- 13.謳歌しよう!
「かがみは、白と青のどちらが好きですか?」
「? 何よいきなり」
天使が白いハンカチと黄色いハンカチを差し出す。
くれるの? タダなら貰うけど。
「そうね、青かな」
「なるほどなるほど、では先に渡しておきますね」
そして手渡される。
っていうか私にも触れるのか?
「何なの? これ」
「『祝☆-500TP突破記念、もうちょっと敬いま賞』です」
……。
ええと、うん。
せいっ!
「な、殴りましたね! しかもグーで!」
「んな惨めなもん要らないわよ! つーかまだ499でしょ!」
ハンカチを投げ返す。
「わっ、わわっ……ふぎゃ!」
慌てて投げ返したそれを拾おうとするが、上手くとれず近くの壁にぶつかる。
ったく、そそっかしいんだから相変わらず。
「うぅ、限定品なんですよ? プキンちゃん初回DVD特典の」
いらねーよ! 知らねーよ!
はぁ……こいつ相手にしてると疲れる。
朝から騒がないで欲しいわ、頭が痛くなる。
あんまり騒いでこなたを起こさないでよ? 寝起きは機嫌が悪いんだから。
つっても、こなたには見えてないんだっけ。ややこしいな。
「一緒みたいなものじゃないですか。499なんて」
何言ってるのよ、分かってないわね。
どうしてその1TPが届いてないか覚えてないの?
初めてゴミの清掃で稼いだ1TPなんだから!
「あれから下がりに下がって+1から-500ですか……しかも二日で」
「う、うっさいわね。私の所為じゃないわよ!」
ほとんどこなたがエロゲばっかやってた所為でしょ!
「今日から心機一転、頑張ればいいじゃない。ようやく協力もしてくれるみたいだしさ」
少しくらい、という単語が気になるが……。
一応、エロゲは駄目だとは言っておいたから大丈夫よね。
「どうします? また散歩にでも行きますか?」
「つっても今日は学校も休みなのよね」
どうしよっかな。こなたが起きるまで待っててもいいけど、昼過ぎまで起きないし。
だからって声だけじゃ起きないのよね、こいつ。
宿主に色々ポイント稼いでもらわないと、こっちはいちいちポイント使わないといけないし。
……さすがに500超えはきついわよね。
だって触るのに5TP、しかも一回しか触れない。
500TP支払って触り放題にする? 否! そしたら-999TP!
「『呪★-1000TP記念、もうちょっと奉りましょ……』んぎゃっ!」
五月蝿い口は黙らせましょうね。呪ってんじゃねーか!
うーん、どうにか節約出来ないものか。
一回しか触れない……そう、ここが問題よね。
「5TPで、触れるわけよね?」
「ええ、そうですよ。一度だけ」
「じゃあさ、ずっと触ってたらどうなる?」
「もちろん離すまで持ってられますよ、消費する事もありません」
ふむ。離さなければずっと持ってられる、と……。
「じゃあ触れてるものに触れるのは?」
「ええと……出来るみたいですね、右手で触れてる状態なら左手でも触れる事が出来ます」
と、ハウトゥー本めくりだした。
そこあたりはまだ曖昧らしい。役立たないなぁ本当。
「それじゃ、複数個一緒に触ったら? 両手一緒とか」
「む、難しいことを聞きますね」
必死にページをめくっていく。
「ええと、駄目ですね。触れるのは一つだけです」
「そう……ポイントじゃあ、使うわ。触れるようにして」
「へっ? 何をするんですか?」
「いいからいいから」
私の考えが上手くいけば、これまた大進歩よね。
ええとそうね、これでいいかな。
「ティッシュ、ですか?」
「そう、それでさ。こうしたら……」
「あっ!」
天使が感嘆の声を漏らす。
ティッシュを持った手で、そのままティッシュ箱を持ち上げたからだ。
「やっぱり! 間接的なら触り放題ってわけね!」
私はティッシュを持ってるだけで、ティッシュ箱はティッシュに引っかかってるだけだもの!
「せ、せこいですね……」
うっせーよ! でもこれは大発見よ、凄いことなのよ?
ええと、手袋でもあればいいんだけど……靴下は嫌だしなぁ。
お、丁度いいところに軍手。
パソコン弄るのに使ってるのかな? 投げっぱなしにしてあるから勝手に使ってもいいわよね。
「あと二回じゃあお願い」
両手に軍手をはめ、戦闘準備はバッチリ!
触り放題:-500TPがまさかの-10TPよ! ざまぁないわ!
「どうするんですか?」
「まぁそうね……とりあえず、部屋の片付けからかな」
散乱したゴミ。
散らばったシュリンク。
投げっぱなしのお菓子。
雪崩れている漫画。
カップラーメンの空の山……はぁ、やりがいがありそうね。
「ちゃんとカウント、しときなさいよ」
「は、はい。頑張ります」
ゴミは分別してゴミ箱へ。
本は本棚に名前順に。
うわっ、床もホコリだらけだし! まぁいいわ、ティッシュで地味にとっていこう。
はぁ……こりゃ大仕事ね。
「……ドタバタうっさい」
と、片付けの途中でようやく部屋の主が体を起こす。
予想通り、機嫌の方は悪いみたい。まぁ予想はしてたけど。
「部屋片付けてるの、あんたも手伝いなさいよ」
「いいよ……そんなの、何所に何があるか分かってれば」
機嫌悪そうに布団を被りなおす。くそう、この物臭め。
ん、待てよ。今は触れるじゃないか!
「駄目よ! 布団も干すんだから起きなさい!」
「んおぉお!」
布団の端を掴み、引きずり出す。
横で寝られてたら邪魔なだけよ!
「ほら顔洗って歯も磨いてくるっ」
「むー……まだ眠いよぅ」
遅くまで深夜アニメなんか見てっからだよ!
「だから顔洗ってくるの、朝なんだから起きなさい」
こなたの体を掴み、立たせる。
すると渋々と部屋を出て行く。
昨日の一件以来少し距離が縮んだのか、私の言うことにも耳を傾けてくれるようになった。
まぁ、まだそこまでだけどね。
「ふわぁぁああ」
豪快なあくびと共に部屋の主が戻ってくる。
体の感覚を確かめるように伸ばすと、パソコンの前の椅子に腰掛ける。
そして電源を入れる。
「エロゲは駄目よ、エロゲは」
「んあ……分かってるって」
まだ寝惚けた眼でマウスを動かす。
その後ろでせっせと部屋を片付ける私……って手伝いなさいよ!
「あ、そうだ」
殴ってやろうかとしたところ避けられた。
そして何かを思い出したかのようにテレビをつける。
その後に……。
『良い子のみんな! 大きな声で呼ぼう、せぇーの』
「「プキンちゃーんっ!」」
狭い部屋の中でこなたの声がコダマする。あと、天使も。
聞き覚えのあるOPがテレビから飛び出し、二人して手拍子。
「うー、プキンちゃん可愛いよねー」
「はぅぅ、可愛いですねぇ」
完全にシンクロしてやがるよこいつら。
ああ、また頭痛くなってきた。
「おとといのヤツ、まだ見てなかったんだよね」
おととい……ああ、私が泣かした日のやつか。
それの録画ってわけね。
「あんたもこれ、好きなんだ」
「うんっ、好きー」
と、無邪気に笑う。機嫌のほうはどうやら最高潮らしい……寝惚けてた眼もパッチリだ。
「幼児向けのはずなのにこのクオリティ、無駄に豪華な声優、仕込まれた小ネタ……どれをとっても今期ナンバー1だよ!」
な、なんか熱くなってるがよく分からん。
「あー、でもこの話作画が悪いらしいってね」
「? 何で知ってるの?」
「板で叩かれてた、ってかアバンからそうだったし」
……あまり専門用語で話さないでくれ、ついていけないから。
「ピン☆ポン☆パン☆ポン プキンちゃん~♪」
こっちはまた主題歌歌ってるよ! ってゆーかお前は見ただろ!
「固い外皮を~突☆き★破☆れ~♪」
こなたまで!
ああもう、勝手にやってくれ。
「でもよく録画なんかしてたわね」
「うん……お父さんが、ね」
少し含んだものいいで、言葉を漏らす。
オープニングを楽しんでいるようだが、眼の奥には影。
どうやら、根っこは深いみたいね。
うーん、その原因さえ分かればなぁ。
でも無理に聞いたらまた癇癪起こすだろうし……。
「父との和解、言うは安しですね」
うっさいわね、大人しくアニメ見とけ!
「うぅ……またぶったぁ」
「? どうかした?」
「いや、何でもないわ」
ったく、口を開けばロクでもない事しか言わないんだから。
『出たなっ、悪の組織トリックオアトリート団!』
部屋を片付けながら、私も横目で見る。
なんか妙に甲高い声のピンクの髪の女の子が戦ってる、かぼちゃに乗って。
……小学五年生に何やらせてんだか。
物語ってのは往々にして……ってもういいか、十分理不尽よね今回も。
『キョーキョッキョッキョ! この悪の帝王カーボ様に勝てるとでも思ってるッキョー?』
悪の帝王もう出ちゃったよ! 展開速えええ!
あとは何か適当にザコと戦って、最後にかぼちゃ食べて終わった……なんだこれ。
「うーん、確かに作画がイマイチだったね。まぁそれでも頑張ったほうじゃないかな」
知らねーよそんなの! って……結局最後まで見ちゃったよ。
「んおおっ、綺麗になるもんだね」
テレビからようやく眼を離すこなた。
そしてすっかり片付いた部屋を見回して、感嘆の言葉を漏らす。
どう、凄いでしょ? これでも結構マメに片付けするほうなんだから。
「いい? 無駄に散らかしちゃ駄目よ。小まめにゴミは捨てないと」
「はーいはい、オバケの癖にお堅いなぁかがみは」
「誰がオバケよ! まだ生きてるわよ一応!」
「あー、そーでしたそーでした」
耳を塞ぎながら私の話を聞き流すこなた。畜生、部屋を片付けたお礼はないのか!
「お疲れ様です、かがみ」
「ポイントのほうはどう? ちゃんとカウントしてたでしょうね」
アニメに夢中で見てませんでしたとか言ったら……咬みきる!
「ええと、ちゃんと数えてましたよ……まず三回触ったので-15TP」
お試しと軍手両手分のやつね。
マイナスはいいわ、次よ次。
「ゴミの清掃:1TP×35回、本の整理:2TP×40冊……」
「ああ、そういう細かいのはいいから。全部でいくら?」
「ええと……+165TP、ですね」
おお、行ったじゃない! これでええと-15してるから……。
「現在-349TPです」
「ふぅ……これで、500台は免れたわね」
ようやく一息。
寝転がれる地面もないのでノンビリと空中浮遊。ああ、慣れると気持ちいいわこれ。
+150か。頑張ったなぁ……少しくらい休んだってバチは当たらないわよね。
「むぅ、エロゲが駄目ならすることないなー」
「普通のゲームしなさいよ、色々あるじゃない」
空中に浮きながら、こなたと駄弁る。
しかし本当に色々あるな……。
噂の3にW○iまで……箱は要るか?
「んー、じゃあ何か一緒にする? これとか」
「何これ、クイズゲーム?」
おいおい、ひきこもりが私に勝てると思ってるわけ?
いいわよ知識の差ってやつを見せてやるわ!
……オチは、聞かないでくれ。
「? 何よいきなり」
天使が白いハンカチと黄色いハンカチを差し出す。
くれるの? タダなら貰うけど。
「そうね、青かな」
「なるほどなるほど、では先に渡しておきますね」
そして手渡される。
っていうか私にも触れるのか?
「何なの? これ」
「『祝☆-500TP突破記念、もうちょっと敬いま賞』です」
……。
ええと、うん。
せいっ!
「な、殴りましたね! しかもグーで!」
「んな惨めなもん要らないわよ! つーかまだ499でしょ!」
ハンカチを投げ返す。
「わっ、わわっ……ふぎゃ!」
慌てて投げ返したそれを拾おうとするが、上手くとれず近くの壁にぶつかる。
ったく、そそっかしいんだから相変わらず。
「うぅ、限定品なんですよ? プキンちゃん初回DVD特典の」
いらねーよ! 知らねーよ!
はぁ……こいつ相手にしてると疲れる。
朝から騒がないで欲しいわ、頭が痛くなる。
あんまり騒いでこなたを起こさないでよ? 寝起きは機嫌が悪いんだから。
つっても、こなたには見えてないんだっけ。ややこしいな。
「一緒みたいなものじゃないですか。499なんて」
何言ってるのよ、分かってないわね。
どうしてその1TPが届いてないか覚えてないの?
初めてゴミの清掃で稼いだ1TPなんだから!
「あれから下がりに下がって+1から-500ですか……しかも二日で」
「う、うっさいわね。私の所為じゃないわよ!」
ほとんどこなたがエロゲばっかやってた所為でしょ!
「今日から心機一転、頑張ればいいじゃない。ようやく協力もしてくれるみたいだしさ」
少しくらい、という単語が気になるが……。
一応、エロゲは駄目だとは言っておいたから大丈夫よね。
「どうします? また散歩にでも行きますか?」
「つっても今日は学校も休みなのよね」
どうしよっかな。こなたが起きるまで待っててもいいけど、昼過ぎまで起きないし。
だからって声だけじゃ起きないのよね、こいつ。
宿主に色々ポイント稼いでもらわないと、こっちはいちいちポイント使わないといけないし。
……さすがに500超えはきついわよね。
だって触るのに5TP、しかも一回しか触れない。
500TP支払って触り放題にする? 否! そしたら-999TP!
「『呪★-1000TP記念、もうちょっと奉りましょ……』んぎゃっ!」
五月蝿い口は黙らせましょうね。呪ってんじゃねーか!
うーん、どうにか節約出来ないものか。
一回しか触れない……そう、ここが問題よね。
「5TPで、触れるわけよね?」
「ええ、そうですよ。一度だけ」
「じゃあさ、ずっと触ってたらどうなる?」
「もちろん離すまで持ってられますよ、消費する事もありません」
ふむ。離さなければずっと持ってられる、と……。
「じゃあ触れてるものに触れるのは?」
「ええと……出来るみたいですね、右手で触れてる状態なら左手でも触れる事が出来ます」
と、ハウトゥー本めくりだした。
そこあたりはまだ曖昧らしい。役立たないなぁ本当。
「それじゃ、複数個一緒に触ったら? 両手一緒とか」
「む、難しいことを聞きますね」
必死にページをめくっていく。
「ええと、駄目ですね。触れるのは一つだけです」
「そう……ポイントじゃあ、使うわ。触れるようにして」
「へっ? 何をするんですか?」
「いいからいいから」
私の考えが上手くいけば、これまた大進歩よね。
ええとそうね、これでいいかな。
「ティッシュ、ですか?」
「そう、それでさ。こうしたら……」
「あっ!」
天使が感嘆の声を漏らす。
ティッシュを持った手で、そのままティッシュ箱を持ち上げたからだ。
「やっぱり! 間接的なら触り放題ってわけね!」
私はティッシュを持ってるだけで、ティッシュ箱はティッシュに引っかかってるだけだもの!
「せ、せこいですね……」
うっせーよ! でもこれは大発見よ、凄いことなのよ?
ええと、手袋でもあればいいんだけど……靴下は嫌だしなぁ。
お、丁度いいところに軍手。
パソコン弄るのに使ってるのかな? 投げっぱなしにしてあるから勝手に使ってもいいわよね。
「あと二回じゃあお願い」
両手に軍手をはめ、戦闘準備はバッチリ!
触り放題:-500TPがまさかの-10TPよ! ざまぁないわ!
「どうするんですか?」
「まぁそうね……とりあえず、部屋の片付けからかな」
散乱したゴミ。
散らばったシュリンク。
投げっぱなしのお菓子。
雪崩れている漫画。
カップラーメンの空の山……はぁ、やりがいがありそうね。
「ちゃんとカウント、しときなさいよ」
「は、はい。頑張ります」
ゴミは分別してゴミ箱へ。
本は本棚に名前順に。
うわっ、床もホコリだらけだし! まぁいいわ、ティッシュで地味にとっていこう。
はぁ……こりゃ大仕事ね。
「……ドタバタうっさい」
と、片付けの途中でようやく部屋の主が体を起こす。
予想通り、機嫌の方は悪いみたい。まぁ予想はしてたけど。
「部屋片付けてるの、あんたも手伝いなさいよ」
「いいよ……そんなの、何所に何があるか分かってれば」
機嫌悪そうに布団を被りなおす。くそう、この物臭め。
ん、待てよ。今は触れるじゃないか!
「駄目よ! 布団も干すんだから起きなさい!」
「んおぉお!」
布団の端を掴み、引きずり出す。
横で寝られてたら邪魔なだけよ!
「ほら顔洗って歯も磨いてくるっ」
「むー……まだ眠いよぅ」
遅くまで深夜アニメなんか見てっからだよ!
「だから顔洗ってくるの、朝なんだから起きなさい」
こなたの体を掴み、立たせる。
すると渋々と部屋を出て行く。
昨日の一件以来少し距離が縮んだのか、私の言うことにも耳を傾けてくれるようになった。
まぁ、まだそこまでだけどね。
「ふわぁぁああ」
豪快なあくびと共に部屋の主が戻ってくる。
体の感覚を確かめるように伸ばすと、パソコンの前の椅子に腰掛ける。
そして電源を入れる。
「エロゲは駄目よ、エロゲは」
「んあ……分かってるって」
まだ寝惚けた眼でマウスを動かす。
その後ろでせっせと部屋を片付ける私……って手伝いなさいよ!
「あ、そうだ」
殴ってやろうかとしたところ避けられた。
そして何かを思い出したかのようにテレビをつける。
その後に……。
『良い子のみんな! 大きな声で呼ぼう、せぇーの』
「「プキンちゃーんっ!」」
狭い部屋の中でこなたの声がコダマする。あと、天使も。
聞き覚えのあるOPがテレビから飛び出し、二人して手拍子。
「うー、プキンちゃん可愛いよねー」
「はぅぅ、可愛いですねぇ」
完全にシンクロしてやがるよこいつら。
ああ、また頭痛くなってきた。
「おとといのヤツ、まだ見てなかったんだよね」
おととい……ああ、私が泣かした日のやつか。
それの録画ってわけね。
「あんたもこれ、好きなんだ」
「うんっ、好きー」
と、無邪気に笑う。機嫌のほうはどうやら最高潮らしい……寝惚けてた眼もパッチリだ。
「幼児向けのはずなのにこのクオリティ、無駄に豪華な声優、仕込まれた小ネタ……どれをとっても今期ナンバー1だよ!」
な、なんか熱くなってるがよく分からん。
「あー、でもこの話作画が悪いらしいってね」
「? 何で知ってるの?」
「板で叩かれてた、ってかアバンからそうだったし」
……あまり専門用語で話さないでくれ、ついていけないから。
「ピン☆ポン☆パン☆ポン プキンちゃん~♪」
こっちはまた主題歌歌ってるよ! ってゆーかお前は見ただろ!
「固い外皮を~突☆き★破☆れ~♪」
こなたまで!
ああもう、勝手にやってくれ。
「でもよく録画なんかしてたわね」
「うん……お父さんが、ね」
少し含んだものいいで、言葉を漏らす。
オープニングを楽しんでいるようだが、眼の奥には影。
どうやら、根っこは深いみたいね。
うーん、その原因さえ分かればなぁ。
でも無理に聞いたらまた癇癪起こすだろうし……。
「父との和解、言うは安しですね」
うっさいわね、大人しくアニメ見とけ!
「うぅ……またぶったぁ」
「? どうかした?」
「いや、何でもないわ」
ったく、口を開けばロクでもない事しか言わないんだから。
『出たなっ、悪の組織トリックオアトリート団!』
部屋を片付けながら、私も横目で見る。
なんか妙に甲高い声のピンクの髪の女の子が戦ってる、かぼちゃに乗って。
……小学五年生に何やらせてんだか。
物語ってのは往々にして……ってもういいか、十分理不尽よね今回も。
『キョーキョッキョッキョ! この悪の帝王カーボ様に勝てるとでも思ってるッキョー?』
悪の帝王もう出ちゃったよ! 展開速えええ!
あとは何か適当にザコと戦って、最後にかぼちゃ食べて終わった……なんだこれ。
「うーん、確かに作画がイマイチだったね。まぁそれでも頑張ったほうじゃないかな」
知らねーよそんなの! って……結局最後まで見ちゃったよ。
「んおおっ、綺麗になるもんだね」
テレビからようやく眼を離すこなた。
そしてすっかり片付いた部屋を見回して、感嘆の言葉を漏らす。
どう、凄いでしょ? これでも結構マメに片付けするほうなんだから。
「いい? 無駄に散らかしちゃ駄目よ。小まめにゴミは捨てないと」
「はーいはい、オバケの癖にお堅いなぁかがみは」
「誰がオバケよ! まだ生きてるわよ一応!」
「あー、そーでしたそーでした」
耳を塞ぎながら私の話を聞き流すこなた。畜生、部屋を片付けたお礼はないのか!
「お疲れ様です、かがみ」
「ポイントのほうはどう? ちゃんとカウントしてたでしょうね」
アニメに夢中で見てませんでしたとか言ったら……咬みきる!
「ええと、ちゃんと数えてましたよ……まず三回触ったので-15TP」
お試しと軍手両手分のやつね。
マイナスはいいわ、次よ次。
「ゴミの清掃:1TP×35回、本の整理:2TP×40冊……」
「ああ、そういう細かいのはいいから。全部でいくら?」
「ええと……+165TP、ですね」
おお、行ったじゃない! これでええと-15してるから……。
「現在-349TPです」
「ふぅ……これで、500台は免れたわね」
ようやく一息。
寝転がれる地面もないのでノンビリと空中浮遊。ああ、慣れると気持ちいいわこれ。
+150か。頑張ったなぁ……少しくらい休んだってバチは当たらないわよね。
「むぅ、エロゲが駄目ならすることないなー」
「普通のゲームしなさいよ、色々あるじゃない」
空中に浮きながら、こなたと駄弁る。
しかし本当に色々あるな……。
噂の3にW○iまで……箱は要るか?
「んー、じゃあ何か一緒にする? これとか」
「何これ、クイズゲーム?」
おいおい、ひきこもりが私に勝てると思ってるわけ?
いいわよ知識の差ってやつを見せてやるわ!
……オチは、聞かないでくれ。
そうやって私は、この体の生活を謳歌していた。
だから、忘れてた。とても……とても、大切なことを。
それを私は、思い知らされる事になる。
始まりはそう……電話、かな。
だから、忘れてた。とても……とても、大切なことを。
それを私は、思い知らされる事になる。
始まりはそう……電話、かな。
- 現在のTP:-349TP(↑)