「私は今まで深い付き合いをした友達がいないから……プレゼントとかあげたことないから、何を
あげればゆたかが喜んでくれるのかわからなくて……」
滅多なことでは表情を崩さないみなみだが、今は乙女のように恥じらっている。
否、みなみは乙女である。だからゆたかにそれを捧げることに決めた。
拒絶されてしまったらと思うと、怖くて唇が震えた。それでも、ゆたかが大好きだから捧げたい。
受け取ってほしい。
「だから、プレゼントは私……私を、もらってほしい」
衣服を脱ぎ捨てると、みなみの素肌にリボンだけが巻きつけてあった。全長何メートルあるか
わからないが、みなみの起伏の少ない身体に丁寧に巻かれたリボンは女の子の大事な部分だけを
巧妙に隠していた。
「ゆたか……」
返事が来るのが怖かった。沈黙するゆたかを泣きそうな顔で見つめる。
ゆたかは何も言わずに歩み寄ると、リボンの結び目に手をかけた。
「はい。お受けします」
みなみの瞳から涙がこぼれた。みなみにとって悲しい出来事を想像して溜まった涙であるけれど、
今は嬉しいから、それは嬉し涙。
「もう、みなみちゃんってば……」
みなみの顔を引き寄せると、瞳の下にキスをして、涙を拭いとる。そのまま涙が零れた跡を
辿って、唇にキスをした。
「これからみなみちゃんのこと貰っちゃうんだから……まだ泣くのは早いよ」
ゆたかの指が結び目を引っ張ると、リボンが解けた。みなみの身体を解放した薄布は、自らも
解放されてはらりと舞い落ちる。それと同時に、みなみの大事な部分も露になった。
「隠しちゃダメだよ」
手で隠そうとしたみなみの機先を制して、ゆたかは鋭く言い放った。
「みなみちゃんはもう私のものなんだよ」
その宣言に、みなみの胸が奮えた。みなみはゆたかのもの。その事実に、鼓動が高鳴る。
「ん……ちゅっ」
さっきキスをしたゆたかの唇が、今度はみなみの秘唇にキスをした。みなみは再びそこを手で
覆いそうになって、しかしその手をゆたかに掴まれる。
「だからダメだってば」
『めっ』とでも言うようにみなみを見上げ、みなみにはそれがとても魅力的に思えた。
「だって、いきなりそんなところ……」
「私はここがいいんだ……ダメ?」
そんなことを言われて断れるはずがない。おそらくゆたかもわかってやっていた。
「それに、みなみちゃんのここ、綺麗だから……んっ」
「ん……くぅっ……やあっ……そんなっ……」
まずはみなみの秘唇の外側に沿って舌を這わせた。繰り返しやっていくうちに、みなみの呼吸は
次第に深く大きくなってゆく。みなみに一切の抵抗がなくなったと見て、ゆたかは秘唇の中に舌を
挿入する。
「んあっ……っく……くぅ……」
ぴちゃっ……ちゅぷっ……淫靡な水音が二人を更に興奮させる。
「あじがかわってきたよ」
それはみなみの女の子がゆたかを受け入れているという証拠。そこは唾液とは別の液体によって
濡れていた。
「ゆたか、が……んくぅ……いいから」
みなみがたどたどしく紡いだ言葉に、ゆたかはしっかりと応えて、舌の動きを激しくした。
「やっ、あっ、はぁっ、あああぁっ!」
好きな人に愛されているという悦びと、経験したことのない快感に、みなみの表情が歪む。
もっと感じたい。もっとゆたかに気持ちよくしてほしい。それ以外何も考えられなかった。
「ゆたか、もっと、もっとぉ……」
もっと欲しい。普段のみなみからは考えられないほどはしたなく懇願する。
それなのに――
「どうして……」
突然、止めてしまった。止めてほしくない。もっと欲しい。縋るような目で訴える。
「だって、これじゃみなみちゃんの顔が見えないんだもん。ちゃんと気持ちよくしてあげるから、
みなみちゃんの可愛いところ、もっと見せてほしいな」
みなみは力強く何度も肯いて、ゆたかを待つ。
「そういう表情、私以外の人に見せちゃダメだよ。みなみちゃんは私のものなんだから」
ゆたかはみなみをしっかりと見つめて、その指でみなみの秘唇を――
あげればゆたかが喜んでくれるのかわからなくて……」
滅多なことでは表情を崩さないみなみだが、今は乙女のように恥じらっている。
否、みなみは乙女である。だからゆたかにそれを捧げることに決めた。
拒絶されてしまったらと思うと、怖くて唇が震えた。それでも、ゆたかが大好きだから捧げたい。
受け取ってほしい。
「だから、プレゼントは私……私を、もらってほしい」
衣服を脱ぎ捨てると、みなみの素肌にリボンだけが巻きつけてあった。全長何メートルあるか
わからないが、みなみの起伏の少ない身体に丁寧に巻かれたリボンは女の子の大事な部分だけを
巧妙に隠していた。
「ゆたか……」
返事が来るのが怖かった。沈黙するゆたかを泣きそうな顔で見つめる。
ゆたかは何も言わずに歩み寄ると、リボンの結び目に手をかけた。
「はい。お受けします」
みなみの瞳から涙がこぼれた。みなみにとって悲しい出来事を想像して溜まった涙であるけれど、
今は嬉しいから、それは嬉し涙。
「もう、みなみちゃんってば……」
みなみの顔を引き寄せると、瞳の下にキスをして、涙を拭いとる。そのまま涙が零れた跡を
辿って、唇にキスをした。
「これからみなみちゃんのこと貰っちゃうんだから……まだ泣くのは早いよ」
ゆたかの指が結び目を引っ張ると、リボンが解けた。みなみの身体を解放した薄布は、自らも
解放されてはらりと舞い落ちる。それと同時に、みなみの大事な部分も露になった。
「隠しちゃダメだよ」
手で隠そうとしたみなみの機先を制して、ゆたかは鋭く言い放った。
「みなみちゃんはもう私のものなんだよ」
その宣言に、みなみの胸が奮えた。みなみはゆたかのもの。その事実に、鼓動が高鳴る。
「ん……ちゅっ」
さっきキスをしたゆたかの唇が、今度はみなみの秘唇にキスをした。みなみは再びそこを手で
覆いそうになって、しかしその手をゆたかに掴まれる。
「だからダメだってば」
『めっ』とでも言うようにみなみを見上げ、みなみにはそれがとても魅力的に思えた。
「だって、いきなりそんなところ……」
「私はここがいいんだ……ダメ?」
そんなことを言われて断れるはずがない。おそらくゆたかもわかってやっていた。
「それに、みなみちゃんのここ、綺麗だから……んっ」
「ん……くぅっ……やあっ……そんなっ……」
まずはみなみの秘唇の外側に沿って舌を這わせた。繰り返しやっていくうちに、みなみの呼吸は
次第に深く大きくなってゆく。みなみに一切の抵抗がなくなったと見て、ゆたかは秘唇の中に舌を
挿入する。
「んあっ……っく……くぅ……」
ぴちゃっ……ちゅぷっ……淫靡な水音が二人を更に興奮させる。
「あじがかわってきたよ」
それはみなみの女の子がゆたかを受け入れているという証拠。そこは唾液とは別の液体によって
濡れていた。
「ゆたか、が……んくぅ……いいから」
みなみがたどたどしく紡いだ言葉に、ゆたかはしっかりと応えて、舌の動きを激しくした。
「やっ、あっ、はぁっ、あああぁっ!」
好きな人に愛されているという悦びと、経験したことのない快感に、みなみの表情が歪む。
もっと感じたい。もっとゆたかに気持ちよくしてほしい。それ以外何も考えられなかった。
「ゆたか、もっと、もっとぉ……」
もっと欲しい。普段のみなみからは考えられないほどはしたなく懇願する。
それなのに――
「どうして……」
突然、止めてしまった。止めてほしくない。もっと欲しい。縋るような目で訴える。
「だって、これじゃみなみちゃんの顔が見えないんだもん。ちゃんと気持ちよくしてあげるから、
みなみちゃんの可愛いところ、もっと見せてほしいな」
みなみは力強く何度も肯いて、ゆたかを待つ。
「そういう表情、私以外の人に見せちゃダメだよ。みなみちゃんは私のものなんだから」
ゆたかはみなみをしっかりと見つめて、その指でみなみの秘唇を――
「――はっ!」
ひよりは書きかけの原稿に目を落とした。まるでたった今、その存在に気づいたかのように。
「……私、いつのまにこんなの……」
あしたは親友であるゆたかの誕生日。ゆたかの友達たちと話し合って何かプレゼントをしようと
いうことになったのだが、ゆたかがかつて姉に自作の絵本をプレゼントしたことを思い出し、自分
なりに漫画でも描いてプレゼントしようかと思ったのだ。幸い、それを思い立った日から数えれば
十分な時間があった。
ゆたかとみなみをモデルにした二人の女の子の友情をテーマに構想を練って、いざ描いてみれば、
なぜかエロ同人が出来上がってしまっていた。
そう、無意識だったのだ。こんなものを描いてしまったのは。
「16歳のプレゼントに18禁の漫画とか、何をやってるんだ私はっ!」
その作者も16歳だろうとかそれ以前の問題だろうとか、突っ込むべきところはいくらでもあった
が、如何せんそれをやってくれる者はいなかった。もっとも、ひより一人きりだからこんなことが
できるのであって、誰かがご丁寧に突っ込んであげたら、ひよりは即座に窓から飛び降りること
だろう。
ひとしきり悶えたあと、ひよりは改めて自分が描いた原稿を読みなおした。
「いつのまにかスキルアップしてたんだね、私……」
みな×ゆたを観察し、萌え続ける日々の中で、脳の隅から隅まで毒されてしまったらしい。
気がついたらエロ同人を描きあげてしまうとは、萌えの力とは偉大なものだ。
「……って、しみじみしてる場合じゃないっ!」
よほど集中していたようで、時刻は夜中の二時を回っていた。つまり、現在は既にゆたかの
誕生日である。今からまともな漫画を描こうと思っても到底間に合わない。
――どうすればいい? 打開策など何も思いつかない。一晩で漫画を完成させるなど、岸辺露伴
以外の漫画家には不可能だ。悩んだ末にひよりがとった選択肢は――
「あえて寝るッ!」
余裕があるように見えるが、要は現実逃避である。
ひよりは書きかけの原稿に目を落とした。まるでたった今、その存在に気づいたかのように。
「……私、いつのまにこんなの……」
あしたは親友であるゆたかの誕生日。ゆたかの友達たちと話し合って何かプレゼントをしようと
いうことになったのだが、ゆたかがかつて姉に自作の絵本をプレゼントしたことを思い出し、自分
なりに漫画でも描いてプレゼントしようかと思ったのだ。幸い、それを思い立った日から数えれば
十分な時間があった。
ゆたかとみなみをモデルにした二人の女の子の友情をテーマに構想を練って、いざ描いてみれば、
なぜかエロ同人が出来上がってしまっていた。
そう、無意識だったのだ。こんなものを描いてしまったのは。
「16歳のプレゼントに18禁の漫画とか、何をやってるんだ私はっ!」
その作者も16歳だろうとかそれ以前の問題だろうとか、突っ込むべきところはいくらでもあった
が、如何せんそれをやってくれる者はいなかった。もっとも、ひより一人きりだからこんなことが
できるのであって、誰かがご丁寧に突っ込んであげたら、ひよりは即座に窓から飛び降りること
だろう。
ひとしきり悶えたあと、ひよりは改めて自分が描いた原稿を読みなおした。
「いつのまにかスキルアップしてたんだね、私……」
みな×ゆたを観察し、萌え続ける日々の中で、脳の隅から隅まで毒されてしまったらしい。
気がついたらエロ同人を描きあげてしまうとは、萌えの力とは偉大なものだ。
「……って、しみじみしてる場合じゃないっ!」
よほど集中していたようで、時刻は夜中の二時を回っていた。つまり、現在は既にゆたかの
誕生日である。今からまともな漫画を描こうと思っても到底間に合わない。
――どうすればいい? 打開策など何も思いつかない。一晩で漫画を完成させるなど、岸辺露伴
以外の漫画家には不可能だ。悩んだ末にひよりがとった選択肢は――
「あえて寝るッ!」
余裕があるように見えるが、要は現実逃避である。
翌日――ではなく、十数時間後。みんなでゆたかにプレゼントを渡す段になった。
こなた、かがみ、つかさ、みゆき、パティ……それぞれのプレゼントを、ゆたかは心の底から
嬉しそうに受け取った。
その笑顔は何より眩しくて、愛らしい。もはや萌えの究極形。泉先輩にとっては高良先輩が最萌え
キャラのようだが、自分にとってはゆたかが最強の萌え――などとひよりは考えていた。
そして、いよいよひよりの番。
「あ、えっと……これ、自分で描いた似顔絵……喜んでもらえるかわからないけど……」
しどろもどろになりながら、イラストの入った色紙をゆたかに手渡した。似顔絵と言いながらも、
そこにはみなみも一緒に描かれていた。
朝になってみると漫画ではなくイラストでもいいじゃないかと思いついて、授業中に先生に見つ
からないように注意しながら完成させたものだ。おかげで今日の授業内容は覚えていない。
なぜみなみも描かれているかといえば、手が勝手にそうしてしまったのだ。
「こっちが私で……こっちはみなみちゃん?」
ゆたかとみなみの上半身だけが映っていて、その二人が手を繋いでいるという構図の絵だった。
よく見ると、その手は恋人繋ぎなのだが、今のところそれを指摘する者はいない。
「私にとっては岩崎さんと一緒にいるときの小早川さんが一番魅力的で……どうかな?」
真実を伝えたわけではないが、嘘はついていない。
恐る恐る反応を窺う。恥ずかしいだけでなく、怖かった。
(これってあの漫画の岩崎さんみたい……って、違ーう!)
まずは自重することにして、再びゆたかの表情を窺った。
「うん、素敵な絵だよ。ありがとう! ね、みなみちゃんもそうでしょ?」
ゆたかが喜んでくれて、ひとまず安心した。しかし、本当に怖いのはみなみの方だ。こちらは
ゆたかと違って表情が読みづらい。漫画では一応描き分けているつもりだが、リアルではあまり
上手くいかない。
「……ありがとう」
だから、そう言われただけではよくわからない。ただゆたかに合わせているだけかもしれない。
「私もゆたかのことが好きだから……描いてもらって嬉しい」
ゆたかのことが好きだから。ゆたかのことが好きだから。ゆたかのことが好きだから。
「田村さん、いつの間にペンを持ってたの?」
「――はっ!」
知らぬ間に漫画を描こうとしていたようだ。危ないところだった。
「つ、次行こう次! 最後は岩崎さんのプレゼントだよ!」
慌ててその場を取り繕う。あまり誤魔化せてないようにも見えるが、気にしない。
「……ゆたかに似合うかどうかわからないけど……」
みなみから受け取った包みをゆたかが開けると、中から二本のリボンが出てきた。
淡いピンクとブルー。優しい色のそれは、なんとなくゆたかとみなみを連想させた。
(リボン! リボンっスか!? 『私をあげる』っていうアレっスね!)
穏やかな雰囲気を尻目に、ひよりの脳内は百合の嵐が吹き荒れる。
「着けてみて、いいかな?」
ゆたかは片方のリボンを解いて、ピンクのリボンで同じところを結わえた。
「代わりに、これをみなみちゃんにあげるね」
「えっ……」
みなみがわずかに躊躇うが、すぐに頭をゆたかの高さに合わせる。その髪の一房をまとめて、
さっきまでゆたかの髪を飾っていたリボンで結わえた。
端正な顔立ちでショートカットのみなみに少女趣味なリボンは不思議と似合っていて、居心地
悪そうに俯いているせいもあって、保護欲をそそるような、普段とは違った印象を見せていた。
「みなみちゃん、似合ってるよ」
「そ、そんな……」
「おー……いいじゃん、それ」
「みなみちゃんって、可愛いところもあるんだね」
「意外な一面を見た感じね」
「素敵ですよ」
「Very cuteデスよ、ミナミ!」
身じろぐみなみと賞賛する一同。みなみは何も言えず縮こまってしまう。そんなみなみを皆で
弄り回したりして、その場は始終和やかな雰囲気だった。
(互いにリボンを渡して、互いをリボンで縛って……自重しろ、自重しろーっ!)
約一名を除いて。
こなた、かがみ、つかさ、みゆき、パティ……それぞれのプレゼントを、ゆたかは心の底から
嬉しそうに受け取った。
その笑顔は何より眩しくて、愛らしい。もはや萌えの究極形。泉先輩にとっては高良先輩が最萌え
キャラのようだが、自分にとってはゆたかが最強の萌え――などとひよりは考えていた。
そして、いよいよひよりの番。
「あ、えっと……これ、自分で描いた似顔絵……喜んでもらえるかわからないけど……」
しどろもどろになりながら、イラストの入った色紙をゆたかに手渡した。似顔絵と言いながらも、
そこにはみなみも一緒に描かれていた。
朝になってみると漫画ではなくイラストでもいいじゃないかと思いついて、授業中に先生に見つ
からないように注意しながら完成させたものだ。おかげで今日の授業内容は覚えていない。
なぜみなみも描かれているかといえば、手が勝手にそうしてしまったのだ。
「こっちが私で……こっちはみなみちゃん?」
ゆたかとみなみの上半身だけが映っていて、その二人が手を繋いでいるという構図の絵だった。
よく見ると、その手は恋人繋ぎなのだが、今のところそれを指摘する者はいない。
「私にとっては岩崎さんと一緒にいるときの小早川さんが一番魅力的で……どうかな?」
真実を伝えたわけではないが、嘘はついていない。
恐る恐る反応を窺う。恥ずかしいだけでなく、怖かった。
(これってあの漫画の岩崎さんみたい……って、違ーう!)
まずは自重することにして、再びゆたかの表情を窺った。
「うん、素敵な絵だよ。ありがとう! ね、みなみちゃんもそうでしょ?」
ゆたかが喜んでくれて、ひとまず安心した。しかし、本当に怖いのはみなみの方だ。こちらは
ゆたかと違って表情が読みづらい。漫画では一応描き分けているつもりだが、リアルではあまり
上手くいかない。
「……ありがとう」
だから、そう言われただけではよくわからない。ただゆたかに合わせているだけかもしれない。
「私もゆたかのことが好きだから……描いてもらって嬉しい」
ゆたかのことが好きだから。ゆたかのことが好きだから。ゆたかのことが好きだから。
「田村さん、いつの間にペンを持ってたの?」
「――はっ!」
知らぬ間に漫画を描こうとしていたようだ。危ないところだった。
「つ、次行こう次! 最後は岩崎さんのプレゼントだよ!」
慌ててその場を取り繕う。あまり誤魔化せてないようにも見えるが、気にしない。
「……ゆたかに似合うかどうかわからないけど……」
みなみから受け取った包みをゆたかが開けると、中から二本のリボンが出てきた。
淡いピンクとブルー。優しい色のそれは、なんとなくゆたかとみなみを連想させた。
(リボン! リボンっスか!? 『私をあげる』っていうアレっスね!)
穏やかな雰囲気を尻目に、ひよりの脳内は百合の嵐が吹き荒れる。
「着けてみて、いいかな?」
ゆたかは片方のリボンを解いて、ピンクのリボンで同じところを結わえた。
「代わりに、これをみなみちゃんにあげるね」
「えっ……」
みなみがわずかに躊躇うが、すぐに頭をゆたかの高さに合わせる。その髪の一房をまとめて、
さっきまでゆたかの髪を飾っていたリボンで結わえた。
端正な顔立ちでショートカットのみなみに少女趣味なリボンは不思議と似合っていて、居心地
悪そうに俯いているせいもあって、保護欲をそそるような、普段とは違った印象を見せていた。
「みなみちゃん、似合ってるよ」
「そ、そんな……」
「おー……いいじゃん、それ」
「みなみちゃんって、可愛いところもあるんだね」
「意外な一面を見た感じね」
「素敵ですよ」
「Very cuteデスよ、ミナミ!」
身じろぐみなみと賞賛する一同。みなみは何も言えず縮こまってしまう。そんなみなみを皆で
弄り回したりして、その場は始終和やかな雰囲気だった。
(互いにリボンを渡して、互いをリボンで縛って……自重しろ、自重しろーっ!)
約一名を除いて。
-おわり-