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彼女は遷移状態で恋をする-かがみside-(4)

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  • 彼女は遷移状態で恋をする かがみSide(4)


 日曜だというのに変態メガネのお誘いで、今俺はそいつの家に居る。
 まぁどうせ家に居てもすることは変わらない。
 つかさが怠けないように監視しながら、読み終えてないラノベを読み進めるだけだ。
「そろそろ休憩にしましょうか」
 それで三時を過ぎたぐらいだったかな、みゆきが疲れたこなたを見かねてそんな事を言い出したのは。
 まぁ日ごろ使ってない頭を使ったんだ、オーバーヒートぐらいするよな。
 ちなみにうちの弟も右に同じだ。
 ん? でもなんか顔を上げた。
「あ、そうだゆき」
「はいはい、なんでしょう」
「ケーキ作ってきたんだ、皆で食べようと思ってさ」
「ああ、それは素晴らしいですね。何処ぞのお兄さんとは気遣いが違います」
「聞こえてっぞ!」
 ったく、気を抜くとすぐ俺に皮肉を飛ばしやがるんだこいつは。
 でもつかさのケーキかぁ、美味いんだよなつかさのは。
 勉強にはやっぱ甘いものが必要だよな! コレ宇宙の(ry
「それで、切り分けたいんだけど包丁とか借りられるかな?」
「ええもちろん、私もジュースを持ってきましょうか。こっちですよ」
 そう言ってつかさを連れて部屋を出る。
 台所にでも行くんだろな、じゃあ大人しく待ってるか。
 しかし……。
「つかさのやつ、何を大層に抱えてるかと思えば……」
 思わず漏らす。
 いやいや、ずっとなんか大切そうに持ってたんだよ紙袋を。
 触ろうとしたら怒ったし、何かも教えてくれなかった。
 多分、こなたにあげるように作ってたんだろうな……甲斐甲斐しい。
 まぁ……当の本人はそこの机の上でショートしてるけど。
 でもこなたにしては頑張ったほうなんじゃないか?
 珍しく集中してたじゃないか、いつもなら注意力散漫の癖に。
「ほら、ケーキが来るんだろ? 少しは片付けろよ」
 ラノベに枝折をはさみ、近くに置く。
 こんな汚れた机の上で食べられるほどケーキは甘くないぞ! 甘いがな!
「……うんっ、そだね」
 俺が身を乗り出したところでようやくこなたが体を起こす。
 むっ、まただ。
 また眼逸らしやがった。
「……なぁ」
「うん?」
 それに、ちょっと腹が立ったのかもしれない。
 机の上の教材を片づけながら、つい聞いてしまった。
 普段の、クールで知的で冷静な俺なら聞かないようなことを。
「なんで……みゆきだったんだ?」
「えっ……」
 聞いたあとに、顔が熱をもったのが分かる。
 なっ、なんで俺はこんな事聞いてるんだ?
 まるで「なんで俺じゃないんだ?」って聞いてるようなもんじゃないか!
「その……宿題だよ。いつもは人にまっさきに電話かけてくる癖に」
「……」
 いや、別に答えを期待してるわけじゃないぞ?
 どうせくだらない理由だよきっと。
 携帯引っ張り出したら最初にみゆきの名前が眼に入ったとか、その辺だ。
 なのに何故か……聞いたわけだ。
 理由を。
 そうだ、何故か。
「別に」
 そんな、期待した答えが返ってくるわけないのに。
「かがみには、関係ないじゃん」
「なっ……」
 関係ない?
 な、なんだその棘のある言い方は!
「かっ、関係なくないだろっ。いつも人に見せろとかせがんでくる癖に!」
 ……俺は何を言ってるんだ?
 今のを要約するとどうなる?
『なんでアンタ私に相談しないのよ!』
 ってなんで女口調なんだよ!
「関係、ないよっ!」
 ふいっと、首ごと顔を背けられる、
 だから……ああくそっ!
「人と話す時ぐらい、こっち見ろ!」
「!」
 思わず。
 思わず、だからな。
 思わず両手で顔を掴んで……無理矢理視線を合わせてやった。
 こなたの柔らかい髪と頬が手に触れ、妙に恥ずかしい。
 ええい、今はそんな事考えてる場合かっつの!
「俺じゃなくあのメガネに頼ったのが気に入らんっ! なんだ? 俺はあんな変人より頼りにならんのか?!」
「み、みゆき君はかがみなんかより優しいもんっ」
 なぁっ!? あいつが優しい?
 何処だ、どの辺がだ?
 人の顔見かければ捕まえて皮肉言って。
 あんなやつがクラスの委員長ってのが俺は未だに信じられん!
 どうイカサマすればあんなのが人望を集められるんだよ!
「それに、かがみなんかよりも頭いいじゃんっ。いつまでたってもテストで勝てない癖にっ!」
「なっ……」
 その言葉が俺の逆鱗に触れて。
 いや、そんな難しいもんじゃない……ただ、カチンと来て。
 むかついて。
 腹が立って。
 鼻息がかかるほど近づけた顔に向かって俺は……言った。
 言ってしまったわけだよ。
 所謂そう……禁句ってやつを。
「はっ、じゃあお前はどうだよ!」
 俺は何を怒っていたんだろう。
 後になって考えれば、何に腹を立てていたのかさえ思い出せない。
 俺を……頼らなかったから?
 ははっ、何だよ。それ……。
 何が知的だ、冷静だ……クールだ。
「ろくに勉強もしないで、ゲームに漫画尽くしの生活、遊び呆けるばっかりで何もかも他人任せで……」
 ああ、やめろやめろ。
 頼むから止まってくれ。
 頼むからこの馬鹿を止めてくれ。
 つかさでもいい、変態メガネでもいい。
 それ以上踏み込ませるな……こなたに。
 俺は知ってる。
 こいつは面倒くさがり屋で、お調子者で、馬鹿みたいに単純で……。
 それでいて、酷く……もろいんだ。
「悲しんでるだろうよ、お前の死んだ母親も!」
「……!」
 その、すぐ後だ。
 俺の指に、冷たい何かが触れる。
 それが何なのか、俺の脳が租借するまで少し時間がかかった。
 俺の手は何処にある?
 こなたの、頬。
 そこに流れるものなんて、決まってる。
 ……涙、だ。
「あ、やっ!」
 その涙に驚き、思わずこなたから手が離れる。
 俺は……何をした?
「……こ、こなたっ。俺」
 何を、言った?
 今までの自分の行動が、脳に無理矢理入ってくる。
 勝手に腹をたてて。
 勝手に捕まえて。
 勝手にこなたを……傷つけた。
「……がみ、なんか」
 こなたの唇が、少し動いた。
 その微かな唇の動きに少し色気を覚えたのは多分……俺が馬鹿だからか。
 そのまま俺の頬を、強い衝撃が走った。
「かがみなんか……大嫌いッッ!」
 聞こえたのは、多分……こなたの声だ。
 頬を走った衝撃が、ゆっくりとその言葉を揉み解していく。
 それともう一つ、バタンと戸の締まる音。
 もう俺の前には……こなたは居なかった。
 目に残る残像は、こなたの泣き顔。
 それから、俺を睨んだ……涙で歪んだ顔。
 その相反する感情のどちらもが、俺の言葉で引き起こされた。
 俺の不用意で……自分勝手な言葉で。
 頬に感じる熱は、こなたの手がそこにあった事を思い出させる。
 手に感じる熱は、こなたの頬がそこにあった事を思い出させる。
 そしてこなたの言葉が……俺をゆっくりと貫く。
 なんて、言った?
 大嫌い?
 あ、ああ。
 意味は、分かる。
 どういう意味で口にする言葉かも、分かる。
 ……。
 おいおい、どうした?
 俺は何を、考えてるんだ?
 俺だって言ったじゃないか。
 こなたのことなんか、好きなわけないって。
 好きなわけない。
 じゃあ、嫌いってことだろ?
 そうだ、俺も言っただろ……それと一緒だよ。
 俺は好きじゃないって、こなたに言った。
 いや、伝えてはいないけど……俺はそう確認した。
 そしてこなたは俺に……大嫌いって言った。
 それだけ。
 確認した事項を、相手にも確認させられただけ。
 ただそれだけなのに、何でだ?
 何で俺はこんなに……ショック、なんだ?

















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  • やはりtsは2828を誘う! -- にゃも (2009-01-11 16:30:09)

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