「いょっしゃ~、持ってきた本、完売~っ♪」
イベント終了後のサンシャインシティの人ごみを抜けたところで、ひよりは大きく伸びをする。
引きずっているカートの中にはつり銭入れとテーブルクロス、ガムテープと戦利品が少々。
いつも重たい荷物と化す売れ残りが一冊も入っていないというのはなかなかの快挙だ。
「お疲れ様、ヒヨリ。完売オメデトウ」
「いやいや~、これもパティのお陰だよ。コスプレの売り子がいるとこんなにも売れるとはね」
パティの後ろにも小さめのカート。こちらの中身はコスプレグッズがほとんどを占めている。
今日のイベントで完売ができたのも、ひよりの隣でパティがコスプレをして売り子をしていたのが大きかった。
「しかし、意外と金髪巨乳巫女ってのもイケるんだなぁ……巫女は黒髪貧乳がデフォだと思ったけれど」
「Non、Non。原理主義だけではダメですヨ。多少アレンジを加えてこそ萌えるというものデス」
パティは嬉しそうにくるりとその場で回ってみせる。
会場の更衣室ですでに着替えていたが、ひよりはさっき見たばかりのパティの巫女コスプレ姿をすぐにイメージできた。
今回のひよりの本は姉妹巫女ほのぼのネタ。ネタ元はいわずと知れたあの二人だ。
それにあわせてパティも巫女服姿で売り子をしてくれた。
パティの蜂蜜色の髪の毛と赤白の清楚な巫女服の組み合わせは一見ミスマッチのようだが、
清楚な中にも彼女らしいに明るいはっちゃけさが感じられた。
ノリのいい外人巫女さんというのもなかなか悪くないなとひよりは思う。
そして、白衣の胸の部分を押し上げる大きなふくらみ……
パティのコスプレに目を留め、鼻の下を伸ばしながら本を買っていく人のいかに多かった事か。
「いいなぁ、私もパティみたいに可愛くコスプレできれば楽なんだけれどな」
ひよりの言葉にきょとんとしたように、パティが目を丸くする。
「ヒヨリもコスプレすればいいじゃないですカ?」
というよりも、どうしてコスプレしないの?といった表情。
ひよりもその言葉を受けて数秒固まる。
「いや、ダメダメダメ。絶対ダメって。コスプレはパティや泉先輩みたいなかわいい娘がやって様になるんだから。
私みたいなのがやったら、もーダメ、絶対ダメ。売れるものも売れなくなっちゃう」
必死に手をパタパタと振って否定するひより。
コスプレはかわいい娘がやってこそ意味があるというのがひよりの持論だ。
イベント中の息抜きでコスプレ広場に立ち寄る事も多いひよりは、今までにいろんなコスプレを見てきた。
インスピレーションが掻きたてられるほどの素晴らしいコスプレを目にする事も多かったが、
今までに何度背筋の凍るようなおぞましいコスプレを目にした事か。
ってか、特にうちの兄。服作るのは上手いが、自分で着るのは自重しろ!!
「うーん……」
パティはあごに手を当てて。ひよりの顔を下から覗き込む。
ぐいっと近づいた顔に、ひよりはちょっと身を引く。
ノリのいいこの外人オタク娘。ときどきスキンシップの過ぎる事もある。
「素材は悪くないと思うんですけれどネ……ヒヨリ、この後用事はありますカ?」
「え、えと……とりあえずアニ○イトと乙女ロードを見ようかと……」
「ん~、それも心引かれるのデスが、せっかくだし気分を変えて違うところに行ってみまショウ!!」
イベント終了後のサンシャインシティの人ごみを抜けたところで、ひよりは大きく伸びをする。
引きずっているカートの中にはつり銭入れとテーブルクロス、ガムテープと戦利品が少々。
いつも重たい荷物と化す売れ残りが一冊も入っていないというのはなかなかの快挙だ。
「お疲れ様、ヒヨリ。完売オメデトウ」
「いやいや~、これもパティのお陰だよ。コスプレの売り子がいるとこんなにも売れるとはね」
パティの後ろにも小さめのカート。こちらの中身はコスプレグッズがほとんどを占めている。
今日のイベントで完売ができたのも、ひよりの隣でパティがコスプレをして売り子をしていたのが大きかった。
「しかし、意外と金髪巨乳巫女ってのもイケるんだなぁ……巫女は黒髪貧乳がデフォだと思ったけれど」
「Non、Non。原理主義だけではダメですヨ。多少アレンジを加えてこそ萌えるというものデス」
パティは嬉しそうにくるりとその場で回ってみせる。
会場の更衣室ですでに着替えていたが、ひよりはさっき見たばかりのパティの巫女コスプレ姿をすぐにイメージできた。
今回のひよりの本は姉妹巫女ほのぼのネタ。ネタ元はいわずと知れたあの二人だ。
それにあわせてパティも巫女服姿で売り子をしてくれた。
パティの蜂蜜色の髪の毛と赤白の清楚な巫女服の組み合わせは一見ミスマッチのようだが、
清楚な中にも彼女らしいに明るいはっちゃけさが感じられた。
ノリのいい外人巫女さんというのもなかなか悪くないなとひよりは思う。
そして、白衣の胸の部分を押し上げる大きなふくらみ……
パティのコスプレに目を留め、鼻の下を伸ばしながら本を買っていく人のいかに多かった事か。
「いいなぁ、私もパティみたいに可愛くコスプレできれば楽なんだけれどな」
ひよりの言葉にきょとんとしたように、パティが目を丸くする。
「ヒヨリもコスプレすればいいじゃないですカ?」
というよりも、どうしてコスプレしないの?といった表情。
ひよりもその言葉を受けて数秒固まる。
「いや、ダメダメダメ。絶対ダメって。コスプレはパティや泉先輩みたいなかわいい娘がやって様になるんだから。
私みたいなのがやったら、もーダメ、絶対ダメ。売れるものも売れなくなっちゃう」
必死に手をパタパタと振って否定するひより。
コスプレはかわいい娘がやってこそ意味があるというのがひよりの持論だ。
イベント中の息抜きでコスプレ広場に立ち寄る事も多いひよりは、今までにいろんなコスプレを見てきた。
インスピレーションが掻きたてられるほどの素晴らしいコスプレを目にする事も多かったが、
今までに何度背筋の凍るようなおぞましいコスプレを目にした事か。
ってか、特にうちの兄。服作るのは上手いが、自分で着るのは自重しろ!!
「うーん……」
パティはあごに手を当てて。ひよりの顔を下から覗き込む。
ぐいっと近づいた顔に、ひよりはちょっと身を引く。
ノリのいいこの外人オタク娘。ときどきスキンシップの過ぎる事もある。
「素材は悪くないと思うんですけれどネ……ヒヨリ、この後用事はありますカ?」
「え、えと……とりあえずアニ○イトと乙女ロードを見ようかと……」
「ん~、それも心引かれるのデスが、せっかくだし気分を変えて違うところに行ってみまショウ!!」
と、パティに引っ張られて着いたのは、ひよりはいつもあまり近づかないエリア。
周りの人間の空気がイベント直後のサンシャインシティ近辺とはまるで違う。
「パ、パティ~。ここはちょっとヤバいって。山手線の西側ってだけでもアウェイなのに、
このエリアなんてアウェイ中のアウェイ。大阪の真ん中で巨人の帽子を被るようなものだって!!」
思い返せばビックサイトをはじめ、大○区産業プラザ、都立産業○易センターetc……
イベント会場は何故か東京の東側に偏っている。
ひよりも中野と乙女ロード、サンシャインシティを除けば西側に立ち寄る事も少ない。
「大丈夫デスよ、ヒヨリ。堂々としていれば何も問題ないのデス」
自信満々に歩くパティ。彼女が目的を持って歩いているのか、はたまた適当に歩いているのか、彼女には分からない。
ほどなくして、パティの足がぴたりと止まる。
ひよりが今まで近づく事もなかった、若者向けのファッションショップ。
「ん~、このあたりでいいでショウ。ヒヨリ、ちょっとこっちへ」
ひよりを呼び寄せて、パティはがちゃがちゃと服を漁り始める。
何着か取り出してひよりに合わせてみたり、「ん~、何か違いマスね」と戻したり。
いつも近くのしま○らで親と一緒に買う服を文句も言わず着ているひよりにとって、完全に未知の体験だ。
「パ、パティ。そんなに真剣にならなくても……私にはあんまり似合わないだろうし」
「No!! ここはNew Yorkerのファッションセンスにかけて、ヒヨリを可愛く着飾ってあげるのデス」
あれ、パティってニューヨーク出身だっけ?というひよりの疑問は放置したまま、
パティは店員まで呼び出して、ひよりに着せる服をあれこれ吟味し始めた。
ファッションについてさっぱり理解できないひよりは当の本人のはずなのに完全に会話の蚊帳の外だ。
異様に長く感じる時間は過ぎ、パティは選び出した服をひよりに持たせる。
「サァ、Princess。変身の時間デスよ~」
「わわ、ちょっと、パティ?」
そのまま試着室へ押し込まれるひより。
「楽しみにしてますヨ」と外から声がかかる。着替えずにここを出てくなんて、ちょっと無理そうだ。
ため息をついて、ひよりは服を脱ぎ始める。
服を脱いだ下から現れる、貧相な体。
パティのように大きくもないし、ゆたかのようにかわいらしくも、みなみのようにスレンダーでもない、
ひよりにとっては中途半端としか思えない体。
鏡に映る自分の顔も、化粧なんてほとんどした事なかったし、長い黒髪も面倒だからそのまま伸ばしているだけ。
かわいらしさのかけらもない自分の体を見ていると、何だか悲しくなってくる。
ともあれ、このままでは外に出られない。渡された服をハンガーから外す。
安物の服とは違う、しっかりとした肌触り。
ファッションセンスなんて皆目分からないひよりだったが、服の感触だけは高級品らしさを感じていた。
ときどき着方が分からずにカーテンの向こうに顔を出して店員に聞いてみたり。
「それでは、Cinderellaの登場デース」
シャァッ、と開かれたカーテン。
着替え終わったひよりがパティの前に姿を現す。
「Oh,beautiful!!」
「あら、とってもお似合いですわ」
声をそろえて賞賛するパティと店員。
面と向かって容姿をほめられることなんてほとんどなかったひよりは困ったようにもじもじと指をあわせる。
洋服に詳しくないひよりは上手く説明ができないが、今までの自分に比べれば多少垢抜けた感じがあるのは分かる。
でも、確かにちょっぴりおめかししているけれどその中身は普段のつまらない自分。
以前と比べてはっきりというほど変わったようには見えない。
店員さんは仕事だし、パティだってお世辞で褒めているんじゃないかという不安がよぎる。
「このまま着ていくのがイイんじゃないデスか?」
「そうしますか? では着ていた服は袋へお詰めしますね」
パチリパチリと服についているタグを外し、さっきまで着ていた服は袋の中へ。
いつの間にかこの服を買う事が決定してしまっている。
「あの……これ、全部でいくらになります?」
ひよりの頭の中はファッションの事よりも値段の事で頭がいっぱいだった。
こんなちゃんとしたところで買うと、結構高いんだろうな……一万ぐらい?
「合計で……三万四千五百八十円になります」
高っ!! その言葉を口にしないよう必死にひよりは口の中に押しとどめる。
し○むらファッションの彼女にとって、コーディネートは5000円以内。
身に着けているもので一番高いものといえば眼鏡というのがザラだ。
「パ、パティ。私そんなに持ち合わせないって……」
どぎまぎしているひよりを置いて、パティは財布を取り出す。
「クレジットカードは使えマスか?」
「はい、もちろん」
パティが取り出したのはホログラムのキラリと光るクレジットカード。
「ちょ、ちょっと。どうして……」
「? アメリカはクレジットカード社会デスから、これぐらい当然ですヨ」
「そうじゃなくて、そんな高いもの……」
言葉を濁したひよりにパティは明るく笑う。
「これは今日の完売のお祝いデス。それにヒヨリがかわいくなってくれると、私も嬉しいのデス」
パティの邪気のない笑顔にひよりはぽうっと魅入られる。
気づけば支払いも終わり、ひよりは今まで着ていた服を持たされていた。
周りの人間の空気がイベント直後のサンシャインシティ近辺とはまるで違う。
「パ、パティ~。ここはちょっとヤバいって。山手線の西側ってだけでもアウェイなのに、
このエリアなんてアウェイ中のアウェイ。大阪の真ん中で巨人の帽子を被るようなものだって!!」
思い返せばビックサイトをはじめ、大○区産業プラザ、都立産業○易センターetc……
イベント会場は何故か東京の東側に偏っている。
ひよりも中野と乙女ロード、サンシャインシティを除けば西側に立ち寄る事も少ない。
「大丈夫デスよ、ヒヨリ。堂々としていれば何も問題ないのデス」
自信満々に歩くパティ。彼女が目的を持って歩いているのか、はたまた適当に歩いているのか、彼女には分からない。
ほどなくして、パティの足がぴたりと止まる。
ひよりが今まで近づく事もなかった、若者向けのファッションショップ。
「ん~、このあたりでいいでショウ。ヒヨリ、ちょっとこっちへ」
ひよりを呼び寄せて、パティはがちゃがちゃと服を漁り始める。
何着か取り出してひよりに合わせてみたり、「ん~、何か違いマスね」と戻したり。
いつも近くのしま○らで親と一緒に買う服を文句も言わず着ているひよりにとって、完全に未知の体験だ。
「パ、パティ。そんなに真剣にならなくても……私にはあんまり似合わないだろうし」
「No!! ここはNew Yorkerのファッションセンスにかけて、ヒヨリを可愛く着飾ってあげるのデス」
あれ、パティってニューヨーク出身だっけ?というひよりの疑問は放置したまま、
パティは店員まで呼び出して、ひよりに着せる服をあれこれ吟味し始めた。
ファッションについてさっぱり理解できないひよりは当の本人のはずなのに完全に会話の蚊帳の外だ。
異様に長く感じる時間は過ぎ、パティは選び出した服をひよりに持たせる。
「サァ、Princess。変身の時間デスよ~」
「わわ、ちょっと、パティ?」
そのまま試着室へ押し込まれるひより。
「楽しみにしてますヨ」と外から声がかかる。着替えずにここを出てくなんて、ちょっと無理そうだ。
ため息をついて、ひよりは服を脱ぎ始める。
服を脱いだ下から現れる、貧相な体。
パティのように大きくもないし、ゆたかのようにかわいらしくも、みなみのようにスレンダーでもない、
ひよりにとっては中途半端としか思えない体。
鏡に映る自分の顔も、化粧なんてほとんどした事なかったし、長い黒髪も面倒だからそのまま伸ばしているだけ。
かわいらしさのかけらもない自分の体を見ていると、何だか悲しくなってくる。
ともあれ、このままでは外に出られない。渡された服をハンガーから外す。
安物の服とは違う、しっかりとした肌触り。
ファッションセンスなんて皆目分からないひよりだったが、服の感触だけは高級品らしさを感じていた。
ときどき着方が分からずにカーテンの向こうに顔を出して店員に聞いてみたり。
「それでは、Cinderellaの登場デース」
シャァッ、と開かれたカーテン。
着替え終わったひよりがパティの前に姿を現す。
「Oh,beautiful!!」
「あら、とってもお似合いですわ」
声をそろえて賞賛するパティと店員。
面と向かって容姿をほめられることなんてほとんどなかったひよりは困ったようにもじもじと指をあわせる。
洋服に詳しくないひよりは上手く説明ができないが、今までの自分に比べれば多少垢抜けた感じがあるのは分かる。
でも、確かにちょっぴりおめかししているけれどその中身は普段のつまらない自分。
以前と比べてはっきりというほど変わったようには見えない。
店員さんは仕事だし、パティだってお世辞で褒めているんじゃないかという不安がよぎる。
「このまま着ていくのがイイんじゃないデスか?」
「そうしますか? では着ていた服は袋へお詰めしますね」
パチリパチリと服についているタグを外し、さっきまで着ていた服は袋の中へ。
いつの間にかこの服を買う事が決定してしまっている。
「あの……これ、全部でいくらになります?」
ひよりの頭の中はファッションの事よりも値段の事で頭がいっぱいだった。
こんなちゃんとしたところで買うと、結構高いんだろうな……一万ぐらい?
「合計で……三万四千五百八十円になります」
高っ!! その言葉を口にしないよう必死にひよりは口の中に押しとどめる。
し○むらファッションの彼女にとって、コーディネートは5000円以内。
身に着けているもので一番高いものといえば眼鏡というのがザラだ。
「パ、パティ。私そんなに持ち合わせないって……」
どぎまぎしているひよりを置いて、パティは財布を取り出す。
「クレジットカードは使えマスか?」
「はい、もちろん」
パティが取り出したのはホログラムのキラリと光るクレジットカード。
「ちょ、ちょっと。どうして……」
「? アメリカはクレジットカード社会デスから、これぐらい当然ですヨ」
「そうじゃなくて、そんな高いもの……」
言葉を濁したひよりにパティは明るく笑う。
「これは今日の完売のお祝いデス。それにヒヨリがかわいくなってくれると、私も嬉しいのデス」
パティの邪気のない笑顔にひよりはぽうっと魅入られる。
気づけば支払いも終わり、ひよりは今まで着ていた服を持たされていた。
「だ、大丈夫かなぁ。見られていない?」
「大丈夫デス。堂々としてください。ドードーと」
駅までを歩く道すがら、ひよりは何だかちらちらと視線を感じていた。
うーゴメンなさいゴメンなさい。私みたいなかわいくない女の子がこんな格好をしてゴメンなさい。
「パ、パティ。恥ずかしいって……」
「何を恥ずかしがる必要があるのですカ? ヒヨリは充分かわいいですヨ」
自分を横切る視線が嘲笑の視線に見えて、ひよりは道の端へ寄っていく。
そんなひよりの腕を楽しげに通りの中心の方へ引っ張って歩くパティ。
「ねぇ、君たち、ちょっと」
不意に後ろからかけられた声にビクっとひよりは震える。
ああ、やっぱり……あまりの変さに通報っすか!!
それだけは、オタクの道に落ちようとも、いくらなんでも人の道は踏み外したくはない!!
恐る恐る振り返るひより。振り返った先が制服の警察官じゃなくて、ちょっと安心。
「君、住所と名前、教えてくれない? 僕、タレント事務所に勤めているんだけれど、君、なかなか見込みあるよ」
矢継ぎ早に言葉を続けてくる男。
数ヶ月でテレビにデビューできるとか、今から雑誌の撮影にスタジオへ行かないかとか。
ひよりは突然の事に飲まれて「あの、その……」と口ごもる事しかできない。
「それで、とりあえずそこの喫茶店に入って話をしたいんだけれど、どうかな?」
男にぎゅっと手を握られ瞳を見つめられ、ひよりの心臓が高鳴る。
耳の奥で鳴る鼓動の音で判断ができない。
冷たく大きな男の手。じっと見つめられた瞳に魅入られ、よく分からないまま頷きそうになる。
「Sorry!!」
ひよりと男の間に入り、男の手を振り払ってひよりの手を握る影。
「スミマセン。私達、そういったことに興味がないノデ」
ひよりを庇うように肩に手を置き、エスコートするように歩き出すパティ。
あまりの突然のことに、男も動けなかった。
数十メートル歩いて角を曲がる。男の影が見えないことを確認してパティは息をつく。
ひよりのほうを向いたパティは怒ったような、呆れたような顔。
「ヒヨリ。あーゆーナンパが最近増えているのですヨ。気をつけないと」
「あ、えっと……ごめん」
流れについていけず、とりあえず謝るひより。
さっきから突然の連続に、ひよりの心臓は激しく鳴り続けている。
パティは怒った顔からすぐに一転、にっこりした顔に。
「でも、ヒヨリ。男の人にナンパされるなんて大人気ですネ。ヒヨリがかわいくなって、私も嬉しいデス」
パティがそっと顔を近づけ、黒く長いひよりの髪をさらりと手で梳く。
パティの指が髪を梳く感触に、ぎゅっと心臓が締め付けられる。
「ひよりがその気になれば、もっともっとかわいい女の子になれますヨ。私も応援します。
でも、ひよりはもうちょっと男の人に対して耐性をつけたほうがいいですネ」
パティはにぃっと笑ってひよりの手をぎゅっと握った。
楽しそうにその手を振りながら、歌を口ずさむ。
「男は狼なのヨー、気をつけなサイ~♪」
楽しそうにひよりの手を引いて歩くパティ。
それはさっきの男と違って、暖かくて柔らかい手だった。
「大丈夫デス。堂々としてください。ドードーと」
駅までを歩く道すがら、ひよりは何だかちらちらと視線を感じていた。
うーゴメンなさいゴメンなさい。私みたいなかわいくない女の子がこんな格好をしてゴメンなさい。
「パ、パティ。恥ずかしいって……」
「何を恥ずかしがる必要があるのですカ? ヒヨリは充分かわいいですヨ」
自分を横切る視線が嘲笑の視線に見えて、ひよりは道の端へ寄っていく。
そんなひよりの腕を楽しげに通りの中心の方へ引っ張って歩くパティ。
「ねぇ、君たち、ちょっと」
不意に後ろからかけられた声にビクっとひよりは震える。
ああ、やっぱり……あまりの変さに通報っすか!!
それだけは、オタクの道に落ちようとも、いくらなんでも人の道は踏み外したくはない!!
恐る恐る振り返るひより。振り返った先が制服の警察官じゃなくて、ちょっと安心。
「君、住所と名前、教えてくれない? 僕、タレント事務所に勤めているんだけれど、君、なかなか見込みあるよ」
矢継ぎ早に言葉を続けてくる男。
数ヶ月でテレビにデビューできるとか、今から雑誌の撮影にスタジオへ行かないかとか。
ひよりは突然の事に飲まれて「あの、その……」と口ごもる事しかできない。
「それで、とりあえずそこの喫茶店に入って話をしたいんだけれど、どうかな?」
男にぎゅっと手を握られ瞳を見つめられ、ひよりの心臓が高鳴る。
耳の奥で鳴る鼓動の音で判断ができない。
冷たく大きな男の手。じっと見つめられた瞳に魅入られ、よく分からないまま頷きそうになる。
「Sorry!!」
ひよりと男の間に入り、男の手を振り払ってひよりの手を握る影。
「スミマセン。私達、そういったことに興味がないノデ」
ひよりを庇うように肩に手を置き、エスコートするように歩き出すパティ。
あまりの突然のことに、男も動けなかった。
数十メートル歩いて角を曲がる。男の影が見えないことを確認してパティは息をつく。
ひよりのほうを向いたパティは怒ったような、呆れたような顔。
「ヒヨリ。あーゆーナンパが最近増えているのですヨ。気をつけないと」
「あ、えっと……ごめん」
流れについていけず、とりあえず謝るひより。
さっきから突然の連続に、ひよりの心臓は激しく鳴り続けている。
パティは怒った顔からすぐに一転、にっこりした顔に。
「でも、ヒヨリ。男の人にナンパされるなんて大人気ですネ。ヒヨリがかわいくなって、私も嬉しいデス」
パティがそっと顔を近づけ、黒く長いひよりの髪をさらりと手で梳く。
パティの指が髪を梳く感触に、ぎゅっと心臓が締め付けられる。
「ひよりがその気になれば、もっともっとかわいい女の子になれますヨ。私も応援します。
でも、ひよりはもうちょっと男の人に対して耐性をつけたほうがいいですネ」
パティはにぃっと笑ってひよりの手をぎゅっと握った。
楽しそうにその手を振りながら、歌を口ずさむ。
「男は狼なのヨー、気をつけなサイ~♪」
楽しそうにひよりの手を引いて歩くパティ。
それはさっきの男と違って、暖かくて柔らかい手だった。
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- パティに惚れた -- 名無しさん (2009-11-12 05:38:34)
- もう脳内再生するっきゃねぇ!
パテひよLOVE -- 名無しさん (2009-11-05 20:21:49) - パティに惚れましたwwwGJ!! -- 名無しさん (2009-10-13 16:29:34)
- ひよりんはかわいいしパティはカッコイイ!
お似合いな二人ですね。最後のSOSを口ずさむパティが本当に
うれしそうでいいですねw、作者様GJですw -- HiRO (2009-10-13 10:21:30) - パティかっこかわゆい!v -- 名無しさん (2008-12-31 02:32:13)