- 11.ご飯を作ろう!
「ねぇ」
「何さ、オバケ」
パソコンに向かう彼女に話しかけると、棘のある言葉が返ってくる。
さっきの喧嘩で少しは打ち解けたのか、話しかけても返事はしてくれるようになった。
進展というには程遠いが、無視されなくなっただけよしとしよう。
まぁ、話しかけるだけで不機嫌なのが伝わってくるわけだけど。
いや今は、それより……。
「晩御飯、またカップラーメンにする気?」
そろそろ日も暮れてくる時間。
個人的には昼も夜もカップラーメンを続けられるのはきつい。
「そうだよ、それが?」
ふんっ、と鼻息荒くパソコンの画面を見ながら返事をする。
結局こいつは起きてからずっとエロゲしてやがったよ!
まぁ天使がポイント引くのは起動した時だけだから、点けっぱなしならいいけど。
「体に悪いじゃない、もっと栄養のあるもの食べないと」
「うっさいなぁ、どうでもいいじゃん」
はぁ……頑固だ。
というか物臭ね。
髪だってえらい長く伸ばしてる癖に、全然手入れしてないからボサボサだし。
多分ロクに風呂も入ってないな、女汗臭い。
まぁ、ひきこもりらしいといえばらしいわね。
ちゃんと手入れとかして女の子らしくすればそれなりに……つっても身長がなぁ。
「でもたまにはほらっ、何か料理とかしてもいいんじゃない?」
「どうせ食材なんてないよ」
うっ……それは確かに。
まだ一回ぐらいしか見てないけど、台所はカップラーメンの山。
あとは洗ってない食器でハザードした流しとか、散らばったゴミぐらい。
「そ、それならほらっ。買い物に行けば……」
「嫌」
私の声を遮るように、少女の声が響く。
一気に彼女から嫌悪感が伝わる。
いつもの不機嫌とは違い、もうこれは拒絶のレベル。
「外は……嫌」
空気が一気に悪くなる。
そこまで突き放されると、説得のしようもない。
でも妙な感覚……妙に『外』という言葉に反応された。
何か、そこにあるわけ?
うっ……でもこの流れはやばい。
また口を滑らせそう。
それでいつも酷い目にあうんだ。
「じゃ、じゃあ在り合わせでもいいから! 冷蔵庫見るだけでも!」
「……ああもぅ、仕方ないなぁ」
するとようやく重い腰を上げてくれる。
向こうも、その話を続けられたくなかったのかもしれない。
あとはじゃあ、冷蔵庫が空じゃない事を祈るだけか。
「あ……お米はあるみたい」
台所に移動し、色々漁る。
白米かぁ……まさかそれの食感が恋しくなる日が来るなんてね。
でも、それだけじゃ味気ない。
おかずよ、お・か・ず!
「れ、冷蔵庫は?」
ゆっくりと少女が冷蔵庫を開く。
そこには……ビールの山。
「お父さんのだね」
「はぁ……そっか。そうよね」
少しは期待してたんだけどなぁ。
食べ物を全部カップラーメンで済ませるなら飲み物だけ買えばいいわよね。
ああ、お米だけ……はぅ。
「……在り合わせで、いいんでしょ?」
「へっ?」
落ち込む私を見てか見ずか、適当に冷蔵庫を漁りだす。
「調味料ぐらいはあるし、卵も数個はあるからあとは……ん、あった」
テキパキとその小さな体に数少ない食材を抱えると、それを散らかった机の上に広げる。
卵数個と、あとは缶詰。
散らかってる机の上だとそれを奥だけでもう一杯ね。
「お米洗っとくからこれ割っといて、触れるんでしょ?」
「へっ? えっ?」
まだついていけない私に卵を5~6個と空のボールを差し出すと、少女は流しのほうに。
割っとけったって……。
いやそりゃ、触れるには触れるわよ?
……ポイント使えば、ね。
「つ、使うんですか? 卵に?」
「……はぁ、そうね。じゃあお願い」
まさかの出費……まぁ私から言い出したから何も言えないけど。
問題は、というと。
「私……割ったことないのよね、卵って」
そういうのはつかさの方が上手いからなぁ……。
いやでも、見たことぐらいはあるわ。
確かこうボールの角に叩きつけるのよね。
……。
えいっ。
「あぁ……」
天使の声が漏れるのも当たり前だ。
見事に破砕された卵は殻ごとボールの中に突っ込んでいった。
「だっ、大丈夫ですよ。殻を取り除けばいいんですから」
「そ、そうよねっ。じゃあもう一回……」
グシャ
と、見事にもう一つ粉微塵になったところでようやく少女が戻ってくる。
「どう、出来た?」
「やっ……え、と」
隠す前にボールを取り上げられる。
り、りろんは知ってたんだけどね。
何ていうかこう、力加減がというか。
「……」
ボールの中は黄身……だったもの。あと、破砕された卵の殻ね。
う、お、怒ってる?
ってそりゃ怒るわよね。
うう、卵すら割れないなんて。
「ご、ごめんっ。初めてだったからっ……え、ええとっ」
「ぷっ……」
平謝りで頭を下げる。
だけど、少女の口からは怒りの言葉は漏れなかった。
伝わってくるこの感情は……。
「あはははっ! なっ何、これ卵っ?」
「あ……」
彼女の顔が……緩んだ。
口から漏れた笑い声は、初めて聞く声。
そして、始めて見る……笑顔。
そういえば会ってからずっと、不機嫌な表情だった。
こんな風に……笑うんだ。
「しょうがないなぁ、後ろで見ててっ」
もうご飯を炊く準備は出来たのか、箸で器用に卵の殻を取り除いていく。
余程ツボだったのか、ときたま思い出したかのように噴き出し笑い出す。
その度に私の顔から火が噴くわけで……。
で、でもいくらなんでも笑いすぎよ!
誰だって得意不得意があるんだから!
……と、怒鳴ろうかと思ったけどやめておいた。
初めて見る笑顔をもう少し……見ていたかったのかもしれない。
理由?
そんなの……分かんないや。
「何さ、オバケ」
パソコンに向かう彼女に話しかけると、棘のある言葉が返ってくる。
さっきの喧嘩で少しは打ち解けたのか、話しかけても返事はしてくれるようになった。
進展というには程遠いが、無視されなくなっただけよしとしよう。
まぁ、話しかけるだけで不機嫌なのが伝わってくるわけだけど。
いや今は、それより……。
「晩御飯、またカップラーメンにする気?」
そろそろ日も暮れてくる時間。
個人的には昼も夜もカップラーメンを続けられるのはきつい。
「そうだよ、それが?」
ふんっ、と鼻息荒くパソコンの画面を見ながら返事をする。
結局こいつは起きてからずっとエロゲしてやがったよ!
まぁ天使がポイント引くのは起動した時だけだから、点けっぱなしならいいけど。
「体に悪いじゃない、もっと栄養のあるもの食べないと」
「うっさいなぁ、どうでもいいじゃん」
はぁ……頑固だ。
というか物臭ね。
髪だってえらい長く伸ばしてる癖に、全然手入れしてないからボサボサだし。
多分ロクに風呂も入ってないな、女汗臭い。
まぁ、ひきこもりらしいといえばらしいわね。
ちゃんと手入れとかして女の子らしくすればそれなりに……つっても身長がなぁ。
「でもたまにはほらっ、何か料理とかしてもいいんじゃない?」
「どうせ食材なんてないよ」
うっ……それは確かに。
まだ一回ぐらいしか見てないけど、台所はカップラーメンの山。
あとは洗ってない食器でハザードした流しとか、散らばったゴミぐらい。
「そ、それならほらっ。買い物に行けば……」
「嫌」
私の声を遮るように、少女の声が響く。
一気に彼女から嫌悪感が伝わる。
いつもの不機嫌とは違い、もうこれは拒絶のレベル。
「外は……嫌」
空気が一気に悪くなる。
そこまで突き放されると、説得のしようもない。
でも妙な感覚……妙に『外』という言葉に反応された。
何か、そこにあるわけ?
うっ……でもこの流れはやばい。
また口を滑らせそう。
それでいつも酷い目にあうんだ。
「じゃ、じゃあ在り合わせでもいいから! 冷蔵庫見るだけでも!」
「……ああもぅ、仕方ないなぁ」
するとようやく重い腰を上げてくれる。
向こうも、その話を続けられたくなかったのかもしれない。
あとはじゃあ、冷蔵庫が空じゃない事を祈るだけか。
「あ……お米はあるみたい」
台所に移動し、色々漁る。
白米かぁ……まさかそれの食感が恋しくなる日が来るなんてね。
でも、それだけじゃ味気ない。
おかずよ、お・か・ず!
「れ、冷蔵庫は?」
ゆっくりと少女が冷蔵庫を開く。
そこには……ビールの山。
「お父さんのだね」
「はぁ……そっか。そうよね」
少しは期待してたんだけどなぁ。
食べ物を全部カップラーメンで済ませるなら飲み物だけ買えばいいわよね。
ああ、お米だけ……はぅ。
「……在り合わせで、いいんでしょ?」
「へっ?」
落ち込む私を見てか見ずか、適当に冷蔵庫を漁りだす。
「調味料ぐらいはあるし、卵も数個はあるからあとは……ん、あった」
テキパキとその小さな体に数少ない食材を抱えると、それを散らかった机の上に広げる。
卵数個と、あとは缶詰。
散らかってる机の上だとそれを奥だけでもう一杯ね。
「お米洗っとくからこれ割っといて、触れるんでしょ?」
「へっ? えっ?」
まだついていけない私に卵を5~6個と空のボールを差し出すと、少女は流しのほうに。
割っとけったって……。
いやそりゃ、触れるには触れるわよ?
……ポイント使えば、ね。
「つ、使うんですか? 卵に?」
「……はぁ、そうね。じゃあお願い」
まさかの出費……まぁ私から言い出したから何も言えないけど。
問題は、というと。
「私……割ったことないのよね、卵って」
そういうのはつかさの方が上手いからなぁ……。
いやでも、見たことぐらいはあるわ。
確かこうボールの角に叩きつけるのよね。
……。
えいっ。
「あぁ……」
天使の声が漏れるのも当たり前だ。
見事に破砕された卵は殻ごとボールの中に突っ込んでいった。
「だっ、大丈夫ですよ。殻を取り除けばいいんですから」
「そ、そうよねっ。じゃあもう一回……」
グシャ
と、見事にもう一つ粉微塵になったところでようやく少女が戻ってくる。
「どう、出来た?」
「やっ……え、と」
隠す前にボールを取り上げられる。
り、りろんは知ってたんだけどね。
何ていうかこう、力加減がというか。
「……」
ボールの中は黄身……だったもの。あと、破砕された卵の殻ね。
う、お、怒ってる?
ってそりゃ怒るわよね。
うう、卵すら割れないなんて。
「ご、ごめんっ。初めてだったからっ……え、ええとっ」
「ぷっ……」
平謝りで頭を下げる。
だけど、少女の口からは怒りの言葉は漏れなかった。
伝わってくるこの感情は……。
「あはははっ! なっ何、これ卵っ?」
「あ……」
彼女の顔が……緩んだ。
口から漏れた笑い声は、初めて聞く声。
そして、始めて見る……笑顔。
そういえば会ってからずっと、不機嫌な表情だった。
こんな風に……笑うんだ。
「しょうがないなぁ、後ろで見ててっ」
もうご飯を炊く準備は出来たのか、箸で器用に卵の殻を取り除いていく。
余程ツボだったのか、ときたま思い出したかのように噴き出し笑い出す。
その度に私の顔から火が噴くわけで……。
で、でもいくらなんでも笑いすぎよ!
誰だって得意不得意があるんだから!
……と、怒鳴ろうかと思ったけどやめておいた。
初めて見る笑顔をもう少し……見ていたかったのかもしれない。
理由?
そんなの……分かんないや。
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