帝国大学へ入学した後も、私の「アマノヨヒラ」への探求心は 益々強まっていた。 3年も経てば、大学図書館の蔵書にもあらかた目を通してしまった が、依然として手がかりは何も掴めずにいた。 |
ある男の手記5
![]() |
5. そんな時、私は何かと理由をつけて東京帝国大学の保存書庫に保管さ れている歴史書の閲覧の許可を取り付け、東京へと向かった。 そして、書を開くとその一節に「雨ノ四葩」の文字を発見した。 私は何度も自分の目を疑った。 遂に、青春の全てを捧げた大いなる謎の尻尾を掴んだのだ。 この時の興奮と衝撃は、生涯忘れぬだろう。 |
ある男の手記6
![]() |
6. 書にはこう記してあった。 "古来、龍に仕えたとされる巫女の末裔。その一族に る内容をここに記す。大いなる渦を納める地、四葩の龍が座す地、そ の地はいつしか雨ノ四葩と呼ばれるようになった。神々は未だ現れず 人々が精霊を恐れ巨石を立てていた時代、龍と巫女は大渦を治めその 地に |
ある男の手記7
![]() |
7. 別の一節にはこうあった。 "巫女の末裔は古くから龍を奉り信仰を保ってきたが、時代と共にそ の進行も "一族は は生贄の首を括って木から吊り下げて、面を着けた巫女が渦のような 舞を踊ったとされるが、詳しい内容は現在にも伝わっていない。" この儀式の生贄がてるてる坊主の発祥だとする説もあったようだ。 |
ある男の手記8
![]() |
8. この書には、「禍津分神 神話」と題した、大渦を治める龍と巫女の物 語の じまいだった。 さらに調査を続けると、この が、どうやら私の家系であることが判明した 祖父の妹は、この血筋ゆえに雨ノ四葩と何らかの接点を持ち、祖父の 元へと帰ることが出来ない事情でもあったのだろうか。 |
禍津分神 神話は花腐しのいずれかのステージで取得可能
ある男の手記9
![]() |
9. この歴史書の内容は大きな収穫ではあったが、肝心の雨ノ四葩の場所 については分からずじまいだった。 親戚中に尋ねても、一族が何か偉い巫女の末裔らしいという情報はあ れど、それ以上のことは何も分からなかった。 ようやくの思いで大いなる謎の尻尾を掴んだと思った私は、再び 巻かれたような心持ちになった。 それからしばらく時が経ち、文学博士の学位を文部大臣殿から授かっ た後も、私は研究の |
ある男の手記10
![]() |
10. そんなある日、私の元に奇妙な客が現れた。 羽振りの良さそうな身なりをした、腹が出た狸のような男だった。 その男は開口一番、雨ノ四葩の名を口にした。 よもや、私以外にその名を口にする者が居ようとは思いもしなかっ た。 長年を孤独に研究していた私は同志を見つけたような気持になり、 大人げなくもその場で踊り出したい気持ちになった。 よく覚えていないが、もしかしたら本当に踊っていたかもしれない。 |
ある男の手記11
![]() |
11. 昂る私に構わず、彼はこう続けた。 「私は雨ノ四葩にあるという不死の秘術を求めています。その地へと 繋がる扉は少々捻くれ者でして、ひょんなことで迷い込むことはあれ ど、意志をもって足を踏み入れることは出来ません。ですが、雨ノ四 葩と |
ある男の手記12
![]() |
12. 不死の秘術、雨ノ四葩へと続く扉。 まさかそんなものが在ろうとは 長年を雨ノ四葩の研究に身を費やした私をして、初めて聞くことばか りだった。 この男は一体何者だろうかと不思議に思った。 彼はただ「火垂屋」と名乗り商いを生業にしていると言うが、それ以 上のことは、はぐらかされてしまって分からなかった。 |
ある男の手記13
![]() |
13. 私が血眼になって探し求めた雨ノ四葩への道が、初めてハッキリとそ の姿を表した瞬間だった。 この時、私は確信していた。 この機会を逃せば私は一生、雨ノ四葩へ到達することは叶わないだろ うと。 素性の知れぬ怪しい男ではあるが、答えは決まりきっていた。 私はこの男の言う通り、雨ノ四葩への扉があるという場所まで案内さ れることにした。 この翌日、歳が18離れた弟の成人式があったのだが、こればかりは行 ってやれそうになかった。 |
ある男の手記14
![]() |
14. 私は祖父の形見である珊瑚の簪を携えて、その日に臨んだ。 私はてっきり、どこか遠い秘境か外国にでも連れていかれるのかと思 っていたが、そこは何の変哲もない良くある町の裏山だった。 火垂屋の後に続いて獣道に分け入ってしばらく進むと、そのの大きな 背中越しに人の声が聞こえてきた。 開けた場所に出たと思うと、池のほとりに憲兵隊の一団が陣取ってい た。 |
「そのの大きな・・・」は誤字?
ある男の手記15
![]() |
15. 憲兵隊は、これから戦争でも始めるのかという出立であったが 今はコーヒーを淹れて各々休んでいるようだった。 何故このような場所に憲兵達がと火垂屋に問うと、彼らは私の客だと いう。 恐らく、彼らも不死の秘術とやらに関係しているのだろうか。 どこかきな臭さを感じつつも、私は本題の雨ノ四葩への扉について訪 ねた。 |
ある男の手記16
![]() |
16. 火垂屋が言うには、この山の付近で鏡のような水面があれば ただの水溜まりでもどんな場所でも雨ノ四葩への入り口に成り得ると いう。 ただ、その入り口に遭遇することは極めて稀で、狙って入れるもので はないという事らしい。 そこで、雨ノ四葩と深い関わりがあった巫女の末裔である私が呼ばれ た訳だが、他にも色々と私には入り口を開く条件が揃っているらしか った。 |
ある男の手記17
![]() |
17. この池が入り口になると言うのは少々信じ難かったが、私は言われる がまま水面を覗き込んだ。 水中は の果てまで続いているような気がした。 その時、暗闇の奥底から誰かに呼ばれた気がした。 その声を聞こうと耳を澄ますと、意識がぼうっとして、ハッとすると 水面が目の前にあった。 その瞬間、私は平衡感覚を失って水面に倒れ込んでしまったようだっ た。 |
ある男の手記18
![]() |
18. 霞んでいく意識の中、私はどんどん水底に沈んでいくのを感じた。 頭上で幾度も水面が弾ける音がした。 恐らく、憲兵達が私の後を追ってなだれ込んだのであろう。 その音たちもすぐに意識の外に追いやられると、私の意識は暗く静寂 な水底に消えていった。 |
ある男の手記19
![]() |
19. 目を覚ますと、そこは随分と古い造りの古民家であった。 私は座敷の上に寝かされ、囲炉裏の炎の熱が冷えた体に心地よかっ た。 寝たままで頭を回すと、囲炉裏を挟んで反対側に壮年の男が座ってい た。 彼は、私が起きたことに気づくと暖かい茶を淹れてくれた。 |
ある男の手記20
![]() |
20. 彼は、名をヤクモと名乗った。 ヤクモ殿が言うには、ここは雨ノ四葩と現世の境界の地だという。 雨ノ四葩を現世と区別すること、つまりは、雨ノ四葩は我々が住む世 界とは一線を画していると言うことに私は驚かなかった。 むしろ、ストンと腑に落ちた。 道理で、いくら人生を費やして探せども見つからぬはずである。 |
ある男の手記21
![]() |
ヤクモ殿は雨ノ四葩の色々な事について、惜しげもなく教えてくれ た。 その話はどれも大変興味深かった。 あれほど情報が少なかった雨ノ四葩について、これほど詳細に知れる 機会が来ようとは。 ヤクモ殿の知識は私にとって正に宝の山であった。 その時とったメモ書きの内容は、後日、別冊にて その話の中で、私の祖父の妹は確かに雨ノ四葩へ来ていたということが 分かった。 ここで禍津分神(マガツクマリノカミ)という神の下、神子と言う役 職を与えられて、今でもその職を全うしているという。 |
ある男の手記22
![]() |
ある男の手記23
![]() |
ある男の手記24
![]() |
ある男の手記25
![]() |
ある男の手記26
![]() |
ある男の手記27
![]() |
ある男の手記28
![]() |
ある男の手記29
![]() |
ある男の手記30
![]() |
(編集中)