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はつこい

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だれでも歓迎! 編集
視線が、いつのまにか追いかけてる。
会話をする度に、どきどきする。
緊張で上手く笑えてない気がする。
だめだよ。『普通』にしなきゃ。
…あれ?『普通』ってどんなだったっけ…?


はつこい


初恋は実らない、って良く言うけどなんでなんだろう。
好きだって想いは、はじめての時も二回目、三回目の時だって
同じなはずなのに。
でも、私の初恋は実らずに終わりそう。
だって私の好きな人は同性の―こなたお姉ちゃん、なんだから…


おじさん、お姉ちゃん、私の三人での夕食の後、
私は一人部屋に戻って大きく息を吐いた。
『普通』『いつも通り』を意識しすぎて
ご飯の前の数倍疲れた気がする。
何でなんだろう?女の子同士で、本当のお姉ちゃんじゃないけど
お姉ちゃんみたいな存在で。
何で、こなたお姉ちゃんに惹かれてしまったんだろう?
でも、気付いたら好きになってたんだから、しょうがないといえば
しょうがないのかもしれない。


伝えたい、と思う。言って楽になってしまいたい、と。
伝えたくない、と思う。言って、断られたら?
同じ家に住んでいる以上、嫌でも毎日顔を合わせてしまう。
そんなの、私には耐えられない。
相反する思いをどうする事も出来ずに、ただ時間だけが過ぎていく。


「ゆーちゃん?お風呂、空いたよー」
控えめなノックの後、半分ぐらいドアが開けられて
お姉ちゃんが顔を覗かせる。
「う、うん。わかった!今入るね」
思考を中断して、私は代わりに意識をお風呂へと移す事にした。


お風呂から上がって、今日の分の予習と復習を終えると
何もする事がなくなって、ベッドの中に潜りこんで
ぼんやりとまた、お姉ちゃんの事を考える。
誰かをこんな風に好きになるのは初めてで
どう対処したら良いのかわからない。
(今日もまた眠れそうにないや…)
そう思いながらも私は目を閉じる事にした――…



…やっぱり眠れなかった…一睡もしてない、ってわけじゃないけど
覚醒と浅い眠りの間を、何度も行き来していたせいで、
"寝た"という感じがしない。
こんな日が何日も続いてるせいか、何だか熱っぽいしだるい。
でも、おじさんとお姉ちゃんに心配をかけないようにしなきゃ。
その一心で重たい体を叱咤して立ち上がる。
食欲はなかったけれど、無理して詰め込んで
お姉ちゃんよりも、ちょっとだけ早く家を出る事にする。
玄関で靴を履いているとお姉ちゃんから声をかけられた。
「ゆーちゃん」
「なに?お姉ちゃん」
振り向いて、笑顔で応える。
…上手く笑えてるかな。
「…なんか、無理してない?休んだら?」
…何で解っちゃうんだろう。
そういえば、お姉ちゃんの所にお世話になる最初の日もそうだった。
お姉ちゃんだけが私の気分が悪いって気付いてくれた。
思えばあの時から、だったのかもしれない。
「…大丈夫。なんともないよ?」
「…そう?ならいいんだけど…具合悪くなったら無理しないでね」
「うん、じゃあ、行ってきます」


お姉ちゃんには、ああ言ったけれど私の予想以上に具合は悪くなる一方で。
学校に着いた時にはもう、体力を使い果たしてしまったような気さえした。
「ゆたか…顔色が悪い…保健室、行く…?」
「…うん…ごめん、そうする、ね」
午前中の授業が終わった後、みなみちゃんがそんな私を見兼ねたのか
おずおずと言ってくれて、限界だった私はその提案を受けることにした。
…結局、心配かけちゃうなぁ…
多分、みなみちゃんからお姉ちゃんにこのことは伝わるだろう。
情けなくて、涙が出て来る。
「う……っく…っ…」
みなみちゃんはお昼を食べに教室に戻って
ふゆき先生も職員会議があるらしくて、珍しく私しか居ない保健室の中に
カチコチと規則正しい時計の音と、私の泣き声だけが微かに響く。


「失礼しまーす…って、ゆーちゃん何でないてんのっ!?」
「お、ねぇ、ちゃ…?」
様子を見に来てくれたらしいお姉ちゃんが
私の泣き顔を見て慌てて駆け寄って来る。
「そんなに辛いの?病院、行く?」
違う。違うんだよ、お姉ちゃん。
私が欲しいのは、同情でも労りの言葉でもなくて。

――欲しいのはたった一言。たった二文字。

「ちが…っ…おねぇちゃ…も…私に優しくしないで……っ!」
「…え…?ゆー、ちゃん…?」


熱のせいか疲れのせいか、涙腺も、それから
今まで想いを封印してきた枷も緩くなってしまったみたい。
でも、もう止められない。言葉が、想いが濁流みたいに
とめどなく溢れてくる。
「好き!好きなの!お姉ちゃんの事が…!もう家族として
見れないのっ…!だからっ…これ以上優しくしな…!?」
私の言葉が途中で遮られる。
目の前にはこれ以上ないってぐらいお姉ちゃんの顔が大きく見えて。
私の唇を塞いでいたお姉ちゃんの唇が離れて
頬を流れる涙を丁寧に吸い取る。
え……なん、で……?
「落ち着いた?」
びっくりして涙もどこかへいってしまった
私の体を抱きしめ、髪を撫でながらお姉ちゃんが優しく聞いて来る。
「…一応、年上なんだし自重しようと思ってたんだけど…
…まさかゆーちゃんから言われるなんてね…
私も好きだよ、ゆーちゃんの事が」
もちろん家族としてじゃなくてね、と
付け加えられまた涙が溢れるのが解る。
今度は嬉し涙だったけれど。
「あぁもう、可愛い顔がぐちゃぐちゃだよ?」
苦笑しながらも、私が泣き止むまでお姉ちゃんは
ずっと私の背中をさすりながら、抱きしめて続けてくれた。


どれくらいの間そうしていたんだろう。
とくん、とくん、と心臓の音がやけに大きく聞こえる。
この音は私?それともお姉ちゃん?
一つだけ解るのは、それがどっちのものか解らないくらい
私たちが近くに―ううん、密着しているという事。
制服越しに伝わってくる体温がひどく心地良い。
ずっとこうしていたいと思ったけれど、ゆっくりお姉ちゃんが離れていく。
あ、もうお昼休み終わっちゃうもんね…。
「じゃあ、放課後迎えに行くからちゃんと休んでるんだよ?」
「うん…」
「今日は保健室だったし、ゆーちゃんも具合悪いから我慢したけど
キス以上もしたかったなー…残念。
ま、それは後にお楽しみって事で」
…えぇと…キス以上の事?ふと、お姉ちゃんから見せて貰った
田村さんの同人誌の内容が思い浮かぶ。
「…えぇ!?えぇえ!?」
「そーいう事だから早く元気になってネ?」
お姉ちゃんはそう言ってウインクをすると、
午後の授業を受けるために保健室から出ていった。
お……お姉ちゃーん!?
「…私の心臓、もつかなぁ…?」
私の呟きは誰にも聞かれずに、部屋の中にとけていった……。













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  • 面白かったです。 -- チャムチロ (2012-08-29 12:18:09)
  • たくさんの感想ありがとうございます!
    ↓作者別保管庫にもカップリング別保管庫にもリンクが貼られていないので
    わかりにくいと思いますが続きは一応あります。24スレ目『ふたりの秘密』です。
    ただし、エロ有りなのでご注意下さい。 -- 作者 (2008-01-28 14:03:40)
  • ここで終わらすのはもったいない気が…。続き希望。 -- 名無しさん (2008-01-06 03:18:51)
  • これは続きキボンヌ -- 名無しさん (2007-11-12 23:59:17)
  • 続きが見たいです -- 名無しさん (2007-10-18 04:05:49)

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