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みーみー戦隊 第1話

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普段から静かなみなみだが、今日のみなみは普段以上に静かだった。
「ユタカのコトが心配なんデスネ?ミナミ」
パティのその言葉に、みなみは無言で小さく頷く。
「もう今日で三日目だもんね……。家とかに電話はしてみた?」
「うん。…でも、誰も出なかった」
「そっか……。おととい家に行ってみたときも、留守だったよね」
「昨日も一人で行ってみたけど、留守だった…」
 ゆたかが、学校に来ていない。ゆたかが病弱であることを考えれば、さほど不思議ではない。
 ただ、今回は何かが違う――― みなみは、いやな胸騒ぎを覚えていた。
「あとで、先生に聞いてみたら?何か知ってるかもしれないし」
「…そうする」

今日の授業は、6時間目のホームルームで終わりとなる。みなみは、そのホームルームが終わると同時
に席を立ち、担任の先生の側へ行き、ゆたかのことを尋ねた。
「…先生、小早川さんの欠席の理由、知りませんか?」
「知らないなぁ」
「で、でも、一昨日から休んでいるのに…。学校に連絡とか、来ていないんですか?」
「連絡が来ていたとしても、岩崎に教えるつもりはないね」
「!? じゃあやっぱり、先生は何か知ってるんですね?」
「しつこいぞ、岩崎。……いや、みーグリーン!」
 その名を言われ、みなみはドキッとする。ほとんど誰にも言っていなかったようなことを、なぜ先生が知っているのか―――?
 次の瞬間、担任の赤く光っている目を見て、みなみはようやく、あることに気付く。
「先生、まさか…、『えねみーみー』の一味!?」
「岩崎、今頃気付いたのか?しょうがないやつだな。……残念だけど、岩崎にも、小早川と同じ目に
遭ってもらおうか」
「ゆたかと同じ目に…!? それってどういう―――」
「岩崎、他人の心配もいいけど、もうちょっと自分の心配をしたほうがいいぞ?」
 そう言われてはじめて周囲を確認すると、みなみは、自分の身の危険を感じずにはいられなくなった。
 いつの間にか、みなみは、クラスの男子およそ20人に取り囲まれていたのだ。
「――っ!?」
「今、このクラスの男子は全員が僕の手先。いくら『みーみー戦隊』の一員だといっても、1対20じゃ、
勝ち目はないだろ?――― さあ、おしゃべりはここまでだ。お前ら、やっちまえ!」
 次の瞬間、突然教室のドアが開いた。男子生徒を含め、全員が一度動きを止める。



「誰だ!? このいい時に!邪魔をするな!」
「お邪魔してすみません。3年B組 高良みゆき、いえ、『みーみー戦隊』みーピンクです。ごきげんよう」
「同じく、みーブラウン、参上だぜ!」
 ちなみに、『みーみー戦隊』として戦う時は、普段より高い戦闘能力や特殊能力が使えるようになるが、
見た目は普段とほとんど同じである。特に変身するわけではない。
「くそっ、絶好のチャンスを逃したか。……まあいい。お前ら、全員まとめてやっつけてしまえ!」
担任のその声を合図に、みなみを取り囲んでいた男子生徒のおよそ半分が離れ、標的をみゆきとみさお
に変更した。その隙にみなみは、手薄になった包囲から抜け出し、教室の左後ろへ移動した。
「では、応戦いたしましょうか」
「やってやるぜ!」
 そう言いながら、二人はそれぞれ教室の前後に別れる。これで、敵も適度に分散した。

「Wikiフラッシュ!」
 解説:Wikiフラッシュとは、みゆきのみが使える、敵のデータを知ることができる技。
「ふむふむ……。みなさん、敵は数が多いとはいえ、あくまでもモブ。一人ひとりの強さは大したこと
ありませんから、落ち着いていけば大丈夫です」
 みゆきが、入手した敵の情報を簡単に伝える。
 それを聞いたみさお、みなみはそれぞれ臨戦態勢に。まずはみなみ。
「…イーグルボール!」
 みなみがそう言うと、みなみの左手に、ドッジボール大の、球状のものが「出現」した。
 ……なお、どういう原理でそういうことが起こるのか、などは、追究しないほうがきっと無難である。
「…ごめん」
みなみは謝りながらも、鋭い目つきのまま、迫り来る男子生徒にそのボールを全力で投げつけた。
 その標的となった男子は、至近距離から放たれたそのボールを避けることも受け止めることもできず、
腹部にまともに受けた強い力に突き飛ばされ、後ろにあった机を一つ倒して止まり、彼自身も倒れた。
「…本当に、ごめんね」
 みなみは再び謝ってから、跳ね返ってきたボールを拾い、次の標的を狙いにかかる。

 一方、こちらはみさお。
 持ち前+戦隊補正で強化された素早さを活かして、向かってくる敵の後ろに素早く回り、チョップや
膝カックンなどの、言ってはなんだが微妙にしょぼい技で敵にダメージを与える。
 言っておくが、別に、みさおが強い技を持っていないというわけではない。
「よーし、一丁あがり!……ふー、やっぱり教室は狭いし、障害物が多くて面倒だぜ」

 教室特有の障害物を苦にしていたのは、みさおだけではない。そうじ用具入れのモップを武器兼防具と
して、チャンバラ風に戦っていたみゆきもまた、そうであった。
 なにしろ、『みーみー戦隊』となっているときでもある程度のドジっ子属性が残ってしまうため、戦闘中
でもよく机にぶつかってしまうのだ。まあ、それで形勢が逆転したりはしないので、問題はないのだが。

 そんなこんなで、3人は特に苦戦することもなく、敵を次々とやっつけていった。
 しかし、ここでちょっとしたアクシデントが発生する。

「あと3人…!」
 みなみは、相変わらずの威力で、男子生徒目がけて、「イーグルボール」を投げつけた。
 しかし、少し距離が遠かったこともあり、標的の男子はひらりと身をかわした。
 そのとき、ボールの軌道の先にあったドアが開いた。
「遅くなりましたーっ!みーホワイトこと白いsぐふぉあーーっ!!」
 みなみの投げた強烈なボールが、今頃やってきた みーホワイトこと白石の腹部に直撃。
 まだ戦闘態勢に入っていなかった白石は飛ばされ、後ろの壁に背中を打ち、そのままへたり込んだ。
「ホワイト!? だ、大丈夫!?」
「グリーン!ホワイトには悪いですが、今は敵を倒すことに集中しましょう!」
「は…、はい…」
 それでもしばらく、みなみは白石の方を気にしていたが、やがて迫ってきた敵の方に向き直った。



「―――はい、これでもう大丈夫なはずですよ。痛いところはありませんか?」
「えっと……はい、もう大丈夫です。その、ありがとうございます」
白石が放置されてから約3分後。他と比べて少し強い程度の今回のボス・担任教師を降参させた
みーみー戦隊は、さっき後回しにした白石の手当てをようやく行った。といっても、みゆきの特殊技能
「ヒーリング」で、いとも簡単にできてしまうのだが。

 その後、4人は、帰る支度をした後、3-Bの教室にて緊急ミーティングを行った。
 ……といっても、見た目は、放課後に教室でしゃべっている普通の高校生そのものなのだが。
「…クラスの男子全員が、『えねみーみー』になってしまうなんて…」
「ただごとではありませんね。……早く『えねみーみー』の親玉を見つけてなんとかしないと、もっと
大変なことになりそうな予感がします」
「…大変な、こと…」
そう言うとみなみはうつむいて、ゆたかの名をつぶやいた。
「みなみさん?ゆたかさんに、何かあったのですか?」
 みゆきたちは、実はまだ冒頭のいきさつを知らない。ただ、虫の知らせでみなみの危険を感じ取り、
授業が終わるとすぐ飛んできたのだという。
みなみは、皆にいきさつを説明した。ちなみに、みなみの担任からは結局、ゆたかに関する情報を入手
することができなかったため、内容も特には更新されていない。

「ゆたかさんの事でしたら、泉さんに尋ねてみてはいかがでしょうか?泉さんなら、今日も学校には来て
いましたし、何か知っているかもしれません」
 みなみの話を聞き終わったのち、みゆきが提案する。
「…でも、昨日も一昨日も、家は留守だった」
「うーん、岩崎が行った時に偶然出かけてただけ、って可能性もあるけど、―――でもなんか臭いよなー」
 みさおが何かを嗅ぎ……いや、感じ取ったようだ。
「……えっと、それって―――」
「いや、今のは独り言みたいなもんだから、気にしないでくれ。―――うーん、もし今日も留守だったら
……、そうだ。柊だったら、ちびっこ―――あ、泉のことな。がどこに行ったか知ってるかもしんないぜ」
 みなみもそれに納得。先に泉家に行って、また誰もいなかったら柊家に行ってみることに。
しかし、みなみは柊家の場所を知らないので、その時のために、みゆきも一緒に行くことにした。

「あ、そーいえば。今回のことと関係あるかはわからないんだけどさ」
ここで、みさおが何かを思い出したようだ。3人がみさおに注目する。
「最近、柊だけじゃなくって、あやのまでなんだか私に対して冷たくなった気がするんだよなー」
 みさおのこの発言は、『みーみー戦隊』を緊張させることとなってしまう。
 それに気付いたみさおは、慌てて言葉を付け加えた。
「いや、でも今回のこととはあんまり関係ないとは思うけどな。うん。ちょっと愚痴ってみただけだし」
 そのとき、ドアの方から声がした。
「なんや、自分らまだ残ってたんかいな」
 黒井先生である。みゆきに、皆これから帰るところだと説明された黒井先生は、この珍しい顔ぶれを
特に気にすることもなく、一言言い残して去っていった。
「ま、最近物騒な事件も多いことやし、気ぃつけて帰りや」

「では、行きましょうか」
行き先は違うものの途中まではルートが同じなので、4人は一緒のバスに乗り、駅へと向かった。

【続】













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  • クラスの男子20人は、名前に”み”が付いてるんだな -- 名無しさん (2011-05-02 02:32:13)

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